屋久島国立公園 屋久島
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2019年10月24日パークボランティアで口永良部島へ!【屋久島地域】
屋久島国立公園 アクティブレンジャー 水川
みなさん、こんにちは!
屋久島自然保護官事務所の水川です。
10月18日~19日に、屋久島国立公園パークボランティアの会で口永良部島に行ってきました。
目的は毎年恒例の海岸清掃です。
タカラハーモニストファンドとGGG国立・国定公園支援事業の助成金を頂き、今年も実施することができました。
口永良部島および屋久島には、海岸で回収した大型のゴミを処理できる施設がありません。
それらのゴミは鹿児島本土に搬出しなければならないため、処分に多大な費用がかかります。
島には国内外からひっきりなしにゴミが漂着するので頭を抱えています。
そこで屋久島国立公園パークボランティアの会では、平成28年度から助成金を活用して口永良部島の海岸清掃を実施しています。
1日目、会員8名、職員4名で西之浜の岩や他のゴミに絡まって回収困難な漁網やロープを回収しました。
▲西之浜に打ち上がったゴミの様子。
▲清掃開始前の作戦会議。膨大なゴミの量なので、回収物とエリアを絞り効率よく回収することにしました。
▲漁網とロープを回収。
▲5㎥分の漁網とロープを回収しました!
2日目は、島民が実施する海岸清掃に参加しました。人口100名弱のところ、51名の島民が参加しました。
▲清掃の様子。海岸全体に人の背丈以上のゴミの山があります。
▲初日に回収しなかった小さなプラスチックゴミや、残っていた漁網を回収しました。
ゴミの山の正体は、ほとんどがプラスチックや発泡スチロールでした。
これらがマイクロプラスチックとなって海の生き物に影響を与える可能性があるのです。
▲細かくなったプラスチックゴミ。ゴミの山はほとんどがこれ。
▲ある子はライターを回収して数を数えていました。口永良部島の小学生は、以前から海岸に漂着したゴミの種類などを調査しているそうです。
西之浜は島で数少ない砂浜の一つで、小学校の水泳の授業も行われる浜です。
国の天然記念物に指定されているオカヤドカリも生息しています。
以前はウミガメも産卵に訪れていました。
島民にとっても生き物たちにとっても大切な西之浜。
2日間の活動で1トンフレコンバック39袋分のゴミを回収することができました。
▲ゴミが無くなってスッキリした様子のオカヤドカリ。
▲島民と集合写真。
▲パークボランティアで集合写真。
今回の活動で沢山のマイクロプラスチックおよびマイクロプラスチック予備軍のゴミを回収できました。
大型のゴミで埋め尽くされていた浜はきれいな砂浜に戻りました。
これで島民も泳ぐことができます。
海岸漂着ゴミの問題は尽きず、今後も活動を継続する必要があります。
特に離島はこの問題の影響を直接受けます。
皆さんも今一度普段の生活を振り返ってみてください。
ゴミを川や海にポイ捨てしていませんか?
不必要なワンウェイプラスチックを買っていませんか?
プラスチックスマート(環境省HP)http://plastics-smart.env.go.jp/
【最後の一枚】
口永良部島のメガ崎から屋久島を望む。
2019年10月18日パークボランティア 白谷雲水峡清掃活動 【屋久島地域】
屋久島国立公園 池田 裕二
最近の屋久島は朝晩が涼しくなり、過ごしやすい季節となりました。山、海、川とすべてのフィールドで快適に遊べる良い時期ですね。
さて、9月28日(土)に屋久島国立公園パークボランティアの会で白谷雲水峡の清掃を行いました。会員8名、職員2名の計10名で、2班に分かれて2時間半ほど木道や手すり磨きを行いました。
白谷雲水峡は白谷川が流れており、空中湿度が年中高く、コケの美しい谷が広がる場所です。その分、木道や手すりに藻類がつきやすく、特に雨の日の木道は滑るので危険です。今回は木道の多いコースでの清掃作業を実施しました。
▼白谷雲水峡イメージ。清らかな流れを楽しみながらトレッキングができます。
まずは白谷雲水峡を管理する団体の職員の方から清掃場所や清掃方法についてレクチャーを受けました。木製手すりは金たわしと雑巾で磨き、木道はデッキブラシを使って藻類や土を洗い落とします。
▼作業の様子。
水をかけながらデッキと手すりを磨いていきます。
すれ違う登山者からは「ありがとうございます」とお声掛けいただきました。足場が悪い場所が多くきつい作業ですが、やりがいがあります。また、水場が離れているため、重い水タンクを何往復も運ぶのが重労働です。
▼看板には藻類が付着しやすいため、柔らかいスポンジで磨いていきます。
▼作業後にはピカピカに磨いた看板前で集合写真。
看板も木道もきれいになり、登山者の皆様には気持ちよく森を歩いていただけるでしょう!
