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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します
アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、西海、雲仙天草、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、屋久島、慶良間諸島、西表石垣国立公園、やんばる国立公園があります。

調査中の出会い

2024年09月24日
対馬 千原 悠斗
こんにちは!対馬厳原事務室の千原です。
 
先月までの外にいるだけで汗をかくような暑さはすっかり落ち着き、過ごしやすい時期がやってきましたね!
この時期の、少し暮れるのが早くなった夕方に、しっとりと鳴き出すヒグラシの鳴き声が哀愁漂っていて好きです(対馬にはヒグラシがいませんので少し寂しいです)。
 
さて、今回は夏季のうちに、ヤマネコ調査の際に出会った動植物を紹介したいと思います。
 
同じ事務所の南ARの記事でも対馬の生き物が紹介されていますので、ぜひご一緒にご覧ください!(決して南ARの記事のネタをパクったわけではないです。決して)
出会いの夏 | 九州地方環境事務所 | 環境省 (env.go.jp)

カギカズラ

 
ヤマネコの痕跡調査中、黄色いボンボンのような花が目にとまりました。
この植物はカギカズラといって、「カズラ」と名のつくようにつる性の木本植物です。
葉っぱの基部分に丸くなった棘のようなものがありますが、これが名前の「カギ」の由来です。この鉤状のものを、フックのように周囲のものに引っかけ、からみつきながら成長するようです。

アカギカメムシ

 
ヤマネコ調査中、正面から大きい羽音を立てて昆虫が飛来してきました。
どことなく南国の印象を受ける赤色とメタリックな緑色が特徴的なこの昆虫はアカギカメムシといいます。
 
アカギカメムシは国内では、本来南西諸島にのみ生息していたキンカメムシ科のカメムシですが、その飛翔性の高さから分布を徐々に北上させているようです。
寄主植物としては、対馬の至る所で見られるアカメガシワがあります。

ヤマトタマムシ

 
こちらは、玉虫厨子でおなじみヤマトタマムシです。
金属光沢のある翅が美しいです。
対馬のヤマトタマムシは、本土のものとは異なり、対馬亜種に分類されています。
派手な見た目は天敵の鳥を寄せ付けないための戦略です。

コクラン

 
紫のこじんまりとした花がかわいいこちらの植物はコクランという小型のランです。
常緑樹林に生える植物で、ヤマネコ調査を行う環境と本種の生育環境が似ているのか、対馬では比較的よく見かけます。

アゲハモドキ

                   
こちらの幼虫は、アゲハモドキの幼虫です。綿毛のように白くふわふわとしていて、雰囲気がどことなく儚げです。
対馬に生息しているアゲハモドキは本土のものとは異なる亜種になります。


成虫になると、黒地に白っぽい光沢が入った翅を持つ美しい蛾となります。

                   
                    対馬で成虫に出会えていないため、本土の個体

 
いかがだったでしょうか。今回紹介した動植物のなかには身近に生息する生き物も多かったですが、じっくりと観察したり、生態などを調べてみると、新たな一面が知れて面白いと思います。
 
皆さんの興味を引くような内容となっていれば幸いです!