屋久島国立公園 屋久島
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2015年10月23日縦走巡視に行ってきました!【屋久島地域】
屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 水川
みなさん、こんにちは!
屋久島自然保護官事務所の水川です。
スポーツの秋ですね☆
屋久島では、10月11日に全集落の町民が集い競う町民体育祭が行われ、私も集落の選手として出場してきました!
翌週18日は私の住む集落の大運動会。
集落の中でさらに3つのチームに分かれて、幼稚園児からお年寄りまで、この集落独自のユニークな種目をみんなで楽しく競いました。
ユニークな種目とは例えばこちら↓↓なんの競技か分かりますか?笑
「箱つくい」
→この集落名産のポンカン・タンカンを詰める箱を組み立て、速さを競う競技。"つくい"は作りのなまりです。
「どーもこーもならん」
→ラグビーボールを竹ぼうきで掃いてリレーする競技。ラグビーボールなので真っ直ぐ進まず、どうにもこうにもならんのです。
「干ばつ対策」
→一升の焼酎ビンに、リレー形式で湯のみを使って水を入れ、満タンにする速さを競う競技。
「名水を汲む人」
→両端に水の入った重いタンクが吊るされた太い竹棒を担いでリレーする競技。
集落の大運動会の様子。モッチョム岳を望む集落のグランドで、熱戦が繰り広げられました!
秋は行事が目白押し!まだまだこれからも行事が続く屋久島です(´∪`)
さて、10月15日、16日の1泊2日で、屋久島国立公園パークボランティアの会の方と縦走巡視に行ってきました。
アクティブレンジャーだけの巡視や日帰りの巡視では、作業人数や時間の都合上、やれることが限られてしまう奥岳(屋久島の中心部にそびえる深い山々)の登山道整備。
環境省の直轄区間を巡視するだけでも、12時間ほどかかってしまいます。
そこで今年度は、人数と時間を確保できるよう、パークボランティアの方との縦走活動を計画しました!
平日でハードな行程でしたが、3名のボランティア会員が参加してくださり、アクティブ2名と計5名で奥岳の登山道を中心に整備しました。
ずっとやりたかった奥岳ルートの看板補修...。
ボランティアのみなさんのおかげでたくさんの看板を補修することができました!
①補修前の看板。
②左についていた看板は落ちてしまっていました。
③ササをかき分けて、取り付け&塗料塗り。
④完成!(文字塗りはまた後日...)
宮之浦岳山頂の看板もきれいに塗り直しました!
宮之浦岳山頂の看板を塗っていると、登山者の方が「こんなふうに管理してくれてるんですね~、ありがとうございます。」と声をかけてくださいました。
こうしてお声かけいただくと、やりがいも一入。
疲れもどこかに吹っ飛んで、また頑張ろうと思えます(°∇°)!! ありがたいですね♪
そしてなんと、「私も塗ってみていいですか?」と、筆を執る人が続出!
確かに、百名山の山頂看板の文字を塗る機会なんて普通はないですね。
いい思い出になったと喜んでいらっしゃいました。
看板補修の他にも、登山道にかかった倒木の処理や...
草払いによる登山道の明確化...
道迷い防止のピンクテープの取り付け、付け替えなど...
アクティブレンジャーだけではできなかった作業をたっぷり実施することができました!
あ~スッキリ(´▽`)!!
パークボランティアのみなさん、本当にどうもありがとうございました!!
みんなで、はい、チーズ!
最後に、今回の縦走で見つけた「屋久島の秋」をご紹介!
紅葉するナナカマド。
夕日とうろこ雲、右に浮くのは口永良部島。
ヤクシカの角とぎ。
繁殖期のこの時期、オスはせっせと角をといでオス同士の争いに備えます。角をといだり、木に首をこすりつけたりするのは、自分の存在をアピールするためのものでもあるようです。
2015年10月10日出前授業、始まりました!【屋久島地域】
屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 水川
みなさん、こんにちは!
屋久島自然保護官事務所の水川です。
屋久島自然保護官事務所では、毎年屋久島町立八幡小学校の4年生を対象に、国立公園や世界遺産、屋久島の自然についての出前授業を実施していますが、今年から新たに別の小学校でも授業をさせて頂くことになりました(^^)
今回新たに出前授業をスタートしたのは屋久島町立小瀬田小学校の5・6年生。
屋久島の自然や文化などについて学び、屋久島を守り発信していく一員として成長するための、ESD(持続可能な開発のための教育)の観点を持った授業プログラムの一環として、全3回の授業を実施します。
10月8日、記念すべき第1回目の授業を行ってきました!
