九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。
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アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、西海、雲仙天草、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、屋久島、慶良間諸島、西表石垣国立公園、やんばる国立公園、奄美群島国立公園があります。
屋久島自然保護官事務所の水川です。
5月も気付けば残り一週間となり、
屋久島は空気がじめじめ、雨がしとしと降る日が多くなってきました。
いよいよ梅雨入り間近といった感じです。
さて、5月8日に海岸巡視に行ってきました。
月に一度の海岸巡視では、国立公園区域の海岸など8箇所を巡視します。
登山道の巡視と同様に、公園区域の見回りや看板の修理・清掃、モニタリング撮影などを行います。
この日の巡視では、春らしく色んな花が海岸に咲いていました。
①浜のモニタリング撮影②クサスギカズラ③ハマボッス④テッポウユリ
テッポウユリは全国、世界で栽培されますが、原産地は九州南部なんですよ。
そして、この時期はウミガメがやってくる季節でもあります!
この日の海岸巡視では、8箇所中5箇所の海岸でウミガメの上陸跡を確認しました。
アカウミガメの足跡。
アカウミガメは左右の足を交互に動かすので、尾の跡が赤線のようなS字になります。
ウミガメが浜に上陸するのは、もちろん産卵のためです。
4月下旬から8月上旬の産卵期には、屋久島のいたる浜で、
ウミガメの足跡や産卵のために掘った穴を見ることができます。
このぽっかり開いた穴はウミガメが産卵のために掘った穴です。
しかし、ここに卵が埋まっているかといえば、そうではありません。
実はこれ、穴掘りに失敗した跡なんです。
ウミガメは卵を産むために60㎝程の穴を掘りますが、
天気が良く砂がサラサラしていたりすると、上手く穴を掘ることができず、
産卵しないで海に帰ることがあります。
上手く穴を掘って産卵した場合、母ガメは後肢で器用に砂をすくって穴を埋め、最後にカモフラージュをするので、どこに産んだのか分からなくなります。
屋久島には、日本に上陸するアカウミガメのおよそ半分が上陸するとされていますが、そのうちの約9割は、北太平洋で最も高密度にアカウミガメが産卵に訪れる浜としてラムサール条約湿地に登録されている「屋久島永田浜」に上陸します。
屋久島が世界自然遺産に登録されてから、永田浜を訪れる人も増えました。
観光客の増加は必ずしも悪いことではありませんが、
永田浜では、無意識に行われるライトを多用した夜間観察や砂浜の踏み固めが、産卵や子ガメのふ化、産卵巣からの子ガメの脱出などに与える影響が懸念されるようになりました。
そこで永田浜では、
できるだけ多くの方に、ウミガメへの影響を最小限にしながら、その生態を観察して頂くために、「永田浜ウミガメ観察ルール」を地域の自主ルールとして定めています。
5月1日~8月31日はウミガメ観察ルール対象期間ですので、
永田浜に訪れる際は、永田浜ウミガメ観察ルールへのご理解とご協力をよろしくお願いします!!
永田浜ウミガメ観察ルール(屋久島世界遺産センターHP)
http://www.env.go.jp/park/yakushima/ywhcc/np/kansatu.htm
ウミガメ観察会予約(永田ウミガメ連絡協議会HP)
http://umigame.refire.jp/