奄美群島で見られる外来種
1.特定外来生物
2.その他の外来種
4.リンク
※分布情報は令和3年10月現在で確認できているものを記載。
※新たな分布情報があればお知らせください。
凡例:奄:奄美大島、徳:徳之島、喜:喜界島、沖:沖永良部島、与:与論島
1 特定外来生物
哺乳類
フイリマングース(Herpestes auropunctatus) 中央アジア、南アジア原産。毒蛇ハブの被害抑制を目的に持ち込まれた。奄美大島への導入は1979年とされている。後にアマミノクロウサギなどの希少種を捕食していることが明らかになり、駆除事業を開始。2018年4月以降、生息確認が無い状態が続いている。 |
クモ類
ハイイロゴケグモ(Latrodectus geometricus) コンテナ等に付着して侵入したと考えられる。α-ラトロキシンという神経毒を持ち、咬まれると痛み、痒みを感じるほか、リンパ節の腫れを引き起こす。公園など日当たりの良い場所の物陰に潜む。腹部下面の赤い砂時計型の模様が特徴。トゲトゲした特徴的な形の卵嚢を作る。 |
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セアカゴケグモ(Latrodectus hasselti) 体は黒色で腹部背面に赤い帯状の模様があり、腹部下面には砂時計の形をした赤斑がある。強い神経毒を持ち、咬まれると重傷化する場合がある。人工的な環境を好み、建物の壁面、自動販売機の周囲、側溝などに不規則な形の網を張る。球状の卵嚢を作る。 |
扁形動物
ニューギニアヤリガタリクウズムシ(Platydemus manokwari) ニューギニア島原産。園芸植物の土壌などを介して侵入したと考えられている。日本では琉球列島、小笠原諸島で確認されており、今後の本州への侵入が懸念されている。靴底の洗浄などをして拡散を防止する必要がある。肉食のプラナリアでカタツムリを捕食する。 |
魚類
カダヤシ(Gambusia affinis) 北アメリカ原産。和名は「蚊絶やし」の意味で、蚊の幼虫ボウフラを捕食することから蚊の発生を抑えるために世界各地に導入された。在来種メダカと競合するため、気づかぬうちにメダカが本種に置き換わっていたということがある。メダカやグッピーに似るが、ひれの形や位置などで区別することができる(・メダカとの識別方法)。 |
両生類
ウシガエル(Rana catesbeiana) 北米原産の大型ガエル。食用として世界に広く移入されている。夜行性で昼間は水草の中や水場周辺の草むらに潜む。捕食性が強く、在来の昆虫、小魚、他のカエルなどを食べる。「ウーッ」とうなるように鳴く。 |
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シロアゴガエル(Polypedates leucomystax) 東南アジア原産の樹上性のカエルで細い体に細長い手足を持つ。オスは繁殖期になると水辺付近で「グエッ」と鳴き、メスを呼び込む。在来のカエル類の生息環境などを脅かすと考えられ、在来カエル類の多い奄美群島にとっては大きな脅威である。与論島で侵入が確認され蔓延しており、北上の危険性が指摘されている。 |
植物
ツルヒヨドリ(Mikania micrantha) 中南米原産のキク科の多年生ツル植物。葉の縁はギザギザで、同じ場所から二枚の葉が出る(対生)。著しい速さで他の植物に覆い被さるように成長し、光を遮り枯死させる。国内では1984年に沖縄県うるま市で初めて見つかり、近年奄美大島でも生育が確認された。侵入は比較的初期段階であると考えられ、島内からの完全排除を目指している。R3.12月現在、奄美大島では12カ所で生育が確認されている。 |
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オオフサモ(Myriophyllum aquaticum) 南米原産の水草。その可愛らしい見た目から、かつては水槽用の水草として流通。日本にあるのは全て雌株で、すべて栄養繁殖をしていると考えられている。河川湖沼、水田、水路で繁茂し、在来種との競合、流水・通行阻害などが生じる。R3.12月現在、奄美大島では11カ所で生育が確認されている。 |
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オオキンケイギク(Coreopsis lanceolata) 北米原産のキク科の多年草。かつてはコレオプシス等の名前で流通し、全国で侵入が確認されている。河原など日当たりのいい斜面に生育し、在来種と競合する。ロゼット状で越冬し、5~6月に花を咲かせる。奄美大島でも島内各地で生育が確認されている。 |