▲授業の様子。
第1回目は屋久島国立公園と屋久島世界自然遺産について勉強しました。
▲国立公園の○×クイズ。
屋久島世界自然遺産の話の中では、樹齢1000年を超えるスギ、"ヤクスギ"についても説明しました。
1000年を超えてもなお大地に立ち続けるカギとなっているのは年輪と樹脂です。
栄養が少ない屋久島の土壌に生えるスギは成長が遅く、年輪がとても密になり、折れにくく、倒れにくい丈夫なスギとなります。
さらに、ヤクスギの樹脂の量は普通のスギの約6倍!樹脂が多いと腐りにくく虫にも強いのです。
今回の授業では、ヤクスギと普通のスギの板を持参して、年輪がどれだけ違うか見比べてもらいました。
▲ヤクスギと普通のスギをじっくり見比べる児童。真剣です!
学校が違うと児童の雰囲気も全然違ってとても新鮮でした。
今回新たに授業をスタートした小瀬田小学校でも、屋久島の自然や抱える問題など、たくさんのことを知ってもらえるように、あと2回の授業を精一杯進めていきますよ☆
授業の続報をお楽しみに~(≧∇≦)
2015年10月07日縄文杉デッキの工事が始まりました【屋久島地域】
屋久島国立公園 アクティブレンジャー 菊地
最近涼しくなって秋を感じる屋久島から菊地です。
今年は7月下旬まで雨が多く、夏があっという間に終わってしまったように感じました。
先月の大型連休の前半は天気もよく、多くの観光客が屋久島を訪れました。
特に縄文杉には20日に800名以上、21日に1000名以上の登山客が訪れ、ゴールデンウィークを超えるにぎわいを見せました。
ウィルソン株や縄文杉といった目玉スポットでは、山の中とは思えない行列ができましたが、どこよりも長い行列ができたのはトイレでした。
トロッコ道を歩き終えた場所にある大株歩道入口のトイレ、縄文杉までだとここが最後のトイレになります。
再び戻ってくるまでの4、5時間、トイレがないとなれば、みんなここでしておきたいと思うもので、21日は最長30分近くの待ち時間が発生しました。
▲21日の大株歩道入口トイレの様子 ▲大王杉先にある携帯トイレブース
縄文杉までのルート上には既設のトイレ以外にも携帯トイレのブースが設置してあります。
携帯トイレを持っていれば利用できますので、ぜひ活用して下さい。
さて、本題の縄文杉デッキなのですが、3年前に縄文杉の大枝に腐朽がみられて以来、落枝が懸念されてきました。
大枝直下にあるデッキの立入禁止、ケーブリング、デッキの片側撤去といった関係機関による対策が講じられてきて、いよいよ今月から新しいデッキを整備する工事が始まりました。
▲既存デッキ ▲新デッキ設置場所から見た縄文杉
工事期間中は登山道の一部区間が立入禁止となり、工事の進行状況にしたがい立入禁止区間の変更がありますのでご了承下さい。
じゃあ、縄文杉を見ることができないの?といえば、そんなことはありません!
これまでどおり、既存のデッキからは縄文杉を見ることができますし、すぐ近くの水場も利用できます。
1995年に既存のデッキが作られてから20年、新デッキが完成すれば、これまでとは違ったアングルから縄文杉を眺められるようになり、縄文杉の印象も新しいものになるのではないかと思います。
工事期間中、登山者の皆様にはご迷惑をおかけいたしますが、ご理解とご協力をお願いいたします。
2015年10月06日自然に親しむ集いを実施しました!【屋久島地域】
屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 水川
みなさん、こんにちは!
屋久島自然保護官事務所の水川です。
ここ数日屋久島はカラッとした秋晴れが続いております。
山もとっても気持ちのいいシーズンです!!
(と、日記を書いていたら大粒の雨が降り出しました。みなさん、屋久島に来られる際は雨具をお忘れなく。突然の雨は、日常茶飯事なのです。。。)
さて、そんな最高のお天気に恵まれた10月4日、「自然に親しむ集い~トロッコ道を歩こう!小杉谷の歴史ツアー~」を開催しました!
