アクティブ・レンジャー日記
あれから1ヶ月以上たった上段の野の今。【平戸・九十九島地域】
2021年03月25日こんにちは!佐世保自然保護官事務所の溝口です。
突然ですが、まず初めにこちらの画像をご覧ください。
これは、今年の2月14日に平戸の上段の野の野焼き作業後の草原です。
(野焼き作業については、こちらをクリックしてご覧ください。)
http://kyushu.env.go.jp/blog/2021/02/post-704.html
さあ!あれから1ヶ月以上たった今、上段の野はどんな姿になっているでしょうか!?
3・2・1
ジャジャーン!!!!!
一面真っ黒こげになった草原も、今は新たな命が芽生え始め、緑が蘇ってきています。
たった1ヶ月少しで、芽を出し花を咲かせていた植物をご紹介します。
▲スミレ ▲キジムシロ
▲アザミ ▲ホタルカズラ
▲ヒメハギ ▲カタバミ
可愛らしい小さな植物を確認できました。その中でも、興味深い植物を見つけました。
▼ナツトウダイという植物です。
全体的に緑色をしているので、初めはこの花の開花に全く気付くことが出来ませんでしたが、
ハエのような虫が止まっていたので、気付くことがしきました。(ん?ハエって蜜吸うのかな。。。)
しかも、面白い花の形、成長の仕方をしているのです!
▼花を近くで見てみると、このような形をしています。
中央にあるのが花の役割を果たすところです。それぞれの部位を説明すると、
1苞(ほう):これは葉のようにみえて、実は葉ではありません。花を包んでいたもので、
がくのような、葉が変形した部分をいいます。
2蜜線:中央の手裏剣のような部分で、これにハエが寄ってきていたと思われます。
3おしべ:花粉を作る部位。
4めしべ:受粉する部位。
5子房:受粉が成功すると、種子を作る部位ができます。
▼全体像もまた面白い
地面に近いところから説明すると、
Ⅰ:まず茎にたがいちがいに葉をつけます。(互生)
Ⅱ:次に、茎囲むようにぐるっと5枚の葉をつけます。(輪生)
Ⅲ:輪生した葉の中央から5又に分かれて茎を出します。
Ⅳ:そして、上記で説明した花の部分がでてきます。
Ⅴ:それにまた2又に分かれて茎を出し、同じように花をつけます。
とっても面白いですよね!
周りをよく見ると、たくさんのナツトウダイが生育していました。
ナツトウダイは、九州から北海道までの広い地域で見ることが出来るそうです。
春はまだ始まったばかり。この後も次々といろんな花を観察できそうです。
これから先も、上段の野の観察を続け、季節による変化をたのしみたいと思います。