2016年6月10日
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2016年06月10日4度目の正直なるか!?モッチョム岳へ!【屋久島地域】
屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 水川
みなさん、こんにちは!
屋久島自然保護官事務所の水川です。
先日、モッチョム岳の巡視に行ってきました。
屋久島の南の県道を走っていると、圧倒的な存在感を放ちそびえ立つ岩が目に飛び込んできます。
これが、モッチョム(本富)岳です。
▲モッチョム岳。(標高940m)
登山道の途中から山頂までは世界自然遺産地域になっています。
山頂からは、麓の集落や太平洋などの景色が一望できます。
しかし、過去3回の巡視ではことごとく雲に阻まれ、その絶景を未だ見たことがない私。
▲過去3回の巡視(山頂にて)。真っ白で何も見えません。3回目ともなればモニタリング用カメラを構えながら晴れ間を待ち続ける悲しい後ろ姿に‥。
はたして今回は4度目の正直となって絶景が見られるでしょうか!?
今回の巡視には秘策がありました。
①天気予報を十分確認し、晴れの日を狙う!(あたりまえ‥)
②過去の経験から天気のいい日は午後に雲が湧いてしまうため、登山道整備は下山時にするとして、雲が湧かないうちに一気に山頂へ向かう!(もっと早く気付けなかったか‥)
ということで、巡視開始です!
モッチョム岳は、登山口(標高270m)から山頂手前の神山展望台(標高979m)まで、とにかく急峻な道がずっと続きます。両足に加え、両手も使ってよじ登るというイメージでしょうか。
神山展望台からはいったん下り、最後にまたぐんと登って山頂(標高940m)です。
木道や石組みといった整備がされておらず、かなり険しい道が続くため、時間や距離は長くはないものの、中級~上級者向けの登山道です。
▲急峻な登山道。
1時間程度登ると、突如明るく開け、巨大なヤクスギが目の前に現れます。
それは、万代杉(ばんだいすぎ)です。
▲万代杉。樹齢3000年(推定)。
白い樹皮に太く力強く張った根。数あるヤクスギの中で万代杉が一番好きだと言うファンもいる、立派なヤクスギです。
万代杉を過ぎて15分程すると、今度はひっそりと静かにたたずむヤクスギがあります。
それが、モッチョム太郎です。
▲モッチョム太郎。樹齢2500年(推定)。
登山道から少し外れた場所に立っているため、気付かず通り過ぎてしまう人もいますが、万代杉とはまた一味違って、緑に包まれスラリと立つイケメン杉です。
まだまだ登りは続きます。
神山展望台で一息ついた後、アップダウンを繰り返し、最後の最後に大きな岩をロープで登って、やっと山頂です!!
▲最後のロープ場(高い所が苦手な方はちょっと怖いかも‥?)。
3時間半ほどのきつい登りを終えて、山頂からの景色は...!?
やりました!絶景です!!
▲眼下には屋久島南部の集落と海岸線、太平洋の大海原が広がっていました。お隣の種子島も見えました。
▲海から山の上まで緑が続いています。おっと、西から雲が湧いてきています!
