やんばる
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2019年06月26日屋我地のアジサシたち2019【やんばる地域】
やんばる アクティブレンジャー上開地
こんにちは。
やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの上開地です。
全国的に梅雨の時期に入ってきましたね。
うちなーぐちでは梅雨のことを"すーまんぼーすー"と言うそうです。
沖縄の梅雨明けはもうすぐなのですが、6月後半になって大雨が続いています。
この雨が終わったらいよいよ梅雨明けでしょうか...?
さて、やんばるの梅雨入りは、毎年必ず紹介している"アジサシ"の時期でもあります。
今年の屋我地島(国指定鳥獣保護区)での初確認は、エリグロアジサシが5月9日、ベニアジサシが5月19日でした。
沖縄の梅雨入りが5月16日という発表がありましたので、アジサシ達が梅雨入りと共にやって来るというのが良くわかりますね。
今年もアジサシたちの子育てを守るべく、飛来状況を調査したり、ひるぎ学園の5年生と一緒に看板設置をしたりと活動が始まっています。
昨年のような悲しい結果にならないように、多くの人にアジサシについて知ってもらいたいと思います。
(詳しくは2018年08月17日の日記をご覧下さい)
今年の活動と6月のアジサシたちの様子を紹介します。
5月23日、ひるぎ学園5年生の教室で屋我地島のアジサシについてお話した後、
干潟を歩いてアジサシが繁殖しそうな岩礁へ看板設置を行いました。
▲教室でアジサシについてお話した後、子供達は取材を受けながら看板設置を行いました。
▲今年も気持ちのこもったイラストで力作揃いです。
そして、6月10日は調査員さんたちと一緒に、船からのアジサシの飛来状況調査を行いました。
▲青いフラグを付けたエリグロアジサシ
青いフラグは過去に沖縄でバンディングされた証です。
これまでのバンディング調査で17年前から屋我地島に飛来している個体も確認されています。
▲ベニアジサシたちは、梅雨明け頃に産卵を始めることが多く、この日はほとんどの個体が海上で採餌をしていました。
▲エリグロアジサシは産卵が始まっています。
昨年エリグロアジサシが繁殖していた岩礁に今年も来ていました。昨年は失敗におわってしまったので今年は成功して欲しいです!
▲昨年、釣り人が登ってしまいベニアジサシが繁殖失敗してしまった岩礁。
今年はエリグロアジサシが営巣していたので、ここにも上陸注意の看板を設置しました。
▲釣り人が多い岩礁で、巣の側に釣り糸が捨てられていました。
▲鳥獣保護区の起点になるオトフ岩。
ここでもエリグロアジサシが営巣していたので看板を設置しました。
上陸してみると、釣り人が残したお弁当ゴミ、ビール缶、釣り糸がたくさん落ちていました。
マナーを守って釣りをする人はたくさんいらっしゃると思うのですが、ごく一部の人がゴミを捨ててしまったり、たった1人がアジサシの繁殖岩礁に登ってしまうだけで、全てが台無しになってしまいます。
今年はどんな結果になるのか...。
心配ばかりが膨らみますが、多くの人にご協力いただきながら今年も活動していきたいと思います。
1人1人の心がけで、「昔も今も沖縄は綺麗だねー。」と言えるようにがんばりましょう。
アジサシたちの繁殖が成功しますように...。
アジサシについてもっと知りたい方は、
ウフギー自然館HPに掲載していますパンフレットを是非ごらんください。
○ウフギー自然館HP 各種資料
・沖縄のアジサシ ・アジサシが繁殖に来ています
2019年04月25日4月のお散歩観察会 【やんばる地域】
やんばる アクティブレンジャー上開地
こんにちは。
やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの上開地です。
前回のお散歩観察会特別編に引き続き、通常編もとっても楽しい観察会だったので、
その様子を紹介します。
▲大雨が降った朝一番、8時半にウフギー自然館に集合です。
湿度たっぷりな朝でした。真ん中の紫の上着が私です。
▲降ったりやんだり、小雨の中をいつもの観察場所の橋を渡ってみると...。
▲こんなに間近で虹が見られました!
