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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。
アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、西海、雲仙天草、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、屋久島、慶良間諸島、西表石垣国立公園、やんばる国立公園があります。

飯田高原の野焼き 未来に向けた取り組み

2023年01月27日
くじゅう 神代拓馬
こんにちは。
くじゅうは、-10℃の寒い日もあれば10℃と暖かい日もあり、寒暖差で身体に堪える気温になっています。
 
そんな中、くじゅう地域ではそろそろ野焼きシーズンがやってきます。
見応えがある野焼きですが、皆さんは野焼きというものをご存じでしょうか?
今回は、阿蘇くじゅう国立公園のくじゅう地域にある飯田高原の野焼きについて話したいと思います。
 
阿蘇くじゅう国立公園で行われている野焼きの歴史は古く、約1000年以上前から牛の餌となる食草を採る目的や放牧する場所を管理する目的のために焼いていました。現在でも阿蘇では牧畜を行っている所があるため、同じ目的で焼いていますが、飯田高原では牧畜を行っている場所がほぼなくなり、約20年以上に渡り、野焼きが行われない時期がありました。そこで、地域住民の有志の努力で平成9年に野焼きが復活しました。現在でも毎年行っており、希少動植物の保護や景観維持のために地域住民や地域団体のボランティアで行っています。
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ジェットシューター係の様子
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火付けの様子
今後の課題としては、人員の確保と安全面の体制作りです。
年々、野焼き経験者が高齢化によって減少しており、約650haもある草原の野焼きの継続が難しくなっています。
新しい世代の方も徐々に参加していただいていますが、野焼きの目的や危険性を充分に把握できていなかったりしているため、阿蘇のようにボランティアを募っていません。
 
そこで、環境省と野焼き実行委員会が協力し、構成団体の所属メンバーを対象に野焼き講習会を実施しました。
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野焼きの座学
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ジェットシューター体験
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野焼き現地踏査
当日は、約18人の参加がありました。最初に野焼きの目的や野焼きの方法などを伝えるとともに、野焼きの恐ろしさや意義を野焼きベテランの方々から経験談を交えて話していただきました。
その後、実際にジェットシューターとはたき棒の体験をしていただきました。最後に野焼きを行う現地に移動し、実際の危険箇所を確認する現地踏査も行いました。
最後に記入していただいたアンケート結果では、良く理解できたというご意見が多く、満足度の高い講習会となりました!この先も協力者が増えるよう、環境省としてもこの素晴らしい景観を未来に繋げられるよう、協力していきたいと思います。