阿蘇くじゅう国立公園 くじゅう
179件の記事があります。
2017年01月26日冬山くじゅう【くじゅう地域】
阿蘇くじゅう国立公園 くじゅう 兒島音衣
寒波襲来によりどこも冬らしい寒さを感じていると思いますが、寒さに負けてはいませんか?
くじゅう自然保護官事務所の兒島です。
くじゅうもこの度の寒波により、雪景色につつまれております。
そして待ちに待った青空!
さっそく山の様子を見に巡視へ行ってきました。御池(みいけ)の様子も気になります......!
ちなみに昨日(1/25)の長者原の朝の気温は-12℃。肌を刺すような寒さです!こんなに寒いというのに、たくさんの方が登山に来られていました。九州にいながらにして、手軽に雪山登山ができるのもくじゅうの魅力のひとつではないでしょうか。みなさん、ちゃんと軽アイゼンをつけてらっしゃいます(^^)b
登山道を歩いていると様々な冬の芸術作品に出会います。繊細なものからダイナミックなものまで。暖かくなって消えてしまう前に、自分のお気に入りの作品を見つけてみてはいかがでしょう?
↑樹霜 ↑霧氷
さてさて登山道の様子はというと、積雪が約30cm、深いところは50cmくらいあると思いますが、すでにトレース(踏み跡)があり、足元さえしっかりしていれば歩けるといった感じでした。
そして目的の御池(みいけ)はというと............... じゃーーーーーーーん!全面凍結していました!
最初は恐る恐る、ちゃんと凍っているか確認しながらでしたが、端から端まで歩ききりました。
※1/25時点では凍っていましたが、気温の変化により氷が薄くなる場合があります。よく確認してから足をのせるようにしましょう。
この御池(みいけ)はすぐ下にある空池よりも標高が高いのに、水をたたえているのは御池だけであり、昔から不思議がられています。
空池(奥は久住山) 御池(人が渡っています)
中岳 ペンギン岩(冬期限定)
これからまだ寒い季節が続きます。寒い日でも、勇気を出して外へ出てみると色んな景色に出会えます。歩き回っていると体もポカポカしてきて、とっても気持ちが良いですよ!
そして阿蘇の山口ARの日記にもあるように、外へ出た後の温泉も最高です(*^o^*)
※雪山へ行かれる際は、軽アイゼン、防寒具などをしっかりと準備してください。また路面凍結のためチェーン規制がかかっている場所があります。車でお越しの際はチェーンや冬用タイヤの準備と、道路の情報収集を行ない、安全運転でお越しください。
***くじゅうの情報発信中!***
くじゅう地区の様々な団体からなるくじゅう地区管理運営協議会(くじゅうファンクラブ)は、くじゅうの自然環境を守るために様々な活動をしています。
【くじゅうファンクラブ】
また長者原ビジターセンターも随時情報発信しているので、情報収集の参考にされてください。
【くじゅうファンクラブ(長者原ビジターセンター)Facebookページ】
https://www.facebook.com/choujabaruvisitor/
2016年11月29日九州特産物リレー11月 ~おいしい温泉の恵み~ 【くじゅう地域】
阿蘇くじゅう国立公園 くじゅう 兒島音衣
こんにちは。
くじゅうでは先週霧氷が観測され、霜も降りるようになり、すっかり冬です!
今回の特産物リレーでは、阿蘇くじゅう国立公園・くじゅう地域の、温泉が豊富なこの土地ならではの恵みについて紹介します。
みなさん、温泉料理といったら何を思い浮かべますか?
温泉卵?
温泉まんじゅう?
もちろんこの2つもおいしいのですが、実は江戸時代から行われている温泉を使った料理方法があります。その名も、地獄蒸し。
「地獄」といっても「あの世」のことではありません。火山地帯、温泉地などで噴煙や湯気が絶えず立ち上っている場所のことです。別府の地獄巡りは有名ですよね。
小松地獄(九重町)。地面から蒸気が出ています。卵を持って行けば蒸し卵が作れます。
地獄蒸しとはズバリ、地獄で蒸した料理のこと。
くじゅう地域には地獄蒸しのできるところがいくつかあるので、私も、家にあった食材で地獄蒸しを体験してみました!
