外来植物対策の優先度リスト
背景と経緯
2024年現在、奄美大島に侵入している外来植物は383種が知られ(田畑満大・原千代子.2020.奄美群島帰化植物目録2019.きょらじま,26: 11-28)、このうち「生態系被害防止外来種リスト」 に掲載されている侵略的な外来種は73種に及びます。本来の生態系を保全するという目的からは、そのような侵略的外来種のすべてを島から排除することが理想ではありますが、現実的ではありません。そこで、現在、奄美大島で侵入・生育が確認されている特定外来生物を含む侵略的外来植物種を対象に、種や場所、緊急度合いによる優先度を定めるための検討を行い、関係機関が情報を共有しながら各主体が個別に、あるいは一体となって効率的に防除を進めるための基礎情報とすることとしました。
なお、侵入が確認されていない侵略的外来種に関しては、引き続き侵入監視に努めるとともに、侵入が確認された際には確実な初期防除に努めていきます。
検討会の開催
2023年10月25日、環境省、鹿児島県、奄美大島5市町村などの行政機関のほかNGO・NPO等の関係団体を集め、奄美大島において対策すべき外来植物の優先度を議論するための検討会を開催しました。検討会では、外来植物の侵入、対策の現状、課題について共有した後に優先度について議論が交わされました。その後、検討会での意見を基に、さらに関係機関で検討を重ね、奄美大島における外来植物対策の優先度リストを作成しました。
奄美大島における外来植物対策の優先度リスト
奄美大島における各種の侵入状況、被害の大きさ等を勘案し、優先度が比較的高いと考えられる26種を選定した上で、以下のAからDの4つのカテゴリーに分け、「奄美大島における外来植物対策の優先度リスト」を作成しました。なお、新たな外来種の侵入が確認されたり、既侵入種について影響がより深刻であることが判明したりする可能性もあることから、このリストについては定期的に見直しをしていくことが必要と考えています。
○リスト
奄美大島における外来植物対策の優先度リスト (PDF)
A:積極的に防除作業を行い、島内からの排除を目指す種類(9種)
特定外来生物に指定されている種、侵略的な影響が危惧されている種のうち分布が限定されている種など、島からの根絶を目指す種類
B:場所を限定して局所的な防除を進める種類(6種)
島内の各地に生育が確認されており、遺産地域、国立公園等の重要エリアへの侵入が認められ、防除地域を選定して早急に対策が必要な種類
C:普及啓発等を通じて新たな拡散を防止する種類(9種)
低地部等に広域に侵入していることを踏まえ、外来種の問題を理解してもらう環境学習や普及啓発の一環として、防除地域を選定して対策を行なう種類
D:情報収集に努める種類(2種)
奄美大島における生育情報等が不足しているため、情報収集を行いつつ、必要に応じて防除等の対策を検討すべき種類
リスト記載種ごとの概要
それぞれの種の生態、侵入・対策状況について(全体版はこちら (PDF))
A. 積極的に防除作業を行い、島内からの排除を目指す種類
B. 場所を限定して局所的な防除を進める種類
C. 普及啓発等を通じて新たな拡散を防止する種類
D. 情報収集に努める種類
種によっては、情報不足などから記載できていない項目などもあります。追加すべき情報をお持ちの方や、誤った記述にお気づきの際には、メールでご連絡をいただけますと幸いです(RO-AMAMI@env.go.jp)。
分布情報の蓄積、共有
それぞれの種について、大まかにでも分布が把握できている種については確認地点位置図を示していますが、地図に示された場所以外でも生育しているかも知れません。もし皆さんが新たな生育地点を発見された場合には、写真と位置情報(できれば緯度経度の情報をスマホの地図アプリなどで記録、スクリーンショットする等)について、メールでご提供をお願いします(RO-AMAMI@env.go.jp)。
各主体による防除記録の蓄積、共有
適切な防除を進めるためには、各防除対象種について、防除の実施日、実施地点ごとに、その範囲、実施状況などを作業人数や作業時間、作業前後の写真記録などと共に、記録を残していくことが必要です。丁寧に記録をしていくことで、それぞれの地点で作業の進捗管理ができるようになります。また、防除の成果を共有していくことで各主体の取組みを「見える化」して、地点ごとの防除の推進や根絶の達成を目指しましょう。以下の様式に記入して、メールで共有をお願いします(RO-AMAMI@env.go.jp)。
〇 防除記録のページ (作成中)
共有していただいた防除の記録については、定期的に防除記録のページを更新していく形で共有を図ります。