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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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屋久島国立公園 屋久島

163件の記事があります。

2016年03月14日春が訪れ、植物も動物も人も賑わってきました【屋久島地域】

屋久島国立公園 アクティブレンジャー 菊地

雪もほとんど融け、暖かい日が増えてきました屋久島です。

里部では寒緋桜(カンヒザクラ)、川津桜(カワヅザクラ)、暖流桜(ダンリュウザクラ)と順に色々な桜が咲き始めています。

屋久島は島内でも場所ごとによって気温差があるせいか、同じ品種の桜でも時期をずらして色々な場所で  楽しむことができます。

▲千尋の滝で咲いていた暖流桜

 

山岳部でも春の訪れを感じることができました。

標高400mぐらいの道路沿いでは、屋久島固有種であるヤクシマオナガカエデの新緑がちらほらと確認  できました。

新緑は鮮やかな黄緑のイメージですが、ヤクシマオナガカエデの新緑には赤い新芽もよく見られます。

葉が赤くなる原因はアントシアニンという赤い色素由来のもので、アントシアニンは紫外線をよく吸収する為、紫外線から葉緑素を保護する効果があると考えられています。

4月に入れば山桜も咲き、これから屋久島の山は様々な色に染められることでしょう。

▲ヤクシマオナガカエデの新緑           ▲赤い新緑

 

さらに高標高域では、これまた固有種であるオオゴカヨウオウレンの花が咲いていました。

植物全体の大きさは3、4cmほどのとても小さな花ですが、コケの中に埋もれるように咲く姿は、春の訪れをしっかりと感じさせてくれます。

▲オオゴカヨウオウレン

 

さらに高い標高1600m付近の花之江河や小花之江河では、ニホンヒキガエルが繁殖期を迎えており、  あちらこちらで抱接していました。

春は出会いと別れの季節ですが、カエルたちにとっては出会いの季節か...と思いきや、カラスに食べられているカエルもいて、やっぱり別れの季節でもあるようです。

▲抱接中のニホンヒキガエル

 

色々な場所で植物も動物も賑わってきている中、山では登山者が賑わいを見せていました。

8日の宮之浦岳山頂には複数の大学生グループがいて、どうやら春合宿に来て昼食をとっているようでした。

そして、そんな山頂を動き回る小さな茶色い影が!

影の正体は固有亜種のヤクシマヒメネズミ、登山者の食事のおこぼれや荷物を狙って忙しく走り回っていました。

ちょこちょこ動き回る姿はかわいいですが、避難小屋の中でも夜中に荷物を漁ることがあるので、山中泊を する方は食料を紐に吊るすなどして対策してください。

▲登山者で賑わう宮之浦岳山頂           ▲荷物を漁るヤクシマヒメネズミ

 

以上、春になって、賑わいだした屋久島からでした。

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2016年03月01日登山シーズン始まります!【屋久島地域】

屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 水川

みなさん、こんにちは!

屋久島自然保護官事務所の水川です。

 

あっという間に27年度も最後の月を迎えました。

年度末で何かとバタバタしますが、屋久島は登山シーズン開始にむけて着々と準備をしていますよ!

先日、鹿児島県や屋久島町、林野庁や環境省等の関係機関で、荒川登山道(縄文杉登山のトロッコ道)の安全点検を実施しました。

荒川登山道を利用する登山者の安全確保を目的として、年2回、登山者が増える前の2月と7月にトロッコ道の危険箇所を点検するものです。

 

危険箇所を点検する様子

▲安全点検の様子。昨年崩壊した箇所に新たな崩れがないか確認中。

 

今回の点検では、新たな危険箇所は認められませんでしたが、以前から経過観察中の落石等が心配される箇所については、引き続き注意深く観察していこうと思います。

トロッコ道で注意が必要な箇所には赤いロープと「落石注意」等の看板を取り付けていますので、縄文杉登山の際は注意して通ってくださいね!

 

さらに今回は、12月から撤去していた携帯トイレテントブースの設置も行いました。

積雪による破損を防ぐため、12月~2月の期間は携帯トイレテントブースを撤去しています。

3月に入り、縄文杉ルートの携帯トイレテントブースの設置は完了しましたので、携帯トイレを持って、安心快適に縄文杉登山を楽しんでください!

