ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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2018年2月

13件の記事があります。

2018年02月15日くくりわなかかるツシマヤマネコたち

対馬 アクティブレンジャー 蔭浦

対馬野生生物保護センターよりアクティブレンジャーの蔭浦です。

今年の冬の対馬では、はこわな・くくりわなによるヤマネコの錯誤捕獲(誤ってヤマネコを捕まえてしまうこと)が相次ぎ、12月下旬から2月現在まで6件(5頭)ありました。こんなに多いのは近年では珍しいです。

多くの個体については、健康状態に問題は無くすぐに山へ返しました。

錯誤捕獲で救護されたうち2頭は、山林内でシカ捕獲用の足くくりわなに掛かってしまいセンターに保護されました。

  

 

1223日 峰町三根の山林内にて保護された、オスの成獣。入院室での様子。

 

 

 

 

  

 

 

 

↑1月30日 舟志ノ内鳥獣保護区内にて保護された、オスの成獣。

(上)保護現場での様子。

(下)くくられた足の状態。ワイヤーがかかった部分がくびれている。

 

朝のわな見回りでヤマネコを発見したハンターさんが通報をくださり、センター職員が現場にてわなから外しました。

三根のオスは、通報者の方に「豪(ごう)」という名前をつけていただきました!

保護後しばらくは右前肢が麻痺した状態でしたが、徐々に足を着いて歩けるようになり、今月中旬には野生に帰されそうです。

くくりわなにヤマネコが掛かる事例は、平成27年度に始まり今回で4件目となりました。

幸いにもどの事例も、発見したハンターさんの小まめな見回りのおかげで傷は浅く、断脚は免れています。

一方で、わなに掛かった後すぐに発見されなかった場合にはその動物に大きなダメージを与えてしまうことがあります。

 

 

 

↑昨年12月7日美津島町大山にて保護されたオスのヤマネコ。右後肢が腐り落ちて骨がむき出しになった状態で発見され、保護した2日後に死亡。

この個体のケガの原因は不明ですが、傷の様子からは長時間くくりわなに掛かっていた可能性が考えられました。

個体数管理のためにシカやイノシシの捕獲を推進しているご時勢ですが、

ツシマヤマネコの錯誤捕獲が起きてしまう現状をなるべく多くの方へ知ってもらい、

小まめなわな場の見回りを今後もお願いしていくとともに、

中型の動物がかかりにくい足くくりわなの設置方法を検討していきたいと思います。

蔭浦

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2018年02月06日五島探鳥会 福江島に飛来した冬鳥に会いに行こう!

西海国立公園 五島 竹下洋子

 こんにちは!五島自然保護官事務所の竹下です。1月21日(日曜)、福江島の繁敷(しげじき)ダムと福江ダムで開催した五島探鳥会「かわいい野鳥に会いに行こう」にスタッフとして参加しました。五島では、300種以上の野鳥が確認されていますが、そのうち年間を通じて島に生息している留鳥は30種類弱で、多くは季節的に見られる渡り鳥です。渡り方の違いで分類される冬鳥は、秋になると日本に飛来して冬を過ごし、春になると子育てのために中国やロシア方面に渡っていきます。五島探鳥会は、冬鳥が見られる時期にふれあい事業として毎年開催しているイベントです。

 集合場所の福江みなと公園から貸切バスでいざ出発です。バスの中で参加者に冊子を配って観察マナーや野鳥の種類などを説明し、車窓から見る景色と鳥を観察しながら最初の観察ポイントである繁敷ダムに向かいます。

 繁敷ダムでは、マガモ、ヨシガモ、コガモ、オシドリなど7種類の野鳥を確認することができましたが、人が近づくとさぁーっと遠ざかっていくためなかなかじっくり観察することができません。バスでダムの反対側へ移動し、長崎県の県民鳥でもあるオシドリが木陰に隠れている様子を望遠鏡で確認できましたが、残念ながらかなり遠くにいたため写真に収めることはできませんでした。

左:繁敷ダムで観察する参加者

右:人に気づいて一斉に移動する野鳥たち

 移動先の福江ダムは、周りに家屋が立ち並ぶ市内中心部に近い場所にありますが、ダムが小さいことから、比較的至近距離で鳥の生態観察ができます。当日は寒気の合間の穏やかな昼前の時間帯で、カワウ、カワセミ、珍しいアメリカコガモなど多くの鳥を確認することができました。福江ダムで参加者を一番喜ばせたのがカワセミの捕食シーンです。冬空に鮮やかなコバルトブルーの体と長いくちばしが特徴のカワセミが木の枝にとまり水中の獲物を探していました。次の瞬間、水中に飛び込み一瞬で長いくちばしを使って捕え、またもとの枝にもどり食事する一瞬の早業を参加者と一緒に見物することができました。

左:オレンジ色の浮に立つカワウ3羽(右端は生まれて約1年の幼鳥)

右:木の枝にとまり、じっと水面を眺め獲物を探すカワセミ(写真中央)

繁敷ダムでの記念撮影

 今回の参加者へのアンケートでは、「今まで気づかなかった野鳥の見方を教えてもらい楽しみが増えた」「たくさんのカモ類や珍しい鳥を見ることができて良かった」などの感想をいただきました。

 望遠鏡で野鳥の姿を確認した瞬間、その美しさや動作に感動して寒さも忘れて見入ってしまうかもしれません。みなさんも野鳥たちがダムや港でどんな暮らしをしているのか、自分の住んでいる町に飛来した冬鳥に会いに出かけませんか!

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2018年02月02日コウノトリが飛来!!

西表石垣国立公園 アクティブレンジャー 仲本

本年もどうぞよろしくお願いします。石垣島はヒカンザクラが咲く季節になりました。

さて、みなさんコウノトリはご存じでしょうか?

国内希少野生動植物種や国の特別天然記念物として保護されているコウノトリ1羽が石垣島に飛来していました!ロシア南東部で繁殖を終え、越冬のため中国南部へ渡る途中として、まれに琉球諸島を通過することもあるようです。

石垣島では、コウノトリの目撃情報も相次ぎテレビや地元新聞紙にも取り上げられ、話題になっていました。この目で目撃することはないかなと思っていましたが、たまたま車で通りかかった道路沿いの放牧場に佇んでいるコウノトリを発見しました。急いで、カメラを取り出し、撮影しました。全長は約1mあり、間近で観察するとすごく大きかったです。

▲撮影した全長1mほどのコウノトリ

▲牛に追い立てられるコウノトリ

観察していると、数頭の牛が「あっちへいけ!」と言わんばかりに、コウノトリを追い立てていました。放牧場には数羽のアマサギがいましたが、牛がアマサギを追い立てる様子はなかったです。コウノトリは大きく見慣れない鳥なので、おそらく牛たちが子牛を守るために追い立てたのかなと思いましたが、どうだったのでしょうか。しばらくすると、追い立てられるのが嫌だったのか大きく翼を広げ、コウノトリは飛び去っていきました。

▲翼を広げ、去って行くコウノトリ

コウノトリは、タンチョウと間違えられるほど大きな鳥です。現在、世界の個体数は約3,000羽と少なく、環境省レッドリストの絶滅危惧種IA類(CR)に指定され、生息環境の減少・悪化や密猟などによって、減少傾向にあると推定されています。

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