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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。
アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、西海、雲仙天草、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、屋久島、慶良間諸島、西表石垣国立公園、やんばる国立公園があります。

南九州で唯一の火口湿原

2024年05月08日
えびの 椎葉 美香
こんにちは。えびの管理官事務所の椎葉です。
 
4月後半に甑岳へ巡視に行ってきました。
甑岳は頂上部が平らで台形の形をしているので、プリンのような山と表現されることがあります。
火口には長い年月をかけてできた珍しい低層湿原が広がっています。霧がかかった姿も幻想的でした。
甑岳の火口湿原(作業前)
湿原の周りにはロープが張ってあり、膝下ぐらいの高さで低いため腰ぐらいの高さにロープの張り直しを行いました。
ロープの張り直し作業中
作業後
赤くトゲトゲしているように見える植物がモウセンゴケで、先端から粘液をだして虫を捕まえる食虫植物です。
モウセンゴケなど湿原に多く生育する植物がいるのでロープの外から眺めるようにしてくださいね。
モウセンゴケ

さて、ここからは甑岳の火口周回コースをご紹介します。
まず、霧島山を知る人達の間では通称:こぶし岩と言われています。そう言われてみれば握り拳にみえるような。

通称:こぶし岩

林床では雨の水滴がギンリョウソウを輝かせていました。別名はユウレイタケと呼ばれているそうですが、白く透き通っていて妖精の羽根のようでした。

ギンリョウソウ

午前中は小雨で霧もかかっていたのですが、午後は天気が少し回復し、風で霧が一瞬流れて夷守岳(ひなもりだけ)を眺めることができました。

夷守岳と左には小林市内の町並み
火口側を覗くと湿原のようすも確認できました。
湿原の周りにはススキが広がっていて、本当に山頂にいるのか不思議な感覚でした。
甑岳は山頂に近づくにつれ急なところもありますので、登山靴などしっかりと準備して気をつけて登山を楽しんでください。
 
火口側の眺め