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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

アマミノクロウサギは何を食べてるの?

2024年06月21日
奄美 糸井朝飛
うがみんしょ~らん(こんにちは)!

はじめまして、4月から奄美群島国立公園管理事務所に着任いたしました。
アクティブレンジャーの糸井朝飛と申します。
アマミノクロウサギに関わる業務を担当いたします。
どうぞよろしくお願いいたします。


下の写真は奄美大島の動物病院で治療中のアマミノクロウサギです。
この個体は2023年1月、徳之島の道路上で交通事故により傷を負い保護されました。その後、この動物病院へ飛行機で搬送され、治療が開始されました。
背骨(脊椎)の骨折で保護されたのですが、このため下半身の一部が麻痺していて、
自力でエサを食べたり身繕いはできますが、毎日ケアが必要な状態です。

環境省ではアマミノクロウサギの保護増殖事業を実施しており、その一環で、交通事故やノネコ・ノイヌが原因で傷を負った個体の救護を行っています。救護された動物たちは地元の動物病院で治療を受けますが、このように保護された個体がいつ野生に戻ってもいいように、また動物福祉の観点から、人工的なエサだけでなく彼らの生息地にあるエサを与えるようにしています。
治療中のアマミノクロウサギ

アマミノクロウサギは有名な植物食の動物ですが、実は普段食べている植物に関してはまだまだ分かってないことが多いです。図鑑やインターネットで調べ、好物や毒がないものを選び与えています。
例えば、平川動物公園が刊行している機関誌、「ひらかわ」のNo20によると、飼育下のアマミノクロウサギはシイの実、イヌビワ、オオバコを好んで食べているので、こういった植物を確保しています。また、獣医師さんが日頃エサを与える中で、好んで食べたものを共有してもらい、その植物を取りに行っています。
「ひらかわ」no2~no31バックナンバー - 平川動物公園公式サイト (hirakawazoo.jp)

しかし、好んで食べた植物でも季節によって食べないことがあります。
これは私の想像ですが、アマミノクロウサギにも旬の植物があるのかなという印象を受けました。
ですので、普段好んで食べる植物のほかにもいろいろな植物を試すようにしています。

エサを確保している様子

↓エサとする植物↓
 
ツワブキ                ハドノキ
 
ツルマオ                イヌビワ
 
                                                                                                   オオタニワタリ                      イタドリ

バショウの花

今回は、上の写真の6科7種を確保してきました!

ツワブキ、ハドノキ、ツルマオ、イヌビワはもりもり食べてくれるのでほぼ毎回必要としています。
オオタニワタリとイタドリは以前獣医師さんから食べてくれたよと報告いただいたので、加えてみました。
バショウの花はたまたま咲いていたので試してみました。バナナの仲間というのもあり、茎や花からとても甘い匂いがしました。バナナは好んで食べるので、食べてくれるかなと思ったのですが、獣医師さんがその花を与えたところ、手をつけなかったそうです。
 

エサとする植物をまとめた
上の写真のように種ごとに袋分けし、どれがなんの植物なのかわかるように種名を記載した紙を袋に入れています。
初めてエサとりをしたときはなかなか種名が覚えられなかったのですが、事務所の先輩に教わり少しずつ覚えてきました。
今後も治療中のアマミノクロウサギのために頑張ってエサとりをしていきます!

※次のことにご注意ください
・野生のアマミノクロウサギを発見してもエサをあげないでください。
・動物病院では治療中のアマミノクロウサギを公開しておりません。
・もし弱っているアマミノクロウサギを発見したらいきなり保護せず、まずは奄美野生生物保護センター(0997-55-8620)に連絡してください。保護センターで動物病院と連絡をとり保護が必要な場合、ご協力いただける場合には段ボールなどに入れ動物病院に搬送していただくことをお願いすることがあります。保護収容できる段ボールなどを車に積んでおけるといいですね。

詳しくは下記URLをご確認ください。
死体、傷病個体の発見 | 奄美野生生物保護センター (env.go.jp)