消えてしまう前にみんなで鑑賞&撮影会...。
見つけて10分ほどで虹は消えてしまいました。
その後は定例の1分間の鳴き声調査をしました。
この日は、やんばる固有の鳥3種のアカヒゲ、ノグチゲラ、ヤンバルクイナが頻繁に鳴いていました。
鳴き声を聴いた後は、舗装路をテクテクあるいて道沿いの生き物を観察します。
冬に真っ赤なブドウのような実をつける"イイギリ"。
新緑と一緒に蕾が出てきて、4月には満開になります。
花びらが緑なので見た目は地味ですが、花らしい良い香りがします。
春先に森でよく出会う"ヤクシマドクガ"の幼虫。
頭の横の毛が長―く伸びているのでまるでツインテールの髪型みたいです。
可愛くて私の好きな毛虫の1つです。
名前が"毒蛾"だし、今にもかぶれそう...。と思われるかもですが、実は毒が無い毛虫です。
なので、手のひらの上を歩かせても大丈夫です。私もよく手に乗せて観察します。
※それでも肌が弱い体質の人は毛を強く触るとかぶれることもあるので、自分の体質をしっかり見極めましょう。
一方、こちらは触ってはいけない"マツカレハ"。
下が頭になっているんですが、ちょうど水滴が付いている部分の青い毛が毒毛です。
刺激すると、この毒毛をすりつけるように頭を振ってきます。
仕草は可愛いですが、間違っても触らないように注意です!
他にも集水マスをのぞくとヒメハブがいたり、
巨大なオオハシリグモがいたり...
◀巣を張らないクモで日本一大きいといわれるクモ。
この子は、私が見てきた中でも最大サイズでカッコいいです!
写真で伝わらないのが残念...。
ヤンバルキヌランが小さな花を咲かせていたり...。
たくさんの動植物に出会いました。
その中で、私の一押しはこの子です。
"イチモンジカメノコハムシ"の幼虫。
本体は下の白っぽい部分で、上のトゲトゲした部分は、自分の脱皮殻やウンチなんだそうです。
なぜそんな物を乗せているんでしょうか?
横から見るとこんな感じ。(参加者の人が撮ってくれました。指は私。)
右が頭、左がお尻です。 ちょっとつついてみましょう。
「えいっえいっ...」
おお......。
分かりますか?お尻の茶色いトゲトゲを盾にして身を守っているんです。
本や図鑑で読んで知っていましたが、実際に動いているのを見るのとでは、感動が大違い!けっこう力強く押し返してきます。
この子の食草はムラサキシキブで、道沿いの小さな幼木に5匹も付いていました。
ここは一般の人も車で通れる林道ですが、車を降りてちょこっと歩くだけでいろいろな生き物と出会えます。
他にも見つけた生き物はいるのですが、長くなってしまうので今日はこの辺でおしまいにします。
みなさんも身近な場所でよーく観察してみたら、面白い出会いがきっとありますよ。
今週の1枚「キカイキセルガイモドキ」
ソフトクリームのような形のカタツムリの仲間。
雨の日に海沿いの石灰岩地を歩いていたらたくさん出てきていました。
晴れだけじゃなくて雨の日のお散歩も良いですね。
2019年04月09日野鳥の旅は命懸け 【やんばる地域】
やんばる アクティブレンジャー上開地
こんにちは。
やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの上開地です。
春は旅立ちの季節。
沖縄の冬鳥達も、繁殖のために北へ移動していく時期になりました。
毎月開催「森のお散歩観察会」ですが、
4月7日は春の特別編として辺戸岬から旅立つ渡り鳥の群れを観察してきました!
(※一部写真を参加者の西尾さんからお借りしました。写真右下にクレジット有り)
▲晴天の辺戸岬 観察日和です!
▲海をのぞくと、リーフがはっきりと見えて綺麗でした。
▲到着早々、早速渡りの群れを発見。
さて皆さん、この鳥の種類は何でしょう?
