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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

在来種の回復を確認するセンサーカメラ 【奄美地域】

2012年11月26日
奄美
 島で「ミーニシ」と呼ばれる北寄りの風が吹き、亜熱帯の島奄美大島も秋から冬へと季節が変わろうとしています。サシバだけでなく、ハクセキレイや昨年飛来数が少なかったシロハラなどの渡り鳥たちも最近増えてきました。このような渡り鳥や留鳥たちで、この季節の森は意外と賑やかです。

 奄美大島では平成17年から外来生物法に基づいて、マングース防除事業を進めています。昨年度のわなによる捕獲数は261頭(事業が始まった平成17年度の捕獲数は2,591頭)となり、生息密度の指標となる捕獲努力当たりの捕獲数は大幅な低下を示しています。マングースを捕獲することも重要ですが、同時に希少な在来種が回復しているかどうかを確認することも非常に重要です。その確認手法の一つがセンサーカメラによるモニタリングです。奄美大島に設置されているセンサーカメラの数は、なんと200台近くです!

 まずは「センサーカメラ」について説明しましょう。



上の画像は実際に野外に設置してあるセンサーカメラです。白線で囲んだ部分が赤外線モーションセンサー部です。このセンサーが撮影範囲に動物が侵入したことを感知し、カメラの電源をオンにして撮影するという仕組みです。最新の機種だと動きを感知してからシャッターが切れるまでの時間はなんと、「0.5秒以内」というスグレ物です。ケモノ道や開けた尾根道など、動物たちが通りそうな場所を選んで設置します。点検頻度はおおよそ一カ月に一回です。
 フィルム式と違ってデジタル式センサーカメラの良い点は、バッテリー残量がある限り撮影し続けること。そして、すぐに画像を見ることができるので種の判別が比較的容易であるという点です。

 では、実際に撮影された画像を見てみましょう。



「アマミヤマシギ」です。平成5年4月に施行された、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」に基づき捕獲・譲渡などが禁止されています。また今年の8月に公表された環境省の第4次レッドリストでは、絶滅危惧Ⅱ類に選定されました。



こちらは雛を連れて歩いています。

 このような調査で、アマミヤマシギ以外にもアマミノクロウサギやケナガネズミなど希少な在来種が確認されています。

 これからも、貴重な画像や珍しい生き物などが撮影されたら紹介していきます。お楽しみに!