小杉谷とは、かつてヤクスギなどの木材の伐採・搬出などで生計を営む人々が暮らしていた集落で、縄文杉に向かう登山道の途中にあります。標高660m程の深い山の中です。
小杉谷集落については下記バックナンバー「パークボランティア活動報告①!屋久島地域」をご覧ください♪
↓↓
http://kyushu.env.go.jp/blog/2015/04/23/
講師は、屋久島国立公園パークボランティアの会副会長で、子ども時代を小杉谷で暮らした若松昭男さんです。
活動では、縄文杉登山の入口である荒川登山口から小杉谷集落跡地までのトロッコ道を、片道1時間ほどかけて歩き、集落跡地を巡って、当時の暮らしや小杉谷の歴史について若松さんに語っていただきました!
左:荒川登山口に置かれているトロッコ。
右:当時は木材の運搬や生活物資の運搬、集落の人々の足として走っていたトロッコ。現在は山のトイレの管理等のために、たまにトロッコ道を走ることがあります。
左:トロッコ道の途中にある製材所跡。
右:トロッコの修理場跡。地面に開いた穴は、トロッコの底を修理するために人が入る場所。現在の自動車整備工場と同じような施設が当時の屋久島の山にあったんですね(゜∪゜)!!
小杉谷小中学校跡地の手前には神社があり、急峻な石段を上ると社殿があります。当時は部活動の練習でこの階段を何往復もダッシュしたらしい...(゜Д゜;)
若松さんが、当時小杉谷中学校の校門につけられていた看板(※本物です)を持ってきてくださったのです!!小杉谷が閉山となった時、若松さんのお父さんが譲り受けたそうで、大変貴重な品の登場に参加者のみなさん、スタッフからは「お~!!」と歓声が上がりました。今も残る校門の看板がつけられていた箇所(型)に当ててみるとピッタリ!
学校跡地も説明を聞きながら見学しました。
左:校舎跡。
右:小杉谷小中学校の石碑。校歌が刻まれているそうですが、コケが覆い尽くして見えなくなっていました。
下の写真は給食室跡です。
左:かまど。
中央:かまど全体像。側面に薪をくべるための口があるのが分かります。
右:流し台。
ここでパンは焼けなかったらしく、里で焼いたコッペパンを、トロッコで小杉谷に運んでいたそうです。
小杉谷集落の最盛期は昭和35年頃で、その頃すでに多くの家庭にはテレビや冷蔵庫、電気風呂といった電化製品があったそうです。(テレビが全国の一般家庭に普及し始めたのは昭和34年頃。)
屋久島の深い山の中に最先端で裕福な暮らしがあったんですね!
他にもたくさんの小杉谷秘話を聞くことができました!
参加者のみなさんは屋久島の歴史をちょこっと深く知り、屋久島の魅力を再発見できたのではないでしょうか(^∪^)
貴重なお話を、どうもありがとうございました!
次回の自然に親しむ集いは...