沖縄の冬鳥といえば、"サシバ" "シロハラ"が代表的ですよね。
ですが、この群れの正体はこの鳥です↓
そう、"ヒヨドリ"です。
「"ヒヨドリ"って1年中いるんじゃないの!?」
とお思いの人もいるのではないでしょうか。
それも正解です。
日本全国に生息している"ヒヨドリ"ですが、実は北から南までの地域で8亜種に分けられています(日本鳥類目録第7版より)。
やんばるで1年中見られるのは、沖縄島を中心に生息する亜種"リュウキュウヒヨドリ"。
ですが冬になると、北海道や内地の冬の環境が厳しい地域から、亜種"ヒヨドリ"(北海道から九州(屋久島)にかけて生息)の一部が群れとなって沖縄にやって来ます。
実は、そういった生態をしているのはヒヨドリだけでなく、メジロやウグイスなども同じように冬にやって来る内地の個体がいます。
4月頃になると、沖縄で暖かい冬を過ごした鳥たちが繁殖地へ向けて旅立つ様子が見られるようになります。
ですが、野鳥にとって長距離の渡りは様々な危険を伴います。
▲上空を飛ぶ群れが一気に急降下を始めました。何が起きたのでしょうか。
▲海面スレスレを飛ぶヒヨドリたち。その中にひときわ大きな鳥が混じっているのが見えますか?
"ハヤブサ"です。
(沖縄では冬鳥。環境省の種の保存法で、ヤンバルクイナと同じ国内希少種に指定されています、)
野鳥の中で世界最速の飛翔スピードを持つハヤブサは、上空から獲物を蹴り落とすように襲うので、ヒヨドリたちは海面スレスレを飛んで逃げます。
▲何度も群れが攪乱されるうちに、1羽が群れから外れてしまいました。
そして...
▲その次の瞬間、あっというまにハヤブサがヒヨドリを捕らえました。
まるで、シマウマを襲うライオンのような弱肉強食の世界が、私たちの身近で繰り広げられているのです。
この日、このヒヨドリの群れはハヤブサ3羽に度々襲われ、9時前から見ていましたが11時頃に観察会を解散するまで、北へ旅立つ事はありませんでした。
ヒヨドリたちは、天敵に襲われるリスクを減らす為に、大きな群れで渡りをすると考えられます。この日、最後に撮った群れの写真を数えてみたら200羽以上の群れでした。
ハヤブサなどの天敵から身を守るのは、自分で乗り越えなければならない試練です。
ですが、沖縄を含む、琉球列島はこういった渡り鳥たちが体力を付けるための中継地点になって、小さな島のちょっとした緑地が実は重要だったりします。
みなさんの地域の緑地にも、いつもと違う鳥たちが来ているかも知れません。
春のお散歩で新しい出会いを探しに、観察に出かけてみてはいかがでしょうか。
今月の一枚「満開のハマボッス」
日本は北海道から沖縄県、東南アジア、太平洋諸島まで広く分布する海岸植物で、各地域で遺伝的な特徴を持っているそうです。
開発されていない場所では、群落になっていてこの時期とっても美しいです。
どうか持ち去らないで、その場所で大切にみてあげてください。
2019年03月28日やんばる国立公園で工作物発見...。【やんばる地域】
やんばる アクティブレンジャー上開地
こんにちは。
やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの上開地です。
児童、学生の皆さんは楽しい春休みですね。本州だとお花見真っ盛りの時期でしょうか。
沖縄の桜はヒカンザクラなので2月には満開です。
桜も終わり、やんばるの森では一足早く春の陽気で鮮やかな新緑を向かえています。
春は山の散策も楽しい季節。
調査や、国立公園の現場確認も気持ち穏やかに歩きます。
ですが、山道を歩いていると見慣れない物が設置されていました。
▲与那覇岳頂上付近の工作物
調べてみると、どうやらオリエンテーリングのチェックポイントに使われる物のようです。
周りを見ても、どんな団体がいつから付けているかは書かれていませんでした。
(写っている札は、設置に対する注意札です。)
実はこのオレンジ色の工作物、今少なくともやんばる国立公園内に5つ見つかっています。
▲大宜味村ボウジムイ ▲国頭村大国林道
▲与那覇岳登山道中の沢 ▲国頭村大国林道 大国橋
国立公園の規則を定める自然公園法では、人の行為によって景色や生き物の生息地が悪化しないように、一定のルールが決められています。
特に厳正に守られているのが、特別保護地区に指定されている場所です。
工作物が設置されていた与那覇岳の頂上の周り一帯も、この特別保護地区になっていて、
ここではたき火等も禁止なのですが、3月の巡視で頂上の三角点でたき火の跡が見つかりました。
