九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。
1件の記事があります。
ページ先頭へ↑
アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、西海、雲仙天草、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、屋久島、慶良間諸島、西表石垣国立公園、やんばる国立公園、奄美群島国立公園があります。
環境省では「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(以下、種の保存法と呼ぶ)に基づき、国内希少野生動植物種に指定されている種の中の49種に対し保護増殖事業を行っています。奄美地域では「アマミノクロウサギ」・「アマミヤマシギ」・「オオトラツグミ」の3種がその対象となっています。
今回は「アマミヤマシギ」の生息状況の把握を目的に行っている「全島調査」の紹介です。この調査は毎年3月の繁殖期と6月の育雛期の年2回行っています。夜に決められた調査ルートを車でゆっくり走りながら出現する「アマミヤマシギ」を観察・カウントしていきます。2003年に始まり、11年目を数える今年の調査は、「NPO法人 奄美野鳥の会」が担当しています 。
調査中に出会った「アマミヤマシギ」(ピンボケしていますが。。。)です。
今年の3月(繁殖期)の調査結果をお知らせしましょう。確認個体数は奄美大島で309個体(昨年同時期は206個体)、加計呂麻島では34個体(同10個体)、徳之島では10個体(同10個体)となり、奄美大島と加計呂麻島で増加が確認されました。
2003年からの経年変化を見てみましょう。奄美大島では比較的安定し大きな変化はみられませんでした。しかし加計呂麻島・徳之島では若干の減少傾向が確認されています。
この「全島調査」以外にも、「生態・行動調査(標識個体調査・ラジオテレメトリー調査)」なども行っています。このような調査の結果、行動圏や年周行動に関する貴重なデータが集積されてきました。これからも引き続き調査を行い、今後の本種の保護に役立てていければと思っています。
こちらも同じく調査中に出会った「アマミノクロウサギ」です。夜間に林道を走るので様々な動物たちに出会えます。これもまた、楽しみの一つですね。
【今日の一枚】
・「コモチナナバケシダ」
・オシダ科で陰湿な林内に自生し、徳之島が北限。環境省のレッドリスト2012では、絶滅危惧IA類に選定されています。