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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

九州地区のアクティブレンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します

渡り鳥の中継地 対馬【対馬】

2022年07月26日
対馬 引地稜
こんにちは。
対馬厳原事務室の引地です。
 
対馬は九州最北端、韓国まで49.5㎞に位置しており、渡り鳥の飛来・通過の十字路になっております。そのことから対馬では例年日本で知られている鳥類の半数を超える300種以上の野鳥が記録されておりその8割が渡り鳥です。特に他の地域ではほとんど観察することができないヤマショウビンが、毎年のように観察できます。

今回は4月下旬から6月中旬にかけて対馬に到来した春の渡り鳥についてご紹介します。

○キマユホオジロ

日本では数少ない旅鳥として到来します。対馬では春に比較的に良く見られます。名前の由来は見た目通り眉が黄色いことから。

○シロハラホオジロ

対馬を代表する春の渡り鳥の一種。赤褐色の体と白黒の頭が特徴。藪の中や林道など暗い環境を好み、キマユホオジロの群れの中に混じっていることも。

○シマアオジ

雄の夏羽は鮮やかな黄色が特徴。北海道の草原で主に繁殖していたが近年数が急激に減少。環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅰ類に指定されています。対馬では春に少数が到来しています。

○カラアカハラ

体の上面がきれいな淡い灰色で腹が明るいオレンジ色のツグミの仲間です。日本本島では稀な旅鳥ですが、対馬ではここ数年島内で繁殖をしており良く観察されるようになってきているようです。

○アカモズ

モズよりも体がスマートで額と眉が白く繋がり、上面が赤褐色で腹は白い(この画像は逆光で分かりにくいですが)のが特徴です。近年数が激減しており絶滅危惧ⅠB類に指定されていますが、正確な個体数は分かっておらず絶滅寸前な状況かもとも言われております。

○ミゾゴイ

水鳥の1種でサギの仲間ですが薄暗い森林に住んでいます。繁殖は日本でしか確認されておらず、近年森林減少や生息環境の悪化で、生息数が世界で1000羽以下と推定されております。

○コウライウグイス

全身が鮮やかな黄色の鳥。和名の由来は高麗(現在の朝鮮)のウグイスと呼ばれる美しい声から来ておりウグイスの仲間ではないです。地鳴き(さえずり以外の声)は「ミャー、 ミャオ」と猫のように鳴きます。

○ヨーロッパビンズイ

本島で見られるビンズイよりも体が薄いベージュ色で眉斑は目立たないのが特徴です。稀な旅鳥として日本海側の離島で観察されています。ちなみにビンズイの名前の由来であるさえずりの「ビンビンツィーツィー」とは鳴かないそうです。
今年は残念ながらヤマショウビンは観察できませんでしたが、対馬以外ではあまり見られない野鳥を多く観察することができました。今回は春の渡り鳥を紹介しましたが、秋になると数千羽を超えるアカハラダカの渡りや冬は繁殖地に帰るツル類などを観察できます。こらから対馬を訪れるみなさま、立ち寄った際に野鳥を探して見てはいかがでしょうか。
 
■野鳥観察の注意点・マナー
 ・大きな音、激しい動きをしない
 ・巣を見つけたら近づかない
 ・餌付けをしない
 ・車や歩行者など周りの状況に注意
 ・私有地に入らない