パークボランティアの皆様、ありがとうございました!
2019年10月18日川でじゃぶじゃぶ生き物探し!ミニ水族館を作りました 【屋久島地域】
屋久島国立公園 アクティブレンジャー 水川
みなさん、こんにちは!
屋久島自然保護官事務所の水川です。
ずっと暑くて湿度が高かった屋久島も、ここ数日でガラッと秋の空気にかわりました。
登山が気持ちよくできる季節です。
さて、10月5日(土)に、今年度第一回目の自然に親しむ集いを実施しました。
今回は、「川でじゃぶじゃぶ生き物探し!作ろうミニ水族館」と題して、屋久島の東に位置する小瀬田の男川(おとこがわ)で、生き物採集と川にあるものを使って水槽作りをしました。
参加者の皆さんに水槽についてのイメージを持ってもらうため、早朝から職員で生き物採集と流木や石ころ収集をして見本の水槽を作成しました。
▲見本の水槽。ハゼや小魚、テナガエビやスジエビが入っています。
活動は、はじめに川で思う存分生き物を採集しました。
▲生き物採集の様子。
▲捕まえたカニがバケツの中で脱皮しました!
生き物採集と水槽の材料集めをした後、材料を飾って思い思いの水槽を作りました。
▲水槽作りの様子。
▲ドングリを入れてみたりカタツムリの殻を飾りに使ったりと、集めた材料が一人ひとり違って、見ていてとても楽しかったです。
水槽に採集した生き物を入れて完成です。
それでは、子ども達が作った水槽をご覧ください↓
▲水槽の外にまであふれる豊かな感性。あっぱれです!
▲捕獲後脱皮したカニの殻は水面に飾りました(左)。
▲それぞれの水槽に入った生き物たち。
今回の活動は、難しいことを抜きにして、生き物採集を楽しんでもらうこと、自然のものを使って遊ぶ楽しさを知ってもらうことを目的に企画しました。
子どもも親御さんも夢中になって生き物を採集して水槽作りを楽しんでくれて、私たちも水槽作りで発揮された子ども達の豊かな感性と自由な表現を楽しませてもらえる活動となりました。
活動後、採集した生き物と水槽の材料は川に戻しました。
2019年08月15日ドラゴンボートでクールシェア 【屋久島地域】
屋久島国立公園 アクティブレンジャー 水川
みなさん、こんにちは!
屋久島自然保護官事務所の水川です。
8月6日(土)、屋久島の宮之浦川にて第12回屋久島町ドラゴンボート大会が開催され、屋久島自然保護官事務所職員と屋久島国立公園パークボランティア有志の方でチームを作り出場しました。
ドラゴンボート大会は、屋久島の夏の風物詩として毎年行われており、竜をあしらったボートで200m漕ぎ、速さを競います。
ドラゴンボートの起源は紀元前278年の中国で、日本へ最初に伝えられたのは長崎といわれています。(参考:日本ドラゴンボート協会)
長崎ではこの舟漕ぎ競争をペーロンと呼びます。
沖縄にもハーリー(ハーレー)と呼ばれる舟漕ぎ競争がありますね。
屋久島では旧上屋久町が1993年にドラゴンボート大会を開き、その後合併によって現在の屋久島町になった2007年からは全島から参加する大会となっているそうです。(参考:屋久島経済新聞)
大会までの練習日は皆定時退庁し、宮之浦川に集まって練習しました。健康的なゆう活を実践しました。
【内閣府大臣官房政府広報室HP】
https://www.gov-online.go.jp/tokusyu/u-katsu/
さらに川はとっても涼しく夕涼みにぴったりでした。自然の中、皆でクールシェアです。
【環境省HP】
http://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/coolbiz/coolshare/
▲練習の様子。
さあ、いよいよ大会当日です!
