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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

九州地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。
アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、西海、雲仙天草、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、屋久島、慶良間諸島、西表石垣国立公園、やんばる国立公園があります。

万之瀬川野鳥観察会

2023年03月03日
鹿児島 須賀 隼
皆さんこんにちは 霧島錦江湾国立公園管理事務所ARの須賀です。
 
2月中旬に鹿児島県の南さつま市にある県立吹上浜海浜公園で、パークボランティア主催の万之瀬川野鳥観察会が開催されました。
万之瀬川は九州南部の薩摩半島中部を流れていて「万之瀬川河口域のハマボウ群落及び干潟生物群集」として国の天然記念物に指定されています。
河口付近には干潟があり、絶滅が危惧されているハクセンシオマネキ(鹿児島県レッドデータブックカテゴリー:準絶滅危惧)などの干潟生物や水辺にすむ野鳥が多く生息しています。
 今回は冬にしか見ることができない野鳥や万之瀬川の貴重な干潟を知ってもらえるよう、パークボランティアの方々によって野鳥観察会が開催されました。

天候は曇りのち雨でしたが野鳥を探しにいざ出発です!
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万之瀬川川岸
川岸を歩いて行くと対岸にカルガモとクロツラヘラサギを見つけました。
クロツラヘラサギは名前の通り黒いツラ(顔)にしゃもじのようなへらの形をしたクチバシが特徴です。
越冬のため日本に飛来する冬鳥で、鹿児島では姶良、出水、万之瀬川で見ることができます。
クロツラヘラサギは東アジアのみ生息するとても稀少な鳥で、鹿児島県レッドデータブックでは、絶滅危惧Ⅰ類に指定されています。
日本野鳥の会によると、1993年には、世界で約300羽しか確認されていませんでしたが、その後確認数が増加し、2022年の調査では全世界で約6000羽が確認されたそうです。
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群れで休むクロツラヘラサギとカルガモ
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雨が強くなってきたので野鳥観察の家に行きました。
ここは吹上浜海浜公園内にある無料施設で吹上浜、万之瀬川にやってくる野鳥が観察できます。
また万ノ瀬川でみられる野鳥やクロツラヘラサギの解説パネル、万之瀬川の自然を守る会とパークボランティアの方々で制作した万之瀬川の動植物の展示物などがあり、野鳥や公園内の生き物について学習することができます。
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野鳥観察の家
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みんなで記念撮影
無事に観察会が終わり、みんなで記念写真を撮りました。
今回はクロツラヘラサギ、カルガモ、マガモ、カイツブリ、ヒドリガモ、
ウミネコ、ヘラサギ、ダイサギ、アオサギ、ホオジロ、シロハラの計11種の野鳥を見つけることができました。
 
万之瀬川は冬に野鳥観察ができ、夏にはハマボウの美しい花やハクセンシオマネキを見ることができます。
南さつま市に行く際はぜひ万之瀬川に立ち寄って、そこでしか見ることが出来ない自然を楽しんでいってください。