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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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阿蘇くじゅう国立公園 阿蘇

146件の記事があります。

2015年07月23日AR写真展『私たちが伝えたい よかとこ九州 地域の魅力』一足お先に開催中~♪【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 アクティブレンジャー 田上

子ども達の夏休みが始まりました!しかし、阿蘇地域が位置する九州北部はまだ梅雨空・・梅雨明けが待ち遠しい、今日この頃です。まだかなぁ・・

梅雨明けはしてなくとも、真夏の花はじゃんじゃん咲き出してます!ユウスゲ、カキラン、アソノコギリソウ、カワラマツバ、カワラナデシコ・・・色とりどり♪

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さて、夏休み期間に合わせて、九州地区のアクティブレンジャー(AR)で「AR写真展」を開催しますよ!夏休みに、阿蘇・くじゅう・雲仙・えびの・屋久島・対馬あたりに足を運ばれる方は、ぜひお立ち寄り下さい♪

写真展の全体テーマは、方言混じりに『私たちが伝えたい よかとこ九州 地域の魅力』。風景、動物、植物、人、文化など被写体は様々ですが、各地区5枚ずつの写真(6地区 計30枚)でそれぞれに魅力を表現しています。

6地区の展示期間・施設は以下のとおりです。7/29~8/30の間は合同で開催していますよ!

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そして、阿蘇では一足先に展示を開催し始めました~。(in 阿蘇草原保全活動センター)

  

今回のAR写真展では、全体テーマとは別に地区ごとにテーマを設定しているので、それぞれに表現したいものが明確になっています。ちなみに阿蘇のテーマは21年ぶりの阿蘇中岳噴火や、世界ジオパークに認定され今後、国立公園との連携を図っていくこともあるため【阿蘇はジオの宝石箱】(語尾に「や~」を付けたいのも山々でしたが・・)にしました!

ジオ視点で阿蘇に触れてみてはいかがでしょうか。

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そして今回、アンケート&人気投票も実施しています。

人気投票は下の写真のように、気に入った(行ってみたい!きれい!すごい!・・など)写真にシールを貼ってもらうだけの簡単なものです、来館された方はぜひ投票にご協力を~♪

   

シールが多かった地区はさらなる魅力向上に、少ないところも魅力の再発見や情報発信など、各地区のARも頑張っていきたいと思います!

阿蘇・くじゅう・雲仙・えびの・屋久島・対馬にお越しの際には、ぜひお立ち寄り下さい♪

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2015年06月26日梅雨には、青や紫がお似合い♪【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 アクティブレンジャー 田上

九州が梅雨入りし、そろそろ1ヶ月が経とうとしています。連日の雨や曇予報で、最近阿蘇の涅槃像(阿蘇五岳)がキレイに見えず、少し寂しい気分です。

 

晴れの日の阿蘇の涅槃像(カルデラの真ん中にお釈迦様が横たわる)

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梅雨時期の花といえば、アジサイが浮かぶかと思います。赤やピンク、白、青、紫・・・と、別名「七変化」といわれるように色とりどりに道路脇や民家の庭に咲いていて、雨の中でもパッと目を引きます。七変化の中でも、個人的には濃い青がステキだなぁと感じています。

この時期に見られる阿蘇の野の花も、青や紫系の色の植物があるので紹介します♪

 【ヤマアジサイ】

淡い青色がとてもきれい。大きく花びらのように目立つ花は見せかけの花(装飾花)、装飾花に囲まれるように小さく集まっている一つ一つが本当の花なのです。

咲き始めは白や淡い青ですが、終わり頃には淡紅に変化する株も見られます。

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 【ウツボグサ】

地面から高さ10cmほど、濃い紫でちょっと変わった花の形をしています、多いところでは絨毯のようになっていたり。

「ウツボ」・・海のいきものかと思いきや、弓矢を入れる道具「靫(うつぼ)」に花序の部分が似ているとのことです。

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 【ヤマホトトギス】

白地に赤紫の斑点・・形も特徴的で、ちょっと風変わりな植物。

写真奥の丸っこいものがつぼみ。形がロケットみたいで、今にも発射しそう!