別府・鉄輪温泉の蒸し場
今回利用したのは涌蓋山山麓の「岳の湯」という地域の共同蒸し場(熊本県小国町)。
この岳の湯、地面からもうもうと蒸気が上がっていて、地域一帯がゆけむりに包まれていました。大地のエネルギーを感じずにはいられない場所です。
岳の湯 そこかしこから湯気が吹き出ています
受付を済ませ、蒸すために必要な道具を借ります。蒸し場に食材を入れたカゴを置き、上にむしろで蓋をし、待つだけ・・・。
暖かい蒸気に当たりながらしばらく待っていると・・・・・・
10分後には蒸し卵が、30分後にはホックホクのふかしイモができました!!!
大分県特産のしいたけもぷりぷりに♪ イモはとっても柔らかくて最高でした!
手軽に体験できるのも魅力ですが、筋湯という地域(九重町)はこの地獄蒸し料理が有名です。「極楽温鶏(ごくらくおんけい)」といって、鶏まるごと一羽を地獄で蒸すのです。脂が落ち、水溶性ビタミンなどの栄養素はとじこめられるので、とってもヘルシー!
今回話を伺った方によると、筋湯では戦後の食料の少なかったときから、特別な日の「ごちそう」として食べられていたそうです。(ちなみに別府では地獄蒸しは江戸時代から食べられていたという記録があります)
極楽温鶏。鶏の中には野菜が詰まっている (写真提供:九重町)
特産「物」ではありませんでしたが、浸かるだけではない温泉の恵み、みなさんも味わってみてください!!
【くじゅうへお越しの方へ】
標高約1000mの長者原ではすでに霜が降りるようになり、天候によっては路面が凍結する季節となりました。運転の際には事前に道路情報を確認し、チェーン等の準備をお忘れなく。また登山の際はアイゼン(軽アイゼン)を忘れずに!
2016年10月21日秋色のくじゅう ~パトロールにいってきました!
阿蘇くじゅう国立公園 くじゅう 兒島音衣
みなさんこんにちは。すっかり秋めいてきましたね!
くじゅうでも「今年はいつもより紅葉が遅い」なんていわれつつも、標高の高いところでは紅葉が始まっています。
そして本日、高山植物パトロールに参加してまいりました!森林管理署や九重の自然を守る会、警察など、くじゅうの山に関わる人たちで年に数回、合同パトロールを行っています。
上泉水山より眺めるくじゅう連山 ゴミ拾いをしながら歩きました
黒岩山や泉水山は、くじゅう連山をやまなみハイウェイで挟んだ向かい側にあります。標高は黒岩山1502.5m、下泉水山1296mとそこまで高いわけではありませんが、三俣山をはじめとするくじゅう連山やタデ原を一望でき、雲海の向こうには由布岳や阿蘇山の涅槃像(阿蘇五岳が雲海の上に浮かんでいるようすが、お釈迦様の寝ている姿に見える)が見えました。
阿蘇五岳(涅槃像) タデ原を一望(奥に由布岳)
高山植物、といってもこの時季は花が少なくなってくるのですが、まだつぼみのリンドウや、暖かい日が続いたことから、うっかりしているミヤマキリシマが季節を間違えて咲いていました。また、紅葉は少しずつ斜面を染めていました。黒岩山の紅葉
【紅葉情報】
昨日は大船山へ行きました。
大船山山頂付近、御池(おいけ)は紅葉が進んでいてきれいでした♪
↑御池(おいけ)
↑大船山山頂付近
長者原ビジターセンターでは随時情報を発信していますので、登山の前にチェックしてみてください。10月20日の情報では、扇ヶ鼻や星生山でも色付いているようです♪
【長者原ビジターセンター(くじゅうファンクラブ) Facebookページ】
https://www.facebook.com/choujabaruvisitor/
なお、この時期は気温が下がりやすいので防寒着はしっかりと準備をしていただき、暗くなるのが早いので、時間には十分余裕を持って登山していただくようお願いします。
2016年09月12日春の野焼きに向けて ~その② 輪地焼き~
阿蘇くじゅう国立公園 くじゅう 兒島音衣
みなさんこんにちは!
