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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

特定外来生物ツルヒヨドリの駆除作業を実施しました

外来種駆除日記その4 特定外来生物ツルヒヨドリ@奄美市住用町

2024年01月10日
奄美 池上温人
奄美市住用町の市(いち)集落と戸玉集落の間で特定外来生物ツルヒヨドリの駆除作業を実施しました。この場所では奄美建設業協会さんと連携して、2021年から根絶を目指した定期的な駆除作業を行っています。この場所の駆除は8回目の作業にあたり、ツルヒヨドリも目に見えて少なくなってきました。丁寧な駆除作業を継続することで、この場所での根絶を目指していきます。

ツルヒヨドリとは

ツルヒヨドリ(Mikania micrantha)は、熱帯アメリカ原産のキク科多年生つる植物。成長が早く、つるで周囲の植物に絡まりながら被覆するように成長します。日光を遮り、覆い尽くした植物を枯らしてしまうなどの影響があります。在来植生に大きな影響があるだけでなく、果樹園でシークヮーサーの木々を枯らすなど農業被害も報告されており、2016年には外来生物法で特定外来生物に指定されました。
ツルヒヨドリの葉#
ツルヒヨドリの葉
ツルヒヨドリの茎#
ツルヒヨドリの茎
ツルヒヨドリの花#
ツルヒヨドリの花
ツルヒヨドリが繁茂する様子#
ツルヒヨドリが繁茂する様子(沖縄県国頭村)
日本では1984年に沖縄県のうるま市で初めて確認され、現在までに最初に確認された沖縄島の他、石垣島、西表島、与那国島、奄美大島で侵入が確認されています。特に沖縄島では、広範に蔓延している状態で対応に苦慮しています。
奄美大島では1999年に初めて侵入が記録され、2023年12月現在、14ヵ所で侵入が確認されています。
このうち、数カ所では継続的な駆除作業を実施しており、地点によっては根絶が目前に迫っている場所もあります。奄美大島全域からツルヒヨドリを根絶するべく、関係機関と連携して防除作業を続けていかなければなりません。
奄美大島ツルヒヨドリ生育地点#
奄美大島におけるツルヒヨドリ生育地点

奄美市住用町の生育場所

奄美市住用町の市集落と戸玉集落の中間でツルヒヨドリの生育が確認されています。この生育地点はいくつかの大きな群落に分かれており、その内の1カ所で2021年6月から駆除作業を継続しています。今回はこの場所での8回目作業を実施しました。

今回の駆除作業

今回の作業は、奄美建設業協会、有限会社中部砕石、環境省からそれぞれ人が集まり、計39名で実施しました。まずは草むらの中から残っているツルヒヨドリを探し出し、根まで探って丁寧に抜き取っていきます。その後、モニタリングがしやすいように周囲の草を刈り取っていきます。またこの場所では、元々ツルヒヨドリの密度が高かった場所に防草シートを設置して再生育を抑制しています。シートの設置から約2年が経ち、劣化が見られたため、張り替え作業も実施しました。
ツルヒヨドリを探して丁寧に抜き取る#
ツルヒヨドリを探して丁寧に抜き取る
モニタリングしやすいように周囲の草刈りを行う#
モニタリングしやすいように周囲の草刈りを行う
防草シートを設置#
防草シートを設置
集合写真#
集合写真
30人以上の屈強な作業員の皆さんのお力で作業はみるみるうちに進んでいきます。約2時間弱の作業で90Lゴミ袋1袋分、2.9kgのツルヒヨドリを除去し、目につくツルヒヨドリはほとんど取り切ることが出来ました。また全体の草刈り作業、防草シートの再設置も終え、モニタリングしやすい環境が整いました。
初回作業以前#
初回作業以前(2021年1月29日)
今回作業前#
今回作業前(2023年12月19日)
今回作業後#
今回作業後(2023年12月19日)
初回作業の時と比べるとこの場所のツルヒヨドリは驚くほどに減少しました。それでも根絶を実現するには、こまめな駆除作業を継続し、土中の取り残し、種子を枯渇させなければなりません。
そのためにはまだまだ地道な作業が続きますが、関係機関と連携しながら、丁寧な駆除作業を続けていきます!