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 【ハナシノブ】

梅雨の真っ只中に、淡い紫色のとても可憐な花を咲かせます。

日本では、阿蘇地域の限られた場所にのみ生育するとされ、とっても希少で、保護区を設置し管理や調査など保護事業を進めています。

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黄色や白、赤色の花もありますが、不思議と青や紫系の花と雨のしずくが似合うように思えます。

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これらの植物は南阿蘇ビジターセンターにある「野草園」(高森町)でも出会うことができます。園路も整備されていて、梅雨空の下でも植物観察をたっぷりと楽しむことができるので、足をお運び下さい♪

草原の緑も雨を受けて一層濃くなっていますよ!

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2015年06月24日特定外来生物「オオキンケイギク駆除活動」

阿蘇くじゅう国立公園 アクティブレンジャー 藤田

 梅雨に入り、毎日雨が降っているためか、阿蘇中岳火口の一部にも湯だまりが確認できた

そうです。白い噴煙はあがりますが噴火活動ではないようです。このまま終息してくれること

を願うばかりです。

さて、今年も特定外来生物に指定されている「オオキンケイギク」の駆除活動を行いました。

6月の環境月間の一環として毎年行っているもので、今年で5年目になります。阿蘇郡市

内の2つの自治体と連携し行いました。この日は、地域の親子約60名とパークボランテ

ィアの方々や関係者など合計80名の参加がありました。はじめに、身近な外来生物につ

いて話し、特定外来生物に指定されている「オオキンケイギク」について説明しました。

根っこから引き抜く作業は難しかったようですが、午前中だけで280kgを駆除しました。

 別の日の駆除活動では、幹線道路沿いの毎年抜き取っている所は、個体も小さく

なってきて数も減っています。しかし、例年刈り取りをされているところの開花状況を

見に行くと・・・、ごっそり増えていました。それはほとんどが「空き地」や「墓地」です。

行政と相談し、持ち主の方に連絡し了承を得て抜き取り作業を行いました。この日

は10名の参加で300kgを駆除しました。

 車などにたまたまくっついて運んでこられた種子が根付いたのか、新しい場所も

増えて重量的には減っていませんでした。

 オオキンケイギクの花が咲く5月~7月には、黄色の似たような花が多いため、一般の方

には見分け方も難しいようです。そのため広報の仕方について工夫しました。各自治体の

広報誌などの他に、「花や葉の特徴、なぜ駆除するのか、駆除の仕方など」を盛り込んだ

チラシを作成し、庭に生えているお宅のポストに既存のチラシと共に投函しました。すると

駆除日にはほとんど抜き取ってありました。

 特に私たちが危惧しているのは、草原に侵入し繁殖することで、草原景観や多様な

生態系が崩れてしまうことです。

すでに、ある地域では草原のすぐそばでの生育が確認されています。阿蘇を取り巻く

地域の道路沿いなどには、オオキンケイギクの群生を多く見かけます。観光で阿蘇に

来られる際に、車に種がくっついてくることも考えられます。

 今後も、周辺地域の方々にも協力いただけるよう分かりやすく伝え、声をかけていき

たいと思います。

その他の「特定外来生物」や外来生物法については環境省のホームページ

「外来生物法」をご覧ください。http://www.env.go.jp/nature/intro/

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2015年05月19日祝!阿蘇草原保全活動センターオープン! =Vol.1施設紹介=

