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九州環境局

アクティブ・レンジャー日記

9月の竹富島~カエル編~

2026年10月19日
石垣 西原 悠花
こんにちは、石垣自然保護官事務所の西原です。
 
勤務後の帰り道が夕焼けに染まるようになったなーと思っていると、秋分の日を過ぎていました。
日中の気温はまだ夏なので不思議な気持ちです。
 
前回のアクティブレンジャー日記に引き続き、9月の竹富島での外勤の様子をお伝えします。

外来カエル類の離島調査を行いました

9月17日に、八重山地域の離島における外来カエル類の監視モニタリング調査への同行を行いました。
外来カエル類は、特定外来生物に指定されているオオヒキガエルとシロアゴガエルのことを指します。
現在、八重山諸島では石垣島にのみ定着が確認されています。
 
石垣島で目撃されたオオヒキガエル
 
石垣島で捕獲されたシロアゴガエル
 
シロアゴガエルの背中

竹富島の在来カエルたち

外来カエル類が他の離島に侵入した場合に、カエル類の生息に適した環境や、拠点になる可能性のある工事関係資材などの保管場所において、外来カエルが生息していないか調査を行っています。
本年度は黒島と竹富島を対象に実施し、カエル類が生息する水場や森の入口で鳴き声と目視を頼りに生息しているカエルの種類の同定を行いました。
私は業務を委託している西表財団の職員の方、現地調査員の方との竹富島での調査に同行しましたので、竹富島での様子をお伝えします。
 
竹富島には、サキシマヌマガエルとヤエヤマヒメアマガエルの2種類の在来種が生息しています。

サキシマヌマガエルは八重山諸島で最も一般的に見られる種で、市街地から山中まで広く分布しています。
 
竹富小中学校内で目撃したサキシマヌマガエル成体
 
石垣島内の林道で目撃したサキシマヌマガエル成体
石垣島の市街地の側溝を覗いてみると、じっと動かずこちらの様子をうかがっているかもしれません。
 
通称”ヌマ”。背中の中央に一本線が入る個体もいます。石垣島市街地で撮影
ヤエヤマヒメアマガエルは、水田地帯や山中など、人の気配が少ないところでよく見られる小型のカエルです。
 
石垣島内の水田付近で目撃したヒメアマガエル成体
 
石垣島内の林道で目撃したヒメアマガエル成体
小さいため見つけにくいですが、背中のひし形のような模様が特徴的です。
竹富島では、井戸(カー)の中でよく見ることができました。
 
カエル類の活動が活発になり、鳴き声が聞こえ始めるのは20時ごろからのため、
夜間に安全に調査を行うため、日中の明るい時間帯に調査場所の確認と在住者に聞き込みを行いました。
 
竹富島は島の中央に三つの集落(東(アイノタ)、西(インノタ)、仲筋(ナージ))があり、それぞれの集落は道が境界線となっています。
集落を囲むように外環道路が通り、集落からコンドイ浜、西桟橋、アイヤル浜などの海岸への道が放射状に伸びています。
島全体の自然の目安としては、山なし、丘あり、川なし、深い森あり、井戸や沼などの水場は多数あります。

夜間調査の様子

「カエルの調査に来ました!」と竹富島ビジターセンターの職員さんに挨拶に伺うと、
「そういえば、うちの庭に置いている水がめにおたまじゃくしがいるよ!」と教えてくださいました。
早速調査地点に追加し、日が暮れてすぐご自宅に伺いました。
お店や宿以外の竹富島の住宅の敷地に入るのは初めての体験でドキドキしました。
 
おたまじゃくしもカエルも発見!
竹富島の家屋は伝統的な建造物が保存されて受け継がれていて、それぞれの家屋の敷地内は建物が向きや位置がどの家も同じように配置されている、と聞いていたので、貴重な体験を思わぬ時にできてしまいました。
 
小中学校のビオトープでは、在来種のサキシマヌマガエルとヤエヤマヒメアマガエルの幼生がたくさん確認できました。
 
 
サキシマヌマガエルの幼生。目が上に並んでいます
 
ヤエヤマヒメアマガエルの幼生。体の大部分が透け、目が横についています
このビオトープは縁が張り出し返しになっていました。
カエル類が変態した後に生息域を広げ定着することができるのかについて、
「オオヒキガエルは返しを登れなそうだがシロアゴガエルは脱出できそう」といったように、調査の際に検討します。
 
日中のビオトープの様子

井戸(カー)の周りの生き物たち

今回の調査で思いがけず重要な調査地点となったのは、竹富島に25カ所ある井戸の存在でした。
蓋があるもの、埋めて跡地になっているもの、湧水が出続けているもの、枯れてしまったが雨水を溜めることができるものなど、現状はさまざまです。
一つ一つ覗き込んで、現在生息しているカエル類の種類と、
「真水が恒常的または一時的に溜まるかどうか。」、「井戸から地上に出てくることができる高さ・構造かどうか。」を確認しました。
 
「井の中の蛙」を探しました。
調査を行った時期は、竹富島の節祭(シチ願い)を5日後に控えた時期でした。この節祭は井戸に感謝しすべての井戸で祈願を行う祭です。
祭事の前には道や井戸などの整備が竹富島在住の方たちによって行われています。
カエルが登ることができるかどうかを考えながら、人間がこの井戸を維持し続けてきた事の大変さについても考えながらの調査となりました。
 
ヤモリは難なく井戸を登り飛び出してきました
2時間の調査時間の中で集落内と海岸へ向かう道の一部の調査を行いましたが、カエルが食べる虫やカエルを食べるヘビを見つけることができました。
 
食事中のホタルの幼虫
 
調査員の足の隙間を通るサキシママダラ
9月は竹富島の独自の文化と自然を重ねて考える体験がたくさんできた一か月でした。