 

それから、今年から携帯トイレテントブースの設置場所が少し変更となりました。

昨年までの設置場所である「トロッコ転換地点」のブースはなくなり、新たに「翁杉」にブースを設置しましたので、お間違えのないよう気をつけてくださいね。

 

翁杉の携帯トイレテントブース

▲新たに設置した「翁杉」の携帯トイレテントブース。

翁杉から50m程の少々奥まった箇所に設置していますが、翁杉のデッキの北側の看板を目印に、木に結んであるピンクテープをたどっていけば大丈夫♪

 

翁杉のデッキの北側にある看板

▲この看板が目印。

 

☆携帯トイレマップはこちら☆

携帯トイレマップ

新高塚小屋の土壌処理型トイレも冬季閉鎖を終え、3月から開放していますよ('∪')

お使いくださいね!

 

また、縄文杉登山の玄関口である荒川登山口へは、3月1日からマイカー規制期間となり、車両の乗り入れができません。荒川登山バスをご利用ください。

詳しくはコチラ↓

屋久島山岳部車両運行対策協議会HP

http://www.yakushima-town.jp/sangaku-syaryou/

 

3月に入ると山も徐々に登山者が増えてにぎやかになってきます♪

今年も登山シーズンが始まりますね(^∪^)

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2016年01月25日祝!屋久島パークボランティアの会20周年【屋久島地域】

屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 水川

みなさん、こんにちは!

各地で記録的な寒さとなった1月24日と25日。

屋久島も例外ではありません。なんと、里に雪が積もりました!!

屋久島の里に雪が降ることはほとんどなく、ましてや積もることなんてほぼないので、屋久島の子供たちは大はしゃぎです。

...いや、大人たちも、写真を撮りに出かけたり、雪だるまを作ってみたりとはしゃいでいますね。

里に雪が積もるのは何十年ぶりかだ!と、島民の方がおっしゃっていました(゜Д゜;)

 

雪が積もった遺産センター周辺と雪かきの様子

▲1月25日の屋久島世界遺産センター。

まさかセンターで雪かきをすることがあるとは夢にも思いませんでした。

 

ヤシの木と雪だるま

▲南国を思わせるヤシの木と雪だるまのコラボ。

 

吹雪の千尋滝と雪化粧のモッチョム岳

▲1月24日の千尋滝(左)と1月25日のモッチョム岳(右)。

 

しかしこれだけ寒いとこれから収穫を迎えるたんかんなど、農作物の寒害が心配されます。

船の欠航や積雪・凍結による通行止めなど、各方面にも影響が出ていますので、事前にご確認くださいね!

 

さて、2016年1月14日、屋久島国立公園パークボランティアの会は発足20周年を迎えました!!

 

20周年を記念して、記念誌の発行や特別写真展の開催、記念シールの作成など、現在会員のみなさんで様々な記念事業を進めています。

 

1月16日(土)、記念事業の一つとして計画していた、神社への参拝と今後の活動の安全祈願を行ってきました。

 

まずは牛床詣所(うしどこもいしょ)へ参拝に行きました。

屋久島は山岳信仰の島です。

ここ牛床詣所は、山岳信仰の重要な行事である「岳参り」の際に、家族が山に詣でた男たちを出迎えた場所で、女人禁制のため岳参りに参加できなかった女性や子供たちが日ごろ遠い山奥の御岳を拝んだ場所です。いわば、里における信仰の聖地です。

 

牛床詣所での参拝の様子

▲牛床詣所での参拝の様子。

 

続いて、益救(やく)神社へ行き安全祈願を行いました。

益救神社は、1200年の歴史がある屋久島山岳信仰の総本山です。

鎮守の山の神である一品宝珠大権現が祀られています。

 

安全祈願の様子

▲安全祈願の様子。

 

そして夜は祝賀会!20年間の活動を祝して盛り上がりました♪

「昔はもっとゴミがあった。活動の後はトラックの荷台いっぱいにゴミを積んで帰ったんだよ。」

と、会員の方からお聞きしました。

今その場所はとてもトラックいっぱいのゴミがあったとは想像できないほど綺麗です。

パークボランティアの方々による20年間の活動が屋久島の今につながっているのだと思います。

今後益々会が発展していくよう、私たちアクティブレンジャーもサポートしていきたいと思います!

