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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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阿蘇くじゅう国立公園 阿蘇

146件の記事があります。

2012年11月22日見慣れない三角のお山が出現! 【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 阿蘇 アクティブレンジャー 田上

早朝の阿蘇に、大きな黒い三角形の“山”が現れました!
このような黒いお山、皆さんは見たことあるでしょうか?


中央火口丘の杵島岳山腹から北外輪山方面を望む。写真奥に横たわる北外輪山の左端には、立野火口瀬や二重(ふたえ)ノ峠がうっすらと見える。

・・・もうお気付きかもしれませんが、この大きな三角形は“山の影”です。

半月ほど前、日の出時間に杵島岳へ登った際、見慣れない大きな黒い山が見えていました。それがその時登っていた“杵島岳の影だ!”と気づいたときには、なんとなく得した気分になりました。というのも、もう少し太陽が昇っていくと見られなくなってしまうものだからです・・・。
このような「限定もの」をみつけるのも楽しいですね~。

先日14日、高岳では初冠雪が記録されました。…あの日の阿蘇山上は本当に寒かったです。
この時期、阿蘇の草原や山肌は色づいた草木で赤や黄色などに染まります。これを「草紅葉(くさもみじ)」と言い、天候が良いととても美しい風景に出会うことができますよ!


晩秋の草千里ヶ浜と烏帽子岳

阿蘇へお越しの際は、防寒対策をお忘れなく!!

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2012年09月14日草原の草を刈ると花はふえる・・・? 【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 阿蘇 アクティブレンジャー 田上

阿蘇では、昔から年に1度野焼きをし、牛馬を草原に放牧し、草原から刈り取った草を堆肥や牛馬のエサとして利用するなど、人が手を加えることによって草原が維持されてきました。
そんな阿蘇の草原には、多様な植物が季節ごとに花を咲かせ、人々の目を楽しませてくれています。



草原にたくさんの花が咲く一因として、昔から継続されている草刈り作業があります。背の高いススキ等を刈ることで、下に隠れていた他の植物にも光が届くようになり、花を咲かせることができるようです。

では実際のところ、草を刈ると植物の種類はどれくらい変化するのでしょうか?
・・・地元の農家さん達が、専門の先生方の協力を得て調べてみることになり、私も参加してきました。
草原と直に接している農家さん達の、「日ごろの草刈りなどの農作業が、草原の維持だけでなく多様な花を咲かせることにも寄与しているのかを知りたい」との思いが今回の調査のきっかけです。

調査は専門家でなくても取り組めるように簡易なものとし、先生方に植物を教わりつつ調査をしました。



背丈ほどに伸びた草原は風に大きくなびいて、船酔いならぬ草酔いをしそうでしたが、シライトソウ、タカトウダイ、ホソバシュロソウ、ヤマハギなど18種の野草をみることができました。



今回(8月)は草刈り前の調査とし、10月に草刈り、春に野焼きを行います。
このような管理が行われる草原では、いったいどれくらいの種類の野草を確認することができるでしょうか?来年の調査が今から楽しみです。

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2012年08月02日豪雨災害後の草原 【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 阿蘇 アクティブレンジャー 田上

去る7月12日深夜、恐怖を感じるくらいの豪雨と雷に見舞われた阿蘇地域も、先日ようやく梅雨明けを迎えました。
豪雨は地域住民の家族や生活に甚大な爪痕を残し、また阿蘇の草原にも大きな影響がありました。

鮮やかな緑色に覆われていた草原も、一夜明けると一部の急傾斜地を中心に草地が滑り落ち、土が剥き出しの状態となっていました。
草が青々と生い茂るこの時期に茶色い山肌が露出しているので、違和感と痛々しさがあります。



その一方で、難を逃れたエリアの草原では、ユウスゲ、アソノコギリソウ、オオバギボウシなどの夏の花がポツリポツリと咲き出しました。
爽やかな風が吹き、放牧されているウシものんびりと草を食(は)んでいます。



一時は、阿蘇地域へのアクセスが困難でしたが、現在は中岳火口、草千里ヶ浜、大観峰、道の駅、温泉施設などの主要観光地への道路は通行可能となり、観光バスなどが通っていくのを目にするようになりました。
(参考: http://c-kyushu.env.go.jp/emergency/2012/08/111.html
このような災害の後に、再び観光に来られた方々を目にすることができるのは、
本当にうれしい限りです。

夏休みなどで旅行を計画される際には、ぜひ阿蘇へお出かけ下さい!
それが阿蘇の住民の方々の応援にもつながります!


