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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。
アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、西海、雲仙天草、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、屋久島、慶良間諸島、西表石垣国立公園、やんばる国立公園があります。

追跡調査開始

2025年07月17日
対馬 金子 涼太朗
みなさまこんにちは、対馬自然保護官事務所の金子です。
放獣したヤマネコ(NPO職員撮影)
 前回の予告通りヤマネコの追跡調査がスタートしましたのでご報告いたします。
 令和7年6月24日にヤマネコを野生に返しました。この個体は令和6年11月にセンターに保護された個体で、外傷などはありませんでしたが、まだ若く、やや痩せていたため、冬の間保護をして十分体重を増やした状態で放獣(野生に返すこと)しました。
放獣時の様子(NPO職員撮影)
 放獣したヤマネコは元気に山に帰っていきました!が、ここからが追跡調査の本番です。対馬の2拠点(対馬野生生物保護センター、ツシマヤマネコ野生順化ステーション)の職員と普段ヤマネコの飼育と治療をしてくれている「NPO法人どうぶつたちの病院」の職員全員で協力して、放獣後5日間は8時間交代で昼夜問わず24時間体制で追跡を行います。調査者は車載アンテナで電波が受信できる範囲で車を止めて待機し、1時間に1回八木アンテナを使って三点定位を行います(詳しい定位の仕方は過去の記事をご覧ください)。
経験を積むため慣れるまではセンターの保護官やステーションのARと一緒に定位に挑戦します。
 初めの5日間、放獣したヤマネコは放獣地点すぐそばの田んぼを拠点として、あまり移動しませんでした。特に日中は眠っているのかほぼ移動しておらず、比較的簡単に定位できました。
三点を計測した結果、比較的三角形の面積が小さくうまく定位できました。
 一時間ごとにペンの色を変えて地図に結果を記入します。三本線に囲われた三角形の部分が定位結果です。あまり移動していないことが分かります。
日没後はヘッドライトを併用して定位を行います。
 日が落ちてくるとヤマネコが活発に動き出し、人間の視界も悪くなるので少し調査の難易度が上がってきます。とはいえ、電波はしっかり拾えているのでまだまだ安心です。
 当初の予定通り放獣5日目の6月29日までは無事に追跡することができました。ずっと24時間体制では職員ももたないので、この後は朝夕2~3回程度に定位の頻度を落として追跡を続けていきます。さらにある程度定住が確認されてくれば、1日1回、2~3日に1回、週に1~2回と頻度を落としつつ1年間追っていきます。
が、そんなに現実は甘くありませんでした
5日目までのヤマネコの1時間ごとの定位結果
 6日目となる6月30日朝から、昨日いた場所周辺で入感ができなくなっていて信号を見失ってしまいました!どうやら道路付近から電波の拾えない山の奥へ夜中のうちに移動してしまったようです・・・
 大変です!果たして無事見つかるのでしょうか!?!?(いや本当に)







次回に続く