「アサギマダラマーキング会」
日時:平成27年11月9日(月)9:00~12:00
参加費:200円
活動場所:尾之間、原地区周辺
申込期間:平成27年10月9日~10月30日
申込先:屋久島自然保護官事務所
TEL:0997-46-2992/FAX:0997-46-2977/E-mail: RO-YAKUSHIMA@env.go.jp
皆様のご参加をお待ちしておりまーす(^∇^)☆
2015年08月05日真夏の宮之浦岳【屋久島地域】
屋久島国立公園 アクティブレンジャー 菊地
7月31日、屋久島最高峰の宮之浦岳へ巡視に行ってきました。
この日は朝から快晴、長い梅雨と台風後で久しぶりの宮之浦岳とあって、気合いを入れて登山にのぞみました。
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この時期、屋久島の山岳部ではいろいろな花が咲いています。
▲ヤクシマニガナ ▲ヤクシマコオトギリ ▲ヤクシマショウマ
(固有種) (固有変種) (固有変種)
▲ヤクシマママコナ ▲イッスンキンカ ▲ヒメコナスビ
(固有種) (固有変種) (固有変種)
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屋久島のみに生育する固有種、種は同じでも屋久島の環境にあわせて形態を変化させた固有変種、その数をあわせると90種類以上にもなります。
屋久島の高地で報告されている固有変種の多くは、他地域に比べて小型化(矮小化)しており、花崗岩からなる栄養の乏しい土壌、強風、積雪といった環境に適応するためと考えられています。
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花だけではなく、いろいろな動物にも出会うことができました。
▲ヤクシカの親子 ▲ヤクシマザル ▲ニホンヒキガエル
▲ツマグロヒョウモン ▲ヒョウモンエダシャク ▲ミヤマカラスアゲハ
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大雨と台風で荒れていないか心配だった登山道は、目立った異常もなく、一安心でした。
雄大な景観とあわせて、動植物もたくさん見られるこの時期の登山はとても楽しいものですが、
標高1600mを越えてくると日差しを遮るものがなく、暑さと日射が容赦なく襲ってきます。
熱中症や脱水症にもなりやすいので、こまめな水分補給を心がけ、休憩する際はできるだけ日陰を選ぶと良いでしょう。
水分だけでなくミネラルや糖分も補給できるようにスポーツドリンクの粉末、日焼け対策に帽子やサングラスを準備し、日焼け止めも塗って登山にのぞんで下さい。
楽しい登山にするため、万全の準備を忘れずに!
▲翁岳周辺 ▲平石岩屋周辺
2015年08月03日登山者カウンターのデータを回収しました【屋久島地域】
屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 菊地
先月の3連休に降った大雨や先週の台風は、屋久島の道路や登山道など様々な場所に被害を及ぼしました。
屋久島の主要山岳部への登山口までの道路がおよそ1週間通行止めになり、観光で訪れた方にも大きな影響を与えました。
現在、通行止めは解除されており、荒川登山口までのシャトルバスは通常運行、淀川登山口、ヤクスギランドまでも車が通れるようになっています。
しかし、世界自然遺産地域である西部林道の一部が通行止め、屋久島南部の林道が通行止めになっていますので、屋久島旅行を考えている方は事前の情報収集をおすすめします。
▲西部林道の通行止め
詳しくは⇒鹿児島県熊毛郡屋久島事務所 総務企画課 0997-46ー2211 建設課 0997ー46-2213
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7月の最終週は天気もよく、通行止めも解除されたので、環境省で設置している登山者カウンターの様子を見に行ってきました。
登山者カウンターの前を人が通ると人数がカウントされ記録されていきます。
登山者数の動向を把握する為、屋久島の山岳部には5地点、計10基の登山者カウンターが設置してあります。
何人の登山者がそのルートを利用するか、とても基本的なことですが、トイレや山小屋などの施設を作り、維持管理をする際には重要な参考データになります。
登山道で登山者カウンターを見かけても、何度も無駄に往復したり、前で立ち止まったりせず、登山を続けてもらえればと思います。
▲縄文杉へのルートに設置している登山者カウンター▲登山者カウンター
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屋久島自然保護官事務所では、登山者カウンターから得られたデータをもとに縄文杉快適登山日カレンダーを作成しています。
夏休みに入り、観光のトップシーズンが始まり、人気コースの登山道やトイレなどで混雑が考えられます。
屋久島旅行をお考えの方はぜひ参考にして下さい。
▲縄文杉快適登山日カレンダー
2015年07月30日出前授業を実施しました!【屋久島地区】
屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 水川
みなさん、こんにちは!
屋久島自然保護官事務所の水川です。
気がつけば7月も終わり!!!
とっくに梅雨は明けてるのに台風や大雨でなかなか夏らしくならなかった屋久島。
今年の梅雨は、というか4月から、ほとんど雨!毎日雨!
いくら雨の多い屋久島でも、そりゃないよ~(;∀;)
と、心折れそうでしたが、今週からようやくキラキラの青空がお目見えしましたーッ!
夏本番です☆
さて今回は、7月に実施した出前授業のレポートです♪
屋久島自然保護官事務所では、毎年屋久島町立八幡小学校の4年生を対象に、屋久島の自然環境の素晴らしさや大切さを知ってもらうとともに、自然を守る取り組みについて理解を深めてもらうことを目的に、出前授業を行っています。
昨年の授業の様子はこちら↓↓
http://kyushu.env.go.jp/blog/2014/12/
今年は、全4回の授業のうち、3回が終了しました。
1回目は、7月2日に教室で世界遺産と国立公園について学習しました。
児童のみなさんは、この授業をとーっても楽しみにしていてくれたらしく、教室に入るなり、キラッキラに輝く瞳と笑顔で迎えてくれました!