 

集合写真

▲祝賀会にて。

 

20周年記念 活動写真展のお知らせ~

屋久島世界遺産センターでは、屋久島国立公園パークボランティアの会20周年を記念して、20年間の活動の記録を写真で紹介しています!

ぜひお越しください!

 

場所:屋久島世界遺産センター

期間:1月14日~2月26日

開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)

休館日:土曜日

 

詳しくはコチラ↓

屋久島世界遺産センターHP

http://www.env.go.jp/park/yakushima/ywhcc/center/event.htm

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2016年01月22日南の島の雪景色【屋久島地域】

屋久島国立公園 アクティブレンジャー 菊地

遅ればせながら、新年あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。

全国的に寒波が到来して、屋久島もフェリーが欠航したり、山岳部の道路が通行止めになったりしています。

フェリーが来ないとスーパーの陳列からパン、肉、豆腐など色々なものが無くなって、今日の夕食を何にしようかと困っている今日この頃です。

 

この寒波で海岸部では雨が、山岳部では雪が降りました。

20日に縄文杉を通ったので、その時の積雪状況をご紹介します。

 

▲縄文杉デッキで15cm程度の積雪          ▲雪の中の縄文杉

▲高塚小屋から上は踏み跡もない           ▲あるのはシカの足跡

 

縄文杉までの日帰りコースでも木道や橋などが凍り、滑りやすくなります。

最低でもソフトアイゼンや軽アイゼンを準備して登山するようにしてください。

ストックやスパッツ(ゲーター)もあると、なお良いでしょう。

さらに標高の高い山を目指す人は凍った岩場などに備えて、アイゼンやピッケルも準備してください。

また、積雪によっては小屋の扉が雪で埋もれている場合や、扉が凍って開きにくい場合があります。

小屋で泊まろうと考えている人は余裕をもった計画で、登山にのぞんでください。

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2015年12月17日新高塚小屋の土壌処理型トイレは冬季閉鎖しました           【屋久島地域】

屋久島国立公園 アクティブレンジャー 菊地

いろいろな集落でイルミネーションが点き出して(都会に比べるとささやかなものですが...)、屋久島も

少しクリスマスらしくなっています。

山でも荒川登山口のマイカー規制の解除、携帯トイレテントブースの撤去など、夏場とは異なる点がいくつかあるので登山を考えている方はご注意ください。

 

さて、みなさんは屋久島の山中のトイレには、いろいろな種類があるのをご存知でしょうか。

汲み取り式、おがくず式バイオトイレ、浄化循環式、携帯トイレ...

というように場所にあわせて異なる種類のトイレがあり、それぞれ長所も短所も異なります。

その中でも、新高塚小屋には環境省が設置した土壌処理型トイレという一風変わったトイレがあります。

土壌処理型トイレとは、し尿の固体と液体を分離しつつ、固体は微生物の働きで分解、液体は専用の土壌を通して浄化、蒸発散させて最終的にはほとんど何も残らないというトイレです。

昔の人の使っていた肥溜めと畑のシステムをもとに開発されたトイレだそうです。

電気は必要なく、流すための水は雨水を貯めて使えるので山の奥地や管理人のいない避難小屋でも採用

しやすくなっています。

▲新高塚小屋                  ▲土壌処理施設

 

世界遺産になって登山者が急増する以前、屋久島の山中にあるトイレのし尿はそのまま土に埋めて処理していましたが、水質汚染やさらなる登山者の集中が懸念され、2008年から人力によるし尿の搬出が始まりました。

しかし、し尿の搬出費用にあてられる募金が不足し、満足にし尿搬出できていないのが現状です。

▲トイレ裏に溜められたし尿

 

