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アクティブ・レンジャー日記
自然ふれあい行事 in 与論島
2025年01月30日
奄美
与論島でワイルドライフセミナーと自然観察会を行いました!
こんにちは!奄美野生生物保護センターの髙野です。
奄美群島12市町村、鹿児島県、環境省によって構成され、奄美野生生物保護センターの管理運営を担う奄美自然体験活動推進協議会では、自然ふれあい行事を年に数回開催しています。今年度はヨロン島エコツアーガイド連絡協議会の協力のもと、2024年11月30日(土)にワイルドライフセミナー「奄美群島の鳥、与論島の鳥」と、自然観察会「奄美トレイルで生きもの探し in 与論島」を与論島で開催しました!
与論島はサンゴ礁が隆起したことにより形成されたため、標高が低く比較的平坦な島です。サンゴ由来の白い砂浜と「ヨロンブルー」と称される美しい海が有名で、マリンアクティビティが盛んです。一方で、陸の自然について触れている媒体や観察会などはあまり目にしません。山や森林が少なく、島の大部分が農地だからでしょうか。
しかし、与論島は身近な環境にも昆虫やクモなどの小さい動物があふれていて、渡り鳥も様々な種が見られます。大規模な山林ではなくても、農地や小規模な林や水場、古びた石垣の隙間にも、多くの生きものの営みがあるのです。
人々の生活を支える「海の豊かさ」というのは、陸にも豊かな自然や生物多様性があることで成り立っており、その逆もしかり。与論島には陸にもいろんな生きものがいることを知ってほしい。そこで、今回の自然ふれあい行事は「陸の生きもの」にスポットライトを当ててみました!
奄美群島12市町村、鹿児島県、環境省によって構成され、奄美野生生物保護センターの管理運営を担う奄美自然体験活動推進協議会では、自然ふれあい行事を年に数回開催しています。今年度はヨロン島エコツアーガイド連絡協議会の協力のもと、2024年11月30日(土)にワイルドライフセミナー「奄美群島の鳥、与論島の鳥」と、自然観察会「奄美トレイルで生きもの探し in 与論島」を与論島で開催しました!
与論島はサンゴ礁が隆起したことにより形成されたため、標高が低く比較的平坦な島です。サンゴ由来の白い砂浜と「ヨロンブルー」と称される美しい海が有名で、マリンアクティビティが盛んです。一方で、陸の自然について触れている媒体や観察会などはあまり目にしません。山や森林が少なく、島の大部分が農地だからでしょうか。
しかし、与論島は身近な環境にも昆虫やクモなどの小さい動物があふれていて、渡り鳥も様々な種が見られます。大規模な山林ではなくても、農地や小規模な林や水場、古びた石垣の隙間にも、多くの生きものの営みがあるのです。
人々の生活を支える「海の豊かさ」というのは、陸にも豊かな自然や生物多様性があることで成り立っており、その逆もしかり。与論島には陸にもいろんな生きものがいることを知ってほしい。そこで、今回の自然ふれあい行事は「陸の生きもの」にスポットライトを当ててみました!
ワイルドライフセミナー「奄美群島の鳥、与論島の鳥」
ワイルドライフセミナーでは、奄美野鳥の会理事の鳥飼久裕さんを講師としてお招きし、奄美群島の鳥類相、与論島で見られる鳥などについて、最新の知見も交えながらお話いただきました。
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秋になると奄美群島各地に多数渡ってくるサシバの話、与論島にもいると推測されているアマミヤマシギの話など、奄美群島と与論島の鳥について深く広く知ることができるセミナーでした。
また、身近な鳥という印象の強い「スズメ」のお話も興味深いものでした。与論島では現在、スズメが見られません。昔はいくらでもいたそうですが、その「昔」の与論島には、水田が広がっていました。イネからサトウキビへ基幹作物の転換が進み、水田がほとんどなくなってしまったことが、スズメが姿を消した原因の一つではないかと考えられているようです。
ワイルドライフセミナーの内容は大人向けの難易度となっていましたが、与論島でガイドをされているベテランから熱心な小学生まで、様々な年代の島民の皆様にご参加いただきました。また、今年度は与論町役場での現地開催とともに、誰でも視聴できるオンライン配信を同時開催したので、島外の方々にも聴講していただけました。
また、身近な鳥という印象の強い「スズメ」のお話も興味深いものでした。与論島では現在、スズメが見られません。昔はいくらでもいたそうですが、その「昔」の与論島には、水田が広がっていました。イネからサトウキビへ基幹作物の転換が進み、水田がほとんどなくなってしまったことが、スズメが姿を消した原因の一つではないかと考えられているようです。
ワイルドライフセミナーの内容は大人向けの難易度となっていましたが、与論島でガイドをされているベテランから熱心な小学生まで、様々な年代の島民の皆様にご参加いただきました。また、今年度は与論町役場での現地開催とともに、誰でも視聴できるオンライン配信を同時開催したので、島外の方々にも聴講していただけました。
