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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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西表石垣国立公園 西表

63件の記事があります。

2018年06月26日放獣まで、あと一歩

西表石垣国立公園 西表管理者

みなさん こんにちは 西表自然保護官事務所の関東です。

 前回、紹介した保護中の仔猫たちですが、治療も終了し野生復帰に向けてのリハビリ期間に入りました。保護してから1か月が経ち両個体とも痩せていた体にも肉がついてきてずっしりとしてきました。

メス(左)保護時535g⇒1265g オス(右)保護時540g⇒1445g(6月17日時点)

 さて、イリオモテヤマネコは他地域のヤマネコ類と違い食性に偏りがありません。狭い島で生き残るための知恵ともいうべきか両生爬虫類から魚類、鳥類、昆虫類、甲殻類などと様々なものを食べています(もちろん哺乳類も捕食します)。とりあえず偏食にならないようにと、この2頭が住んでいた場所に生息していて食べることのできる生き物を毎食用意して与えています。

 カエルはヌマガエル、カジカガエル、ヒメアマガエルなどを与えてみましたが保護前から食べたことがあったのかすぐに捕まえて食べました。トカゲはキノボリトカゲ、スベトカゲ、イシガキトカゲなどを与えました。キノボリトカゲは初めて見たのか捕らえようとしたときに唸り声をあげました。ヘビはサキシママダラを与えてみましたが、これも初だったようでヘビに威嚇され、ヤマネコのほうが後ずさりして逃げてしまいました。その後、何度かトライするもヘビが動くたびに及び腰になってしまい狩り失敗が続いています。

 昆虫はカマキリやツユムシの仲間は躊躇せずに食べましたが、バッタやコオロギはかみ殺すだけで食べませんでした。セミもツマグロゼミは食べてもクサゼミは食べませんでした。

 甲殻類は糞からよく見つかるテナガエビを用意しました。オスは尾の部分と前脚以外は食べたようでしたが、メスは水の中から引っ張り出して遊んだ後に放置して食べませんでした。

 水への抵抗もなくすために容器に水を張って中にオタマジャクシやカエルを数匹放してみました。メスは躊躇せずにそのままバシャっと水の中へ入りましたが、オスは足先が濡れるのを嫌って、前足をちょんと浸けてもすぐに出してプルプルっと水を払っていました。

 室内には木も組んで設置しています。台を取り付けたところお気に入りの場所になったのか、日中はご飯を置いても降りてこないことがあります。

 モニターで観察していたところ、オスは寝返りを打つときに滑り落ちそうになっていましたが、前足で踏ん張って元の位置へと戻っていました。メスは、ほぼ垂直になっている木をそのまま登れるので筋力もついてきたようです。

オスの尻尾もきれいに治りました。

 今後の予定としては、準備の整った順番で山へ帰すことになり保護地点から少し山へ入った林内で放す予定です。放獣後、付近の道路や集落へ出没することもあるとは思いますが地域のヤマネコとして、みなさんで見守ってくださるとうれしいです。

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2018年05月18日ヤマネコの仔猫を保護しました

西表石垣国立公園 関東準之助

みなさん こんにちは。西表自然保護官事務所の関東です。

 西表島も5月になり暑い季節に入りました。イリオモテヤマネコも母ネコの後をついて仔猫が動き回る時期になったため目撃情報がちらほらと入ってきています。そんな中、島北西部の集落町道でヤマネコの仔猫が頻繁に出てきているとの情報が入りました。

 西表野生生物保護センターでは、ヤマネコの目撃情報が多発している場所へ移動式看板を立てて注意喚起を行っています。

 今回も看板を立て、林内にはモニタリング用のカメラを設置しました。

 目撃情報が続々と入ってくる中、5月13日未明に「仔猫がうずくまって動かない」と通行者から連絡が入り職員が現場へ向かい無事保護しました。センターへ収容し診察したところ顔面に衝撃を受けた痕があり、左目が縮瞳、下顎に小さな割れがあり犬歯が前方へ折れ曲がっていました。また、血液検査の値に異常が見られたことと削痩していたため収容となりました。

 保護した個体の性別はメスでした。

 メス個体を治療中の(13日)日中にも保護現場近くで、仔猫がうろうろしているとの連絡が入ってきたため兄妹がいる可能性が出てきました。

 そして15日の夕方、帰宅途中の私に「庭に仔猫がいると連絡がきたので確認してほしい」と連絡が入りました。ちょうど近くに居たため現場へ向かうとお庭に積んであったガラス玉の間に入っていったとのことで住民のかたとしばらく様子を観察することにしました。

 その間に職員と専門家の相談の結果、一時的に保護して健康診断を行うことになりガラス玉の山から出てきた仔猫を無事捕まえました。

 捕獲時に鳴き声をあげて威嚇し、かなり元気でしたがグローブ越しに伝わる感触は13日に保護した個体と似ていました。また、尻尾の形に違和感がありました。

 保護センターへ持ち帰り診察の結果、13日のメス個体と同様に痩せていて血液検査の値も正常値ではなく尻尾には裂傷がありハエに産卵され孵化した幼虫に食べられていたことから、そのまま収容ということになりました。

 今度の個体の性別はオスでした。

 尻尾の傷。結構痛そう。

 空腹なのに「絶対食べないぞー」と強制給餌を拒むオスの仔猫。このあと、ケース内に戻して落ち着いたころにしっかりと食べました。

 2頭の仔猫たちは、現在も治療継続中です。順調に回復すれば野生復帰を目指した訓練へ移行する予定です。

 ゴールデンウィーク前からヤマネコやカンムリワシの交通死亡事故が立て続けに発生しました。この中には今回、保護された母ネコの可能性がある個体も含まれています。来島される方は生きものに配慮した走行をお願いいたします(西表島の法定速度は集落内30㎞、集落外40㎞です)。

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2018年05月17日◎西表島の身近な野鳥の観察会@後良橋(しいらばし)ロードパーク◎

西表石垣国立公園 西表 光森 康祐

こんにちは!

西表自然保護官事務所の光森です。

5月12日(土)に西表島の小学生を対象とした身近な野鳥観察会を実施しました。

身近な野鳥の観察を通して、野鳥観察や自然観察の最初の一歩になればと思い開催しました。

観察会を始めるにあたり、初めて双眼鏡を使う参加者も多かったので、

まずは双眼鏡の使い方からレクチャーです。↓

ピントの合わせ方や観察の仕方など一通り説明を受け、実際に使ってみると「大きく見える!」や

「近くに見える!」といった声が上がり、初めて使う双眼鏡で楽しそうに周りを観察していました。

そしていよいよ野鳥観察開始です!↓

観察ルートは西表野生生物保護センターから後良橋ロードパークまでの約1キロです。

この日はとても蒸し暑かったせいなのか、野鳥は姿どころか鳴き声もなかなか上げてくれませんでした。

しかし道中、鳥の鳴き声が聞こえると、全員で声の主を探すなど熱心に観察をしていました。↓

中でも一番盛り上がったのが、オサハシブトガラスがフンをした時でした。

「あーっ!うんちした!」とすぐにフンが落ちた場所に行き、フンを観察していました。

やっぱり小学生はうんち好きなのかな?(笑)

正解者にはシールをプレゼントする野鳥クイズも好評で、

参加者からは「次のクイズまだー?」と言われるほどの人気でした。

ぜひ次回の観察会でも実施を考えていきたいと思います。

イリオモテヤマネコは何を食べているでしょうか?↓