授業の事前学習で、国立公園や世界遺産について下調べをしたと聞いていたので、クイズも交えながら説明しました。
1回目の授業の様子。
2回目は、7月8日に教室でレンジャーの仕事や屋久島の自然環境や抱える問題について学習しました。
授業をしていると、子ども達は、
「それ知ってる!」
「使ったことあるよ!」
と、反応してくれて、
屋久島の困っていることを話せば、
「もっとこうすればいいんじゃない?」
「でもそうするとこういう問題が起きるかも」
と、自分の意見をどんどん発言してくれました。
まさに今屋久島内で議論されていることを意見する鋭い子もいて、授業をちゃんと聞いて、しっかりと考えることができて、屋久島のこともよく勉強しているなあと感心しっぱなしでした。
屋久島の動物についても学びました。写真は、アカウミガメのパズルをする様子。完成すると、実物大のアカウミガメになります!
3回目は、7月16日に栗生海岸でパークレンジャー体験をしました。
教室授業で学習した国立公園について、実際に出かけて、国立公園にはどんな自然があるのか体感してもらい、また、国立公園で働くレンジャーの仕事を体験することで、自然を守る取り組みについて理解を深めてもらいました。
ビンゴゲームをしながら栗生海岸を調査!一見すると生き物の姿が無いように見える海岸も、近づいてよく見ると様々な生き物や足跡、巣穴がたくさんありました!
この季節は花もたくさん咲いています!気に入った植物を思い思いの場所でスケッチしました。
屋久島の海の自然について紙芝居を見ながら話を聞いたり(左)、ウミガメの上陸・産卵跡も観察しました(右)。
教室に帰ってからは、海岸で採集した貝殻のスケッチと標本作りをしました。
菊地アクティブレンジャーの「貝標本コレクション(私物)」を見ながら、自分が拾った貝の種を判別する児童(左)と、完成した標本とスケッチ(右)。
海岸での調査結果を基に、栗生海岸の自然マップを作成しました。
最後は、「屋久島国立公園の紹介~栗生海岸~」と題して、レンジャーになったつもりで栗生海岸の自然の魅力を発表してもらいました!
作成した栗生海岸の自然マップ(左)と、植物と貝のスケッチ(右)。
授業の最後に児童一人一人から活動の感想を発表してもらいました。
植物や貝の種類の多さに驚いたという子がたくさんいて、屋久島国立公園の豊かな海の自然を知ってもらうことができました。
一方で、漂着ゴミの多さにも驚いていて、「捨てないようにしたい。」「ゴミを捨てる人がいたら注意したい。」など、自分にできることを考えてくれる子もいました。
自然のままの海岸は貴重で、海や砂浜に暮らす生き物にとっても、とても大事な場所です。
国立公園には素晴らしい自然があるとともに、その自然環境を大切にしていかなければならないということを、授業を通して感じてくれたらいいなと思います。
次回は、いよいよ最終回!10月に屋久島国立公園区域であり、世界自然遺産地域でもある西部地域に出かけまーす(^0^)
【アクティブレンジャー写真展~私たちが伝えたい よかとこ九州 地域の魅力~】
☆開催のお知らせ☆
ただいま屋久島世界遺産センターでは、九州のアクティブレンジャーが撮影した各地区の美しい自然や生き物などの写真を展示するアクティブレンジャー写真展を開催しています!
夏休み期間中は、対馬、雲仙、くじゅう、阿蘇、えびの、屋久島で同時開催していますので、九州に遊びに来られる方はぜひ、お立ち寄りくださ~い★
詳しくはコチラ↓↓
http://kyushu.env.go.jp/pre_2015/27_1.html
【屋久島の開催案内】
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期間:7月29日(水)~8月30日(日)
場所:屋久島世界遺産センター
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:期間中は無休
入館料:無料
〒891-4311
鹿児島県熊毛郡屋久島町安房前岳2739-343
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期間:9月2日(水)~9月30日(水)
場所:屋久島環境文化村センター
開館時間:9:00~17:00
休館日:期間中は無休
入館料:無料
〒891-4205
鹿児島県熊毛郡屋久島町宮之浦823-1
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2015年06月26日九州いきものリレー③~ヤクシマエゾゼミ~【屋久島地区】
屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 水川
みなさん、こんにちは!