そんな中、土壌処理型トイレはし尿を担ぎ下ろす必要がなく、汲み取り式に比べてトイレ室内の悪臭が

少ないなどといったメリットを考慮され、2011年に設置されました。

それから約2年間は開放していたのですが、屋久島特有の多雨多湿な環境が主な原因と考えられる異常が

確認され、閉鎖されることとなりました。

その後も点検を継続、改善策を試行錯誤した末の今年5月、供用再開の目処がたち、ついに再開放

されました。

また異常が発生するのではないか、ちゃんと処理が進んでいるのか、ヒヤヒヤさせられながらも、

今シーズンを乗り越えることができました。

▲4月に行った関係者による現地確認

 

冬場は貯水タンクの水が凍結し、利用できなくなる為、雨樋の取り外しや貯水タンクの水抜きなどの

冬季閉鎖をしに行ってきました。

来年3月に無事開放できるよう、問題が起こらないことを祈るばかりです。

▲閉鎖した土壌処理型トイレ2室

 

12月から2月までの冬季閉鎖中に新高塚小屋でトイレをされる方は、汲み取り式のトイレか

携帯トイレブースをお使いください。

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2015年12月10日パークボランティア活動報告!【屋久島地域】

屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 水川

みなさん、こんにちは!

屋久島自然保護官事務所の水川です。

 

あっという間に2015年も残り1カ月を切りましたね。

屋久島も寒くなって、薪ストーブ稼働に向け着々と準備を進めているところであります( ̄^ ̄)ゞ

 

薪の写真と煙突掃除の様子と採集したスギの葉の写真

▲左:一冬分の薪が届きました!

▲中央:煙突掃除も完了!

▲右:よく燃えて着火時にもってこいのスギの葉も採集完了!

 

また、年末の大掃除...にしては少し早いですが、官用車3台を洗車しました!
 

官用車を洗車する様子

雨が多く湿度が高いので(という言い訳)、緑のコケが生え始めていた官用車ですが、ピカピカになりました~♪

1年間ありがとう、そして来年もたくさん走ってね。

 

さて、12月5日に、2015年最後となるパークボランティア活動を実施しました。

今回の活動は二手に分かれて、西部地域にある環境省の看板補修と、塚崎海岸に生えたアメリカハマグルマの除去を行いました。

 

まずは、西部地域の看板補修の様子からレポートします!

屋久島の西部地域は屋久島国立公園と屋久島世界自然遺産になっていて、環境省の看板が4つ建っています。

パークボランティアの方にはその4つの看板を磨いたり防腐塗料を塗ったり、看板周辺の草を刈っていただきました♪

 

西部地域の看板補修の様子

▲看板の補修

 

西部地域の看板周辺の草刈りの様子

▲看板周辺の草刈り

 

西部地域の看板補修に続いて、アメリカハマグルマの除去作業の様子をレポートします!

みなさんは、アメリカハマグルマという植物をご存知でしょうか?

中央アメリカ原産で、緑化用として沖縄に導入されたのをきっかけに野生化し、南西諸島や小笠原諸島などで繁茂しています。

繁殖力が強く、つる状の茎は地面を這うように伸びて、在来の植物の生育場所を奪うなど生態系への影響が懸念されている外来生物です。

 

アメリカハマグルマの写真

▲アメリカハマグルマ

 

※我が国の生態系に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト(生態系被害防止外来種リスト)における、緊急対策外来種。

※IUCN(国際自然保護連合)が選定した、世界の侵略的外来種ワースト100。

 

在来種のネコノシタ(別名ハマグルマ)によく似ていますが、ネコノシタと違って鋸歯(葉のふちにあるギザギザの切れ込み)が均等ではなく、最下端のものだけが深くなっています。

 

ネコノシタの写真

▲ネコノシタ

 

近頃は、沖縄や徳之島など各地で駆除活動も行われているようです。

先日のアクティブレンジャー日記では石垣地域の仲本アクティブレンジャーがアメリカハマグルマの駆除体験の様子を投稿していました。

http://kyushu.env.go.jp/blog/2015/12/in-5.html

 

屋久島では今のところ2か所の海岸でアメリカハマグルマを確認しています。

そのうちの1か所が今回除去作業を行った塚崎海岸です。

屋久島国立公園区域内の一区画に生えていました。

塚崎海岸ではこの一区画だけに生えているようなので、今なら局所的な根絶が可能かもしれません。

 

塚崎海岸に生えたアメリカハマグルマの写真

▲塚崎海岸のアメリカハマグルマ(除去前)

 

実は、11月の海岸巡視の際に除去作業を試みたのですが、予想以上に繁茂していて、とても1人では取りきれませんでした(≧∩≦)

 

そこで今回パークボランティアの皆さんに加勢頂き、塚崎海岸のアメリカハマグルマを一気に除去しました!!

