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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。
アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、西海、雲仙天草、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、屋久島、慶良間諸島、西表石垣国立公園、やんばる国立公園があります。

目を凝らして足元を見るツシマヤマネコのモニタリング調査

2024年06月21日
対馬 森田 夕貴
こんにちは。
対馬自然保護官事務所の森田です。
 
先日、ツシマヤマネコのモニタリング調査に行ってきました。
モニタリング調査は、ツシマヤマネコの生息状況の動向を把握するために1ヶ月に1回実施している調査で、対馬島内全域に調査ルートがあり、調査員の方々と環境省の職員でルートを分担して行っています。
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写真①:モニタリング調査の様子
モニタリング調査は、1つの調査ルートが2kmぐらいでそのルートの上のツシマヤマネコやシカ、ツシマテンなどの野生生物の痕跡探しと自動撮影カメラのデータ回収を行っています。野生生物の痕跡は、フンや足跡、掘り起し跡などで、葉や石などが落ちている地面の上にこれらの痕跡があることもあるので、見落とさないように注意をして調査を行います(写真①)。
目を凝らしながら足元を見て歩いていると、ツシマヤマネコと思われる生物のフンを見つけました(写真②)。
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写真②:見つけたフン 動物の毛や草が含まれている
ツシマヤマネコは、ネズミやカエル、鳥などを食べる肉食動物なので、フンには、動物の毛や羽毛などがよく含まれています。見つけたフンをみると、動物の毛のほかに草が含まれていました。肉食動物であるはずのツシマヤマネコのフンになぜ、草が含まれるの?と思いますよね。ツシマヤマネコは消化を助けるために、時々、イネ科植物を食べるので、今回のようにフンに草が含まれることがあるのです。
モニタリング調査でツシマヤマネコと思われるフンを見つけた時には、生物の種類と性別を確認するためにアルコールの入ったボトルに回収を行っています(写真③)。
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写真③:回収したフン
調査をしていると、写真④のようなフンを見かけることがあります。このフンは、ツシマテンのもので、ツシマテンはネズミや昆虫のほかに果実も食べるので、フンに果実の種が含まれていることがあります。
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写真④:ツシマテンのフン 種が含まれている
ツシマヤマネコのモニタリング調査は、野生生物の痕跡を見落とさないように足元を見て歩き、ツシマヤマネコのフンを見つけたら回収をして、記録をしてなど、地道な調査です。この地道な調査をこれまで続けてきたこと、これからも続けることで対馬でのツシマヤマネコの生息状況の動向を把握することができる重要な調査なのです。
 
対馬自然保護官事務所 森田夕貴