はやいとこ山頂モニタリングを済ませないと(^^;)
道は険しくとても大変ですが、美しい林内やヤクスギの巨木、山頂からの絶景は一見の価値ありです。
ガイドなど山を熟知された方とチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
山頂モニタリング撮影も無事終えて、4年越しの景色を楽しんだ後は、険しい下りと整備作業が待っていました。
看板もきれいになり、無事巡視終了です。
2016年06月10日グリーンイグアナのテレメトリー調査【石垣地域】
西表石垣国立公園 アクティブレンジャー 仲本
こんにちは。梅雨の時期に入り、最近の石垣島はジメジメとした湿気の高い日が続き、カビの発生が心配な季節になりました。
さて、今回はグリーンイグアナのテレメトリー調査について報告したいと思います。
▲イグアナのテレメトリー調査の様子
グリーンイグアナは、最大で全長1.8mにもなる大型のトカゲです。
ペットが逃げだしたり、飼いきれなくなって飼い主が放したりするなどしたのか、石垣島では1994年ごろから野生化したグリーンイグアナが目撃されるようになりました。現在、環境省では重点対策外来種に指定し、対策の必要な種になっています。
グリーンイグアナは、花や果実などの植物質を好んで食べますが、幼体のうちは昆虫なども食べるため高密度に増えてしまうと、植生や昆虫類に影響が及ぶ可能性があります。また、野生化した個体は気が荒く、捕まえようとすると尻尾で叩いたり、鋭い爪でひっかいたり、噛みつくこともあるので、発見した場合は、近づいたり捕獲しようとはせずに、石垣自然保護官事務所(TEL:0980-82-4768)までご連絡ください。
▲グリーンイグアナ
イグアナのメスは繁殖期となる4~6月頃、地面を歩き回り、産卵しやすい砂地に穴を掘って、約50個もの卵を地中に産み落とします。このため、繁殖期のイグアナのメスは目撃例が多くなりますが、繁殖期以外の時期は目撃する機会も少なくなり、日頃どこで、どのように行動しているのかがわかっていないことも多くあることから、テレメトリー調査を今年の3月から行っています。
今回行っているテレメトリー調査とは、主に海岸沿いや海岸林の中を歩き、発信器の付いたグリーンイグアナを探し、どこにいるのかを特定してポイントに落とす調査です。定期的に調査を行うことで、グリーンイグアナの行動範囲や集中的に利用している場所、好む環境を知る基礎的な情報を得ることができます。こうした情報がわかることで、効果的な防除対策のヒントが得られるのではと考えています。
調査では、発信器の付いた個体を広いエリアで探すため時間がかかるうえ、日中の真っ白な海岸は、照り返しがすごく日差しもガンガンに照りつけるため非常に暑く、ものの20~30分で汗だくになります。海岸を歩いていると、イグアナのものと思われる足跡が数カ所で見つかりました。おそらく産卵のために歩き回るメスの足跡だと思います。足跡は、一本線を引いたような尻尾の跡ができ、その両側に足跡が残っているのが特徴です。
▲イグアナの足跡(赤い矢印部分が一本線に伸びた尻尾の跡)
調査中に希少なキシノウエトカゲにも出会うこともあります。キシノウエトカゲは、八重山諸島や宮古島に分布しているトカゲ類の中で最大のトカゲで約40センチにもなります。最初に見たときは、その大きさにびっくりしました。天気の良い日は、ひなたぼっこをしている様子を目にすることができ、かわいらしい顔をしています。
▲落ち葉の中から顔を出すキシノウエトカゲ
最近はハイアワユキセンダングサ(外来種)の花のまわりで、たくさんのオジロシジミが飛び回っています。オジロシジミをよく見てみると、羽の後ろに2つの突起物が付いています。その2つの突起物は、触角に見立てた羽、羽の付け根の丸いまだら模様を目に見立てて、天敵の目をあざむくようにできているようです。身近な生き物でも観察してみることで、生きるために必要な知恵が備わっていることに気が付くことができ、とても面白いですね。また、日々の調査で面白い発見がありましたら、アクティブレンジャー日記で発信していきたいと思います。
▲オジロシジミ
調査は、まだ始まったばかりなので、これから少しずつデータを蓄積していくことで見えてくる情報を整理しながら、防除対策に役立てられるよう、今後も調査を頑張っていきたいと思います。
新聞やニュースなどで、すでにご存知の方もいらっしゃるかも知れませんが、
(祝)平成28年4月15日付けで、西表石垣国立公園が拡張されました!
拡張された場所は、"西表島のほぼ全域とその周辺海域"
石垣島は"平久保半島サガリバナ群落地"が新たに国立公園に加わりました。
【拡張前】
色線で囲ってある場所が国立公園内です。
【新しい公園区域図】
ご覧のとおり、西表島に関しては、かなり大幅に区域が拡張されました。
国立公園拡張の記念として、西表島と石垣島、
それぞれの島で「国立公園指定記念式典・シンポジウム」が行われました。
【5月21日 石垣島で行われた記念式典・シンポジウム】
石垣島で行われたシンポジウムでは、
「平久保半島サガリバナと星空の魅力を語る」と題して、
新たに国立公園に指定された平久保サガリバナ群落地を
今後どのように守り、持続的に利用していけるかということを各方面の専門の方々にご議論頂きました。
国立公園への指定は、長年かけてその土地の自然を守ってきた、
地域の方々の自然を守るという強い気持ちと努力の賜物だと思っています。
国立公園への指定はゴールでなく、スタート。
これからも地域の方々と協力、連携を取りながら、国立公園を活かしていこうと思います!