▲与那覇岳三角点のたき火跡 ▲その側には手巻きたばこの空き缶がありました。
自然の中でのアクティビティはとても楽しい事ですが、多くの人が同じ行為をしてしまうと、やんばるらしい森の雰囲気を壊してしまい、他の来訪者の人が楽しめなくなってしまうかも知れません。
どんな人がいつ訪れてもやんばるらしい環境を楽しめるように守るのが国立公園のルールです。
他にも各市町村や地域ごとに、決められたルールがあります。
▲与那覇岳の登山道中の看板。ここから上は踏査圧によって道が削られている場所があり、立ち入り制限の協力をお願いしています。
詳しくは、やんばる3村森林ツーリズム部会HPへ
https://www.yambaru-mori.jp/rule-of-forest/
国立公園は、日本を代表する自然や景観が地域の人にも大切にされている場所が指定されます。
やんばる国立公園は2年前に誕生したばかり。
ルールについて、まだまだうまく伝えられていない部分もたくさんあります。
自然の良さだけじゃなく、ルールについても分かりやすく伝えていくのが、アクティブレンジャー含め、環境省職員の役割だと思っています。
そしてこの記事を読んでいる皆さんの協力も不可欠です。
もし、どこかの国立公園で設置者の分からない工作物がありましたら、その地域の環境省事務所に情報をお寄せ下さい。
ぜひぜひ、みなさまのご協力をよろしくお願いいたします。
○国立公園内で、工作物を設置したり動植物の採取等をする場合は、事前にご相談ください。
許可が必要な場合は、最低でも1か月の期間が必要になります。
全国の国立公園に窓口の環境省事務所がありますのでお問い合わせ下さい。
やんばる国立公園は「やんばる自然保護官事務所(やんばる野生生物保護センター内)」(ウフギー自然館HP)まで!
今月の一枚「咲き始めたユウコクラン」
今年は当たり年なのか、林道の道沿いや森の林床をよく見てみると沢山の株から花茎が立ち上がっていました。
見頃はまだまだこれからですが、下の方から咲き始めています。
語源は、夕刻の時のような色合いという説と、幽谷のような霧が立ちこめるような場所で見られる事から来ているそうです。近縁種にコクラン(黒蘭)もあります。
私は夕刻の語源が好きです!
綺麗な植物ですが、どうか持ち去らないで森の中で楽しんで見て下さい。
2018年08月17日今年のアジサシの様子は......【やんばる地域】
やんばる アクティブレンジャー上開地
こんにちは。
やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの上開地です。
夏休みももう終わってしまいますね。。
沖縄では6月から8月上旬にかけて、5つの台風が接近、通過していきました。
やんばるの様子をみていると、過去の台風よりも勢力が少し弱いものでしたが、
強い風が吹いたり1日でたくさんの雨が降りました。
この季節は、様々な生きものたちが繁殖期の真っ最中です。
毎年AR日記で紹介している海鳥のアジサシたちも、天気の影響を強く受けます。
〈過去の日記はこちら〉
・2017年06月2日 ・2016年09月15日 ・2016年06月01日 ・2013年06月20日
今年のアジサシたちの繁殖はどうだったのでしょうか...。
屋我地鳥獣保護区での活動とアジサシたちの様子を紹介します。
▲5月中旬、今年もひるぎ学園5年生のみんなとアジサシが繁殖しそうな岩礁に注意喚起の看板を設置しました。
アジサシの繁殖失敗の原因の一つに、実は私たち人間の行動が関わっています。
例えば、釣りやレジャーで繁殖している岩礁に登ってしまうと親鳥が子育てをやめてしまったり、ヒナや卵が夏の強い日差しで死んでしまいます。
他にも、人間が岩礁に残したゴミが天敵のカラスが寄りつく原因にもなってしまうので、
アジサシを知らない人が間違って登らないための注意看板です。
◀6月中旬の調査。
今年のベニアジサシの繁殖岩礁は、鳥獣保護区から少し離れた場所に決めたようです。エリグロアジサシも一緒に抱卵している親鳥もみられました。
◀7月中旬の調査。台風が過ぎ去った後も、順調に繁殖が進んでいてヒナに小魚を運ぶ様子も見られていました。潮風の影響なのか、芝が茶色になっています。
◀鳥獣保護区内のエリグロアジサシの繁殖岩礁も順調でした。
この写真は前回(7/20)の日記の
「今月の1枚」です。
ヒナと卵の数をクイズにしていたのですが、皆さん分かりましたか?