タデ原や坊ガツル湿原は青々とした夏の色だったのが、アシやススキが穂を伸ばし、だんだんと秋色に染まっています。
つい先日、こんな光景を目にしました。や、山際から煙が・・・。
「アクティブ・レンジャー!大至急、消火のため坊ガツルへ急行せよ!!」
なんてことはなく、むしろ火をつけるために坊ガツルへ行ってきました。
そう、春の野焼きに向けた準備その②、「輪地焼き」です。
輪地とは、防火帯のことです。前回(その①)は輪地を作るために草刈りを行いました。今回はそのときに刈った草を燃やしました。春の野焼き本番で余計なものに飛び火して燃え広がらないために、先に今の時期に燃やしてしまおう、というものです。今の時期というのがポイント!夏の終わりだとまだ草が青く、湿原内に火が飛び移っても簡単には燃え広がらないので、消火が簡単なのです。
晴れの日が続いていたため、前回刈った草は乾いていてよく燃えそう。火付け役が火をつけていき、熊手やジェットシューター(水を噴射する道具。最大で18L入ります)を持った人たちが草を寄せたり、変なところに燃え移らないように水をかけたりして、草が燃えていくのを見守っていました。
本焼き(野焼き本番)ほどではなかったけれど、やっぱり炎の近くは熱かったし、火を扱うので緊張感がありました。
数時間で坊ガツル湿原周囲約4kmの輪地が完成しました。
(左)輪地焼き前
(右)輪地焼き後
春の野焼きはしばらく先。
その前にススキがきれいな季節、そして紅葉がきれいな季節がやってきます。坊ガツルのススキももうそろそろ見頃。今はアケボノソウ、シラヒゲソウといった秋の花が見頃ですよ♪
2016年08月29日春の野焼きに向けて ~その① 輪地切り~
阿蘇くじゅう国立公園 くじゅう 兒島音衣
こんにちは。
春の色は?の問いに、「くじゅうの春の色は黒なんです」と投稿して早4ヶ月。
なぜ黒なのかというと、「野焼き」を行うからでしたね。(4月13日の投稿参照!)
その野焼きをするために、実は、今の時季から準備が始まります。
野焼きでは山すべてが燃えず、草原として維持したいところだけ焼くことができるのはなぜでしょうか?
考えたことはありますか?
私もくじゅうに来たばかりの頃は不思議でたまりませんでした。
・草原との境で人が火を消しているから?
・森は燃えにくいから火が燃え移らない?
春の野焼き風景
いえいえ。野焼きはこの時季に「防火帯」を作ることで、延焼を防いでいるのです。防火帯のことを「輪地」と言います。
野焼きを行うところと行わないところの境を、幅5~10mほど、草を刈ります。それも、野焼きを行うところの周りをぐるりと1周。燃えるものが無ければ、火は広がりませんよね。ぐるりと1周、輪を描くから「輪地」と言うのだそうです!
今回は坊ガツル湿原の輪地切り(輪地を作るために草を切ること)を、総勢140人のボランティアの方々と行いました。坊ガツル湿原は約53haある、ラムサール条約に登録されている湿地です。
↓ボランティアのみなさん。気合い十分! ↓坊ガツル湿原
昔は鎌で刈っていたのかもしれませんが、現代は刈払い機で刈っていきます!!!
坊ガツル湿原は広いため、140人で刈払い機を使って2時間半かかりましたが、おかげさまで無事作業終了しました。
野焼きは人の手がかかっているというのを、ひしひしと感じます。
さて、今回は【春の野焼きにむけて ~その① 輪地切り~】でした!