屋久島自然保護官事務所の水川です。
梅雨のまっただ中で、屋久島は毎日雨、雨、雨(@∪@;)!!
しとしと降ったりやんだりを繰り返すというよりは、どんだけ降るんだ!というくらい本降りの雨が続く...。
これが屋久島ならでは??なのでしょうか。
数日前、1日だけ晴れ間をのぞかせた屋久島では、いよいよセミの鳴き声が聞こえてきました!
夏はすぐそこ(≧▽≦)♪
ということで、いきものリレー第三弾は「ヤクシマエゾゼミ」です。
【和名】ヤクシマエゾゼミ
【学名】Lyristes esakii
【分類】カメムシ目セミ科クマゼミ族エゾゼミ属
【分布】屋久島
【形態】屋久島固有の小型種。胸背の斑紋や色彩はエゾゼミによく似る。
体長32-36mm;全長48-54mm;前翅の開帳93-100mm。
6月下旬から8月上旬、屋久島の標高800m~1800m程度の山地で、ギーーーーーと長く低い連続音で鳴くセミがいたら、それはヤクシマエゾゼミかもしれません。
ヤクシマエゾゼミは標高の高い場所に生息していて、さらに、ヤクスギやモミといった大きな木の枝先の繁みや葉の上にとまるため、声はするものの、その姿を見ることはなかなかできません。
この写真は、巡視中だった私たちが、宮之浦岳山頂で偶然発見し撮影したものです。
実物はもちろん、生体写真すらあまり見られないので、奇跡の出会いに大興奮で撮影しました。
周りの登山者とは少し温度差があったような気がしますが...('▽')♪
エゾゼミの背中には鮮やかなオレンジの模様があります。
歌舞伎の「隈取り」のようだとも言われ、かっこよく、とても美しいセミなんですよ♪
ヤクシマエゾゼミは屋久島のみに分布しており、本土にはいません。
名前に「エゾ(蝦夷)」と付いているヤクシマエゾゼミが、どうして日本の南方に位置する屋久島だけに生息しているのか、不思議ではありませんか?
これは、大陸とつながっていた最終氷期の時代に分布を広げたヤクシマエゾゼミの祖先種が、高い山があり、冷温帯の気候が存在する屋久島で生き残り、独自の進化をとげたものだと考えられています。
▲最終氷期の陸域
屋久島では、顕著な標高差が生み出す様々な気候帯や、それに応じて分布する植生など、特異な自然環境に適応した固有種が多くみられます。
また、氷河期の終わりとともに島に取り残された生き物、黒潮の影響で島に定着した生き物など、屋久島は多くの生き物の分布の南限・北限になっています。
例えば...
【屋久島が分布の南限】
・スギ
・ニホンマムシ
・ニホンヒキガエル
・コウベモグラ
【屋久島が分布の北限】
・テッポウユリ
・ズアカアオバト
・ムラサキオカヤドカリ
みなさんも、生き物を見つけたとき、その分布や起源をたどってみてください。
長い長い地球の歴史や、私たちが暮らす地域の自然環境など、生き物を通じて新たな発見があるかもしれません。
次回のいきものリレーは、対馬の竹澤アクティブレンジャーがお届けします!
お楽しみに~☆
2015年06月03日口永良部島噴火~噴火警報(噴火警戒レベル5:避難)発令~
屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 水川
みなさん、こんにちは!
