九州地域のアイコン

九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

センサーカメラに写っていたのは?!

2025年08月04日
奄美 黒川 マリア
はじめまして。6月に奄美野生生物保護センターのアクティブレンジャーに着任しました黒川です。初投稿です。よろしくお願いいたします。
さっそくですが先月、アマミヤマシギ保護増殖事業の一環として加計呂麻島に設置されたセンサーカメラのメンテナンスとデータの回収に行ってきました。加計呂麻島は奄美大島のすぐ南に位置する有人島です。今回はその加計呂麻島に設置されたカメラのデータの中身についての話題です。
#
 

加計呂麻島センサーカメラ調査

アマミヤマシギは奄美大島・加計呂麻島・徳之島・請島・与路島でのみ繁殖している鳥類で、森林伐採や外来種によって数を減らし、国内希少野生動植物種に指定されています。
環境省ではアマミヤマシギの保護増殖事業を行っており、その一環として、2013年度から加計呂麻島の20か所に、センサーカメラを仕掛け、モニタリング調査をしています。そのため定期的にカメラの記録メディアや電池を交換が必要になってきます。今回も6月に一日かけて20か所周りましたが、前回の点検が3月だったので長期間森の中に放置された状態で、中にはアリの巣にされてしまったカメラもありました。なぜカメラに・・と思いながら掃除をしましたが、それでも写真がとれていたのには驚きです。
#
カメラ点検の様子

カメラに写っていたのは

回収したメディアの中身をチェックしていると、ちゃんと動物の姿が写っていました。
一番多く写っていたのはリュウキュウイノシシでした。リュウキュウイノシシは琉球列島に生息するイノシシで、二ホンイノシシよりもやや小柄と言われています。加計呂麻島にこんなにもイノシシがいるとは思っていませんでした。
 
#
リュウキュウイノシシ
2番目は冬鳥のシロハラでした。こちらも意外でした。シロハラは渡り鳥なので次回は写っていないはずです。
#
シロハラ
3番目に多かったのはアカヒゲです。アカヒゲは世界中で男女群島と琉球列島の島々だけに生息する鳥です。
#
アカヒゲ
アマミヤマシギもいくつかのカメラで写っていました。日中にアマミヤマシギを見たことはありませんでしたが、カメラには昼に活動する姿も写っていました。

 
#
アマミヤマシギ
そのほかにもカラスバト、ルリカケス、ズアカアオバトなども写っていました。
#
カラスバト
#
ルリカケス
#
ズアカアオバト
一枚だけですがサシバも写っていました。
地上で獲物をおさえているように見えます。
#
サシバ
こちらはトラツグミです。奄美大島には見た目がとてもそっくりな希少種オオトラツグミが生息するので、オオトラツグミかとも思いましたが、尾羽の付け根付近の模様の違いなどから判断するとトラツグミのようです。
#
トラツグミ
そしてノネコ(野生化して森で暮らすようになったネコ)も何匹も写っていました。ノネコはさまざまな野生動物を捕食してしまいます。加計呂麻島ではアマミヤマシギは減少傾向にあるようなのでこれはちょっと心配ですね。
#
ノネコ
今回は3月~6月に撮影されたデータの確認でしたが、次回は6月からのデータになるので、全然違う内容になっているはずです。カメラがまたアリの巣にされていないか心配ですが、何が写っているのか、楽しみです。