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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

奄美大島におけるマングース防除事業の歴史 【奄美地域】

2012年09月02日
奄美
 台風15号が過ぎ去り、朝晩は涼しく感じるようになってきました。ですが日中の日差しはまだまだ強く、さすが南の島だなと実感しています。

 現在、奄美大島では特定外来生物「マングース」の防除事業を進めています。今回はその歴史について紹介します。

 国際自然保護連合(IUCN)が定めた「世界の侵略的外来種ワースト100」に選ばれているマングースですが、元来の生息域は中東から東アジアです。ネズミ類の退治を目的に19世紀後半から20世紀初頭にかけて世界各地(ハワイ、フィジー、カリブ海の島々、南アメリカ、クロアチア、モーリシャス等)に移入されました。沖縄には1910年導入されています。

奄美大島には、昭和54年頃に毒蛇であるハブやネズミ類の駆除を目的に沖縄島から約30個体が移入されました。しかし、主に昼行性であるマングースに対してハブは夜行性なので、ハブを捕食することは少なく、その代わりに様々な在来種(アマミノクロウサギやケナガネズミ等)を捕食し生息数の増加を続けました。また、養鶏や農作物への被害も確認されています。

マングース(飼育個体)

 生息数の増加、分布域の拡大を続けるマングースを駆除するための奄美大島での取り組みを見ていきましょう。
・平成5年度から:有害鳥獣捕獲開始(名瀬市など)
・平成8年度から:生息調査・駆除モデル事業開始(環境庁)
・平成12年度から:本格的な駆除事業開始(環境庁)
・平成17年6月:「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」(外来生物法)施行
・平成17年7月:上記の施行に伴い、奄美大島マングース防除事業開始(環境省)
「奄美マングースバスターズ」結成

 平成5年度の有害鳥獣捕獲の開始から平成23年度までの19年間に、約32,000頭近くのマングースを捕獲しました。平成23年度のわなによる捕獲数は261頭で、過去最低を記録しました。またこの捕獲数は平成13年度の捕獲数3,375頭の7%程度となり、マングースの生息密度が低下したことを示しています。

マングースの捕獲頭数及び捕獲努力の経年変化


 これに伴って、最近ではアマミノクロウサギやアマミトゲネズミなどの在来種で生息密度・分布域の回復が確認されるなど、防除事業の成果が出てきています。さらに、マングース探索犬やピンポイント捕獲チーム(マングースの生息情報に基づく集中捕獲チーム)の活躍など、着実に事業が進んでいます。

現在活躍中のマングース探索犬

 課題もたくさんありますが、マングースの奄美大島からの根絶を目指して、みんなで力を合わせて頑張っていきます!