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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

九州地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。
アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、西海、雲仙天草、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、屋久島、慶良間諸島、西表石垣国立公園、やんばる国立公園があります。

ヤマガラとシキミ 1(野山の生物シリーズ)【雲仙地域】

2022年10月31日
雲仙 古城かおり
 こんにちは。
「雲の上の避暑地」雲仙にある雲仙自然保護官事務所の古城です。雲仙の紅葉は見頃を迎えています。
 9月、田代原の自然歩道をパークボランティアの方々と歩いているときに、スパイスの八角に似た緑色の木の実を見つけました。と、ここまで読んでピンと来た方がいらっしゃると思います。シキミです。
 シキミは花、葉、根、茎に至るまで木全体に猛毒があり、特に実に多く含まれています。シキミの実を間違って食べてしまい、嘔吐、意識障害、けいれん等の食中毒を起こした事例が、過去にいくつも報告されています。
 毒があることを知らず、観察してみようと何気なくシキミを手に取ったら、パークボランティアの方が捨てるよう私に促しました。
 「猛毒」と聞いてびっくりしましたが、手に匂いがついた感じもせず、皮膚がかぶれることもありませんでした。(もちろん後で手は洗いましたが。)
 それからシキミの実を見つけるたびに、「有毒、有毒、かわいいけど触らない」と自分に言い聞かせていました。
 10月のある日、雲仙地獄を歩いているとシキミの実が足下にいくつも落ちていました。いつものように「有毒、有毒・・・」とつぶやきながら通り過ぎようとすると、目の前のシキミを素早く拾って木の枝に止まった生き物がいました。ヤマガラでした。
 驚いたことに、樹上でシキミをつついて食べています。しばらく見ていると、ヤマガラはシキミを持ったまま飛び去って行きました。(つづく)