▲会場の宮之浦川。橋の下がスタート地点です。
▲レース直前。真剣な表情で作戦の最終確認です。
▲レーススタート!赤い旗が我々のボートです。
▲後半は腕が上がらなくなりますが、太鼓の音に合わせて必死に漕ぎました。
▲ゴール付近にはチームの旗を振って応援してくださる方々。
結果は準決勝に進んだものの惜しくも敗れてしまいました。
優勝したのは何年もドラゴンボート大会に出場しているチーム。
初出場の我々では到底かなう相手ではありませんでした...。
しかし、練習の日々から大会当日まで、パークボランティアの皆さんと涼しく楽しい時間を過ごすことができ、とても良い夏の思い出となりました。
パークボランティアの方からは、皆でこうして何かをする機会はとても良かった。色々な話もしやすくなる。と、おっしゃって頂きました。
反省点もたくさん挙げられたので、それを活かして来年も皆で出場したいと思います。
皆さんも、この夏は自然が多く涼しい場所に出かけて、暑さを乗り切りましょう!
▲皆さん、お疲れ様でした!
2019年08月14日特定外来生物オオフサモ防除作業の結果 【屋久島地域】
屋久島国立公園 屋久島 池田 裕二
2019年8月5日に実施した屋久島アクティブ・レンジャーとパークボランティア会員による特定外来生物オオフサモの防除活動※を報告いたします。
オオフサモ生育地の2坪ほどの区域で防除を実施し、約2L分のオオフサモを手作業抜き取りにより防除しました。
ただ、オオフサモの茎には節がいくつもあり、わずか1cmほどの短い節からも再生することができるので、地中に取り残しがあればまた防除作業を行う必要があります。オオフサモ防除作業は継続作業を行わなければいけないのが課題です。
もうひとつの課題は、他の外来種が繁茂していたことです。
ルドヴィジア・レペンス(アメリカミズユキノシタ)というアメリカ東部原産の水草で、アクアリウム(熱帯魚飼育や水草栽培の水槽)でよく使われる種類です。安価で強健なことから水草レイアウトの入門種として売られています。
屋久島の冬に十分耐えられる性質をもっていることに加え、オオフサモに迫るほどの繁殖力の強さは脅威です。昨年に調査をした時にはルドヴィジアはほとんど見られませんでした。しかし今回はオオフサモよりルドヴィジアの方が多く、もしかするとオオフサモと競合し、場合によってはルドヴィジアが勝つのでは、とまで思ってしまいました。
ルドヴィジアは刈り取りと抜き取りで防除し、採った量は45Lのゴミ袋で3つ、約60kgはあるかと思います。
同じ場所でかつて確認され、防除作業を行っていた外来種のオオサンショウモ、ボタンウキクサ(ウォーターレタス、特定外来生物)の再発生もわずかに見られました。
ごく小さな子株がひっそりと残っていたと考えられます。
▲オオフサモの水上葉。非常に美しいデザインの植物で観賞価値は高いのですが、特定外来生物です。島には小川、湧水地、湿地などがあり、在来の水生植物が生育する場所もあります。オオフサモがそうした場所に進出しないよう、注意しなければいけません。
▲ルドヴィジア・レペンスの中に生えるオオフサモ。ルドヴィジアの増殖力もオオフサモ同様に驚異的。わずか一本から増殖して無数の束になります。ごく浅い水辺を好み、水中より水上が好きなようです。
▲オオサンショウモ。いわゆるウキクサの一種。分裂して殖えます。
▲特定外来生物ボタンウキクサ。法規制前、島のスーパーマーケットでも安価で売られていたとか。
今回防除した水草たちは、かつて金魚やメダカなどを野外で育てていた人が捨てたものから広がったものと推察されます。
魚や水草を観賞用として楽しむアクアリウムはとても素晴らしい趣味の一つだと思います。しかし、売られている水草の中には繁殖力が強くトリミングで大量の切れ端が発生するものもあり、決してそれらを野外に捨ててはいけません。
元々そこに暮らしていなかった植物を野外に放つことは、生態系のバランスを大きく崩してしまうおそれがあります。絶対にやめましょう。
▲作業の最後に記念写真。私たちは屋久島の自然を守ります!
