奄美

奄美大島瀬戸内町で特定外来生物ボタンウキクサの駆除作業を実施しました。

外来種駆除日記その2 特定外来生物ボタンウキクサ@瀬戸内町

2023年06月01日
奄美 池上温人
奄美大島瀬戸内町のヤドリ浜は島の南西端に位置し、綺麗な海と砂浜を求める観光客に人気のスポットです。そんなヤドリ浜では特定外来生物ボタンウキクサの生育が確認されており、2021年から根絶を目指して定期的に駆除作業を行っています。

ボタンウキクサとは

ボタンウキクサ(Pistia stratiotes)はアフリカ原産とされるサトイモ科植物で、名前の通り水面を漂うように生育します。英語で「Water lettuce(ウォーターレタス)」と呼ばれ、レタスやキャベツのような、コロッと丸い見た目をしています。この可愛らしい見た目から、かつては水槽用の水草として広く流通していました。
しかし、ひとたび野外に放たれると凄まじい増殖速度で水面を覆い尽くしてしまいます。在来水草の生育環境を奪うほか、水中に届く日光を遮り、水中の様々な生き物に影響を与えます。また水中の酸素濃度低下、流水阻害、景観破壊などの影響も引き起こします。
生態系・農林水産業等に与える影響が非常に大きいことから、現在は外来生物法で定める「特定外来生物」に指定され、栽培、保管、運搬、販売、野外への放出等が厳しく規制されています。
奄美大島では8地点で生育が確認されており、その内5地点で根絶を目指した計画的な作業が進行中です。
ボタンウキクサ#
ボタンウキクサ
ボタンウキクサが繁茂する様子#
ボタンウキクサが繁茂する様子

ヤドリ浜の生育場所

このうちの1地点、ヤドリ浜では2021年2月に駆除を開始してから、今回で14回目の作業となります。駆除には、環境省や瀬戸内町の職員の他、瀬戸内町の事業で地域のガイドさん達が参加してくれています。
この場所は池と水路の2箇所に生育が見られますが、当初はキャベツ大の大きな株が水路・池ともに水面を覆い尽くしていました。初回作業での駆除量はなんと約1トン。その後は取り残した個体や新しく発芽してきた個体を丁寧に取り除く作業を続けてきました。
これまでの作業の繰り返しの中でボタンウキクサの量は少しずつ減少し、駆除の確かな効果を実感しています。とはいえ油断するとすぐに元通りになってしまうので、定期的にモニタリング、駆除作業を実施していかなければなりません。

今回の駆除作業

今回の作業は、環境省、瀬戸内町の職員、計16名で実施しました。
これから夏を迎え、気温が高くなるとボタンウキクサの成長も勢いを増し、あっと言う間に増えてしまいます。そのため、この時期にできるだけ丁寧に駆除作業を行うのが重要です。
作業は網を片手に手作業で行い、水路の中と岸からボタンウキクサを丁寧に取り除いていきました。岸際に生える植物の間には、ボタンウキクサの小さい個体が紛れ込んでいるため、要チェックです。
作業風景#
作業風景
作業風景#
作業風景
作業風景#
作業風景
作業風景#
作業風景
約1時間の作業で50kgのボタンウキクサを除去し、目につくボタンウキクサは殆ど取り切ることが出来ました。
作業前#
作業前
作業後#
作業後
2021年2月初回作業前#
2021年2月初回作業前
今回作業時#
2023年5月(今回、池では再生育確認なし)
ボタンウキクサは栄養繁殖、種子繁殖ともに旺盛で、この水場の底土には沢山の種子が埋まっているでしょう。新たな発芽があれば、その個体が次世代の種子を残す前に駆除をする。これを地道につづけることで、土中の種子が枯渇し、この場所での根絶が達成されます。
そのためにはまだまだ地道な作業が続きますが、関係機関と連携しながら、駆除作業を続けていきます!
集合写真#
集合写真