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ボタンウキクサ(Pistia stratiotes) アフリカ原産の水草。別名ウォーターレタス。繁殖力が強く、水面を覆い尽くすように成長する。種子繁殖をする他、走出枝を伸ばして子株を多数つける栄養繁殖も行う。水路の通水障害や水中の酸素、日光不足を引き起こす。R3.12月現在、奄美大島では7カ所で生育が確認されている。 |
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ナガエツルノゲイトウ(Alternanthera philoxeroides) 南米原産のヒユ科の多年草。観賞用の水草として持ち込まれたと考えられている。茎は中空で絡まり合いながらマット状に広がる。また茎は折れやすく、折れた断片から発根して増えるため注意が必要。水草だが乾燥にも強く、水田の畦道など陸上でも生育する。4月頃から白い花を咲かせる。和名は花序の長い柄に由来し、近縁種との分類もこの点が最もわかりやすい。 R3.12月現在、奄美大島では1カ所で生育が確認されている。 |
2 その他の外来種
哺乳類
ノヤギ(Capra hircus) 野外に逸出し、野生化したヤギのこと。近年、奄美大島では林内に設置されたセンサーカメラによる撮影の頻度が高くなっており、その個体数は増加傾向にあると考えられている。 草食性の動物であることから、林内の下層植生、希少植物などへの食害が懸念されている。 |
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ノネコ(Felis silvestris catus) 山域で自活するネコのことをいう。アマミノクロウサギやケナガネズミを始めとした奄美の在来種を捕食していることが明らかになっており、「奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画」に則った対策が進められている。 |
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ノイヌ(Canis lupus familiaris) 野生化したイヌのことを指す。アマミノクロウサギやケナガネズミを始めとした在来種を殺傷・捕食していることがわかっており、イヌの適正な管理・飼育を呼びかけている。 |
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ニホンイタチ(Mustela itatsi) 本州、四国、九州などに生息するイタチ科の動物。奄美群島には元来分布しておらず、喜界島にはネズミの駆除を目的に導入された。本種のように国内の分布域から導入された外来種を国内外来種という。 在来生物の捕食やニワトリなどの家禽への被害が起きている。 |
植物
セイタカアワダチソウ(Solidago altissima) キク科の多年草で北アメリカ原産。日本全国に侵入しており、特徴的な見た目から認知度も高い外来植物。 長い地下茎を持ち、茎の高さは2mを超えることもある。河川敷や荒れ地など日当たりの良い場所を好み、秋に黄色の花を咲かせる。本州等と比較して奄美群島での生育は局所的に留まっているため、計画的・持続的な駆除活動を進めていきたい種類。在来種との競合、アレロパシー作用、景観への影響がある。 |
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アメリカハマグルマ(Sphagneticola trilobata) 中央アメリカを原産地とするキク科の多年草。1970年代から沖縄・奄美地方の各地で緑化植物として導入され、野外に逸出、野生化している。葉は矛型で対生する。匍匐茎を伸ばし節々から根を下ろすため、丁寧な駆除が求められる。 在来種を被覆して生育地を奪うなどの影響がある。 |
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ホテイアオイ(Eichhornia crassipes) 南アメリカ原産とする水草。その花の美しさから観賞用に導入された。葉の柄が丸く膨らんで浮き袋の役割を果たしている。日当たりの良い止水地を好み、走出枝の先に子株をつけて増殖する。 在来水生植物との競合や水流の阻害などの影響が懸念されている。 |
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メリケントキンソウ(Soliva sessilis) 南アメリカを原産地とするキク科の一年草。公園やグラウンドなど日当たりの良い場所で地面を這うように生育する。秋に発芽、春にかけて開花、その後5,6月に結実する。果実には2mmほどのトゲが有り、このトゲが肌に刺さりケガをする危険がある(メリケントキンソウのトゲ写真)。 トゲのある5,6月は裸足で歩かない、芝生に寝転ばないなどの注意が必要。 |