※今回の活動の前にアクティブ・レンジャー日記と、現場付近の公民館掲示板での告知を行いました。また、活動中は「特定外来生物防除作業中」の看板を設置いたしました。廃棄処分をするために対象生物を生きたまま移動することが想定されている場合、こうした手順が必要となります。
2019年08月06日山のトイレとウェットティッシュの話 【屋久島地域】
屋久島国立公園 池田 裕二
山のトイレ内にウェットティッシュなどを投棄する方がいて、困っています。
ウェットティッシュは水に溶けず、非常に分解されにくい構造で、トイレの詰まりの原因になります。トイレで使えるのは水溶性のトイレ用ペーパーのみです。ご理解とご協力をお願いします。
屋久島の新高塚小屋における、困った事例をご紹介いたします。
=====
日本百名山のひとつ、九州最高峰「宮之浦岳」を縦走するための主要ルート上にあり、利用者数が多い新高塚小屋には以下の3種のトイレが併設されています。
①汲み取り式トイレ
②携帯トイレブース
③自己処理型トイレ(以下TSSトイレ※1)
これらのうち、②の一部と③は環境省が設置し、管理を行っています。新高塚小屋は無人の避難小屋のため管理人が常駐しておりませんが、トイレメンテナンスのため定期的に巡視を実施しています。
5月の連休は1年のうちで最も新高塚小屋が混雑する期間で、トイレにも大きな負荷がかかります。
今回はトイレに詰まりが生じ、個室内にゴミが溢れるという事態になっていました。
個室内はハエが大量発生し、便器の横にゴミ箱としてバケツが設置され、使用後の紙がどっさりと放置されている光景に、唖然。トイレのすぐ裏には放置された大便がありました。
すぐさま清掃に取り掛かり、放置されたゴミの内容をよく観察してみると、以下のものが混入していることがわかりました
・コットンや合成繊維等の不織布、いわゆるウェットティッシュ
・水に溶けないティッシュペーパー、いわゆるポケットティッシュ
・キッチン用ペーパータオル
・包装紙や包装ビニール、紙芯等
・生理用品
これらのものはTSSトイレ内で分解ができない上に、詰まりや故障の原因となります。これは通常の汲み取り式トイレでも同様です。
特にウェットティッシュの投棄が多く、トイレが詰まって故障してしまいます!登山にウェットティッシュを持っていくことは一般的になりましたが、ゴミは持ち帰るのがルールです!
結局、放置されていた汚物やゴミはすべて回収しゴミ袋に入れて持ち帰ることとなってしまいました。
本来はこれらのゴミは登山者自ら持ち帰るものです。マナーを守って登山を楽しみましょう。
屋久島の登山道にはゴミはほとんど見かけませんが、トイレマナーはまだまだ課題があります。
▲TSSトイレ内に投棄された汚物とゴミ。通常はゴミ箱を設置していません。
最後に、山のトイレのマナーチェック!※2
★トイレは水に溶けるタイプのトイレ用ペーパーのみ使用する。使用量は最小限に。
★水に溶けない紙を使った場合はゴミ袋に入れて持ち帰る。
★生理用品や包装紙等は必ず持ち帰る。
★トイレはなるべく汚さないように使う。
マナーに寛容は無く、正しいか正しくないかです。
※1 TSSトイレはトイレットペーパーや、し尿を分解し、専用の土壌槽を通して水分量を減らしていく優れもののシステムです。うまく運用ができれば、山からのし尿搬出量を軽減することができるため、屋久島では今後の活躍を期待されています。
※2 他の山域のトイレでは、水に溶けるトイレ用ペーパーも分別している場合があります。地域のルールに従いましょう。
2019年07月19日特定外来生物オオフサモ防除作業のお知らせ【屋久島地域】
屋久島国立公園 池田 裕二
外来生物法によって、飼育や栽培などが禁止されている特定外来生物オオフサモの生育が確認された場所において、以下の通り除草作業を実施しますので、告知いたします。
活動内容:特定外来生物オオフサモの防除
日時:2019年8月5日(月) 8時30分~9時30分
予備日8月6日(火) 同時間帯
場所:鹿児島県熊毛郡屋久島町 椨川(たぶがわ)港内
