九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。
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こんにちは。
やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの上開地です。
夏休みももう終わってしまいますね。。
沖縄では6月から8月上旬にかけて、5つの台風が接近、通過していきました。
やんばるの様子をみていると、過去の台風よりも勢力が少し弱いものでしたが、
強い風が吹いたり1日でたくさんの雨が降りました。
この季節は、様々な生きものたちが繁殖期の真っ最中です。
毎年AR日記で紹介している海鳥のアジサシたちも、天気の影響を強く受けます。
〈過去の日記はこちら〉
・2017年06月2日 ・2016年09月15日 ・2016年06月01日 ・2013年06月20日
今年のアジサシたちの繁殖はどうだったのでしょうか...。
屋我地鳥獣保護区での活動とアジサシたちの様子を紹介します。
▲5月中旬、今年もひるぎ学園5年生のみんなとアジサシが繁殖しそうな岩礁に注意喚起の看板を設置しました。
アジサシの繁殖失敗の原因の一つに、実は私たち人間の行動が関わっています。
例えば、釣りやレジャーで繁殖している岩礁に登ってしまうと親鳥が子育てをやめてしまったり、ヒナや卵が夏の強い日差しで死んでしまいます。
他にも、人間が岩礁に残したゴミが天敵のカラスが寄りつく原因にもなってしまうので、
アジサシを知らない人が間違って登らないための注意看板です。
◀6月中旬の調査。
今年のベニアジサシの繁殖岩礁は、鳥獣保護区から少し離れた場所に決めたようです。エリグロアジサシも一緒に抱卵している親鳥もみられました。
◀7月中旬の調査。台風が過ぎ去った後も、順調に繁殖が進んでいてヒナに小魚を運ぶ様子も見られていました。潮風の影響なのか、芝が茶色になっています。
◀鳥獣保護区内のエリグロアジサシの繁殖岩礁も順調でした。
この写真は前回(7/20)の日記の
「今月の1枚」です。
ヒナと卵の数をクイズにしていたのですが、皆さん分かりましたか?
答えは、ヒナ3羽、卵1個です。
↓左○が卵、右○3つがヒナです。見事に岩礁の模様に溶け込んでいますね。
※写真をクリックすると大きい写真が開きます。
さぁ次の8月の調査では、きっと沢山の巣立った幼鳥が見られるはず!っと、楽しみに船に乗り込みました。
ところが......
◀8月上旬の繁殖岩礁。アジサシたちは全ていなくなっていました。
(黄色いロープは注意喚起の看板を付けるためのものです。)
いったい何が起きたのでしょうか。
7月末までは、アジサシの群れが岩礁にいるのが遠くからでも見えていました。
前回の調査からこの日までは台風や悪天候になることは無かったので、
もしかしたら、人が近づいてしまったのか、カラスに襲われてしまったのかも知れません。
実はこの岩礁は、長時間釣りをするためのパイプが固定されていて、釣り糸のゴミも多い岩礁です。
釣り糸に絡まって死んでいる親鳥も見つかっていて、その側には孵化したばかりのヒナも死んでいました。
今年の屋我地周辺でのアジサシの繁殖は、とても残念ですが失敗に終わりました。
かろうじて、別の岩礁1箇所のみで10羽ほどのエリグロアジサシが子育てを続けています。
ですが、ここも釣り人が多い岩礁で、釣り糸が絡まった親鳥が見られています。
◀釣り糸が絡まったエリグロアジサシ。
透明な糸がアジサシの体に巻き付いています。
※写真をクリックすると、大きな写真が開きます。
◀繁殖岩礁を調査すると、たくさんの釣り糸が見つかりました。
ベニアジサシやエリグロアジサシは、国内では主に琉球列島で繁殖する夏の渡り鳥なのですが、
全国的に年々数を減らし、今では絶滅危惧種になってしまいました。
その原因を作っているのが、私たち人間の海に対するマナーの悪さです。
人生の先輩方である、おじぃ、おばぁは「昔の海は綺麗だったよー。」と私たちに教えてくれます。
将来私たちが、同じ世代になったときに、「昔も今も綺麗だねー。」と言えるように、
1人1人が協力できることを発信していきたいと思います。
来年は、アジサシたちの繁殖が成功しますように...。
アジサシについてもっと知りたい方は、
ウフギー自然館HPに掲載してるパンフレットを是非ごらんください。
○ウフギー自然館HP 各種資料
・沖縄のアジサシ ・アジサシが繁殖に来ています
http://www.ufugi-yambaru.com/shiryou/panfu.html