その②に乞うご期待ください♪
2016年08月03日フィールドサインを探せ!くじゅう子どもパークレンジャー
阿蘇くじゅう国立公園 くじゅう 兒島音衣
こんにちは!
毎日暑い日が続いていると思いますが、みなさん元気ですか?
くじゅうは標高が高いため、夏でも涼しくて過ごしやすいです♪
事務所前の園地では、木陰で本を読んでいる人や、お昼寝をしている人、ピクニックをしている家族がいたりします(^^)
さて、先週は久住高原の沢水(そうみ)キャンプ場で「子どもパークレンジャー」が開催されました!
子どもパークレンジャーとは、未来を担う子どもたちにレンジャーの仕事を知ってもらおうという事業です。国立公園の保護管理を行うレンジャーはさまざまな仕事をこなしますが、そこに生息する生きものを調べるのも仕事のひとつ。ということで、くじゅうに生息している動物を調査してもらおう!と子どもたちと森の中を歩き、動物の痕跡(「フィールドサイン」といいます)探しをしました。
山道を歩くのも初めてという子もいました。森の中では何がみつかるかな?
タゴガエルでした!森の中で生活する、小さなカエルです。
「ヌタ場」といって、イノシシはこのような泥の中を転げ回ることで体についた寄生虫を落とします。
子どもたちは熱心に調査していて、ネズミやモグラの穴、シカのフンや足あとなど、色んなフィールドサインを見つけました!
森の中を歩く。ドキドキ。 (中)シーボルトミミズ (右)シカの足あと
夜ご飯は自分たちで作りました。
材料を切るだけではなく、火を起こすところから自分たちで行いました。それも、ライターやマッチは使わず竹や火打ち石を使った火起こしです!竹をこすりあわせることで火がつけられるのには私もびっくりしました!(竹を使った火起こしは難しくて、最終的にはみんな火打ち石を使って火を起こしました)
キャンプで食べるカレーはやっぱりおいしい!みんなで作ったおかげだね!
翌日は、登山道や沢水キャンプ場周辺に設置したセンサーカメラで撮れた動物の説明をアクティブ・レンジャー兒島が行い、さらに動物についてのもう少し詳しいお話を専門家の方にしてもらいました。森の中を歩いたときは実際に動物を見ることはなかったけれど、動物はたしかに棲んでいると感じてもらえたと思います。
たくさんの生物が生息しているくじゅうや、国立公園をこれからもずっと守っていくために、この中から将来レンジャーになる人が出てくれたら嬉しいです。
2016年06月29日Let's外来種駆除!オオハンゴンソウの駆除活動
阿蘇くじゅう国立公園 くじゅう 兒島音衣
こんにちは!梅雨に入り毎日雨続きですね。
そんな中、梅雨の晴れ間となった6月19日(日)に、くじゅう地区パークボランティアの会が主催する外来種駆除活動があり、くじゅうのパークボランティアをはじめとするボランティアの方々と一緒に、タデ原湿原横の湿地に生育している【オオハンゴンソウ】という特定外来生物の駆除活動を行いました。
このオオハンゴンソウ、鑑賞用や緑化のために導入されたのですが、繁殖力と生命力がとても強く生態系に悪影響を与えるため、栽培、飼育、保管、運搬、販売が原則禁止されている「特定外来生物」に指定されています。もともとは北アメリカ原産の多年生草本(キク科)で、畑、道ばたや水路沿い、河川敷など湿った場所を好み、一度定着してしまうと根絶がとても難しいです。
タデ原の上流部にオオハンゴンソウの大群落があり、水の流れによって種がタデ原湿原内部にも広がってしまうかもしれない、という心配があるため、毎年駆除活動が行われています。
オオハンゴンソウの生命力は非常に強く、2.4gの根の破片から再生します。
本来ならば根っこから引き抜いてしまうのが一番良いのですが、今回作業に当たった場所はものすごい数のオオハンゴンソウが生育していたため、根の引き抜きではなく花芽(花になる部分)の摘み取りを行いました。
花芽を摘み取ることで種ができるのを防げるので、分布拡大を防ぎます。また次に実施する予定の草刈りで、刈られた個体に種がつく心配がなくなります。
(左)オオハンゴンソウの花芽 (右)もくもくと作業が進みます
みなさん何度も外来種駆除活動に携わっていることもあり、手慣れた様子で次々に摘み取っていきました!
