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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。
アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、西海、雲仙天草、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、屋久島、慶良間諸島、西表石垣国立公園、やんばる国立公園があります。

雄川の滝の地形・地質調査に同行しました

2024年09月25日
鹿児島 新田真裕子
みなさん、こんにちは!霧島錦江湾国立公園管理事務所の新田です。
霧島錦江湾国立公園管理事務所では、7月に入域料を導入した雄川の滝において、自然資源を活用した利用者満足度の向上を行うことを目的として調査検討業務を行っています。
今回は雄川の滝の成り立ちを知るため、地形・地質調査に同行してきました。

今回の調査では、火山学と地質学の有識者の先生方と現場に行き、雄川の滝の特徴的な地形についてお話を伺いました。
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今回はエメラルドグリーンの雄川の滝を見ることができました!
駐車場奥に見える白い岩肌は、溶結凝灰岩です。この溶結凝灰岩が雄川の滝まで続いています。 溶結凝灰岩は、火山の噴火により生じた火山灰や礫などによる高熱の火砕流が堆積して固まった岩で、幾何学上の節理があるのが特徴です。鹿児島県の錦江湾には約11万年前の大きな噴火により形成された阿多カルデラがあり、その噴火による阿多火砕流がこの地域に堆積しました。
 
遊歩道を歩いて、雄川の滝展望所にたどり着くと、はっきりと岩肌が見えます。 この岩肌も11万年前の噴火でできたものだと思うと、感慨深いです。 このでこぼことした岩肌は、阿多火砕流が短時間に急激に冷却されてできたものということだそうです。そして、ここを見ることで、阿多火砕流はとても高温の火砕流が一気に流れ込んだことがわかるそうです。 滝壺の白い砂は溶結凝灰岩起源のものということです。エメラルドグリーンと白い砂のコントラストの美しさも大自然の恵みですね。
 
火山学の先生によると、「雄川の滝のような地質が確認できる場所が保護されているのは、とてもすばらしいこと。」とおっしゃっていました。
今回の調査で、雄川の滝のストーリーに触れることができ、11万年前に形成され、川によって年月をかけて削られてきた地形を見ていると思うと、自然って偉大だなと改めて感じることができました。
今回の調査結果をもとに、雄川の滝の成り立ちを紹介することで、来訪者の皆さんにより雄川の滝への興味を深めていただければと思います。
みなさんも是非、雄川の滝で悠久の時の流れを感じながら散策されてはいかがでしょうか。