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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。
 アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、西海、雲仙天草、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、屋久島、慶良間諸島、西表石垣国立公園、やんばる国立公園があります。

令和6年度平成新山防災登山(秋)

2024年11月19日
雲仙 干野 光幸

仁田峠駐車場で集合


 11月19日(火)火山防災関係者による平成新山防災視察登山が実施されました。この登山は九州大学、島原半島の3市、県、警察、消防、国土交通省、気象庁等の関係機関が参加し、通常は立入禁止の平成新山警戒区域の現状を把握するため、春と秋の2回/年、実施されています。
 今回は、悪天候で1日順延となりましたが、総勢67名で出発しました。

晩秋の登山道


 集合場所の仁田峠は、晴れていましたが、登るにつれて、霧が濃くなり、周りの風景は、全く見えなくなりました。前日の強風で紅葉も落ち、枯木が目立っています。同行しているマスコミの方は取材しながら、登られていました。

濃霧の中で休憩


 いよいよ立入禁止区域(警戒区域)に入ってきました。相変わらず、濃霧に包まれ、景色は全く望めません。気象庁の方がこの付近の噴気の観測を行う間、皆さんは一休みです。
 この先は登山道はありません。溶岩が冷えて堆積したガレ場をよじ登ることになります。

明るくなってきて


 ガレ場にとりついて、すぐに明るくなってきました。風も無く、「このまま、晴れてくれれば。」と祈りながら、登ります。

好天に感動


 願いが通じたのでしょうか。晴れ間が広がってきました。眼下に立岩の峰が見えています。溶岩が堆積した巨岩と上から見下ろす雲仙岳の峰々、普段見ることができない風景に感動しつつ、険しいガレ場をよじ登ります。

昼食休憩


 山頂付近に近づきました。風は弱く、穏やかです。山頂の岩場は、噴気の湯気で見え隠れしています。ここで休憩し、昼食の後、山頂へ向かいます。

山頂


 山頂で噴気の温度や火山活動の現状について、九州大学、気象庁より説明がありました。火山活動は落ち着いており、噴火による被害の可能性は低いが、地震等による溶岩ドームの崩落が心配、とのことでした。
 山頂付近をグルッと一周すると、見る角度によって、山の表情が変化します。ゴジラの背中のようです。

熊本方面遠景


 平成新山山頂溶岩ドームより、眼下には島原市街地、有明海を隔てて、熊本市街地が見えます。遠くの山々は阿蘇外輪山でしょうか。
 この後、昼食休憩した場所まで戻り、霧氷沢へ向かって下山しました。疲労した足腰での下山は登りよりも危険が伴います。お互いに声を掛け合い、慎重にガレ場を下山しました。
 麓の自治体では、今も溶岩ドーム崩落に備えた防災訓練が実施されています。自然の雄大さを感じつつ、怖さも実感した防災登山でした。