阿蘇くじゅう国立公園 阿蘇 アクティブレンジャー 藤田

阿蘇の草原を知り、学ぶことができ、草原をめぐる様々な活動の拠点として、【阿蘇草原保全活動センター】が阿蘇市小里に先月オープンしました。


                     施設全体像


阿蘇地域では平成17年度から、関係機関、団体が連携して草原の維持・再生に取り組んできました。「阿蘇草原保全活動センター」を拠点施設とすることで、一般利用者に対する阿蘇草原保全・再生の普及啓発、熊本県内・阿蘇郡市内の子ども達への草原環境学習がますます推進されることを目的としています。

阿蘇草原保全活動センターは、二つの施設から構成され、「草原学習館」は、環境省が設置し、草原保全・再生・学習の機能を、「草原情報館」は阿蘇市が設置し、総合窓口として草原・観光に関する情報発信のワンストップサービスや、野焼きボランティアなどの草原保全活動や草原の利活用について繋ぐ機能を担います。


学ぶ : 阿蘇の草原を学ぼう!

「草原学習館」は、阿蘇の草原について知り、学ぶことができ、地域の子どもたちの学校教育や研修旅行などにもご利用いただけます。学習プログラムづくりの相談にも応じます。展示は、草原と水との関わりを表したジオラマや、生後まもない子牛を忠実に再現したぬいぐるみ、阿蘇の草原の成り立ちや恵み、草原を守る取り組みなどを紹介しています。

 その他にも、多目的会議室などがあり、間仕切りを外すと70~80名の収容ができ、今年の野焼き支援ボランティアの養成講座や研修会などが開かれました。


        木の香りのする広々とした館内   生後2ヶ月頃のあか牛のぬいぐるみ

楽しむ : 草原を楽しもう!

 「草原情報館」にある総合窓口では、阿蘇を訪れる観光客や地元の方々に、草原とのふれあいや農家との交流を楽しんでいただくためのサービスを提供します。

例えば、阿蘇の草原を歩くトレッキングなどの体験ができるよう適切な場所や施設、ツアー案内人などの紹介や斡旋をします。

また、情報コーナーでは、小グループの打合せや活動のPRなどにも活用いただけます。

                施設周辺での草原トレッキングの様子


守る : 草原を守る活動に参加しよう!

 人手不足で手伝いを必要とする牧野組合と草原保全の活動をしたい人々とをつなぐ役割として、野焼き支援ボランティアなどの草原保全・再生のための活動の拠点として、ボランティアの参加や受入れの相談にも応じます。

屋外の芝生広場にて、火消し棒づくりや輪地切り支援活動の講習会などが行われます。

また、草原の四季と人との営みに合わせて、年間の活動や取り組みが予定されています。


          屋外での火消し棒づくり       野焼きボランティアに参加


開館時間:9:00~17:00

休館日 :なし(年末年始を除く)

入館料 :無料

駐車場 :乗用車105台、バス4台

駐輪場 :10台

総合窓口:0967-32-0100

ここで草原のプチ情報を仕入れて草原に出かけてみてください。きっと、草原が違って見えることでしょう!

次回は、オープン式典についてご報告します。

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2015年05月13日火山活動にも負けず、ミヤマキリシマ咲いてます♪【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 阿蘇 アクティブレンジャー 田上

昨年の11月下旬に阿蘇中岳火口の噴火活動が活発になってから、そろそろ半年が経過します。その間、阿蘇地域では火山灰が降ったり、火山ガスが匂ったり、農作物に影響が出たりと活火山の威力を感じさせられました。

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この時期、阿蘇の草千里ヶ浜・烏帽子岳、仙酔峡、古坊中(山上広場)、杵島岳で見頃を迎えているのは、ミヤマキリシマです!これを目当てに阿蘇を訪れる方もたくさんいらっしゃいます。

 ミヤマキリシマ(5月13日撮影)

九州の高山(1000m以上)に見られ、火山灰土等に覆われるような過酷な環境にも生育するツツジの仲間

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過酷な環境に強いとはいえ、阿蘇のこの冬の火山灰や火山ガスの量は結構植物にもキツかったのではないかなぁと感じていて、特に火口に近い仙酔峡、山上広場についてはもしかしたらほとんど咲かないかもしれないというような予想も出ていました。・・・しかし!しっかりと、そして美しく咲きました!