 

アメリカハマグルマは刈り取るだけではまた生えてきてしまうので、根から抜き取る必要があります。

他の草を縫うように這って長く伸びた茎はとても抜きづらく、引っ張ると切れてしまうのでとてもやっかいです。

草むらに埋もれながら長い茎を根本まで伝って根っこから引き抜くという大変な作業でしたが、さすがは屋久島パークボランティアの皆さん!

少しの茎や根の取り残しも許さない(`∩´)と、見つけたアメリカハマグルマは全てきれいに除去してくださいました。

 

除去作業の様子

▲除去作業の様子

 

終わってみれば、ゴミ袋4袋分ものアメリカハマグルマを除去することができました!

海岸巡視時の除去分を合わせると、ゴミ袋8袋分です。

 

11月に除去したアメリカハマグルマと今回除去したアメリカハマグルマの写真

▲左:11月の海岸巡視時に除去したアメリカハマグルマ

▲右:今回除去したアメリカハマグルマ

 

見つけきれなかったアメリカハマグルマや取り残してしまった根があるかもしれないので、今後も注意深くこの場所を観察していこうと思います。

 

パークボランティアのみなさん、お疲れ様でした!

 

集合写真

▲アメリカハマグルマ除去班のみなさん!

 

看板補修班の集合写真

▲看板補修班のみなさん!

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2015年12月04日大展望!愛子岳【屋久島地域】

屋久島国立公園 アクティブレンジャー 菊地

全国に寒波が到来した11月27日、屋久島も初冠雪を記録しました。

屋久島もいよいよ冬山シーズンに入り、気温もだいぶ下がってきています。

それでも海岸部には雪が降らないので、大がかりな冬支度をしなくていいのは屋久島のいいところです。

 

先日、12月1日に愛子岳へ巡視に行ってきました。

愛子岳は標高1235m、どこから見てもきれいな三角形に見える山容をしています。

その特徴的な姿は屋久島空港や船上からも見え、屋久島に訪れた人が真っ先に注目する山かもしれません。

山頂までの所要時間は往復7時間程度ですが、登山口は標高約200mのところ、山頂までの標高差は

1000m近く、しかも道中はほぼずっと登りという、低山ながらも決して楽な山ではありません。

また、小瀬田集落の岳参りの山でもあります。

▲空港付近から眺めた愛子岳

 

旅行で来ている人はあまり登らない山ですが、屋久島在住の人はよく登るようで、この日も計3名が登っていました。

登山道はピンクテープも多く、分かりやすいですし、標高100m毎に看板が立っているのでペース配分はしやすくなっています。

標高1000m付近にある水場は水量が安定しておらず、晴れが続くと飲み水としての利用は難しくなる

こともあるので、汗かきの人は飲み物を1ℓ程度持って行った方が安心かもしれません。

終盤の急登は苦しいですが、ここまでくればあと少し!

最後は6ヶ所あるロープ場で一気に高度をかせいで、愛子岳山頂です。

▲高度感は少なくても、ロープ場は慎重に     ▲1100mを越えると視界が開けます

 

山頂からは宮之浦岳、永田岳をはじめとする島中央部の山々や海岸部の集落、空港などが見え、360°の

大展望です。

しばし山頂からの眺めを堪能した後は、今回の巡視の目的の1つでもある看板の補修を行いました。

風雨にさらされる山頂の看板は防腐塗料が剥げ、文字も読み取りづらくなっていました。

ぼろぼろの看板もなんだか味があっていいですが、きれいな看板はやっぱり気持ちが良いものです。

▲愛子岳山頂からの展望

 

▲山頂の看板

 

今回ご紹介した愛子岳、実は登山口から山頂までの登山道全てが世界自然遺産地域に入っている山で、

屋久島の数ある低山の中でもそんな山は珍しいです。

世界自然遺産地域を歩いて大展望を見たい!という方は愛子岳にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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2015年11月26日パークボランティア活動報告!【屋久島地域】

屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 水川

みなさん、こんにちは!

