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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。
アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、西海、雲仙天草、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、屋久島、慶良間諸島、西表石垣国立公園、やんばる国立公園があります。

小さな島で繋がる命のバトン

2024年07月05日
屋久島 中本合海
こんにちは。屋久島事務所の中本です。
今年もたくさんのウミガメが産卵のため屋久島にやってきました。
毎年多くの命がこの小さな島で産まれています。
今回はウミガメを守るための屋久島での取り組みやルールについてご紹介します。
母ガメ

ウミガメについて

世界にはウミガメ科、オサガメ科からなる7種類のウミガメが生息しています。
中でも日本に産卵に訪れるアカウミガメ、アオウミガメ、タイマイを含めた
6種類が海の環境や産卵場所の環境の悪化により数が減少し、絶滅危惧種に指定されています。

屋久島とウミガメ

屋久島に上陸するのは主にアカウミガメとアオウミガメで、そのほとんどはアカウミガメです。
アカウミガメの上陸数においては、日本全体の30~40%を占めており、屋久島は北半球で最大のアカウミガメの産卵地となっています。
島の北西部に位置する永田区には島内最大の砂浜がある永田浜(前浜・いなか浜・四ツ瀬浜の総称)は
特に上陸数が多く、ラムサール条約湿地に登録され浜の環境が守られています。
いなか浜からの夕日
アカウミガメの足跡
アオウミガメの足跡

上陸から産卵そしてふ化

多くのウミガメは、その生涯のほとんどを海の中ですごします。
ただ、親ガメの産卵と子ガメのふ化だけは砂浜で行われます。
屋久島へは5月上旬から7月下旬にかけて産卵のため浜に上陸産卵、9月末にかけて子ガメが卵からふ化し、海に帰っていきます。
北太平洋の海を回遊し、また数十年後に屋久島の浜に産卵のために戻ってくるのです。
産卵中
海を目指す子ガメ

保護と調査

屋久島では、環境省、県、町、地元団体や区で構成された屋久島町エコツーリズム推進協議会ウミガメ保護利用専門部会があります。
この専門部会が主体となり、検討会の実施や地元団体による観察会や、各団体による調査活動(上陸、産卵数調査・足跡調査・ふ化調査)、卵を人々の踏圧の影響から守る為の保護柵の設置や海岸清掃などの保護活動を行っています。

ウミガメの活動時間に合わせて連日深夜までの調査や、砂浜に人が来る前の早朝に足跡の調査を行います。
測定
足跡調査
ふ化調査
保護柵

ウミガメのために守ってもらいたいこと

永田浜では5/1~9/30の期間は、夜20:00~翌朝5:00の時間、浜への立入りをご遠慮いただいています。
産卵の為上陸するウミガメはとても神経質で、人の気配を感じると上陸を諦めてしまう事があります。
そのまま砂浜で産卵できなければ、海の中で放卵し卵が死んでしまいます。
ふ化期に入ると、暗い砂浜を巣から脱出した子ガメが月明かりを頼りに海に向かいます。踏んでしまったり光で方向が分からなくなるなど、帰海の邪魔にならないよう浜へ立ち入らないようご協力お願いします。
 
夜間のウミガメの観察を行いたい場合は、観察会にご参加ください。
2024年度ウミガメ観察会案内
開催場所:永田いなか浜
開催時期:5/10~7/15 ※年により変更があります。詳しくはHPをご確認ください。
参 加 費 :大人2000円 中学生以下500円
     参加費はウミガメの保護、保全に関わる活動資金にあてられます。
定  員:50名 要予約

以下の永田ウミガメ連絡協議会HPより事前にご予約ください。

 
ウミガメが来年も屋久島に戻ってこられるよう、ルールを守った観察をお願いします。