答えは、ヒナ3羽、卵1個です。
↓左○が卵、右○3つがヒナです。見事に岩礁の模様に溶け込んでいますね。
※写真をクリックすると大きい写真が開きます。
さぁ次の8月の調査では、きっと沢山の巣立った幼鳥が見られるはず!っと、楽しみに船に乗り込みました。
ところが......
◀8月上旬の繁殖岩礁。アジサシたちは全ていなくなっていました。
(黄色いロープは注意喚起の看板を付けるためのものです。)
いったい何が起きたのでしょうか。
7月末までは、アジサシの群れが岩礁にいるのが遠くからでも見えていました。
前回の調査からこの日までは台風や悪天候になることは無かったので、
もしかしたら、人が近づいてしまったのか、カラスに襲われてしまったのかも知れません。
実はこの岩礁は、長時間釣りをするためのパイプが固定されていて、釣り糸のゴミも多い岩礁です。
釣り糸に絡まって死んでいる親鳥も見つかっていて、その側には孵化したばかりのヒナも死んでいました。
今年の屋我地周辺でのアジサシの繁殖は、とても残念ですが失敗に終わりました。
かろうじて、別の岩礁1箇所のみで10羽ほどのエリグロアジサシが子育てを続けています。
ですが、ここも釣り人が多い岩礁で、釣り糸が絡まった親鳥が見られています。
◀釣り糸が絡まったエリグロアジサシ。
透明な糸がアジサシの体に巻き付いています。
※写真をクリックすると、大きな写真が開きます。
◀繁殖岩礁を調査すると、たくさんの釣り糸が見つかりました。
ベニアジサシやエリグロアジサシは、国内では主に琉球列島で繁殖する夏の渡り鳥なのですが、
全国的に年々数を減らし、今では絶滅危惧種になってしまいました。
その原因を作っているのが、私たち人間の海に対するマナーの悪さです。
人生の先輩方である、おじぃ、おばぁは「昔の海は綺麗だったよー。」と私たちに教えてくれます。
将来私たちが、同じ世代になったときに、「昔も今も綺麗だねー。」と言えるように、
1人1人が協力できることを発信していきたいと思います。
来年は、アジサシたちの繁殖が成功しますように...。
アジサシについてもっと知りたい方は、
ウフギー自然館HPに掲載してるパンフレットを是非ごらんください。
○ウフギー自然館HP 各種資料
・沖縄のアジサシ ・アジサシが繁殖に来ています
2018年07月25日お散歩観察会ダイジェスト~秋・冬・春編~【やんばる地域】
やんばる アクティブレンジャー上開地
こんにちは。
やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの上開地です。
いよいよ楽しい夏休み!みなさんはどんな予定を立てていますか?
去年の夏の終わりに、お散歩観察会「春・夏」ダイジェストを紹介してからあっというまに1年がたちました。この一年も毎月定員御礼で楽しくお散歩観察会を開催しています。
今日は、昨年のダイジェスト後の秋~春にかけてのお散歩観察会の様子を紹介します。
◀9月のやんばるの森。
まだまだ夏の雰囲気満載です。
◀イタジイの枝にはもうすぐ弾けそうなシイノミがいっぱい!
◀積もった落ち葉から白い絨毯のようにキノコが!
