ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2017年02月27日案内標識の塗装【石垣地域】

西表石垣国立公園 アクティブレンジャー 仲本

今回は、西表石垣国立公園内に設置している案内標識の塗装を行ったので、ご報告します。

石垣島の最西端に位置する()良部(らぶ)半島は、御神崎(うがんざき)と呼ばれる岬があります。岬からは、小浜島と遙か西に西表島を望め、岩肌むき出しとなった断崖と青く透き通った海を眺めることができ、観光スポットとしても人気のある風光明媚な景勝の地です。沖合にはダイビングスポットが点在しナンヨウマンタが見られることで有名です。  

          ▲屋良部岳頂上から眺めた御神崎(最奥)

御神崎の名からわかるように、かつて神女(ツカサ)たちが航海安全の祈願を行う聖地として崇敬を集めていたとされています。岬の北側約20mの海中に屹立する岩島の頂部には「ブナリヌツブルイシ(姉の頭石)」と呼ぶ岩があり、大酒飲みの弟を諌めようとした姉が逆に切り付けられ、その頭が動かぬ岩と化したとの民話があります。かなりショッキングな民話にびっくりしますが、ぜひお越しの際は岩島をご覧ください。    

          ▲ブナリヌツブルイシ(姉の頭石)

          ▲御神崎灯台から眺める景観

                        

今回は、その御神崎に設置してある案内標識を再塗装しました。2年前にも同じように塗装作業を行いましたが、木材で建てられた案内標識は、塩水や雨風によって塗っていた塗料が剥がれていた状況でした。    

          ▲塗装作業中の様子

          ▲塗装前

          ▲塗装後

               

塗装後は、すっかり印象も変わり、綺麗に仕上げることができました。今後も定期的に巡視や点検を行い、国立公園を利用する方に利用しやすい環境を提供できるよう取り組んでいきたいと思います。

               

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2017年02月24日九州特産物リレー 出水の海苔【出水地域】

出水 本多孝成

 出水自然保護官事務所の本多です。

 今回は九州特産物リレーとして、出水の特産物である海苔(出水浅草海苔)を紹介致します。

 出水と言えば鶏肉やかんきつ類の生産が盛んなイメージが強いですが、実は知る人ぞ知る、日本最南端の海苔の産地でもあります。出水で獲れた浅草海苔はその質の良さや流通する数の少なさから高級品として知られ、皇室へ献上されたこともあるそうです。出水の浅草海苔について、約35年間、出水で農業をしながら浅草海苔の生産もされている山口さんへ話を伺ってきました。

 さて、下の写真が実際に出水で収穫された浅草海苔です。出来立ての焼き海苔を山口さんにごちそうになりました。一見、食卓で目にする海苔と何ら変わりませんが...?

 口にすると、香ばしさと磯の風味がとても豊かに感じられ、また噛むたびに雪を踏んでいるかのような「ぎゅっ」という音がします。私が今まで食べてきたどの海苔よりも美味しいと思いました。

 何故、このような美味しい海苔ができるのでしょうか。この点について山口さんへ尋ねてみたところ、出水の地理的条件と海苔の育成方法に秘密があるそうです。

 出水市は北に向かって遠浅の八代海が広がっており、冬になると北西からの冷たい風が吹くことによって海水温が低くなります。これが浅草海苔の育成に適した環境になっているそうです。また、出水では潮の満ち引きを利用した干出(かんしゅつ)という方法によって海苔を育成しています。この干出により、干潮時に海苔が海上に露出し、日の光を浴びることによって殺菌されるため、酸処理(海苔の病気を予防するために酸の液に浸す処理)をせずに育成できるそうです。このことから出水の浅草海苔は「無酸処理の海苔」と呼ばれることもあり、高級品としての裏付けにもなっています。

 スーパーマーケットに並ぶ海苔も勿論美味しいのですが、出水の海苔はその土地ならではの「自然の仕組み」を活かして育成されているからこそ、独自の風味や食感が生まれるのだと気づかされます。

 では、出水の海苔はどのようにして作られているのでしょうか。出水では10~12月の前期、1~3月の後期の二回に分けて海苔の育成・収穫が行われます。

 収穫された海苔は、まず混入したゴミが取り除かれ、洗浄されます。次に海苔をミンチ状に粉砕し、形を整えやすくします。それを薄く伸ばしながら乾燥させていくと...

