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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。
アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、西海、雲仙天草、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、屋久島、慶良間諸島、西表石垣国立公園、やんばる国立公園があります。

ツアー×清掃×学習会「嵯峨島クリーンアップ&クルーズを火山学者下司教授とともに」

2024年11月22日
五島 片山 美希
こんにちは!
五島自然保護官事務所の片山です。
最近一気に寒くなり、朝の布団からなかなかでられずにいます。
冬がようやくやってきたようですね!
 
11月17日に五島自然塾開催のツアー×清掃×学習会「嵯峨島クリーンアップ&クルーズを火山学者下司教授とともに」が開催されました。
 
嵯峨島は男岳と女岳の2つの火山が繋がりできた島で、島全体が西海国立公園になっています。
今回は船より火山学者である下司教授の解説を聞きながら嵯峨島を周遊した後、嵯峨島を歩き千畳敷でのフィールドワークもありました。
 
地層がしましまになっているのは噴火が強い爆風(荒い地層)か弱い爆風(細かい地層)で変わってくる。
 
地層にくっついている白いものは「沸石(ふっせき)」と言い、温泉の沈殿物である。
清掃活動は約1時間近く漂着したごみを拾いました。
 
千畳敷から見た清掃活動した海岸
 
回収した漂着ごみ(一部)
今回は玉石(荒波にもまれ石が削られ丸くなったもの)がたくさんある海岸で、波も高く上がることから発泡スチロールやウキなどの漂着物が多くあり、軽トラック4台分のごみを回収することができました。
 
最後は九州大学の下司教授、清野准教授、五島市役所ジオパーク専門員の川澄さんによる講演もありました。

嵯峨島の生い立ちとできた時期について

嵯峨島は初めにマグマと海水が接触して激しい爆発を起こし、マグマの破片や灰など降ったものが固まりました。そして何度も爆発を繰り返し、しましまの地層ができたそうです。
その爆発は1分後再度爆発する…等爆発の間隔もバラバラだったそうです。
そして噴火の後半にはマグマのしぶきが積もり、女岳と男岳の山を作り、あふれ出した溶岩が平地を作りました。
嵯峨島を見ていくと女岳の溶岩の上に男岳の溶岩があることから女岳の方が先にできたと考えられます。
嵯峨島ができた時期ははっきりとは解明されていませんが、気候からすると温かい時期のため、12,3万年前か25,6万年前が想定されるそうです。

五島列島の魚が美味しい理由と漂着ごみについて

五島列島は深い海と浅い海が両方あるため、魚種も多いです。また、五島列島のいたるところで見られるリアス海岸が魚の産卵場であり稚魚が育つ大事な場所です。対馬暖流の影響により高い波や強い風があるために海底にも酸素が入るため、栄養がたくさんある海となり魚が多くやってきます。
ただ、最近は海水温が高くなった影響で多くの魚は産卵した場所に戻ることができないそうです。
また、五島列島に漂着ごみが多い理由として対馬暖流の影響を受け波や風の力を利用して漂着ごみもあがってきます。
実際に清掃活動した場所は強い波の影響から海岸には大きな玉石と多くの漂着ごみがありました。

イベントの参加者からは「今までの謎が解けた!」「自分の畑を囲っている岩は穴のあるものとないものがあり不思議に思っていたけれど、空気に触れている岩と空気に触れていない岩の違いだということがわかった!」との声がありました。
 
今回のイベントを通して嵯峨野島の魅力と国立公園としての資質をより知ることができました。
何気なく見ていた景色に色々な歴史や意味があるということがわかり、意識してみるとまた違う景色が広がっていました。
他の場所についても、色々な視点で見て考えていきたいです。