◀11月のやんばるの森。定例の鳴き声調査中。
秋のセミ「オオシマゼミ」の鳴き声がまだまだ元気に聞こえていました。
※10月は台風接近のため、初めての中止...。
◀今年、イタジイのドングリは豊作!拾ってみると、まさにシイシギゾウムシの幼虫が「ウンショッ...ウンショ...」と穴から出てくる所でした。可愛い!
◀12月の冬の森。
冬鳥のシロハラの「クワァっクァクァ...」という声が聞こえてきました。
◀だいぶ寒くなりましたが、秋のマダラコオロギがまだ見られました。
◀2月のやんばるの森。もう春の新緑が始まっていました。
※1月の観察会は、解説に夢中でまさかの写真の撮り忘れ...(汗)
◀新緑と一緒に咲くタブノキの花が満開でした。
◀3月のやんばるの森。
イタジイの新緑もいよいよ本番スタートです。
◀春は、いろいろな生き物たちが活発に動き始めます。
この日は車に轢かれてケガをしたリュウキュウヤマガメと出会いました。
かなり衰弱していて、すぐに動物病院さんに運びましたが残念ながら翌日に死んでしまいました。事故は起こさないことが大切ですね。
運転する時は、小さな生き物に気をつけて路上注意で走りましょう。
◀4月のやんばるの森。
森の色は春らしい色でしたが、湿度が高く、雲がかなり低い位置にありました。
◀かぶれそうで実は大丈夫なマイマイガの終齢幼虫。
正面から見える"ハ"の字模様がなかなか素敵。
◀5月の森。
イジュの花が森の中で白く咲いているのが見えました。
◀イモムシのお尻から作り出された芸術作品。筋が綺麗に均等に入って素晴らしいです。
◀6月の森。空梅雨も明けて、緑濃いやんばるの森です。
◀イタジイの木には夏の常連さんのキノボリトカゲ。
◀アカミズキの花には、オキナワクマバチ、ビロードセセリ、アオバセセリなどが吸蜜に訪れて賑やかでした。
さぁ、いかがでしたでしょうか。やんばるの森の楽しさが少しでも伝えられたら嬉しいです。
みなさんもこれから来る夏休み、身近な自然へお散歩に出かけてみてくださいね。
そして今年も!
「やんばる写真展2018」の作品を大募集中です!
やんばるの自然に親しむ作品であれば、いつ撮影されたものでも大丈夫です。
写真を撮られた方、撮る予定のある方は是非、ご応募ください 。
(ただし、ねぐらで休む個体を攪乱したり、巣に近接して撮影するなど、生きものに悪影響を与えていると見なされた写真については、選外とさせていただきます。)
みなさまの作品をお待ちしています。
詳細はこちら↓
http://www.ufugi-yambaru.com/news/event30.html#event18syasinten
今月の一枚「アジサシ繁殖はじめました」(エリグロアジサシ、屋我地島)
毎年紹介しています、アジサシたちの繁殖、今年も始まっています。
さて、写真の中にヒナは何羽?卵は何個写っているでしょうか。
答えは次回、アジサシ調査の日記にて...。
2018年07月09日野生動物との交通事故は減っている?増えている?【やんばる地域】
やんばる 佐藤 裕樹
はじめまして!
やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの佐藤裕樹です。
今年の4月から、
アクティブレンジャーとして配属されました。
主に交通事故対策やヤンバルクイナ関係を担当しています。
ご挨拶が遅くなりましたが、どうぞよろしくお願いいたします。
出身は千葉県で、
以前は東京都立の自然公園や山梨県立の公園で、
インタープリターというお仕事をしていました。
聞き慣れない言葉で頭に「?」が浮かんだ方が多いと思うので、
とっても簡単に紹介すると、
「それぞれの地域が持つ自然や文化などを、体験を通して楽しく分かりやすく伝える人」
自然保護官事務所がある、やんばる野生生物保護センターのスタッフもインタープリターです。
「インタープリター?インタープリンター?何だか気になる!」という方は、
ぜひ野生生物保護センターにいらしてみてくださいね。
さて前置きが長くなりましたが2018年も上半期が経過したので、
担当している野生動物との交通事故について現状を振り返ろうと思います。
*交通事故確認情報は年単位で集計しています。
【やんばる地域における野生動物交通事故確認情報】
2018年7月9日現在
ヤンバルクイナ 14件(交通事故防止重点区間内 0件)
ケナガネズミ 3件(交通事故防止重点区間内 2件)
あくまで参考値ですが、
2017年の7月9日までは...
