ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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2020年01月20日おやこグラスボート観察会@白保

西表石垣国立公園 神保彩葉

あっという間に1月も中旬。

遅くなりましたが、今年もよろしくお願いします。

さて、12月の話ですが、

石垣島の白保沖でグラスボートの観察会を行いましたので、当日の様子をご紹介します。

白保の海は国立公園!

世界最大級のアオサンゴ群集などが観察できるとても貴重な場所です。

そんな魅力溢れる白保の海をたくさんの人に知ってもらいたい!という

地元の方の想いから生まれたこのイベント。

まずは参加者の方へ、国立公園のこと、サンゴのこと、白保の海のことを

レンジャー&講師からのレクチャーで、知ってもらいました。

▲講師からのレクチャー              

▲たまたま前日に捕獲した生きたオニヒトデも観察!

レクチャーを終えたら、船着き場へ移動し、いよいよ観察スタートです。

▲いざ乗船!

▲間近に見えるサンゴに釘付け!

 

▲もう一隻の船では、水中スタッフが生き物を探します。

 

▲私も生き物探しに加わりました。

 

▲オオイカリナマコを発見!

▲ナマコやヒトデ、クモガイなど、海の生き物に夢中な子どもたち!

良い天気で無事に終了!小さな子どもから大人まで、大盛り上がりでした。

白保の海の魅力、楽しさをみんなで共有できたことと思います。

▲集合写真。楽しかったね。

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2020年01月15日マツノマダラカミキリとマツノザイセンチュウ(マツ材線虫病・松枯れ)【屋久島地域】

屋久島国立公園 池田 裕二

松枯れの様子

海岸の松枯れ

 屋久島で松枯れが目立っています。

 毎年あちこちで見られるものですが、今年の夏から秋にかけ大流行している様子が確認されました。

 島の西部、世界遺産地域内でもクロマツの枯れが多くみられます。調査の結果、クロマツの枯れはマツノマダラカミキリが媒介するマツノザイセンチュウによるものと確認されました。

 屋久島と種子島の固有種で絶滅危惧種(絶滅危惧ⅠB類)でもあるヤクタネゴヨウ(ゴヨウマツの仲間)の自生地でもヤクタネゴヨウとクロマツの枯れが見つかり、一部のヤクタネゴヨウからマツノザイセンチュウが検出されました。

 マツノザイセンチュウの感染に伴う松枯れの症状は特徴的で、あっという間にマツの葉が急に赤く変色し枯れてしまいます。屋久島に多く自生するクロマツは、この病虫害にとても弱く、元気だったマツが秋に葉をつけたまま突然枯れてしまうのです。枯れたマツの中に潜むマツノマダラカミキリが翌春に羽化し、別の木へ移動し、新たな感染木を発生させるという連鎖が発生しています。

 ヤクタネゴヨウはクロマツに比べてこの病虫害に少し耐性があるようなのですが、カミキリによる食害そのものがマツを弱らせるため警戒が必要です。

 こうした松枯れによる枯死は生態系への被害だけでなく、県道沿いの落枝や倒木対策(交通事故や電線の断線の原因)も講じる必要があるため、関係行政による協議と対策が進められています。

 具体的な対策は、まだ健全なマツについては防虫材の樹幹注入が望ましいとされています。

 生態系上、重要な地域において枯れたマツは伐倒し、工場へ運び細かくチップ化したり、焼却処分したりする方法を検討していますが、搬出が困難な場所については、伐倒して玉切りにしたマツとその切り株にビニールシートをかぶせて、内側に粘着シートを設置し、羽化して材から出てきたマツノマダラカミキリを捕虫するトラップ式の導入も検討しています。

マツノマダラカミキリ捕虫トラップイメージ

▼松枯れの発生した谷の様子【世界遺産地域含む】

画像左に見えるのは枯死したクロマツ。右奥に見える急斜面には枯死したヤクタネゴヨウが確認されました。

世界遺産地域での松枯れ

▼急峻な崖地に自生するヤクタネゴヨウ。普通の登山とは違い、道なき道を進んでやっと到着します。樹齢100年を優に超えるような大木が枯死しています。

絶滅危惧種ヤクタネゴヨウの松枯れ

崖に自生するヤクタネゴヨウの調査の様子

▼マツノマダラカミキリが侵入したマツは樹脂(まつやに)を出し、虫や菌等に対して防衛手段をとります。つまりマツが激しい攻撃を受けている証拠にもなります。白く見えているのは乾燥した樹脂です。

松枯れ病にかかったマツがマツヤニを出している

▼ヤクタネゴヨウの樹脂がしみだしている様子。抗菌作用や防虫作用があるようですが、マツノザイセンチュウに対して効いてくれたら、と願います。

マツヤニ

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2020年01月14日海洋ゴミについて考えよう!【屋久島地域】

屋久島国立公園 アクティブレンジャー 水川

 みなさん、こんにちは!