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まずは、仙酔峡・・阿蘇のミヤマキリシマを代表する観光スポットです。

 5月8日撮影

火山灰も火山ガスもダイレクトに影響を受けるような場所(火口から約2kmの谷地)ですが、関係者の心配をよそに、想像以上に咲いており、観光に来られた方も眺めたり、写真を撮ったりと満足そうです!

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続いて、草千里ヶ浜・烏帽子岳。

 5月13日撮影

火口から約3kmほどに位置し、降灰の影響が心配されましたが、裾から順次ピンクに染まってきました!

登山道沿いもイイ感じ!南斜面も結構咲いていました!

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最後に、古坊中(山上広場)。

火口と目と鼻の先ほど(火口から1kmちょっと)しか離れておらず、場合によっては噴煙を上げる音が聞こえるくらい噴火を間近に感じることができる場所です。ここも灰やガスの影響が大きく、春先には新芽も出ておらず枯死?のような状況でしたが、この時期になり、親株の脇から出てきた次世代の枝からポツポツと咲き出しました!・・なんだか変わった咲き方でおもしろい、ミヤマキリシマも世代交代でしょうか。

 5月13日撮影

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噴火の影響によって咲き方はまちまちですが、今年もしっかり咲いています♪

今回紹介した場所は、現在の噴火規制(噴火警戒レベル2)に関係なく訪れることができますので、ぜひ阿蘇のミヤマキリシマを見にお越し下さい!

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2015年05月12日「阿蘇の自然に親しむ集い」が始まりました!【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 アクティブレンジャー 田上

毎年、阿蘇地域では「阿蘇の自然に親しむ集い」を年に6回ほど計画し、一般参加者を募集して観察会やトレッキングなどを開催しています。

毎年度、第1回目は4月29日の祝日に南阿蘇ビジターセンターの「野草園観察会」と決まっています。先日の29日も、お天気に恵まれ、たくさんの植物が芽吹いた野草園を散策しました!

子どもたちも参加してくれて、昆虫を見つけたり、鳥の鳴き声を聞いたり、植物の違いを探したりととても楽しい観察会でした♪大人の方も植物の小さな特徴に「ほぉ~!」と驚きの声を出しながら、熱心に観察されていました!

 

新緑の野草園をみんなで観察 

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コバンノキ:3mmほどの小さな花がビッシリ!

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次回の集いは5月17日(日)、草千里ヶ浜から烏帽子岳へ登山をします!昨年世界ジオパークに認定されたこともあり、ジオを意識した内容です。

烏帽子岳山頂から見下ろすと人の顔のようにも見える「草千里ヶ浜」、多くの観光客が訪れます。一般的にはあまり知られていませんが、これも火口の跡なのです!・・・なぜ顔のような形になったのか?鼻の部分の山の不思議?どんな植物が咲くのか? 草千里ヶ浜の謎に迫ってみたいと思います!

5月中旬 烏帽子岳中腹から見た草千里ヶ浜 ピンクはミヤマキリシマ!

皆さんの参加をお待ちしています♪

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今年度の集いの年間予定はこのようになっています。

定員もなく事前申込みも必要ありません。野外活動のできる服装・装備で現地に来ていただければ、どなたでも参加可能です!ぜひご参加下さい♪

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2015年05月01日阿蘇くじゅう国立公園記念誌『阿蘇くじゅう』完成!【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 阿蘇 アクティブレンジャー 田上

5月になり、草原の草花も次々と咲き出しています。

キスミレを皮切りに、オキナナグサ、サクラソウ、リュウキンカ、ウマノアシガタ、ヒトリシズカ・・・花が咲くとチョウも舞いだし、牛の放牧もはじまり、冬の草原がうそのようにいきものに溢れています♪5月の連休のお天気も晴れマークがたくさんあるので、阿蘇も観光のお客さんで賑わいそうです!