ヤンバルクイナ 18件(交通事故防止重点区間内 0件)
ケナガネズミ 2件(交通事故防止重点区間内 1件)
ヤンバルクイナに注目すると確認数は昨年比4件の減少です。
この現状を見て、みなさんは交通事故数についてどう感じるでしょうか?
Aさん「4件も減った!今年は交通事故数が少なくなりそうだ。」
Bさん「確認数は4件減少だけど、実際の事故数は本当に減っているのかな?」
Cさん「4件は誤差の範囲内じゃない?たいして変わらないよ。」
さまざまな意見があると思いますが、
この交通事故確認数はあくまで人が見つけたヤンバルクイナの死体や救護個体だけ
という点に注意が必要です。
例えば、轢かれたヤンバルクイナが命からがら森に逃げ込んだ後に死んでしまったり、
道路上の死体をカラスが食べたり持って行ったりした場合は、人の目に触れずカウントされません。
そのため、交通事故確認数が減ったから交通事故数が減ったとは限らず油断はできないのです。
そんな交通事故ですが、
ヤンバルクイナに限るとここ数年は約30~40件弱の確認があります。
ただし確認される時期は特徴的で、4月~9月の6ヶ月間に集中します。
2017年:93%(全体30件、内28件)
2016年:94%(全体34件、内32件)
2015年:86%(全体37件、内32件)
↑画像をクリックすると鮮明で大きな画像で見ることができます。
あと2ヶ月で、例年通りの事故確認数になると考えると、
10件~15件ほど確認される計算になります。
この数を、「交通事故を無くす」ことで限りなく0にすることが大切です。
野生動物と交通事故を起こさないためには、
●時間に余裕を持ち、よんな~(ゆっくり)よんな~(ゆっくり)運転をする
●道路はヒトだけでなくヤンバルクイナをはじめ、さまざまな生きものが利用する場と理解する
●「○○がいるかもしれない!」と常に心の片隅にとめておく
こんな気持ちで運転するのがよいのかもしれません。
みなさんなら交通事故を防ぐため、どうしますか?
野生生物はさまざまな原因で死んでしまいますが、
私たちの努力で減らせる死因はひとつでも対策に取り組むことが大切です。
自分自身も安全運転に気を付けたいと思います。
みなさんの野生の生きものたちへの理解とちょっとした配慮を
どうぞよろしくお願いいたします!
2018年02月17日冬のやんばると小学校とのクイナ調査【やんばる地域】
やんばる 皆藤琢磨
やんばる自然保護官事務所の皆藤です。
やんばるでは夜間に10度を下回る日が多くなってきており、とても寒い日が続いています。
外温動物であるカエルやイモリといった両生類は、繁殖の時期にさしかかっており、ひっそりと、しかし活発に活動している種もいる一方で、内温動物にはやはり寒さがこたえるのか、猛禽類の救護が非常に増えております。
もし弱っている鳥などを見かけたら、まずは当センターか、最寄りの野生生物ドクター(http://okijyu.jp/yaseidoubutsuhogo.html)までお問い合わせください。
▲路上でうずくまっているところを救護されたリュウキュウオオコノハズク(2018年2月17日撮影)
さて、毎年この時期には、国頭村の小学校5校、東村の小学校1校の各生徒さんたちと一緒に、ヤンバルクイナのプレイバック調査を実施しています。集落放送から、ヤンバルクイナの鳴き声を流し、鳴き返してきた野生のヤンバルクイナの数や方向を生徒の皆さんと一緒に記録します。毎年1回、各集落のどこにどれくらいのヤンバルクイナが生息しているかを調べることで、年ごとの生息状況の傾向を推し量る目安として、各学校の総合学習等で活用して頂いております。
▲地図を前に、各班の調査結果について話し合う生徒さんたち(2018年2月6日撮影)
この調査はもう10年以上前から継続されてきており、各校で立派なデータが蓄積されてきています。生徒さんたちもだいぶ手慣れている様子です。調査方法や記録の取り方は、専門家の方々が実際に行っているヤンバルクイナの調査と同じ方法なので、大人になったとき、希少動物の保全に貢献してくれる生徒さんが出てきてくれると大変嬉しいな、と思います。