屋久島自然保護官事務所の水川です。
5月29日(金)9時59分に、屋久島国立公園である口永良部島の新岳で爆発的噴火が発生しました。
この噴火により、噴煙は上空9000m以上まで上がり、火砕流も発生しました。
▲10時19分の口永良部島。屋久島の永田から撮影。
これに伴い、噴火警戒レベルが3(入山規制)から5(避難)に引き上げられ、口永良部島全域に避難指示が発令されました。
噴火発生時島にいた島民と来島者137名は、2名が体調不良や熱傷を負ったものの、全員その日のうちに無事屋久島に避難しました。
口永良部島の新岳は、昨年8月に34年ぶりに噴火し、それ以降、火山性地震が度々発生し、火山ガスの放出量も多い状態で経過し、火映*も観測されるなど、火山活動の高まりが見られ、噴火警戒レベルを4に引き上げることも検討されていた矢先の爆発的噴火でした。
※火映:赤熱した溶岩や高温のガス等が、噴煙や雲に映って明るく見える現象。
昨年の噴火で噴火警戒レベルが3(入山規制)に引き上げられ、新岳火口から登山道全域を含む2㎞以内の立ち入りが規制されていたため、今回の噴火発生時には登山者もおらず、人的被害は最小限に食い止められました。
また昨年の噴火を受けて、口永良部島では避難所を整備し、防災訓練も行われてきました。
こうした島の皆さんの噴火、防災への高い意識が、迅速な避難、全島民の無事に繋がったのだと思います。
口永良部島が噴火した頃、屋久島では、パークボランティアのみなさんと、毎年恒例のシャクナゲ登山清掃を行っていました。
10時頃、山にゴゴゴゴーという轟音が鳴り響き、「種子島でロケットの噴射実験でもしているのかな~?」なんて話していると、急に辺りが夕方の18時頃のように暗くなりました。天気が崩れたにしては異様なまでの暗さです。「雨が降るぞ-!急ごう!」と、高層湿原の花之江河に到着した途端、ぽつぽつ...。
ついに降り出したかと袖を見ると......ん?黒い!?雨じゃない!!
そこでやっとみんな火山灰が降っていることに気付き、口永良部島が噴火したのだと気付きました。
▲屋久島上空にせまる噴煙。屋久島の永田浜から撮影。
▲花之江河に降る火山灰(左)と、急いで雨具を着たパークボランティアのみなさん(右)。
辺りは火山ガスの臭いが立ちこめ、降りしきる火山灰であっという間に一面灰色になってしまいました。
屋久島出身のパークボランティアの会長も、「60年屋久島にいてこんなことは初めてだ」と驚くほど、屋久島にこれだけの灰が飛んでくることはなかったようです。
清掃作業は中止し、タオルで口を覆って急いで下山しました。
普段は透き通る綺麗な淀川も、火山灰で真っ白に!
▲噴火50分前の淀川(左)と、噴火から2時間後の淀川(右)。
▲ヤクシマシャクナゲに積もった火山灰と、車や道路に積もった火山灰(淀川登山口)。
しかし風向きや場所によって降灰の程度は大きく変わるようで、屋久島世界遺産センターに戻ると灰の影響はほとんどみられませんでした。
口永良部島では、現在も火山活動の高まった状態が続いており、今後も規模の大きな噴火が起こる可能性があるとされています。
口永良部島が噴火した場合、風向きによっては、今回のように屋久島の山にも火山灰や火山ガスが流れてくる可能性があります。もし登山中にこのようなことが起こった場合は、灰や火山ガスで体調が悪くなったり、灰で水場の水が濁り、飲めなくなったりするなど、安全に登山ができなくなることもあり得るため、決して無理をせず、慎重な行動をお願いします。
また、灰による影響を軽減するため、レインウエアーやザックカバー、飲み水や顔を覆うタオルなども準備しておきましょう!
口永良部島は、噴火警報(噴火警戒レベル5、避難)が発表されたため、現在島全域に立ち入ることができません。ご理解とご協力をお願いします。
なお、屋久島は火山島ではないため、屋久島への旅行には特に支障はありません。
★噴火に関する情報★
▼口永良部島新岳噴火に関する情報(屋久島世界遺産センターHP)
※屋久島世界遺産センターは、通常通り開館しています。
https://www.env.go.jp/park/yakushima/ywhcc/tozan/tozan.htm
▼口永良部島の活動状況(気象庁HP)
http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/activity_info/509.html
▼口永良部島(新岳)噴火に関する情報(鹿児島県HP)
http://www.pref.kagoshima.jp/bosai/saigai/h27/kuchinoerabu.html
▼口永良部島の噴火について(屋久島町HP)
http://www.town.yakushima.kagoshima.jp/info-prevention/4707/
▼屋久島町口永良部島の噴火に伴う鹿児島への旅行について(鹿児島県観光連盟HP)
http://www.kagoshima-kankou.com/news/index.cfm#wn984
▼口永良部島ポータルサイト
避難生活が長期化することも懸念されますが、口永良部島の皆様が一日も早く島に帰れることを願っています。
みなさん、こんにちは!