休憩してからは一列に並んで一気に攻めていきました!! いざ進め!オオハンゴンソウバスターズ!
なんとこの日は2時間ちょっとの作業で、ゴミ袋51袋分のオオハンゴンソウを摘み取りました。
1袋に600~700本入っていたので、3万本以上ものオオハンゴンソウを摘み取ったことになります。
このように軽トラいっぱいになりました。一作業終えてみなさん良い笑顔♪
まだ余力があるということで、別の場所に移動し、【オオキンケイギク】という特定外来生物の駆除もおこないました。
オオキンケイギクもオオハンゴンソウ同様に繁殖力が強く、大群落を形成して在来種を駆逐します。
今回は範囲が狭かったため、オオキンケイギクは根っこから引き抜きました。
梅雨が明けると、ヒゴタイを始めとするたくさんの夏の花が見られるようになります。
外来種はその旺盛な生命力と繁殖力でどんどん増えていきますが、在来種や特にその地域特有の種はそうはいきません。今ある景色をこの先ずっと守っていくためにも、外来種駆除活動のような地道な活動がとても大切になります。
今回作業に参加してくださったみなさん、どうもありがとうございました!
一人でやるには大変なことでも、大人数でやると早いし楽しいと思います。これからもたくさんのみなさんのご協力をお願いします!
2016年06月07日くじゅう山開き!
阿蘇くじゅう国立公園 くじゅう 兒島音衣
こんにちは。
6月5日にくじゅう山開きが行われました。
前日は雨風が強く、中止にならないか心配でしたが、5日当日は雨が弱まり、霧雨の中、無事山頂祭が開催されました。
5日の山頂祭(大船山山頂で行う神事)に先立ち、4日の前夜祭では遭難者追悼慰霊祭が行われました。
くじゅうでは毎年数多くの遭難事故が報告されています。
夏山シーズンの到来、また、今年から山の日(8月11日)が施行されることから、登山者が増えることが予想されます。くじゅうの山は登り口やコースも多く、気軽に登れる分、油断すると大惨事になりかねません。また、地震の影響もあります。少しでも多くの方に「楽しかった、また来たい」と思って帰ってもらいたいです。
そのためにも、みなさん、装備はしっかりと準備し、十分に計画して行きましょう!登山届けを忘れずに!
前回の投稿では青空に映えるミヤマキリシマをお届けしましたが、霧の中のミヤマキリシマもなかなか幻想的でした。
大船山山頂で行われた山開きは、例年よりも人が少なかったとはいえ、雨の中たくさんの人が来てくださいました。
ミヤマキリシマは今月中旬頃までが見頃です。
この時季だけ見られるピンクの絨毯を、ぜひ見に来てくださいね~!
2016年06月03日満開のミヤマキリシマ!!
阿蘇くじゅう国立公園 くじゅう 兒島音衣
ミヤマキリシマは今、こんなにきれいに咲いています!
平治岳のミヤマキリシマは日本一の群落密度を誇り、
大船山のミヤマキリシマは国の天然記念物に指定されています。
平治岳のミヤマキリシマ
なぜ、一面ピンクに染めるほどたくさんミヤマキリシマが生育しているのでしょうか。
それは、霧島地域の橋之口アクティブレンジャーも触れていたように、火山が関係しているといわれています。
火山活動が活発になると、発生した火山性ガスによって多くの植物は枯れてしまいます。しかし、ミヤマキリシマはそんな厳しい環境に耐え生き残ります。競争相手がいなくなることで、ミヤマキリシマはこんなにもたくさん増えることができたのですね。
ところが、火山活動が沈静化すると、他の植物たちが勢いを取り戻します。生長の早いノリウツギ、アセビをいった他の植物はすぐにミヤマキリシマより大きく育ち、ミヤマキリシマの上に陰を落とします。そうすると光を得られなくなったミヤマキリシマは次第に元気をなくし、枯れていきます。
火山性ガスに耐えることができても、他種との競争には弱い。火山と深く関係のあるミヤマキリシマなのでした。
ちなみに英名はKyushu Azalea、学名はRhododendron kiusianumです。
お気づきでしょうか?
