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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

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2018年9月 5日

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2018年09月05日国内希少野生植物調査 ヤクシマソウを追え! 【屋久島地域】

屋久島国立公園 池田 裕二

 国内希少野生動植物という名称をご存知でしょうか。

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 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)に基づき、国内に生息・生育する絶滅のおそれのある野生生物のうち、人為的な影響により減少が見られる種等を環境省が「国内希少野生動植物種」に指定しています。

 また、新種、初確認種(日本に生息していることが初めて確認された種)、再発見種(絶滅したと思われていた種が見つかった場合)のうち、特にその保存を緊急に図る必要があると認められる種を「緊急指定種」に指定しています。

 平成30年2月現在、国内希少野生動植物として、鳥類39種、哺乳類9種、爬虫類7種、両生類11種、魚類4種、昆虫類44種、陸産貝類19種、甲殻類4種、植物122種の全259種が指定されています。また、緊急指定種として爬虫類1種が指定されています。

 詳細URLはこちら▼

 http://www.env.go.jp/nature/kisho/domestic/index.html

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 平成30年1月には屋久島の植物種4種が新たに指定されました。4種とはタブガワヤツシロラン、ヤクシマヤツシロラン、ヤクシマヒゴタイ、ヤクシマソウです。いずれも島内での生育地は限られています。

 先日、こちらの国内希少野生植物ヤクシマソウ生育調査のため、森に入りました。ヤクシマソウはホンゴウソウ科という聞きなれない植物の仲間です。地上からの高さは数cm。花や実のひとつひとつの大きさは直径約1mm、花茎は細く髪の毛のような細さです。全体的に赤紫色をしており、薄暗い林床では見つけることが難しく、地面をじっと見つめながら探します。葉緑素を持たず、光合成をしない植物で、土の中の菌に寄生して栄養をとって生きるという、とても変わった生態です。

 菌に寄生するヤクシマソウが自生しているということは、その環境が、私たちの目には見えない豊かな菌類の生育地とも言えます。枯れ葉や枯れ木が何百年もの間、菌類に分解され循環を繰り返している古い森にこうした生態系が形作られています。

 このような環境はいまや貴重となっており、なおかつ生育地やその周囲の伐採など開発の危機に瀕していることが多いのです。ヤクシマソウは2016年に新種として記録されたものですが、その希少性によってわずか2年ほどで国内希少野生植物に指定されました。

ヤクシマソウ

▲ヤクシマソウ。あまりに小さく、そして不思議な形に職員一同驚きを隠せませんでした。

林床のヤクシマソウ

▲落ち葉の中からひょっこり。

 ヤクシマソウは屋久島でもごく限られた地域でしか見つかっておらず、株数も多くはありません。今回の調査は湿度の高い林内で地面にしゃがみ込みながら、およそ3時間の探索を行いました。汗だくになりながらも努力の甲斐あって全員がヤクシマソウを見つけることができました。みな調査に夢中になり、見つけるたびに「あった!あった!」と歓喜の声をあげていました。ヤマビルやマダニ、マムシなどに遭遇しなかったのも幸いでした。

 まだまだ詳しい研究が期待されるヤクシマソウ、環境変化に弱いとされ、生育地そのものを保護していくことが大切です。

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