屋久島自然保護官事務所の水川です。

 

11月14日、アサヒビール(株)と屋久島レクリエーションの森保護管理協議会が主催するボランティア活動に、当所の職員4名と屋久島パークボランティアの会の会員5名が参加しました。

 

このボランティア活動は毎年行われていて、今年は関係機関やボランティアを含め総勢58名でヤクスギランドを清掃しました。

 

当日は雨の中、3時間半かけて班ごとに割り振られたコースで木道や手すりのコケ落とし、滑り止め板の付け替え等を行いました。

 

ヤクスギランドの木道を清掃する様子

▲作業の様子。

 

雨で濡れていたため、コケを落とす前の木道はとても滑りやすく、私はすってんころりん!と、しりもちをついてしまいました~(^^;)

しかし一般のお客さんが滑って転んではいけないので、時間いっぱいまで一生懸命作業しました。

活動に参加した方々も真剣に清掃していました。

清掃後の木道はコケが落ちて滑りにくくなりましたよ~(^0^)

 

滑り止め板を付け替えた木道とコケを落とした木道

▲付け替えた滑り止め板(左)とコケを落とした木道と手すり(右)。

 

きれいになったヤクスギランドにぜひお越しくださいね♪

 

活動に参加された皆さん、本当にお疲れ様でした!

 

集合写真

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2015年11月24日小瀬田小学校出前授業最終回!【屋久島地域】

屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 水川

みなさん、こんにちは!

屋久島自然保護官事務所の水川です。

 

今年度から新しくスタートした屋久島町立小瀬田小学校の出前授業が先日最終回を迎えました。

 

第1回目の授業の様子は下記バックナンバーをご覧ください↓↓

http://kyushu.env.go.jp/blog/2015/10/post-101.html#header

 

第2回目は、「屋久島の今を知ろう」というテーマで、山岳部トイレのし尿搬出経費不足、ヤクシカの食害や不適切な利用等によるウミガメへの悪影響など、現在屋久島が抱えている問題を紹介しました。

 

そして今回は最終回の第3回目。

当初、パークレンジャー体験として、宮之浦岳登山の道中にある淀川避難小屋で、山岳部トイレの現状を見てもらい、山のトイレの維持管理の大変さを体験してもらう予定でした。

ところが、あいにくの雨(≧Д≦)!!

結局、屋久島世界遺産センター内での活動となりました。

 

児童に展示の解説をする様子

▲まずはセンターの展示物を見学。

 

展示の解説をメモする児童

▲展示物の解説をしっかりメモしていました。

 

最初に遺産センターの展示物を見学してもらい、次に現地で見てもらいたかった山岳部トイレの状況を、写真を使って説明しました。

屋久島の避難小屋付帯のトイレは全て汲み取り式で、し尿は人力で汲み取り担ぎ下ろしています。

し尿搬出経費は登山者からの募金(屋久島山岳部保全募金)でまかなわれていますが、現在募金の収受状況が悪く、山にし尿が残された状態が続いています。

(この授業の数日前に淀川小屋に行った際は、トイレ裏にし尿が入った70ℓバケツが8個ありました。)

 

淀川小屋のトイレ裏の状況を写真を使って説明する様子

▲淀川小屋のトイレ裏の状況を写真で説明。

 

次に、し尿搬出体験として、今回は、水が入った10ℓタンクを2つ担いで部屋を1周し、し尿搬出がどれほど大変かを体験してもらいました。

児童は小学5・6年生ですが、全員なんとか20ℓのタンクを担いで歩くことができました!