どちらにも「九州」とあります!(kiusianum →「キュウシアナム」と発音)
実は、九州の、火山のあるところにしか自生していないんです。
雨が心配されますが、5日はくじゅう山開きがあります。
前夜祭が4日夜、法華院温泉山荘で、5日の山頂祭は大船山山頂にて執り行われます。
山頂祭は、雨天の場合5日朝5時半に判断が下されますので、心配な方は、
【竹田市役所久住支所0974-76-1111】までお問い合わせください。
先日、猪の瀬戸湿原の野焼きに参加してきました。ARとして参加したものでは今年初めてです。猪の瀬戸湿原では野焼きを毎年2月の終わり頃に行なっており、例年天気の心配だけでなく残雪の心配もあるのですが、今年は暖かく、好天が続いたおかげで、草はよく乾いていてよく燃えました。
たくさんのボランティアが持ち場につき、トランシーバーで連絡を取り合いながら作業を進めていきました。
夏に作った輪地がしっかりと防火帯の役目を果たします。燃え残った小さな火はボランティアによって消し止められます。その時に使うのが背中に背負ったジェットシューター(水の入ったリュック)です。

▲ものすごい炎があっという間に草を燃やしていきます。最初は無風だったのが、炎によって上昇気流が発生して風が吹いてきました。写真はありませんが、上空には猛禽類が飛んでいて、慌てて飛び出してくる小動物を狙っていました(去年はイノシシが飛び出てきたそうです)
みなさんは猪の瀬戸湿原をご存知でしょうか?
国道11号線・やまなみハイウェイ沿いの、由布岳と鶴見岳の山間にある小規模な湿原です。北西側に見える由布岳、北東の鶴見岳から水が流れ込んでいて、豊富な水量から湿原内にも何筋も川が流れています。湿原という繊細な環境で生息する貴重な植生を有するため、国立公園の中でも重要な場所として位置づけられています。
草原や湿原を維持するためには野焼きが重要なのですが、この場所での野焼きは一時中断されていました。

▲野焼きには多くの人の手が必要。事前に何度も話し合いをし、作業の確認を行います。一歩間違えれば死亡する可能性もある危険な作業だからです。
1960年代までは地域の住民らが放牧を行っていたため、昔から野焼きが行われていました。しかし様々な理由によって野焼きが行われなくなり、森林化がすすんでいました。
1995年頃に湿原の保全、野焼きの復活をしようという動きがあり、2005年から野焼きの実施に向けた調査や準備が進められてきました。その中心となっているのが「猪の瀬戸湿原保全の会」と「城島高原オペレーションズ」です。湿原内に進入してきた樹木の伐採、大量の不法投棄のゴミの撤去、外来種の駆除活動などに加え、植生調査、野鳥調査などを行い、野焼きを行うことの効果についてもデータとして蓄積、研究しています。

猪の瀬戸湿原で野焼きが復活して今年で6年目になります。少しずつ焼く範囲が広がっており、昔のような湿原の姿を取り戻しています。
▲野焼きのあとは真っ黒な大地となります。しかしよく見てみると、草の根までは焼けていません。
自然観察ができるトレッキングルートもあるので、野焼き後の湿原の散策をしてみてはいかがでしょうか。灰の下から新芽が顔を出しているかもしれませんね。
猪の瀬戸湿原保全の会では自然観察会を行っていますので、興味のある方はそちらもどうぞ!
黒い大地に、緑が増えていく、これからの季節が楽しみですね♪