屋久島自然保護官事務所の水川です。

 

 12月に屋久島の栗生塚崎海岸で地域の子どもたちに海洋ゴミ問題について考えてもらうためのイベントを実施しました。

 

 元々地域の方やスポーツ少年団(小学生)、中学校の部活動の子ども達が海岸を清掃する活動でしたが、今回は清掃だけではなく、屋久島の海の豊かさや海洋ゴミ問題について知り、自分にできることを考える機会にしようと企画しました。

 

 まず初めに、国立公園にもなっている栗生の海の豊かさを体感してもらうため、チームに分かれてミッションカードに書かれたものを5分間で探してもらいました。

 

海岸でミッションカードに書かれた生き物を探す子ども達

▲ミッションカードに書かれたものを探す子ども達。

 ミッションカードには貝、ヤドカリ、サンゴ、浜の昆虫、植物の種子などが書かれていましたが、わずか5分でほとんどのチームが見つけることができました。

それだけ様々な生き物が暮らす豊かな海であるということですね!

 

 次に海岸に漂着しているゴミを回収しました。

様々な生き物を育む豊かなこの海にも、ゴミがたくさんありました。

 

いったいどこから来たゴミなのでしょうか?

分別して調べることにしました。

まず「家庭から出るもの」を集めて「プラスチック」「金属・ガラス」「ほか」に分別しました。

 

家庭ゴミを分別した様子

▲家庭から出るものを3つに分別。プラスチック(左)がとても多いのが分かりました。

 

 次に家庭以外のゴミを「漁業でつかうもの」「農業・工場でつかうもの」「外国のもの(外国語標記のあるゴミ)」に分別しました。

  

家庭以外のゴミを分別した様子

▲漁業でつかうもの(左)が最も多く漂着していました。

 

 海岸清掃を終えた後、公民館に移動して、海洋ゴミについてお話ししました。

 

室内レクチャーの様子

▲海洋ゴミに関するレクチャーの様子。

屋久島の海の豊かさや役割。

陸で発生したはずの家庭ゴミ・農業工場ゴミが浜にあるのはなぜ?

漁業でつかうものや外国のものが屋久島の海岸に漂着するのはなぜ?

海洋ゴミが海の自然に与える影響。

自分達にできること。

レクチャーを通して、海は様々な生き物にとって大切な場所であり、人も海から様々な恩恵を受けていることを知ってもらいました。

また、家庭プラゴミが漁業ゴミに次いで多かったことからもわかるように、海洋ゴミ問題が自分達の身近な問題であることに気づき、一人ひとりが行動を起こす必要があることを知ってもらいました。

 

 最後に自分達にできることの一つとして、プラスチックゴミを減らすマイバック作りをしました。

布に特殊なクレヨンで自由に絵を描き、アイロンで染色しました。

 

マイバック作りの様子

▲マイバック作りの様子。

 

作成したマイバック

▲作成したマイバック。個性豊かな素敵なマイバックが完成しました!

 

 今回の活動を通して、日々の生活の中で海とのつながりを意識して暮らしてもらえたら嬉しいです。

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2019年12月16日国指定草垣島鳥獣保護区の巡視を実施しました 【出水地域】

出水 本多孝成

 出水自然保護官事務所の本多です。

 皆さんは草垣群島という島をご存知でしょうか。

 草垣群島は、鹿児島県枕崎港から南西へ約90km離れた場所に位置する無人島(群島)です。

上ノ島、中ノ島、下ノ島等の小さな島々で構成されており、カツオドリやオオミズナギドリの重要な

繁殖地として国指定の鳥獣保護区「国指定草垣島鳥獣保護区」(特別保護地区)が上ノ島に

設けられています。

 ※鳥獣保護区指定年月日:昭和48年11月1日、周囲:2.3km、面積:21ha

▲草垣群島の位置図

https://maps.gsi.go.jp/#5/36.104611/140.084556/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1)をもとに作成。

 九州地方環境事務所野生生物課および出水自然保護官事務所では、11月12日(火)において

草垣島鳥獣保護区の現況調査を実施致しました。今回は、この様子についてお伝えいたします。

  • ■串木野港出発~上ノ島到着(A.M.6:00~10:30)