 

 私たちが普段目にする形の海苔が出てきました。(左の写真)

 しかし、これで完成ではなく、ここからさらに一定以上の湿度を含むものや形の悪いものを選別していき、これをクリアした海苔を10枚1束の10束(合計100枚)にまとめて完成です。(右の写真)

 正直なところ、この過程だけを見た時は「海苔って意外と簡単に出来るんだ...」と思っていました。ところが山口さんがおっしゃるには、海苔の収穫は加工作業とはうって変わって「命がけの作業」になるそうです。出水では先に述べた通り強い北風による高波の影響で船が出せないため、作業はすべて手摘みで行っています。この時、頭の上まで襲い掛かる高波によって息ができなくなることもあるそうです。

 生産者の方々の荒波に立ち向かう度胸と、恐怖に打ち勝つ精神力には尊敬の念を抱かざるを得ません。私たちが何気なく口にしている食品には、生産者の方の努力があると想像すると、自然と感謝の気持ちがわいてくるように思います。

 ところで、山口さんへ話を伺っているうちに、海苔の生産の現場ではツルの飛来地ならではの課題に直面していることも分かってきました。

 出水では10月から翌3月にかけてツルの食害防止を目的とする給餌が毎日行われますが、この餌に誘引されたカモたちが干拓地へ集中し、海苔を含めた周辺の農作物等へ食害を及ぼしています。海苔の育成地では、防鳥ネットによる食害対策がなされていますが、それでも全収穫量の半分くらいはネットをかいくぐって侵入してくるカモ類(特にヒドリガモ)に食べられてしまいます。現場では、食害へのより効果的な対策が課題となっています。

 今回は、出水の浅草海苔に焦点を当てて、その作られ方や現場の課題を紹介してきました。高級品として知られる反面、過酷な収穫作業や、さらにはカモによる食害という課題にも直面しています。ツルをはじめとする多くの野鳥が飛来することは、出水の自然環境の豊かさを象徴する一方で、食害という負の側面をも内包しています。このことは、「野鳥と上手く折り合いをつけていきながらも、出水の豊かな自然の恩恵を享受するにはどうすれば良いか」といった、いわば人間と自然との共生の在り方を私たちに問いかけているのではないのかと、山口さんの話を通じて気づくことができました。

 八代海の荒波に鍛えられ、過酷な収穫作業を経て作られた出水の浅草海苔を、皆様も是非食べてみて下さい。

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2017年02月23日阿蘇中岳噴火警戒レベル1へ引き下げについて【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 阿蘇 アクティブレンジャー 藤田

 201727日、阿蘇中岳の噴火警戒レベルが2年半ぶりにレベル1に引き下げになりました。それに伴い、環境省や関係市町村がつくる阿蘇火山防災会議協議会は中岳火口周辺の調査に向かいましたが、

火口広場や駐車場には大量の火山灰や大小の噴石が堆積しており、噴火の威力を伺い知ることができます。

 

  

【現状の様子】

 

ロープウェイ山上駅舎は噴石により天井に穴が開き、窓ガラスも割れ、駐車場には50cm程の火山灰が積もっている。

   

以下、噴火以前の写真と比較して掲載します。

 

        今回噴火後                    以前の様子                                            

 火の国橋は、元の姿も分からないほどになっている。

  

 

        今回の噴火後                   以前の様子

 火口縁の仮設安全柵、支柱だけが残る   

 

       今回の噴火後                  以前の様子

 退避壕とガス検知器 噴石で天板がへこみ、パトライトも潰れている

 

 

