三太郎線ってどんな場所?
奄美大島の中央に位置し、国道58号線にある三太郎トンネルの上を通る道路です。昔は住用町(旧住用村)の林業を支える道路でしたが、林業従事者が減少した今は、地元住民の生活道路としてだけでなく、気軽に自然観察ができる場所として島民や観光客に親しまれています。特に夜間は、アマミノクロウサギをはじめとした夜行性の動物を見るために多くの車が訪れます。
○夜の三太郎線でよく見られる動物 ※奄美群島の動物はこちら(リンク)


夜間利用ルール設定の背景と目的
2021年7月に世界自然遺産に登録された奄美大島では、三太郎線周辺において、野生動物の観察等を目的とした夜間の車両通行の集中が見られ、アマミノクロウサギ等の野生動物のロードキルの増加や野生動物へのストレス増加などの悪影響が懸念されていました。また、利用者にとっても、混雑による野生動物の出没頻度の低下や、車両の追い越しによる利用者間のトラブルなどの発生により、利用体験の質の低下が懸念されていました。
そこで、関係する行政機関、地元町内会、エコツアーガイド、民間企業、NPOなどで構成される「奄美大島三太郎線周辺における夜間利用適正化連絡会議」では、三太郎線周辺における夜間利用ルールの設定に向けた検討を進めてきました。

阿室小学校3年生 小野刹那(おのせつな)さん作
「夜中にあらわれるクロウサギ」

三太郎線における夜間(17時~6時)の交通量
奄美大島三太郎線周辺における夜間利用適正化連絡会議
2021年3月に発足した奄美大島三太郎線周辺における夜間利用適正化連絡会議では、令和3年10月29日より“三太郎線周辺の夜間利用ルール”を試行しています。
今後、年1回程度会議を開催し、三太郎線周辺の利用状況をモニタリングしつつ、順応的にルールの見直しなどを行っていく予定です。
【これまでの流れ】
R1 交通量カウンターの設置、事例収集、関係者へのヒアリングの実施(環境省)
R2 ヒアリング等の結果をもとに、利用ルールの案を作成(環境省)
R2.11 第1回実証実験を行い、効果や課題を検証
R3.2 実験の内容やこれまでのデータを元に利用ルールの検討
(地元住民やガイドからのフィードバック、関係機関連絡会議等)
R3.3 夜間利用適正化連絡会議を設置、第2回実証実験のルールを作成
R3.4 第2回実証実験を行い、効果や課題を検証
R3.7 実験の内容やこれまでのデータを元に利用ルールの検討
(地元住民やガイドからのフィードバック、関係機関連絡会議等)
R3.8 夜間利用適正化連絡会議にて試行ルールを作成
R3.10 夜間利用ルールの試行開始
R3.12 三太郎勉強会開催
R4.2 試行開始後の利用状況に関する報告およびルール見直しに関する意見募集
R4.3 夜間利用適正化連絡会議にて試行ルールの見直し
夜間利用ルールの効果
利用ルールを試行してから、三太郎線周辺の利用状況はどのように変化したでしょうか。
三太郎線に設置しているカメラや交通量計測器、利用者へのアンケート調査などから、以下のことがわかりました。
①走行速度がゆっくりになった。
②混雑が緩和し、利用者も安心して通行できるようになった。
今後もこのようなモニタリングやアンケート調査を継続し、自然に配慮した利用が守られるようにルールの改善を行っていく予定です。
表1.ルール試行前後での利用台数や走行速度の変化(2021年)


図.ルール試行前後での追いつき・すれ違いの変化

図.ルール試行前後での混雑感やそのときのトラブルの変化
適切な観光管理の実現 共通目次
・予約方法