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自然観察会「奄美トレイルで生きもの探し in 与論島」
観察会では、サシバを中心とした冬鳥、気温が低くても見られるチョウを主に観察しました。場所は与論島南部の高台に位置する与論城跡。世界自然遺産奄美トレイル「赤崎・城集落・ビドウコース」の一部です。
世界自然遺産奄美トレイルとは、全51コース、総延長は約550kmにもなる、奄美群島の各島に伸びる長距離の自然歩道です。与論島には3コースあり、島を一周するようにつながっています。
世界自然遺産奄美トレイルとは、全51コース、総延長は約550kmにもなる、奄美群島の各島に伸びる長距離の自然歩道です。与論島には3コースあり、島を一周するようにつながっています。
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講師は、鳥飼久裕さん(奄美野鳥の会理事)、佐藤真人さん(株式会社生態計画研究所主任研究員)、麓才良さん(ヨロン島エコツアーガイド連絡協議会会長)の3人体制という、豪華な観察会となりました。
観察会当日は晴れ!風も穏やかで、人も野生動物も過ごしやすい観察会日和でした。
イソヒヨドリやウグイスなど小鳥の声がたくさん聞こえ、「ピッ・クイー!」というサシバの特徴的な鳴き声も響いていました。
観察会当日は晴れ!風も穏やかで、人も野生動物も過ごしやすい観察会日和でした。
イソヒヨドリやウグイスなど小鳥の声がたくさん聞こえ、「ピッ・クイー!」というサシバの特徴的な鳴き声も響いていました。
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子ども達には1人1つずつ双眼鏡を貸し出し、それぞれのペースでじっくり観察してもらいました。講師の鳥飼さんが持ってきた望遠鏡も順番に覗いて、双眼鏡でもよくわからないほど遠くにいる鳥や、レンズに大きく映る様々な種類の鳥の姿を楽しみました。
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講師の佐藤さんと私は捕虫網を使ってチョウを捕まえ、翅の色彩や種類ごとの特徴を子ども達の間近で解説しました。また、子ども達には生きた実物に触れてもらい、チョウへのダメージが小さい持ち方などを教えました。
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与論島では「オニグモ」呼ばれるチブサトゲクモ、「ギジン」と呼ばれるジネズミ(死骸)も道中で見られました。与論島のジネズミは、「ワタセジネズミ」と「リュウキュウジャコウネズミ」の2種がいるようですが、吻の長さや尾の太さ等から、今回見られたのはワタセジネズミと思われます。
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麓さんには与論城跡の成り立ち、沖縄県国頭村と与論町の交流など、地理や歴史の解説をしていただきました。みなさん興味深そうに話に聞き入り、地元にいても知らないような与論島の一面に触れることができました。
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麓さんが井戸の古びた蓋を持ち上げ、「覗いてごらん」と声をかけます。思った以上に深かったようで、大人も子供も驚いた声を上げていました。河川がほとんどない与論島では、水道のない時代に地下水を利用するために深い深い穴を掘っていました。
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最後に屋内に集合して、観察会で見つけた生きものをみんなで復習しました。
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観察会参加者は総勢19名!大人も子どもも楽しそうに観察してくれていました。
これまでの自然ふれあい行事は奄美大島での実施がほとんどで、与論島での開催は初めてでした。奄美大島での開催とは勝手が違うことも多く、準備でも本番でもバタバタと大変だった観察会でしたが、最終的には大成功の結果に終わりました。今回の与論島での経験を糧に、今後は他の島での開催も積極的に計画していきたいと思います!
これまでの自然ふれあい行事は奄美大島での実施がほとんどで、与論島での開催は初めてでした。奄美大島での開催とは勝手が違うことも多く、準備でも本番でもバタバタと大変だった観察会でしたが、最終的には大成功の結果に終わりました。今回の与論島での経験を糧に、今後は他の島での開催も積極的に計画していきたいと思います!
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ワイルドライフセミナーや自然ふれあい行事の開催は、奄美群島内のラジオや新聞での広報の他、奄美野生生物保護センターのHPでもお知らせを行っています。奄美大島での観察会は夏休み中に3回ほど行っていますので、気になる方はチェックしてみてください。よろしくお願いします!