しかし、実際は20㎏以上になるタンクを山から担ぎ降ろしており、これは大人でも大変なことです。

児童のみなさんも、この過酷さを実感してくれたようでした。

 

タンクを担いで部屋を一周する児童

▲し尿搬出体験の様子。

 

山にし尿が残されている現状とし尿搬出の大変さが分かったところで、どうすればいいのでしょうか?

 

みんなができることの一つとして、携帯トイレを紹介しました。

携帯トイレを使えば、自分のし尿は自分で持ち帰ることになり、山にし尿を残さないため、し尿搬出経費を抑えることができます。

携帯トイレを使うことのメリットは他にもあります!

ゴールデンウィークやシルバーウィーク等の混雑期は、山岳部トイレに大渋滞が発生し、長い待ち時間を余儀なくされることがあります。

 

山岳部トイレに大行列ができている様子

▲今年のシルバーウィークの山岳部トイレの状況。奥に見えるトイレから長蛇の列が続いています。

 

しかし、携帯トイレを持っていれば、屋久島の山の各所にある携帯トイレブースで済ませることができます。

混雑期の山岳部トイレの大行列に比べると、待ち時間はほとんどありません。

また、急にお腹が痛くなった等、もしもの時にも安心です。

 

さらに、携帯トイレブースには悪臭がありません!

お尻も直接便座に触れない仕組みなので衛生的です。

 

携帯トイレブースの外観と中の写真

▲携帯トイレ木造ブース

 

使用済みの携帯トイレは、下山後、登山口など島内各所に設置している回収箱に入れるだけ。家に持ち帰る必要はありません。

 

携帯トイレは使ってみるまでは抵抗があるかもしれませんが、一度使えば良さも分かって頂けると思います。オススメですよ♪

 

児童のみなさんには、携帯トイレを使うことのメリットや使い方をレクチャーし、使用体験してもらいました。

 

便座に携帯トイレをセットする児童

▲携帯トイレを便座に広げる様子。

 

携帯トイレテントブースに入る児童

▲携帯トイレテントブースに入って扉を閉め、便座に座ってもらいました。

 

授業の最後には、児童一人ひとりから感想を発表してもらいました。

し尿搬出の大変さが分かったという児童や、今後山に登る時は携帯トイレを使いたいと言ってくれる児童もいて、屋久島の現状を知り、自然環境を守るために自分ができることを考える良い機会になったかなと思います。

担任の先生の話では、今後、授業の総まとめを行い、他に自分たちにできることを考え実践につなげていくとのことでした。

子供たちがどんなことを考え実践するのか、楽しみにしています(^^)

児童のみなさん、お疲れ様でした!

 

<屋久島での登山を計画されている方へ>

登山の際は、屋久島山岳部保全募金にご協力をよろしくお願いいたします。

また、し尿搬出経費を軽減するため、携帯トイレの利用にご協力をよろしくお願いいたします。

屋久島山岳部保全募金および携帯トイレの詳細はコチラ↓

 

鹿児島県HP

https://www.pref.kagoshima.jp/ad04/kurashi-kankyo/kankyo/yakushima/hozen/yakushimasangakubuhozenbokin.html

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2015年11月17日自然に親しむ集い~アサギマダラマーキング会~開催!【屋久島地域】

屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 水川

みなさん、こんにちは!

屋久島自然保護官事務所の水川です。

 

11月9日、自然に親しむ集い~アサギマダラマーキング会~を開催しました。

 

アサギマダラは、長距離を移動するチョウで、全国各地でマーキング調査が行われています。

なぜマーキングするのかというと、マークされた個体が再び捕獲されることで、移動の方向や移動した距離、移動にかかった時間や野外での寿命など、様々な情報が得られ、アサギマダラの生態の解明に役立つからです。

 

長年のマーキング調査の結果、アサギマダラは春に北上し秋に南下することが分かっています。移動範囲は東北地方から台湾にまで及ぶそうです。また、渡りのコースらしいものがあることも分かってきたそうですが、きちんと方向が分かって飛んでいるのか、またそもそもなぜ移動するのかなど、まだまだ分からないことが多いそうです。

 

アサギマダラ

▲アサギマダラ                              (写真:西川高司)

和名:アサギマダラ

学名:Parantica sita

分布:北海道・本州・四国・南西諸島・ヒマラヤ・東南アジア・中国・台湾・朝鮮半島

 

今回の自然に親しむ集いでは、鹿児島県立博物館の金井賢一さんと、2003年から屋久島でアサギマダラのマーキング調査を行っている鹿児島昆虫同好会の久保田義則さんを講師にお招きし、アサギマダラの生態やマーキング調査についてお話いただき、実際にアサギマダラのマーキングにチャレンジしました!

