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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。
アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、西海、雲仙天草、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、屋久島、慶良間諸島、西表石垣国立公園、やんばる国立公園があります。

アサギマダラとヒヨドリバナ(野山の生物シリーズ)【雲仙地域】

2022年09月20日
雲仙 古城かおり

   
 
 こんにちは。「雲の上の避暑地」雲仙にある雲仙自然保護官事務所の古城です。雲仙温泉街の木々はここ1週間で急速に秋の色へと変化しています。  

 8月末、9月初旬に田代原の自然歩道をパークボランティアの方々と歩きました。初秋の気持ちの良い空気の中を歩いていると、一匹の蝶が飛んできました。「アサギマダラ」です。蝶に誘われるように進むと、先の方には数匹のアサギマダラが飛んでいました。
 
 
 アサギマダラの名は、羽の色が浅葱色(薄い藍色、薄い葱の色)であることから付けられました。羽の模様が美しいだけでなく、体の模様も特徴的で、黒地に白のまだらをしています。羽を広げると10㎝にもなる大型の蝶で、渡りをすることで有名です。1日に200㎞もの移動をした記録がありますが、風に吹かれてふわふわと飛ぶ彼らのどこにそんな力があるのだろうと不思議に思います。人間を恐れる様子もあまりなく、そばを行ったり来たりします。



 
 
 アサギマダラは、好きな花が決まっており、ヨツバヒヨドリやヒヨドリバナなどヒヨドリバナ属の植物を好むと、パークボランティアの方から教えていただきました。ヒヨドリバナ属の花の蜜には毒が含まれており、摂取することで、鳥などからの捕食を避けたり、雄は性ホルモンを作ったりしているそうです。

 



 
 この日はヒヨドリバナが点々と咲く野原にアサギマダラが数匹舞っていました。  
 アサギマダラは暑さに弱い生き物として知られています。平地よりも気温が約5度低い雲仙温泉街や、さらに冷涼な気候の雲仙岳は夏も涼しく、アサギマダラを春から秋にかけて長い期間見ることができます。 田代原の遊歩道はヒヨドリバナが多く咲きますので、アサギマダラを見たい方は訪れてみてはいかがでしょうか。
                 田代原の遊歩道は田代原トレイルセンターの近くにあります。
                 *田代原野営場(キャンプ場、トレイルセンター)*  
                  場所:長崎県雲仙市千々石町田代原