これまでの経緯として、2014年8月30日に約20年ぶりに噴火し、福岡管区気象台が噴火警戒レベル2の火口周辺1km圏内の立ち入り規制を発令。その後、2016年10月8日の爆発的噴火では、噴火警戒レベル3の火口周辺3km圏内の立ち入り規制が発令されました。この時の噴出物の総量は60~65万トンと推定され、海抜11,000mまで噴煙が上がり、阿蘇山の北東側約5km内では降灰の量が3,800g/㎡に達する甚大な被害が発生しました。

 

昨年10月の噴火以降、新たな噴火はなく今年の2月時点では火山性微動の振り幅も小さな状態で経過しており、湯だまり量も中岳火口底の約8割を確認、色も灰白色から緑色に戻っており、火口底への熱や火山ガスの供給が弱まってきていると推測されます。

 

昨年12月20日、気象庁より新たな噴火警戒レベルの判断基準の公表に伴い、阿蘇山中岳の状況を照らし合わせ、今回噴火レベル1への引き下げに至りました。

 

しかし、活火山であることから、火口内では土砂や火山灰を噴出や火山ガスの発生の可能性もあるため、阿蘇火山防災会議協議会では山上一帯の安全確認を行うとともに、観光客等の安全が確保されるまでは車や登山者の入山について、これまでの自主規制と監視体制を継続していく方針です。

 

※気象庁では、火山観測データをホームページに掲載し、随時更新されています。

 《各火山の活動状況》

   http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/volcano.html

 《阿蘇山火山観測データ》

   http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/open-data/open-data.php?id=503

 

これから安全対策を図りつつも、大量の火山灰の搬出や安全柵、火山ガス検知器、電源ケーブル、避難シェルター(退避壕)の整備など、関係機関とともに早急な復旧を進めて参ります。

 

阿蘇山上広場・ロープウェイ駅前までは通行可能です。噴火後の阿蘇中岳の息づく様子が見られますよ!

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2017年02月15日平久保エコロード自然観察会【石垣地域】

西表石垣国立公園 神保彩葉

こんにちは。

石垣自然保護官事務所の神保です。

 

先日パークボランティアのみなさん主催にて、

石垣島北部の東海岸沿いに位置する未舗装路、

「平久保エコロード」をゆっくりと歩きながら、自然観察会を行いました。

 

当日、いくつか発見があったので、ご紹介したいと思います。

 

放牧された牛たちとパークボランティアのみなさんin平久保エコロード

 

 

 

みなさん"アオガンピ"という植物は知っていますか?

 

アオガンピの樹皮は、古くから紙の材料として、人々に親しまれています。

道中、そんなアオガンピを発見しました。

 

アオガンピで作られた紙は、非常に強く丈夫で、

八重山では、アオガンピを使って卒業証書を自作する学校もあるそうです。

 

パークボランティアの方の中には、石垣島出身の方もおり、

小さい頃は、よく紙を作るお手伝いをしたと言っていました。

 

  

アオガンピについて解説する事務局長    アオガンピ

また、こちらの木の実は、"ヤエヤマアオキ"という植物の実で、

別名"ノニ"と呼ばれており、よく健康食品等で「ノニジュース」として販売されています。

体には良いのですが、味はあまりよろしくないためか、

テレビ番組等では、罰ゲームとしてノニを使用することもあるそうです。

ヤエヤマアオキ (ノニ)

 

 

途中、海岸にてお昼休憩。

 

海岸散策をしながら歩いていると、何かが落ちている・・。

・・胃袋?!

どうやらウミガメの胃袋のようです。

 

なぜ胃袋だけ漂着しているのかは謎に包まれたままですが、

あまりにキレイな状態で残っていたので、

思わず持って帰ろうかと悩みましたが、さすがにやめました・・。

 

   

お昼休憩中                 恐らくウミガメと思われる胃袋

 

また、海岸に落ちているたくさんのサンゴ骨格を見て、

私の担当分野であるサンゴについての質問が出たので、解説を行いました。

 

サンゴ解説中

 

今回、参加者それぞれの得意分野を出し合って、お互いに学べる良い機会となりました。

自分の専門分野ももちろんですが、分野外のことも幅広く勉強してきたいなと思います。

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