 

マーキング会当日はあいにくの雨。

雨が強く降るとチョウは飛ばないので、ほぼ屋内での活動となってしまいましたが、事前に講師の方がアサギマダラを採集してくださったので、マーキングにチャレンジすることができました。

 

アサギマダラにマーキングする様子

▲マーキングの様子。

 

マーキングしたアサギマダラ

▲マーキングしたアサギマダラ。

 

マーキング後に放されたアサギマダラ

▲マーキングが終わったら放します。

 

屋内でのマーキングの後、雨は止んでいませんでしたが、せっかくなので予定していたマーキングコースを歩いてみることにしました。

このコースは、アサギマダラの吸蜜花であるヒヨドリバナが多く、すぐ脇には隠れる場所となる林があって、アサギマダラが飛来するには好条件の場所です。

 

ヒヨドリバナ 

▲ヒヨドリバナ。

 

長年屋久島で調査されてこられた講師の久保田さんが見つけたとっておきのマーキングコースとあって、雨にも関わらず何匹ものアサギマダラが飛んでいました。

 

そこで講師の金井さんが達人芸を披露してくれました!

飛んでいるアサギマダラの近くで白いタオルをグルグル高速回転。

すると、不思議なことにアサギマダラがふら~っと高速回転中のタオルに寄ってくるではありませんか!

そこをすかさず網で捕獲。

無駄なく素早い動きであっという間にチョウを捕らえるその姿はまさに達人。

周りからは「お~!」と歓声が上がりました。

なぜこの方法でアサギマダラが寄ってくるのかは分からないそうですが、タオルは「白」が良いそうです。お試しあれ!
 

タオルを回してアサギマダラを捕獲する様子

▲白タオルをグルグル回す講師の金井さん!

 

捕獲したアサギマダラにマーキングする様子

▲捕獲したアサギマダラをマーキングする様子。

 

参加者の皆さんは、熱心にメモを取ったりたくさん質問をして活動を楽しまれていました。

みなさんもアサギマダラを見つけたらじっくり観察してみてください。

マークがついていたら、博物館に連絡してどこでマークされたものか調べてもらうといいですよ♪

思いがけない場所から飛んできたチョウかもしれません(^∪^)

アサギマダラのマーキングに挑戦したい!という方は下記をご参考ください。

 

★アサギマダラのマーキング方法★

【準備するもの】

油性フェルトペン(黒色・極細)、記録用ノート、網

【方法】

①アサギマダラを1匹捕まえる。

②羽を閉じた状態で羽の白い部分に、場所・日付・マークした人のイニシャル・個体番号を左右の羽に振り分けて記す。

例)屋久島で11月9日に水川真希が捕獲した場合、「YAKU 1109 MM 1」。

③記した内容を記録ノートにも記入する。

④放す。ノートの上や地面や葉に置いて自然に飛び立たせること。

⑤マーキングした内容を博物館に知らせる。

【注意】

○腹部や触角はつかまない。

○一匹ずつ捕まえてマークする。一度にたくさんのチョウを網に入れると羽が折れる。

○捕まえる時、花を散らさない。

○チョウを触った手で目をこすらない。マーキングが終わったら手を洗う。

 

※マークのついたチョウを見つけた場合

①書かれたマークをメモするか写真に収める。

②マークを追加する。

③放す。

④博物館に知らせる。

 

<マーキングしたとき・マークされたアサギマダラを捕獲したときの連絡先>

鹿児島県立博物館

TEL:099-223-6050/FAX:099-223-6080/E-mail:kahaku1@pref.kagoshima.lg.jp

昆虫担当 金井賢一

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