 草垣群島には旅客船や飛行機等の定期便が存在しないため、今回は串木野港から漁船を

チャーターし、上ノ島まで行きました。フィールドスコープやカメラ、調査用紙等の荷物を

船へ搬入した後、午前6時頃に串木野港を出港しました。

 出港してすぐは日の出の時間帯と重なったこともあり、朝焼けに映える桜島等の美しい景色を

楽しみつつ、一日の始まりに期待を膨らませていました。しかしそれも束の間、出港から30~60分が

経過してからは次第に波が荒くなり、船体が大きく揺れ始めました。そこから私はあっという間に

猛烈な船酔いに襲われ、思わずダウン...。

 以後、船の中でずっと横になることしかできませんでした。

■上ノ島到着~島内巡視(A.M.10:30~P.M.13:00)

 出港から約4時間半後、草垣群島(上ノ島)に到着しました。船酔いで朦朧とする意識の中、

這うようにして甲板へ出てみると、目の前にはゴツゴツした岩場がそびえ立ち、上空には

カツオドリが絶え間なく飛び交う幻想的な光景が広がっていました。

 

▲上ノ島の外観と上陸地点

 周囲は険しい岩場・崖に囲まれていますが、島の東側に緩やかな斜面と小さな入り江が

形成された場所があります。この入り江には島内の歩道と連結した突出部分(左下の写真)があり、

ここへ船首から飛び移るようにして上陸しました。

<島内の様子>

 上陸後、少し休憩をとってから巡視を始めました。今回の巡視の主な目的は、鳥獣保護区内に

設置された制札(標識)の確認と、野鳥を含めた野生生物の調査です。巡視中、島内の様子を写真に収めた

ので紹介します。

▲崩落した歩道

 上ノ島の頂上には海上保安部所管の灯台が設置されており、島内には灯台へ続く一本道が残って

います。しかし、この道はかなり老朽化が進んでいるようで、崩落した箇所がいくつかありました。

 

▲一本道の勾配・カーブと斜面の植物

 一本道は急な勾配かつカーブが連なっていたため、進むのに一苦労しました。

斜面はハチジョウススキ等の野草や、成人の高さ程の低木で覆われていました。

▲野鳥の古巣(カツオドリ?)

 歩道沿いには、枯草がお椀状に浅く窪んだポイントがいくつかありました。カツオドリの

古巣かもしれません。周囲には羽毛や野鳥の排せつ物が散らかっていました。

▲野鳥の死骸(オオミズナギドリ?)

 野鳥の死骸がいくつか横たわっていました。これはオオミズナギドリでしょうか。

この現場の上空ではカツオドリが元気いっぱいに飛び交っており、生き物の生と死の

コントラストが印象に残りました。

▲哺乳類の糞便(クマネズミ?)

 野鳥だけでなく、哺乳類のフィールドサインも見つかりました。

▲繁茂した下草によって見えなくなった歩道

 一本道の途中、下草が繁茂し歩道が見えない場所がありました。上ノ島には急な斜面や

崩れた歩道が多く、誤って道を踏み外す危険があるため、安全面を考慮しここで折り返しました。

<上ノ島で確認された野鳥(一部)>

 約2時間の野鳥調査を上ノ島で実施した結果、合計5目26種120羽の野鳥を記録しました。

その一部を紹介します。

 

 

▲カツオドリ

 島内や洋上のいたるところで見ることができました。上二枚の写真のように、古巣を休息の

ために利用する様子が確認できました。

▲ハシブトガラス

 ハシブトガラスは一般的には留鳥であり、渡りをしない野鳥として知られています。

この個体は一体どのようにして草垣群島までやってきたのでしょうか。

 

▲チョウゲンボウ(左)、ノスリ(右)

 上ノ島の野鳥調査では、わずかな範囲内に多くの猛禽類を見ることができました。

写真の二種に加え、ミサゴ、オオタカ(幼鳥)、ツミ、ハヤブサを確認しました。

▲ジョウビタキ(メス)

 お馴染みの冬鳥です。今回の調査では同じヒタキ類のコサメビタキ(夏鳥)も確認しました。

上ノ島は冬鳥、夏鳥の渡りの中継地になっているようです。

 今回、上ノ島の巡視を通じて、草垣島鳥獣保護区の現況や野鳥等の生息状況を知ることができ、

大変貴重な経験になりました。草垣群島は私たちの生活とは距離的にも社会的にもかけ離れた

存在ですが、そこには確かに野鳥を始めとする生き物たちにとって重要な自然環境が広がっていました。

手に届くあるいは目に見える範囲の自然環境だけが重要ではないと気付くきっかけになりました。

<参考URL>

・鳥獣保護区制度の概要(環境省HP)http://www.env.go.jp/nature/choju/area/area1.html

・鳥獣保護区の指定状況(環境省HP)http://www.env.go.jp/nature/choju/area/area2.html

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