※※※※ 詳細なアクセス情報はこちら ※※※※
 【熊本県防災情報ホームページ】
  http://cyber.pref.kumamoto.jp/bousai/
 【阿蘇市公式facebook】
  http://www.facebook.com/asocity

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2012年07月02日『阿蘇の野の花写真展』開催中! 【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 阿蘇 アクティブレンジャー 田上

南阿蘇ビジターセンターでは、ハナシノブなどの阿蘇地域の希少野生動植物に関する普及啓発を趣旨とした『阿蘇の野の花写真展』を開催しています。
この写真展は、6月24日に開催された「第32回はなしのぶコンサート」にあわせての催しです。(はなしのぶコンサートについては、木部アクティブレンジャーの6月29日の日記をご参照ください。)



阿蘇は日本最大面積の草原を有し、草原環境に依存して生きる動植物の宝庫です。しかし、時代の移り変わりとともに草原面積の減少や藪化などによって、草原性の動植物は絶滅の危機にあります。

展示している写真は、このような動植物や草原環境を守るために日頃から阿蘇くじゅう国立公園内の美化清掃、パトロール、自然解説などで活躍されている阿蘇地区パークボランティアの会会員のみなさんが撮影した写真です。一部の額縁はパークボランティアの協力のもと、自然素材の竹や小枝を利用して手作りしたものですので、とても暖かみのある展示となっています。

この写真展をきっかけに、阿蘇の自然や草原再生に興味を持つ方が増え、可憐な野の花がいつまでも見られるような環境が保全できればと思います。



*** 『阿蘇野の花写真展』開催日程 ***
●場  所:南阿蘇ビジターセンター
●開催期間:2012年6月24日(日)~7月13日(金) 9:00~17:00
  (ただし、毎週水曜日は休館日)
●展示内容:
①国内希少野生動植物種パネル
②阿蘇地区パークボランティアの会会員による阿蘇の野の花写真
③平成23年度 阿蘇千年の草原デジタル写真コンクール受賞作品

写真展にお越しの際は、ビジターセンターの屋外にある野草園もぜひ散策してみて下さい。季節の花が見られますよ。スタッフによるバードウォッチングやガイドウォークも催しています!
詳しくは南阿蘇ビジターセンターHPをご覧ください → http://www.minamiaso-vc.go.jp/


霧に包まれて咲くハナシノブ

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2012年06月07日ポイ捨てされたごみたち 【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 阿蘇 アクティブレンジャー 田上

毎年5月30日~6月5日の「全国ごみ不法投棄監視ウィーク」(ごみゼロウィーク)に合わせ、九州地方環境事務所では国立公園内のごみを監視する「自然公園ごみゼロデー」を実施しています。阿蘇くじゅう国立公園の阿蘇地域でも、先週末にごみ拾いを実施しました。



6月3日、早朝の天気は小雨がちらついたものの、開催時には気持ちの良い青空となりました。
場所は阿蘇市一の宮町坂梨を起点として、高森町へ走っている国道265号線沿いの約6kmの区間です。

国道265号線は阿蘇市と南阿蘇を結んでいて、地元の方のみならず観光客にもよく使われる主要な道路です。
交通量が多いためか、たばこの吸いがら、空き缶やペットボトル、お弁当がらなどポイ捨てごみが大半を占め、草の茂ったところやカーブには廃タイヤ、車のシートなどの粗大ごみもありました。約1時間半の活動で軽トラックにいっぱい(約120kg)になりました。



国立公園内では「ごみは持ち帰る!ごみ箱があればごみ箱に!」が基本ですが、ポイ捨てや不法投棄をする人は、「人目につかなければどこでもごみ箱」と思っているのでしょうか・・・。阿蘇の自然の中で、捨てられたごみはその後どうなっていくのか?誰がそのごみを片付けるのか?ということを考えてもらいたいです。

阿蘇の自然を守るため、県内各地そして遠くは佐賀県からもパークボランティアの皆さんが足を運んで下さっていることに、阿蘇1年生の私は「阿蘇は皆さんに愛されているんだな」と非常に感激しました。
阿蘇市、阿蘇地区パークボランティア、自然公園財団阿蘇支部の皆さん、ご協力ありがとうございました!

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2012年05月29日阿蘇山上展望所に注意標識設置 【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 阿蘇 アクティブレンジャー 田上

4月から阿蘇自然環境事務所のアクティブレンジャーになりました田上です。
初日記です、よろしくお願いします。

ちょっと阿蘇の紹介を・・・阿蘇には世界最大級のカルデラを擁する阿蘇火山があり、今も噴煙をあげている中岳周辺(阿蘇山上)は、火口近くまで車道やロープウェイなどが整備されていて、年間約85万人が訪れます。

阿蘇山上の火口展望所には、環境省において自然を探勝するための遊歩道や解説板などを整備していますが、先日パトロールに行ったところ、利用者の安全を図るため火口周辺に設置された木柵に観光客が寄りかかって写真撮影をしているのを目にしました。
日常のパトロールでは利用者の安全を第一にと気を遣っていますが、木柵に団体客などが寄りかかった際に火口側へ転落しないように、関係者と相談し注意喚起の標識を設置することにしました。

標識の文言について、短い言葉でわかりやすく伝えるにはどのようにするか悩みました。最終的には“寄りかからないで!”にまとまりましたが、はじめは標準的な言葉が浮かばずに、「なんかからない」「ねんかからない」「もたれない」・・・出身地の違いで方言は出てくるものの、標準的には何て言うんだ?と事務所内でひと賑わい。

観光客には海外の方もたくさん訪れるので、英文も併記して完成しました。



中国からの観光客も多く、中国語版も作成したので、近々設置します。

阿蘇山上は、火山ガスや風雨など自然条件が厳しく、施設の劣化も激しいので、パトロールの際には小さなことも見逃さず、利用者の安全確保の面でも取り組んでいきたいです。


眼下に広がる地層とエメラルドグリーンの湯だまり

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