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アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、西海、雲仙天草、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、屋久島、慶良間諸島、西表石垣国立公園、やんばる国立公園、奄美群島国立公園があります。
こんにちは。
やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの上開地です。
夏休みももう終わってしまいますね。。
沖縄では6月から8月上旬にかけて、5つの台風が接近、通過していきました。
やんばるの様子をみていると、過去の台風よりも勢力が少し弱いものでしたが、
強い風が吹いたり1日でたくさんの雨が降りました。
この季節は、様々な生きものたちが繁殖期の真っ最中です。
毎年AR日記で紹介している海鳥のアジサシたちも、天気の影響を強く受けます。
〈過去の日記はこちら〉
・2017年06月2日 ・2016年09月15日 ・2016年06月01日 ・2013年06月20日
今年のアジサシたちの繁殖はどうだったのでしょうか...。
屋我地鳥獣保護区での活動とアジサシたちの様子を紹介します。
▲5月中旬、今年もひるぎ学園5年生のみんなとアジサシが繁殖しそうな岩礁に注意喚起の看板を設置しました。
アジサシの繁殖失敗の原因の一つに、実は私たち人間の行動が関わっています。
例えば、釣りやレジャーで繁殖している岩礁に登ってしまうと親鳥が子育てをやめてしまったり、ヒナや卵が夏の強い日差しで死んでしまいます。
他にも、人間が岩礁に残したゴミが天敵のカラスが寄りつく原因にもなってしまうので、
アジサシを知らない人が間違って登らないための注意看板です。
◀6月中旬の調査。
今年のベニアジサシの繁殖岩礁は、鳥獣保護区から少し離れた場所に決めたようです。エリグロアジサシも一緒に抱卵している親鳥もみられました。
◀7月中旬の調査。台風が過ぎ去った後も、順調に繁殖が進んでいてヒナに小魚を運ぶ様子も見られていました。潮風の影響なのか、芝が茶色になっています。
◀鳥獣保護区内のエリグロアジサシの繁殖岩礁も順調でした。
この写真は前回(7/20)の日記の
「今月の1枚」です。
ヒナと卵の数をクイズにしていたのですが、皆さん分かりましたか?
答えは、ヒナ3羽、卵1個です。
↓左○が卵、右○3つがヒナです。見事に岩礁の模様に溶け込んでいますね。
※写真をクリックすると大きい写真が開きます。
さぁ次の8月の調査では、きっと沢山の巣立った幼鳥が見られるはず!っと、楽しみに船に乗り込みました。
ところが......
◀8月上旬の繁殖岩礁。アジサシたちは全ていなくなっていました。
(黄色いロープは注意喚起の看板を付けるためのものです。)
いったい何が起きたのでしょうか。
7月末までは、アジサシの群れが岩礁にいるのが遠くからでも見えていました。
前回の調査からこの日までは台風や悪天候になることは無かったので、
もしかしたら、人が近づいてしまったのか、カラスに襲われてしまったのかも知れません。
実はこの岩礁は、長時間釣りをするためのパイプが固定されていて、釣り糸のゴミも多い岩礁です。
釣り糸に絡まって死んでいる親鳥も見つかっていて、その側には孵化したばかりのヒナも死んでいました。
今年の屋我地周辺でのアジサシの繁殖は、とても残念ですが失敗に終わりました。
かろうじて、別の岩礁1箇所のみで10羽ほどのエリグロアジサシが子育てを続けています。
ですが、ここも釣り人が多い岩礁で、釣り糸が絡まった親鳥が見られています。
◀釣り糸が絡まったエリグロアジサシ。
透明な糸がアジサシの体に巻き付いています。
※写真をクリックすると、大きな写真が開きます。
◀繁殖岩礁を調査すると、たくさんの釣り糸が見つかりました。
ベニアジサシやエリグロアジサシは、国内では主に琉球列島で繁殖する夏の渡り鳥なのですが、
全国的に年々数を減らし、今では絶滅危惧種になってしまいました。
その原因を作っているのが、私たち人間の海に対するマナーの悪さです。
人生の先輩方である、おじぃ、おばぁは「昔の海は綺麗だったよー。」と私たちに教えてくれます。
将来私たちが、同じ世代になったときに、「昔も今も綺麗だねー。」と言えるように、
1人1人が協力できることを発信していきたいと思います。
来年は、アジサシたちの繁殖が成功しますように...。
アジサシについてもっと知りたい方は、
ウフギー自然館HPに掲載してるパンフレットを是非ごらんください。
○ウフギー自然館HP 各種資料
・沖縄のアジサシ ・アジサシが繁殖に来ています
http://www.ufugi-yambaru.com/shiryou/panfu.html