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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

竹富島の自然学習歩道を歩く【石垣地域】

2023年02月02日
西表石垣国立公園 田村彰帆
アクティブレンジャー日記をご覧の皆様、こんにちは。
石垣自然保護官事務所の田村です。
 
西表石垣国立公園である竹富島にて「自然学習歩道を歩く」イベントを開催しました。
竹富島の集落や海岸沿いをゆっくりと歩いて廻る自然学習歩道を散策し、自然環境やそこから育まれた独特な文化景観を学ぶ学習会です。
竹富島ゆがふ館(ビジターセンター)をスタートし、集落へ続くホーシ道、スンマシャーを通り、神を祀った神聖な場所である御嶽(うたき)や井戸、最西端の重要文化財建造物の旧与那国家住宅といった各所の解説を聞きながら歩きます。
観察会の様子
▲設置された解説版や誘導標識

竹富島の道

竹富島の道からは、その道を使って暮らし、生きながらえてきた感謝と道への敬意がみられます。白砂の道は、島民が主体となって、ほうきの目を入れる習慣があります。そうして維持された道を、観光客の自転車や水牛車、島人も毎日のように通過して行きます。
現在、ホーシ道は舗装され、集落を囲む環状線が敷設されていますが、道を大切にする精神が残ります。
歩く様子1
▲ホーシ道のデイゴ並木を歩く
歩く様子2
▲集落内を歩く

スンマシャー

スンマシャーは竹富島の集落の入口であり出口です。巨木とそれを取り囲むように石垣を積む作りは風水思想に基づき、病魔や凶事が集落に進入するのを防ぐ魔除けとしてつくられたといわれています。
スンマシャー1
▲東のスンマシャー
スンマシャー2
▲西のスンマシャー

竹富島の御嶽

今回の学習会ではいくつかの御嶽の前を通りました。竹富島の御嶽は、神様となったご先祖様やその先祖がお招きした神様や、願いを重ねて拝所になった神聖な場所であり、全部で28箇所あります。

仲筋御嶽(サージオン)

「八重山嶋由来記(1713)」に掲載されている古い御嶽で、新志花重成(アラシハナカサナリ)殿と沖縄島から招いた神様が祀られています。竹富島では、御嶽をヤマ(山)と言い、島の村の始まりとされる竹富島の六つの重要な御嶽である六山(ムーヤマ)のひとつです。

世持御嶽(ユームチオン)

世持神と農耕神の2神が祀られています。創建は1930年。10日間にわたって行われる島最大の祭事、種子取祭奉納芸能の時には、竹富島の神々がお集まりになる御嶽です。
御嶽1
▲国仲御嶽(フイナーオン)
御嶽2
▲仲筋御嶽(サージオン) 
御嶽3
▲世持御嶽(ユームチオン)
御嶽4
▲真知御嶽(マーチオン)

旧与那国家住宅(マイユヌンヤー)

竹富島の集落は、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。マイユヌンヤー(前与那国屋)を修復し、旧与那国家住宅として竹富町有形文化財に指定され、国の重要文化財にも指定されています。フーヤ(主屋)とトーラ(炊事棟)、ジージョン(拝所)、豚小屋、フクギの防風林とサンゴでできた石垣で構成され、竹富島の伝統的な間取りを残し、島の暮らし方を想像できる造りです。
解説
▲解説の様子
間取り
▲伝統的な間取り
石垣
▲グック(石垣)

最後に

参加者からは、「観光名所ではなく、島の文化や歴史、生活に密着した名所の案内がとても勉強になりました。」「竹富島の普通には絶対知れないことを知れて素晴らしいツアーでした。」などの声があり、竹富島を、八重山を知る良い機会になりました。ご参加いただきありがとうございました。
竹富島には「自分が出したゴミは持ち帰る」「御嶽(うたき)の中に入っては行けない」などのルールがあります。沖縄の原風景や絶景を堪能できる観光地ですが、島民の暮らしがあることを理解し、ルールをしっかり守ったうえで、サンゴ石積みの石垣や琉球赤瓦の屋根、白砂を敷いた道など美しい沖縄の原風景、ゆっくり流れる島時間もお楽しみください。
参加者
▲集合写真
町なみ
▲なごみの塔からの景観
竹富島を訪れた際には「竹富島ゆがふ館(ビジターセンター)」にお立ち寄りください。
ゆがふ館は、“天からのご加護により豊穣を賜る”という意味の「ゆがふ=世果報」から名付けられ、竹富島の観光の窓口として、自然と人々の関わり・文化を紹介しています。
ゆがふ館
▲ゆがふ館への入口
館内
▲館内展示
館内展示
▲民具紹介
※現在、竹富島ゆがふ館は天井改修工事のため休館しております。
 詳しい情報はゆがふ館HPをご覧ください。