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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。
アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、西海、雲仙天草、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、屋久島、慶良間諸島、西表石垣国立公園、やんばる国立公園があります。

足下にご注意を!

2024年08月22日
対馬 千原 悠斗
こんにちは。対馬自然保護官事務所厳原事務室(ツシマヤマネコ野生順化ステーション)の千原です。
 
対馬に来て2度目の夏を迎えました。
本土と比較して気温の低い対馬でも、夏場は暑く、炎暑に苦しみながらも日々、ヤマネコの生息状況を調査すべく、山へと向かいます。
 
今回はそんな夏時期に山に入る際の注意についてです。
 
夏はどこも気温が高く、涼をとるため、肌の露出が多くなる季節ではありますが、山や草むらに入る際には特別、注意が必要です。
野生生物が暮らす自然環境の中では、春の気温上昇から活発になった生き物が多数生息し、なかには毛虫やダニ、ハチ、毒蛇など人に被害を与える生き物もいるためです。

地味な見た目でも注意

先日、ヤマネコ調査の最中に有毒種であるマムシに遭遇しました。


                
日光浴中でしょうか?シダの上で初めてヘビを見かけました。
パシャパシャと撮影していても、我関せずといった感じで全く動きません。
 
対馬に生息するマムシは本土に生息するニホンマムシと異なり、ツシママムシとされている種で、ニホンマムシとは元々同種とされていましたが、1994年に新たに記載されました。
対馬にだけ生息する固有種で、対馬では古くから「ひらくち」と呼ばれています。
 
▲ケガをしていても警戒態勢は忘れない本種
 
本土でマムシを見たことがある方は分かると思いますが、大きさも色味もニホンマムシと大変似ており、違いがわかりにくいです。
いくつかある違いの中で、わかりやすい違いとしては背中の模様の違いが挙げられ、両種とも背中に丸い円模様を有していますが、ニホンマムシはこの模様の中に黒い点のような斑があり、ツシママムシにはそれがありません。
 
そのほか、見ための違い以外にも、本土のマムシと比較すると攻撃性が高いといわれています。
 
 ▲2匹で固まっていたツシママムシ
 
ツシママムシは、個人的に対馬で最も見かけるヘビです。
ヤマネコの調査環境がツシママムシの生息環境に似ているのもありますが、対馬に生息していて生態の似ているアカマダラよりも多く見かけますし、道路上では車に轢かれた死体もたびたび目にします。
夏も折り返しているところですが、本種は個体数も多く、9月あたりまでも活発に動くようですので、対馬で林内などに入られる際には、足下に注意をしましょう。
 
また、対馬本土問わず、マムシやダニ、ハチなどの危険は身近なところに潜んでいますので、野外作業やレジャーなどの際には服装などに十分に気をつけましょう!