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アクティブ・レンジャー日記

アクティブ・レンジャー日記 アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。
世界自然遺産登録地域「金作原(きんさくばる)」への外来種の侵入を早期に発見し、素早く適正な対処を行えるように、外来種のモニタリング手法についての勉強会を1月30日に開催しました。

金作原(きんさくばる)国有林において外来種対策ガイド勉強会を開催【奄美大島】

2024年03月28日
奄美 野中賢治

金作原国有林の利用と自然環境保全

利用ルール

奄美群島国立公園管理事務所の野中です。

奄美大島におけるエコツアーの主要な訪問地として金作原(きんさくばる)国有林があります。世界自然遺産地域でもある金作原では、自然環境への負荷を低減しながら、質の高い自然体験の提供を図ることを目的に2019年2月から利用ルールを運用しています(詳しくはこちら)。
 
この利用ルールでは金作原を利用するためには、認定エコツアーガイド(有料)による案内を必須とすることなどを定めています。

外来種の侵入を未然に防ぐ試み

トレッキング利用が非常に多い金作原では、利用者の衣服や靴底に外来植物の種子が付着して持ち込まれることが懸念されています。また、お隣の徳之島では特定外来生物シロアゴガエルの侵入が確認され大きな問題になっており、奄美大島においてもいつそのような外来種の侵入があってもおかしくありません。

もともとの生態系のなかでは、生きものたちが食べたり食べられたり、棲み分けたり、お互いに関わりあいながら暮らしていてバランスを保っていますが、外来種が入ってくると、このバランスが崩れてしまうことがあります。結果的に、希少な動植物の生息・生育場所を奪ったり、個体数を減らしたりしてしまうなど、自然環境に与えるインパクトは少なくありません。特に、希少な動植物の多い場所への侵入は未然に防ぐ必要があります。

そこで、金作原への外来種の侵入をエコツアーガイドの協力を得て早期に発見し、素早く適正な対処を行えるように、外来種のモニタリング手法についての勉強会を1月30日に開催しました。

奄美大島エコツアーガイド連絡協議会の登録エコツアーガイド22名、関係行政機関等17名、合計39名が集まりました。

外来種のモニタリング手法についての勉強会

勉強会当日

知名瀬港に集合後、まずは環境省や鹿児島県などから勉強会の趣旨や利用ルールについての説明を行いました。
 
写真1:知名瀬港での説明の様子
写真1:知名瀬港での説明の様子

外来植物種子除去装置


その後、金作原へ移動してから、金作原ゲート付近に奄美市が設置予定の外来植物種子除去装置についての説明がありました。

泥落としマットを使って靴底の種子を落とし、粘着ローラーと衣服ブラシを使って衣服に付着している種子を取り除く仕組みということでした。

実物の画像(写真2)。近日中に設置予定とのことです。
 

写真2:外来植物種子除去装置(画像提供:奄美市世界自然遺産課)
  
写真2:外来種植物種子除去装置についての説明の様子
写真3:外来植物種子除去装置についての説明の様子

 

外来種の生育箇所を確認

次に、知名瀬三叉路と金作原ゲートの間に侵入している外来種「ムラサキカタバミ」の生育箇所を確認し、在来種「カタバミ」との見分け方について説明を行いました。

写真4:外来種ムラサキカタバミ
写真4:外来種ムラサキカタバミ


写真5:外来種ムラサキカタバミの特徴を説明する様子

金作原ゲート内へ

世界自然遺産地域である金作原ゲート内の環境をゆっくり確認しながら、林縁部の陽当たりの良い環境を好む外来種と、林道のやや暗く湿った環境を好む外来種があることを説明しました。


写真6:金作原ゲート内での様子

緩衝地帯へ侵入している外来種

金作原から移動し、知名瀬三叉路から知名瀬港までの林道で、ベニツツバナ、カッコウアザミ、オウゴンカズラ(ポトス)、アカギの4種類の外来種の生息位置を確認しました(図1)。
 
図2:外来種確認位置
図1:外来種確認位置
 

これらの外来種は、引き続き防除を行うとともに、今後は金作原へ侵入していかないように監視する必要があります。

地域との協働

地域との協働がはじまる兆し

最後に、全体を通じての意見交換を行いました。

環境省からは、在来種との誤認を防ぐため、また外来種は適切な方法で駆除する必要があるため、外来種の侵入を発見した場合、さしあたり環境省へ報告していただき、環境省・関係行政機関と奄美大島エコツアーガイド連絡協議会が協働して駆除することとしたい旨をお願いしました。

また、環境省では、金作原において注意・対策が必要な外来種をまとめた資料を作成し、金作原を利用されるエコツアーガイドの方々に配布する予定にしています。エコツアーガイドの方々から「携帯しやすいサイズの資料を用意してほしい」、「外来種と特徴の似ている在来種の見分け方の詳細を資料へ載せて欲しい」、「見つけた場所を環境省へ報告しやすいように、資料の中に地図を載せて欲しい」などといったご意見を頂いたので、これらを反映した資料にしたいと考えています。

参加されたガイドの方々の表情からは、外来種を世界自然遺産地域内へ侵入させないぞという真剣な思いが伝わってきました。今回の金作原での勉強会が、今後の外来種対策にどのようにつながっていくのか楽しみです。
 
野中