26日の大観峰 観光のお客さんでいっぱいでした。

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さて、平成25年(一昨年)の冬からAR日記でも紹介してきた、阿蘇くじゅう国立公園指定80周年記念事業も『記念誌』の発行をもって無事に終了しました。

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阿蘇くじゅうの80年の歴史の中で、これまでに記念誌として取りまとめたものはなかったので、いろいろなところから資料を集めたり・調べ物をしたりと大変な作業ではありましたが、知らなかったことも多く「へ~ そうだったんだ!!」と思うことばかりでとても勉強になりました。

<布表紙、B5サイズ、全103ページ、ケース付、阿蘇のススキの野草紙入り>

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記念誌の内容は、実行委員会会長(阿蘇市長)のことば、両県・環境省のことばに始まり、阿蘇くじゅう国立公園の現在の概要、国立公園誕生の経緯や公園区域の変遷、指定時の新聞記事、「国立公園指定80周年記念写真展」で使用した写真により、昭和初期から中期の国立公園の様子が分かります。

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中盤では、「伝える風景」として、阿蘇くじゅう国立公園を職場とする環境省職員が撮影した現代の写真から、後世にも伝えていきたい風景を20枚掲載し、続いて実行委員会を構成していた15市町村長様からそれぞれの市町村のとっておきの風景写真とともにその市町村からみた国立公園の風景や関わり、思いについて寄稿いただいています。

また、昔から登山道整備に携わってこられた方や公園内で古くから旅館業を営む方々から「特別寄稿」として、地域の旅館業の歴史や苦労・訪れた人々、自然の魅力などについて語っていただきました。昔の情景が思い浮かぶようでとても興味深い内容ばかりです。

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最後には、実施してきた記念事業の紹介と年表をまとめました。

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完成してみると、当初予定していたページ数をオーバーしておりました・・皆さんの思いが溢れています!

表紙は布地、色は「赤」。阿蘇くじゅうに共通する火山をイメージしています。記念誌の題字(背表紙も含め)は環境省と関わりの深い自然公園財団阿蘇支部にお勤めの書道家 山本さんに依頼し、力強く書いていただきました。

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準備期間も含めると約2年にわたり、記念事業に関わって下さった皆様へ感謝申し上げます。ありがとうございました。

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20年後には、100周年!その時この記念誌が何かのお役に立てばいいなと思います。

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※記念誌「阿蘇くじゅう」は販売しておりません。熊本・大分の県立図書館および15市町村(菊池市、阿蘇市、大津町、南小国町、小国町、産山村、高森町、南阿蘇村、西原村、山都町、別府市、竹田市、由布市、九重町、玖珠町)の図書館で閲覧することができます。

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2015年04月03日阿蘇の風物詩「野焼き」が行われました【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 阿蘇 アクティブレンジャー 藤田

 阿蘇の草原は2,200haあり、そのうちの1,600haの草原で、毎年2月下旬~3月にかけて、草原に火を入れ枯れ草を焼く「野焼き」が行われます。

 野焼きをすることで芽吹きを助け、採草や放牧に適した新しい草が生えてきます。また草原の森林化や草刈りの時の妨げになる低木類の抑圧にもなるため、ヤブ化を防ぐことにも繫がります。

 北外輪山で3月8日に一斉野焼きが行われました。当日は、風もなく晴天に恵まれたのですが、前々日は雪が降り、前日は曇り空だったため草が乾いておらず、なかなか火がつきません。お昼近くになり、ようやくあちこちで狼煙のように煙が昇りはじめました。

バチバチと草を弾く音をたて、勢いよくあがる炎

 北外輪山は牧野同士が隣接しているため、ひとつの牧野が野焼きをしなくなると、その周辺の牧野も火を入れられなくなるそうです。そのため、「野焼きを途絶えさせるわけにはいかない」と、どの牧野の方も責任感をもって取り組まれています。

          火引き役を受け継ぐ!

