アクティブ・レンジャー九州地区

「子どもパークレンジャー」(略称JPR:Junior Park Ranger)は、自然保護の大切さや自然とのつきあい方、また生き物に対する思いやりの心など、豊かな人間性を育むことを目的として、環境省レンジャー(自然保護官)と一緒に国立公園などにおいて、自然観察やアクティビティを交えて自然環境を体感して学べるプログラムです。

北部地域子どもパークレンジャー事業全活動のまとめ【石垣地域】

2023年03月13日
石垣 田村彰帆
アクティブレンジャー日記をご覧の皆様、こんにちは。
石垣自然保護官事務所の田村です。
 
西表石垣国立公園のマングローブ林や原生的な亜熱帯林、サンゴ礁の海、そこに生きる多様な生き物、そんな島本来の豊かで貴重な自然がある石垣島の北部地域をフィールドとして、北部地域の子ども達にも自然に触れ親しんでもらう機会を作るために、子どもパークレンジャー事業を行いました。
毎回10名程の参加者を集めて、以下のようなプログラムで開催しました。

サバニで向かうサンゴ礁スノーケリング

サンゴ礁の広がる平久保の海岸をフィールドに、沖縄の伝統船帆掛けサバニで移動しスノーケリングでサンゴ礁観察を行いました。
最初に任命式を行い、レンジャーからは「子どもパークレンジャーとして一緒に環境の大事さを学び、自然を保全していきましょう!」と帽子の贈呈がありました。
今回の活動を通して、動力を使わずに自然の力で進むサバニ船とその技術はとても貴重な体験になり、身近な海にサンゴ礁が広がっていることを再確認することができました。
任命式
▲レンジャ-から贈呈
サバニ
▲風の力でどんどん進みます
スノーケル開始
▲サバニから海へダイブ!
スノーケル
▲深くても大丈夫!

吹通川たんけん隊

広大なマングローブ林が広がり、西表石垣国立公園に指定されているだけでなく、天然記念物として石垣市の文化財に指定されている吹道川をフィールドに、カヌーで海から川へ、途中から歩いてゴールである滝を目指しました。
まずはパドルの使い方のレクチャーから行うので初めてカヌーをする人でも安心です。
今回の活動を通して、海の景色、海から川の景色、川の景色、と進むにつれて表情を変える自然は面白く、「川と海は繋がっているんだ!」と改めて実感しながら、マングローブの生態系も学ぶことができました。
レクチャー
▲パドルのレクチャー
カヌー
▲マングローブを移動中!
干潟観察
▲干潟にはシオマネキを発見!
ゴール
▲滝の下で記念撮影

河口探偵団

「河口探偵団」と題した河口の観察を行いました。河口とはどんな場所なのでしょうか。
川の出口、海と繋がる場所、そんな疑問を持ち、潮の引いた河口の不思議を指令書に従い解き明かしました。謎の生き物や不思議な岩の形、マングローブの迷路秘密の洞窟、干潟にだけ現れる砂地などを探偵団になって調べます。
今回の活動を通して、探偵団として友達と力を合わせて課題に取り組みながら、知っているようで知らなかった川と海が接する河口の環境の役割をより深く知ることが出来ました。
干潟
▲何かいるのかな?
不思議な岩の形
▲なんでこんな形?
河口
▲河口に潜入します
マングローブ
迷路に挑戦!

ビーチクリーンとマイクロプラスチックでキーホルダー作り

手のひらサイズの小さな袋が1人1枚配られ、ビーチクリーンを開始。一見きれいな海岸ですが、よく見てみると青や緑のマイクロプラスチックが波打ち際に落ちていました。ふるいなどを使いながら30分ほど拾いあつめて、全員分の漂着ごみの重さを量りました。改めて見てみると意外と多くのマイクロプラスチックがあることがわかりました。
その後、海岸で拾ったマイクロプラスチックや星の砂などを好きなように並べてレジンで固めてキーホルダーを作りました。それぞれ素敵なものができあがりました。
今回の活動を通して、海岸でペットボトルのキャップや歯ブラシなど、細かくなる前のプラスチックも見つかり、私たちの生活で使われているプラスチック製品を見つめ直すきっかけになりました。
マイクロプラスチック
▲マイクロプラスチックとは?
ビーチクリーン
▲道具を使いながらじっくり探しています
ゴミ
▲みんなで集めたゴミの量
アクセサリー
▲かわいくできました!

ジオケーキ作りと岩石観察

「ジオ」とは地球や大地のことです。石垣島の地質を表現したケーキを作り、ジオケーキが完成するまでの時間を使って、実際に岩石の観察も行いました。
2億年ほど前にできたトムル層(抹茶)と富崎層(かぼちゃ)のプレートの上に火山による溶岩や火山灰からできた野底層(ココア)、沖縄県最高峰の山である於茂登岳の花こう岩(プレーン)が島の中心にそびえたち、島の周辺を囲む琉球石灰岩(レアチーズケーキ)というように石垣島の複雑な地質構造を見事にケーキで再現しました。
今回の活動を通して、多くの生地からケーキを作り、実際に表現した岩石を観察することで石垣島がどんな地質で出来ているのかを分かりやすく、美味しく学ぶことが出来ました。
ケーキ作り
▲ココア味の蒸しパンで再現!
地質
▲石垣島の地質
岩石観察
▲みられる岩石は何の地質?
レシピ
▲ジオケーキのレシピ

地域発見アドベンチャーレース久宇良

アドベンチャーレースとは、集落内で制限時間を設けて、地図と指令書に書かれた課題を解きながら、その地域での自然や文化にふれあえるアクティビティです。今回は久宇良地域で行いました。
指令書のミッションには「不思議な植物をさがせ!」や「青緑色の石をさがせ!」などの指令が出され、拾ったりくっつけたり食べたり、海岸でサンゴの岩の中に埋もれた青緑色の石を見つけたりするとポイントがもらえます。
今回の活動を通して、ミッションを解く過程で、観察を行い、さらに疑問を持ちながら帰ってくる様子もありました。保護者からも住み慣れた地域での新しい発見があったと感想をいただき非常に好評でした。
集落散策
▲地図を頼りに集落を散策します
ミッション
▲葉っぱ5枚で10ポイント!
ミッション2
▲青緑色の石はどこかな?
達成
▲ミッション達成!

まとめ

全6回の活動を無事に終えることが出来ました。
島本来の豊かで貴重な自然がある石垣島の北部地域だから行うことができる、より自然に親しむ活動が満載の多様なプログラムになりました。参加した北部地域の子どもたちには楽しみながらも国立公園にも指定されている身近な自然の大切さを学んでもらえたと感じました。
地元の自然に誇りを持って、より自然にふれあうきっかけになれば嬉しいです。