実施者:屋久島自然保護官事務所
屋久島国立公園パークボランティア有志会員
特定外来生物オオフサモ(別名パロットフェザー、学名Myriophyllum aquaticum)と、侵略的外来種の水草を抜き取ります。防除した植物体は、指定ゴミ袋に入れ密閉したうえで屋久島町クリーンサポートセンターに持ち込みます。
▲オオフサモの水上葉。クチクラ層が発達し丈夫で撥水性が高く、淡い緑色の葉を展開する。
▲オオフサモの沈水葉。クチクラ層は発達せず、赤みを帯びた葉を展開する。
参考:特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の規則にかかる運用(植物の運搬及び保管)により、外来生物法の「運搬」及び「保管」に該当しない例(規則の対象外)
○例1
ボランティア団体が参加者を募り、ある日時にある地域の特定外来生物オオキンケイギクの防除を行うことを企画し、ホームページへの掲載等(その他広報、チラシ等)により告知した。当日、オオキンケイギクの抜き取りを行い、抜き取ったオオキンケイギクを軽トラックの荷台に積み、ビニールシートで被覆したうえで、ごみ焼却施設まで持ち込んだ。
○例2
自治会の主催により、地域住民に呼びかけ、ある日時に町内のオオキンケイギク防除を行うことを企画し、地域の掲示板への提出等により告知した。当日、オオキンケイギクの抜き取りを行い、抜き取ったオオキンケイギクを袋に詰めて口を縛ったうえで、自治会員の自宅倉庫まで運搬し、直近の燃えるごみの収集日まで保管した。会員は直近の燃えるごみの収集日に定められたごみ収集所に出した。
なお、枯死したものは特定外来生物には該当しなくなるため、規制の対象外となります。したがって防除現場において枯死させ、その後収集して運搬をすることが可能です。
2019年07月18日『お知らせ』アクティブ・レンジャー写真展~美しき九州の自然と多様な生き物の世界~
屋久島国立公園 アクティブレンジャー 水川
九州地方環境事務所では「2019環境省アクティブ・レンジャー写真展~美しき九州の自然と多様な生き物の世界~」を開催します。
九州には、国立公園をはじめ、世界自然遺産やラムサール条約湿地、希少な野生動植物など、世界に誇る多くの自然環境が広がっています。
写真展では、現場の最前線で働くアクティブ・レンジャーが撮影した写真を通して、九州の自然環境の魅力をご紹介します。
7月20日~12月17日の期間、対馬・佐世保・雲仙・熊本・阿蘇・くじゅう・出水・えびの・霧島・鹿児島・屋久島の会場を巡回して開催します。
どの会場も入場無料です。
お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りください♪
【会場:会期】
~長崎県~
対馬野生生物保護センター:7/20~7/30
対馬市交流センター:8/9~8/15
九十九島ビジターセンター:8/27~9/24
雲仙お山の情報館:10/12~10/27
がまだすドーム(雲仙岳災害記念館):11/2~11/17
~熊本県~
熊本地方合同庁舎A棟1階:7/31、8/1
南阿蘇ビジターセンター:7/20~7/26
阿蘇山上ビジターセンター:8/9~9/16
~大分県~
長者原ビジターセンター:9/20~11/20
~宮崎県~
えびの歴史民俗資料館:12/3~12/17
~鹿児島県~
出水市ツル博物館クレインパークいずみ:10月中旬
霧島市役所市民ギャラリー:11/17~11/30
かごしま環境未来館:9/6~9/29
屋久島町役場新庁舎:7/26~8/6
屋久島世界遺産センター:8/8~8/25
【チラシ】
2019年07月02日希少植物の山採り(違法採取、盗掘) 【屋久島地域】
屋久島国立公園 屋久島 池田 裕二
屋久島在住の方から、国立公園内での希少植物の山採り(違法採取、盗掘)について通報を受けました。
今から40年ほど前の山野草ブームの頃には県外から山採り業者がやってきて、ランの花などを大量に盗掘していったそうですが、現在でも、島内外の愛好家による盗掘が細々と続いているようです。
