九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。
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みなさん、こんにちは。西表自然保護官事務所の関東です。
11月22日に長らく救護していたカンムリワシ西17-03を放鳥しました。この個体は、9月6日に交通事故に遭い瀕死の状態で救護されました。救護時は体へ触れても目を閉じたままグッタリとしており、呼吸が浅く耳からの出血も見られるなど、とても助かりそうもない状態でした。また、収容し搬送している途中に意識を回復しましたが診察中に吐血するなど数日間、予断を許さない状態が続きました。
救護後、意識を回復した西17-03
数日かけて体調は改善傾向にあったものの、事故の影響で右翼の初列風切り羽をほぼ失うという鳥にとっては致命的な状態に・・・。過去の救護例から初列風切り羽は先端部分が4枚なくても飛翔に問題はありませんでした。しかし、西17-03のように9枚もなくなってしまうと上昇に必要な推進力を得られずピョンピョンと地面を飛び跳ねることしかできませんでした。
正常な翼(左)・初列風切り4枚無(中央)・西17-03の右翼(右)
飼育中に羽が伸長していく様子
それから2か月半あまり飼育した結果、上写真のように羽が生えそろったため放鳥できました。箱からさっと飛び立ち近くの立ち木へ留まって周囲を確認したのち大空へ・・・。上昇気流に乗って旋回を繰り返し無事にもとの生活圏へと戻っていきました。
放鳥の様子
・・・と、カンムリワシの飼育で四苦八苦していた10月21日にカンムリワシではない鳥が水田にいて飛べないとの連絡が入りミサゴを1羽救護しました。
救護個体は、翼や尾羽にオイル(廃油)がべっとりと付着していました。これが原因の衰弱か?と思いましたが収容して各部の状態を確かめると右翼内側を負傷していることがわかりました。
救護・飼育中のミサゴ
オイルで汚れた翼と負傷箇所
負傷箇所は、皮膚が裂け筋肉が露出していました。考えられる原因としては、魚を捕らえるため着水したときに海面をただようオイルに突っ込んでしまい、うまく飛べなくなったところでどこかに引っ掛けて負傷というところでしょうか。負傷箇所については、いつもお世話になっている野生動物救護獣医師の飯塚先生(NPOどうぶつたちの病院沖縄)に手術をお願いしました。
患部を治療した写真(NPO法人どうぶつたちの病院沖縄 飯塚獣医師提供)
患部は壊死した筋組織を取り除いて縫合、翼や尾羽、脚などに付着していたオイルも洗い流してきれいになりました。
オイルが取れてきれいになった翼や足
鳥の筋肉がどのように使われているのかは謎ですが、術後も翼をきれいに広げることができ室内である程度の飛翔は可能なことから、現在は広い外のケージへ移して元の生活へ戻れるよう訓練中です。
休憩中のミサゴ
※ミサゴは主に魚を狩って食べるワシの仲間です。西表島では夏の終わりから冬に目撃が多くなります。
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アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、西海、雲仙天草、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、屋久島、慶良間諸島、西表石垣国立公園、やんばる国立公園、奄美群島国立公園があります。
みなさん、こんにちは。西表自然保護官事務所の関東です。
11月22日に長らく救護していたカンムリワシ西17-03を放鳥しました。この個体は、9月6日に交通事故に遭い瀕死の状態で救護されました。救護時は体へ触れても目を閉じたままグッタリとしており、呼吸が浅く耳からの出血も見られるなど、とても助かりそうもない状態でした。また、収容し搬送している途中に意識を回復しましたが診察中に吐血するなど数日間、予断を許さない状態が続きました。
救護後、意識を回復した西17-03
数日かけて体調は改善傾向にあったものの、事故の影響で右翼の初列風切り羽をほぼ失うという鳥にとっては致命的な状態に・・・。過去の救護例から初列風切り羽は先端部分が4枚なくても飛翔に問題はありませんでした。しかし、西17-03のように9枚もなくなってしまうと上昇に必要な推進力を得られずピョンピョンと地面を飛び跳ねることしかできませんでした。
正常な翼(左)・初列風切り4枚無(中央)・西17-03の右翼(右)
飼育中に羽が伸長していく様子
それから2か月半あまり飼育した結果、上写真のように羽が生えそろったため放鳥できました。箱からさっと飛び立ち近くの立ち木へ留まって周囲を確認したのち大空へ・・・。上昇気流に乗って旋回を繰り返し無事にもとの生活圏へと戻っていきました。
放鳥の様子
・・・と、カンムリワシの飼育で四苦八苦していた10月21日にカンムリワシではない鳥が水田にいて飛べないとの連絡が入りミサゴを1羽救護しました。
救護個体は、翼や尾羽にオイル(廃油)がべっとりと付着していました。これが原因の衰弱か?と思いましたが収容して各部の状態を確かめると右翼内側を負傷していることがわかりました。
救護・飼育中のミサゴ
オイルで汚れた翼と負傷箇所
負傷箇所は、皮膚が裂け筋肉が露出していました。考えられる原因としては、魚を捕らえるため着水したときに海面をただようオイルに突っ込んでしまい、うまく飛べなくなったところでどこかに引っ掛けて負傷というところでしょうか。負傷箇所については、いつもお世話になっている野生動物救護獣医師の飯塚先生(NPOどうぶつたちの病院沖縄)に手術をお願いしました。
患部を治療した写真(NPO法人どうぶつたちの病院沖縄 飯塚獣医師提供)
患部は壊死した筋組織を取り除いて縫合、翼や尾羽、脚などに付着していたオイルも洗い流してきれいになりました。
オイルが取れてきれいになった翼や足
鳥の筋肉がどのように使われているのかは謎ですが、術後も翼をきれいに広げることができ室内である程度の飛翔は可能なことから、現在は広い外のケージへ移して元の生活へ戻れるよう訓練中です。
休憩中のミサゴ
※ミサゴは主に魚を狩って食べるワシの仲間です。西表島では夏の終わりから冬に目撃が多くなります。