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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

令和7年度あまみワイルドライフセミナー「奄美大島の貴重な昆虫相」を開催しました!

2026年04月15日
奄美 髙野光喜
 こんにちは!奄美野生生物保護センターの髙野です。

 2026年3月7日、あまみワイルドライフセミナー「奄美大島の貴重な昆虫相」を開催しました!
 講師は九州大学の荒谷教授。昆虫類(特にクワガタムシ科)を主な対象とし、生物多様性にかかわる様々な研究をされている先生です。全国各地の生物多様性保全において、調査研究・現場作業ともに最前線で活躍されています。

 当日は、近所の小学生から島の自然に詳しい大人たちまで、幅広い層の参加者が約40人集まりました。保護センターの小さな会場ですが、ほぼ満員となりました!
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講師の荒谷先生
 セミナーは昆虫の体の構造やクワガタムシの定義など基礎的なお話から始まり、奄美群島にフォーカスを当てたものになっていきました。専門的にもかかわらず、初心者にもわかりやすい説明だったと思います。

 発表内容は主に以下の三つでした。

① 奄美群島のクワガタの多様性は高い

 奄美群島には11種のクワガタがいます。これは日本のクワガタ全体の1/4の種数であり、他の地域と比べても多様であることがうかがえます。この多様性の高さには、奄美群島の成り立ちが関わっています。

② 琉球弧・大陸との繋がりや種分化の過程

 かつて琉球弧は大陸の一部でした。プレートの運動で琉球弧と大陸の間の海が広がっていく過程で、まず奄美大島と屋久島の間に海峡が形成されました。このとき、奄美と台湾とはまだ陸続きだったため、アマミシカクワガタやアマミミヤマクワガタなど、台湾の種と近縁な種が奄美にもいます。その後、台湾側にも海峡ができ、1つの島だった中琉球もいくつかの島に分かれ、各島で分化が進んでいきました。

③ 島のクワガタの存続を脅かす要因やその対策

 さて、そんなクワガタたちの中には、森林伐採や乱獲、外来種による捕食や競合、交雑に脅かされ、絶滅のおそれがある種もいます。特に外来種問題、中でも「交雑」は認知度が低いこともあり、潜在的にもかなり大きな脅威です。
 同じ種の中にも、多くの場合は地域ごとに固有の遺伝子が存在します。人の手によって別の地域の個体が移入されてしまうと、交雑によって固有の遺伝子が汚染されます。世代を重ねるほど汚染は広がり、最終的にその地域にしかない貴重な遺伝子は失われてしまいます。
 ペットショップで買ったり、旅行先で捕まえてきたクワガタは、絶対に野外に逃がしてはいけません。命を全うするところまで、ケージの中で見届けましょう。

さいごに

 これからも、日本の素晴らしいクワガタたちが健全に存続できる環境を、守り、再生し続けなければなりません。我々の次の世代にも、クワガタを探して見つけて観察して…と、様々なふれあい方で楽しんでほしいと願っています。この楽しい思い出が、未来の生物多様性保全に繋がっていくはずです。
(おまけ)髙野が個人的に観察した奄美のクワガタたち
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アマミミヤマクワガタ
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アマミシカクワガタ
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スジブトヒラタクワガタ
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アマミマルバネクワガタ