自然公園法では、自然公園(国立公園、国定公園等)の特別地域内におけるランや高山植物などを含む指定植物の採取、損傷を禁止しています。特別保護地区では植物の採取等は一切禁止です。また鹿児島県の条例でも指定種があり、それらの採取や損傷等は禁止しています。
園芸品種を珍重する山野草業界では、花色や葉の模様などの特別な変異の無い野生種の金銭的価値は低く、かつて高価だった品種も栽培増殖品が安価で十分量が出回っている中、なぜ盗掘が無くならないのか不思議です。
自生地には金銭には代えられない価値がありますし、一度減ってしまった植物たちの回復には長い年月を要するか、あるいは元に戻らないこともあり得ます。実際に、数十年前は屋久島でたくさん見られたという野生ランの多くは、今ではほぼ見られなくなってしまったので、環境省の選定する絶滅危惧種にされているのです。森林開発や山崩れ等の自生地消失もありますが、盗掘による個体数減少も大きな問題です。
屋久島では、数十年前から現在まで、特にカンラン(寒蘭)、フウラン(風蘭)、ナゴラン(名護蘭)、エビネの仲間、カンアオイの仲間が盗掘で狙われています。
これらの個体数は激減して、今では滅多に見ることができません。
もし盗掘が無くなり、自生地が良い状態で保たれていれば、今から100年後、200年後にはかつて見られたような希少植物の花咲く森が復活しているかもしれません。
期待を込めて、今ある自生地を大切に守っていきたいですね。
▼細々と生きているカンアオイの仲間を見つけました。個体数はとても少ないです。
みなさん、こんにちは。
屋久島自然保護官事務所の水川です。
10月初旬、京都を訪れていた知人が、アサギマダラがいたと写真を送ってくれました。
▲京都、祇王寺のフジバカマに飛来していたアサギマダラ。(10月5日撮影)
この時期、暖かい場所を求めて南へ移動しているアサギマダラ。
屋久島で姿を確認できるようになったのは25日後の10月30日でした。(調査:久保田義則氏)
屋久島への飛来数が増えてきた11月17日、令和元年度第二回自然に親しむ集い~アサギマダラマーキング会~を開催しました。
講師は、2003年からマーキングを続けている鹿児島昆虫同好会の久保田義則氏です。
アサギマダラのマーキングの仕組みについては、昨年のバックナンバーをご覧ください↓↓
http://kyushu.env.go.jp/blog/2018/11/post-545.html
そしてこの度、とても嬉しいニュースが舞い込んで(チョウだけに...)きました!
マーキング会で参加者がマーキングしたアサギマダラが、なんと台湾で再捕獲されたのです!
9才の男の子が室内レクチャーの際練習でマ-キングした1頭が、11月26日に台湾の澎湖島という島で、台湾の方によって再捕獲されました。
▲屋久島と台湾の澎湖縣西嶼西堡壘の位置図。約1305kmの距離をわずか9日間で移動していました。
今回のマーキング会は、例年通り最初に室内で久保田氏によるアサギマダラのレクチャーを行い、外に出る前にマーキング練習を行いました。
▲室内レクチャーの様子。
▲マーキングのお手本を真剣に見つめる参加者の皆さん。
▲マーキング練習の様子。ここで男の子がマーキングしたアサギマダラがこの後台湾に飛んでいくのです。
▲マーキングしたアサギマダラ。
▲実際に外へ出てアサギマダラを捕まえてマーキングしました。
▲マーキングしたアサギマダラをそっと放す男の子。
このマーキング会の後、久保田氏から参加者の標識情報をアサギマダラのメーリングリストで発信していました。
そしてこのほど台湾の方から再捕獲情報が発信され、移動情報が分かったのです。
この会でマーキングされたアサギマダラが台湾で再び見つかるなんて、驚きと感動とロマンでいっぱいです。
地道な調査がこうして実を結び、謎が多いアサギマダラの生態を解明する手がかりとなっていきます。
今回の結果は大変貴重なアサギマダラの移動情報となることでしょう。