屋久島自然保護官事務所の水川です。
毎年全4回実施している屋久島町立八幡小学校の出前授業ですが、先日最後の授業が終了しました。
今年度の第1回から3回までの授業の様子はコチラ↓↓
http://kyushu.env.go.jp/blog/2015/07/30/
これまでの授業で国立公園や世界遺産、屋久島がかかえる問題について学習してきたので、最終回の今回は、屋久島国立公園に指定され、世界自然遺産にも登録されている西部地域に出かけて、屋久島の自然を体感してもらうとともに、自然に関する問題について、実際に見て感じてもらい、授業の総まとめをしてきました!
西部地域は、国立公園の中でも人為的な行為が特に規制されている特別保護地区に指定され、厳格に自然が保護されています。
また、すばらしい自然や野生動物との健全な関係を壊さないよう、訪れる人に守ってもらいたい西部地域ルールも策定されていて、法律だけではなく、一人ひとりのマナーで自然が守られています。
出発前に、こうした西部地域の自然を守る仕組みや取組みを紹介しました。
小学校で西部地域についての解説を聞く様子。
西部地域では、1回目の授業で学習した「植生の垂直分布」を観察しました。
屋久島が世界自然遺産に登録された理由の一つは、暖かい地域の植物から寒い地域の植物まで標高に応じて連続して分布(植生の垂直分布)していることです。
西部地域は、この植生の垂直分布を眺めることができるとても貴重な場所です。
続いて、炭焼き窯跡を見学しました。
西部地域には、明治の終わりか大正初期頃から昭和40年頃まで人が暮らしていました。
人々は畑でイモを作り、炭を作って暮らしていたそうです。
左:植生の垂直分布を観察する様子。
右:炭焼き窯跡を見学する様子。
次に向かったのは、西部地域内に建てられた植生保護柵です。
西部地域では、増えすぎたシカによって地面に生えた植物が食べられてしまい、新たな木々が育たず、森の更新ができないという問題があります。
また、植物がなくなって裸地化した土壌は、流出しやすく災害を引き起こす可能性もあります。
林内にシカが食べない植物ばかりが残ると、生態系にも大きな影響を及ぼします。
環境省では、シカ対策の一環として屋久島の様々な地域に植生保護柵を設置し、シカの食害から植物を守り、柵内の植生を回復させる取り組みを行っています。
植生保護柵の中と外の違いを観察する児童。
児童がいるのは柵の中。柵をはさんで地面の様子はどう違うでしょうか?
また、外来種についても学習しました。
下の写真のアブラギリという植物は、中国原産で、種子から油を採るために国内に持ち込まれました。
日当たりの良い場所で芽を出すと、みるみる成長し(1年で1m以上も伸びる樹木)、他の植物の生育場所を奪ってしまいます。
やっかいなことに、シカはアブラギリが嫌いで食べません。
そのため西部地域の下層植生は、シカに食べられることのないアブラギリがとても目立ちます。
左:アブラギリ。
右:児童の頭上に広がる緑の葉も全てアブラギリです。
さらに、毎年恒例となったサル・シカ糞の採集と内容物の観察も行い、糞の違いや食べ物の違い、種子を散布する役割などを学びました。
左:沢で糞を洗う様子。
右:洗った糞を観察する様子。
今回も盛りだくさんな内容でしたが、児童のみなさんは、しっかり話を聞き、メモを取り、観察して、真剣に学んでくれました。
今後は児童のみなさんがリーダーとなって屋久島について考え、発信していくことを約束し、授業を終えました。
全4回の授業で学習したことは、壁新聞にして県のコンクールに出展するそうです!
それもまた楽しみですね♪
子どもパークレンジャー認定証を授与!
これで今日から屋久島を守るレンジャーだね(^▽^)
毎年こうして屋久島について授業する機会をくださる八幡小学校の先生方には感謝の気持ちでいっぱいです。屋久島の子供たちが屋久島の自然について学び考えるきっかけ作りをお手伝いできるのはとても嬉しいことです。本当にどうもありがとうございました。
今後の児童のみなさんの成長が楽しみです!