2017年12月26日冬のやんばると春に向けた準備【やんばる地域】
やんばる 皆藤琢磨
やんばる自然保護官事務所の皆藤です。
夜間に15度を下回る日も多くなってきており、沖縄にもようやく本格的な冬がやってきました。
やんばるにはシロハラやヤブサメといった冬の鳥が飛来しています。
先日、見慣れない鳥がセンターに運び込まれました。窓にぶつかって落ちていたそうです。
専門家の方に見てもらったところ、キムネビタキという中国の鳥かもしれないとのことでした。キビタキに比べ、胸がとても黄色いです。
フィールドワークは少し肌寒いですが、夏場に比べるととても快適です。この日は、来年度春期からのノグチゲラ調査計画のための現場確認を専門家の方々と共に行いました。渓流ではリュウキュウアカガエルの卵塊やオキナワウラジロガシのどんぐりがたくさん見られました。ヒメハブに注意しながら進んでいきます。
12月23日には、国頭村保健センターにて、「やんばるの不思議な生き物たち ~世界自然遺産と絶滅危惧種保全~」と題したシンポジウムが開催されました。地域の方々とやんばる研究者の方々とで、世界遺産登録に向けた取り組みを地元の方々へ紹介しました。来年度以降に向けて、やんばるでは様々な準備が進められています。
今年も残すところあとわずかとなりましたが、来年も自然をつぶさに観察しながら、やんばるの森の保全に貢献していきたいと思います。
それでは良いお年を。
こんにちは。
やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの上開地です。
今日は梅雨入りさなかの6月の観察会の様子の紹介です。
▲チラシ作成時の私の予想では、今頃は梅雨明けだったのですが外れました...。
▲梅雨明けの予想は外れましたが、清々しい良いお天気でした!
▲長尾橋から双眼鏡でイタジイの樹幹を眺めると来年熟す予定の若いシイノミが膨らみ始めていました。
▲多分、ヒメニシキキマワリモドキ?
一見真っ黒に見えますが光を当てると背中が七色に光ってキレイです。
この日の観察会では、幼虫をたくさん見つけることが出来ました。
▲ジャコウアゲハの幼虫(食草リュウキュウウマノスズクサ。毒草です。)
▲ホリシャシャチホコの幼虫(食草エゴノキ)
初めて見る幼虫で調べるのが大変でした!鮮やかな黄緑色が美しいですね。
そして一番面白い顔と模様をしていたのがこの子です。
▲アオバセセリの幼虫(食草ヤンバルアワブキ)
黄色と黒の縞々に水色の玉模様。そしてなにより、赤い顔が可愛らしいですね。
この赤い顔は、テントウムシに擬態していると言われているんだそうです。
そう言われてみると、ナナホシテントウに見えてくるような...。
このアオバセセリの幼虫、図鑑で初めて見た時からずっと会いたかった幼虫でした。
観察会の後、仕事が終わってから友人と別の道を散策したのですが、道沿いのヤンバルアワブキにもついてないかなーと思いながら歩いていると...。
▲ヤンバルアワブキの幼木の葉が巻かれています。
なんだかあやしい...。
中を覗いてみましょう。
▲いました!赤い顔の幼虫が!
▲よーく探すと大中小、さまざまなサイズの巣があって中に幼虫たちが入っていました。
今までもヤンバルアワブキは何度も見てきたのに気がつかなかったとは...。
今年が当たり年なのかも知れませんが、今まで気がつかなかったのはチョット悔しいです。
何気なく見ている景色の中にも、常に新しい発見があるんだなと改めて感じた観察会でした。
みなさんも一緒にお散歩に行きませんか?
観察会のお申し込みなど詳細はウフギー自然館HPをご覧下さい。
http://www.ufugi-yambaru.com/news/event31.html#event190714