 

特に、火引きの役目は重要で、ただ火をつければいいのではありません。天候や風の具合、草の状態、人の配置など様々な事に目を配り判断しなければなりません。熟練の技が必要で、高齢の方が火引きをされていることが多いようです。今後、火引きの育成も大きな課題になりそうです。

草が焼け、尾根の線がハッキリ見えます。真っ黒になった草原は、春の訪れを心待ちにしているかのようです。

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2015年04月03日黒から黄色へ・・そして緑へ【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 阿蘇 アクティブレンジャー 田上

全国各地から桜の開花・満開が毎日のように伝えられていますね!阿蘇地域でもあちこちで桜が咲き出し、阿蘇市内牧の道路沿いはほぼ満開です!

4月2日 撮影

さて、2月中旬から始まった草原の野焼きもほぼ終わりを迎え、野焼き後の黒々としていた草原では、幾度かの雨や気温の上昇を受け、少しずつ緑草(あおくさ:ススキの芽立ちなど)が伸びてきました。みるみる生長し、あっという間に青々とした草原に包まれます。

緑草が伸びはじめたこの時期、よ~く草原を見てみると、小さな黄色がキラリと光ります。キスミレです!

4月2日 撮影

まだまだ咲き出したばかりですが、しばらくすると絨毯を広げたように一面キスミレに覆われ、とても阿蘇らしい風景になります。

この少しの期間を逃すと、緑草がキスミレの背丈を追い越してしまい、絨毯は緑になってしまうので今がチャンス!

桜でもなく、菜の花でもなく、キスミレで春を感じてみてはいかがでしょうか♪

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2015年03月09日よな、よな、よな【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 阿蘇 アクティブレンジャー 田上

「今日はよな雨だけん やおいかんばいっ!」・・・と地元の方が話していました。

最近の阿蘇では地元の方と話していると、「よな」という言葉をよく耳にします。皆さん「よな」ってご存じでしょうか~?

火山に関係します、風に乗って空から降ってきます、黒いツブツブです・・・そう「火山灰」です!阿蘇地域では地元の方は火山灰のことを「よな」と呼んでいます、独特な言い方ですね。

阿蘇中岳では、昨年の11月25日に21年ぶりのマグマ噴火が起こり、3ヶ月が経ちましたが現在も噴火活動は継続中で、火口周辺約1kmは立入規制がかかっています。

マグマ噴火が起こってからは、地域の方との会話にも、「今日の噴煙は黒かね~!」や「白かね~!」「高く上がっとる」「阿蘇谷に流れよる」といった具合に、噴煙(火山灰)や風向きの様子に皆さん敏感になっていることが感じられます。

この3ヶ月のいろいろな噴煙の写真を紹介します。

白い噴煙の日もあれば、真っ黒でモコモコとキノコ雲のような噴煙もあり、日々変化があります。

ちなみに、白い噴煙の時は水蒸気だけと思われがちですが、しっかり火山灰も混ざっているそうです。白いからって油断は禁物です。

今年に入ってから、阿蘇地域では火山灰の活用が少しずつ広まっています。例えば、灰を詰めた小瓶や受験祈願お守りの"頑張る灰(バイ)"の限定販売、火山灰を使って描く「よなアート」など・・・生活や農作業では厄介者な火山灰ですが、考え方によっては思い出になったり、楽しめたりもします。

先日、中岳火口から2kmちょっと離れている仙酔峡に行ってみると、川に流れ込んだ火山灰が様々な形を作り出していました。

火山灰は水と混ざると重く扱いにくくなりますが、様々な形があり、新しい発見でした!

自然が作り出す形は不思議で、とても美しい。

阿蘇山上を訪れる際や登山の際には、火山規制情報などについて最新の情報をご確認ください。

http://www.env.go.jp/park/aso/guide/regulation.html

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