アクティブ・レンジャー日記
奄美群島の無人島にはどんな鳥がいるの?
2024年09月13日
奄美
うがみんしょ~らん!(こんにちは)
奄美野生生物保護センターの糸井です。
8月2日~3日、環境省が実施する「重要生態系監視地域モニタリング推進事業(通称:モニタリングサイト1000)」の一環として、公益財団法人 山階鳥類研究所が実施する小島嶼(海鳥)調査に同行してきました!
環境省では、日本の複雑で多様な生態系の劣化をいち早くとらえ、適切に生物多様性の保全につなげることを目的として、2003年に「モニタリングサイト1000」を始めました。
モニタリングサイト1000では、陸から海まで代表的な8タイプの生態系を対象に全国に1000カ所以上の地点で調査をしています。また、自然は常に変動しており、長期間調査をしないと変化や異変に気づけないため、100年以上かけてモニタリングを行ないます。奄美群島は8タイプの生態系のうち小島嶼に分類されています。
小島嶼では、陸上環境と周辺の海洋環境の両方を利用する海鳥を指標とし、生息種や繁殖状況、繁殖地周辺の環境などのモニタリングを行なっています。
今回私が参加したのは、与路島と請島の間にある無人島のハミヤ島での、オオミズナギドリ営巣地調査と、夜間アナドリ標識調査です。ハミヤ島にはオオミズナギドリとアナドリが営巣しており、3年に1回程度調査を行ない繁殖状況や個体数の増減をモニタリングしています。
奄美野生生物保護センターの糸井です。
8月2日~3日、環境省が実施する「重要生態系監視地域モニタリング推進事業(通称:モニタリングサイト1000)」の一環として、公益財団法人 山階鳥類研究所が実施する小島嶼(海鳥)調査に同行してきました!
環境省では、日本の複雑で多様な生態系の劣化をいち早くとらえ、適切に生物多様性の保全につなげることを目的として、2003年に「モニタリングサイト1000」を始めました。
モニタリングサイト1000では、陸から海まで代表的な8タイプの生態系を対象に全国に1000カ所以上の地点で調査をしています。また、自然は常に変動しており、長期間調査をしないと変化や異変に気づけないため、100年以上かけてモニタリングを行ないます。奄美群島は8タイプの生態系のうち小島嶼に分類されています。
小島嶼では、陸上環境と周辺の海洋環境の両方を利用する海鳥を指標とし、生息種や繁殖状況、繁殖地周辺の環境などのモニタリングを行なっています。
今回私が参加したのは、与路島と請島の間にある無人島のハミヤ島での、オオミズナギドリ営巣地調査と、夜間アナドリ標識調査です。ハミヤ島にはオオミズナギドリとアナドリが営巣しており、3年に1回程度調査を行ない繁殖状況や個体数の増減をモニタリングしています。
ハミヤ島までは山階鳥類研究所がチャーターした船で古仁屋港から2時間程度かけて向かいました。ハミヤ島には当然ながら港や船の停留所のようなものはないため、岩場に船が乗り上げて上陸しました。岩場が非常にごつごつし高低差があるため、調査地へ向かうのがとても大変でした。みんなで協力し調査道具をもち、岩場を超え、休憩を挟みながら調査地へ向かったので、調査というよりは冒険の印象が強く非常にわくわくしました!
オオミズナギドリ営巣地調査
オオミズナギドリは、日本の島々で繁殖する夏鳥で、奄美近海だとハミヤ島などで繁殖します。全長約50cm翼開長約120cmと日本のミズナギドリ科では最大の大きさになります。翼角から脇にかけて黒い縦線模様が特徴です。ハミヤ島ではソテツやアダンなどの樹木が密生した斜面に穴を掘り、穴の中で営巣しています。この中の一カ所に4m×25mの調査区を設定し、調査区内の巣穴を4人で4m×1mごとに目視で数えました。この調査を行なうことで、オオミズナギドリの繁殖状況や生息数が推定できます。
アナドリは1998年以来ハミヤ島で繁殖が確認されている夏鳥です。全身が黒褐色で、虹彩も嘴も黒色が特徴です。ハミヤ島では岩場の隙間で繁殖しており、アナドリは日中海上でエサを獲り胃に蓄え、夜間巣に戻るため、戻ってきたところを捕獲し、個体識別のための足環を装着し放鳥しました。このように足環を付ける調査を標識調査と呼び、放鳥した個体が再捕獲されたときや観察されたときに足環の番号を調べると、その個体がいつどこで放鳥されたのかが分かるため、移動の距離や年齢などが明らかになります。そしてこの情報を解析することにより、生態が明らかになり鳥類の保全に役立ちます。渡り鳥はさまざまな国に移動するため、条約や協定を結び、生息地の保全や、輸出入の規制など渡り鳥を保全するため国際協力にもつながります。足環を付ける標識調査は一見かわいそうに見えるかもしれませんが、鳥類を守るための大切な調査です。
調査を行なって
オオミズナギドリ営巣地調査では、調査地に向かうまでに、4~5mほど急斜面を登り、密集した樹木の隙間をくぐり抜ける場面があったのですが、とても大変でした。また、調査地も急斜面なので、滑落しないように気を配りながら調査を行なうのが非常に大変でした。しかし、このような過酷な環境の調査でも、巣穴の記録だけでなく、目や耳、におい等で繁殖地周辺の環境や繁殖状況を確認できるため、この場所をモニタリングし続けることは非常に大切だと感じました。
また、夜間アナドリ標識調査では、アナドリが岩場で営巣しているため、かすみ網を岩場の際に設置する必要があるのですが、視界や足下が悪いなか、ヘッドライトや懐中電灯を頼りに調査を行なったので、オオミズナギドリ営巣地調査同様滑落しないように気を配りながら調査を行なうのが非常に大変でした。アナドリは太平洋、大西洋、インド洋に広く分布するため、今回標識をつけた個体が何年生きて、どこへ渡るのか非常に楽しみです。
調査結果については、山階鳥類研究所が結果をまとめ報告書を作成するため、具体的な数値や結果は載せられませんが、過去の報告書は下記で読むことができます。お時間があるときにご覧ください!
報告書 - モニタリングサイト1000 (biodic.go.jp)
※ハミヤ島は奄美群島国立公園の第二種特別地域に指定されており、野営のためにテントを設置する場合、自然公園法に係る事前の許可が必要です。今回の調査は自然公園法及び鳥獣保護管理法の許可を得た上で実施しました。
また、夜間アナドリ標識調査では、アナドリが岩場で営巣しているため、かすみ網を岩場の際に設置する必要があるのですが、視界や足下が悪いなか、ヘッドライトや懐中電灯を頼りに調査を行なったので、オオミズナギドリ営巣地調査同様滑落しないように気を配りながら調査を行なうのが非常に大変でした。アナドリは太平洋、大西洋、インド洋に広く分布するため、今回標識をつけた個体が何年生きて、どこへ渡るのか非常に楽しみです。
調査結果については、山階鳥類研究所が結果をまとめ報告書を作成するため、具体的な数値や結果は載せられませんが、過去の報告書は下記で読むことができます。お時間があるときにご覧ください!
報告書 - モニタリングサイト1000 (biodic.go.jp)
※ハミヤ島は奄美群島国立公園の第二種特別地域に指定されており、野営のためにテントを設置する場合、自然公園法に係る事前の許可が必要です。今回の調査は自然公園法及び鳥獣保護管理法の許可を得た上で実施しました。