阿蘇くじゅう国立公園
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2017年08月10日オオハンゴンソウ駆除活動
阿蘇くじゅう国立公園 くじゅう 大島 将貴
こんにちは。
今回はくじゅう地域で行われているオオハンゴンソウの駆除活動について紹介します。
オオハンゴンソウとは北アメリカ原産の植物です。
7月~9月頃大きな黄色い花を咲かせ、外来生物法により特定外来生物に指定されています。
最近よく耳にする「外来種」。
そもそもなぜこの外来種を駆除しなければいけないのでしょうか?
その理由の一つに、外来種が入ることで、そこに元々いた生物がいなくなってしまう可能性があげられます。特にこの特定外来生物に指定されているものは、繁殖力が強く、ほかの生物に対する影響が高いと考えられています。
そしてこのオオハンゴンソウ。
漢字で書くと「大反魂草」といかにも力強さを感じさせる様子ですが、
実際にその生命力は非常に強く、一株当たり1000個以上の種をつけ、主根が2グラム残るだけでそこから再生可能と言われています。
くじゅう地域でもタデ原湿原などで確認され駆除活動を続けています。
ところで、みなさんオオハンゴンソウの駆除と聞いてどんな活動を思い浮かべますか?
この時期、道路沿いのいたるところで、草刈り機を使って作業している光景を目にしますが、オオハンゴンソウの駆除は、ほとんどが手作業で行われています。前述したように生命力が強いため、草刈り機での切り取りだけでは駆除は難しく、手作業での抜き取り作業で根から取り除かなければなりません。
また、抜き取った後の運搬にも注意が必要です。特定外来生物の生きたままの運搬は禁止されており、運搬によって種を広げないためにも、しっかりと二重のビニール袋に入れて運搬します。
では、駆除作業の流れを紹介。
まずスコップで抜き取り作業を行います。
ここで根を切らないように注意!
次に土を落とす人へバトンタッチ。
根についた土を落とします。
最後に花と根を切って袋に入れます。
土を落とした根を袋に入れたところ。びっしり根が張っています。
それぞれの持ち場で連携して活動を行います。
7月に行った活動では、晴天で日差しも厳しい中、18名で合計46袋の駆除となりました。
今回はくじゅう地域の活動をご紹介しましたが、全国様々なところでオオハンゴンソウの駆除活動が行われており、駆除の方法など検討が進められています。
一度進入してしまうと根絶が難しいとされていますが、くじゅうの地域の自然を残していくためにも継続して活動を行っていく必要があります。
2017年08月07日南阿蘇村の水源めぐり~自然の恵みを満喫しよう~【阿蘇地域:藤田】
阿蘇くじゅう国立公園 アクティブレンジャー 藤田
毎日暑いですね。少しでも涼を感じてもらおうと平成29年度自然に親しむ運動月間の一環として『南阿蘇村の水源めぐり』を開催しました。当日は晴天に恵まれ、熊本市方面からなど26名の参加がありました。
南阿蘇村には、環境省選定の名水100選に選ばれた白川水源をはじめ、くまもと名水百選に選定された7カ所の水源とその他にも小さな湧水が数多く点在しています。
パークボランティアの案内で、まずは『池の川水源』へ。ここには兜(かぶと)石というものがあり、水量が多くこの石が見えなくなった年は雨が多く凶作と言われ、見えている年は日年(ひどし)で豊作になるという言い伝えがあるそうです。農家にとってはかんがい用水だけでなく、その年の豊凶を左右する重要な湧水地となっています。水源横には無人の野菜販売所があり新鮮な野菜にみんな興味津々。「トマトを水源で冷やして食べるのもいいね~!」と話もはずみます。
池の川水源 取れたての夏野菜
次は、環境省選定平成の名水百選の『湧沢津水源』へ。田園の真ん中で突然湧き上がるように噴き出しているのが湧沢津水源です。湧水量(毎分) 5トン で水の柔らかさも村内一と言われています。ちょうど地元の方が水を汲みに来られていました。ここは飲料水用、生活用水用と分かれており、太陽の熱い日差しの中、足を浸して涼を取るにはもってこい!しかし、長くつけていると痛くなるくらいでした。
青々した田園風景 湧沢津水源
600mくらい歩くと、寺坂水源があります。
玉泉山正教寺のたもとの湧水。参道の先、南阿蘇鉄道の鉄橋のすぐ下にある水源です。ここは熊本名水百選の一つで、水を飲み比べてみると、わずかに甘いように感じました。
寺坂水源 絵になる駅舎との風景
日本一長い駅名として有名になった「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅」で休憩しました。熊本地震により、現在運行しているのは高森駅⇔中松駅間で、当駅から立野駅までは不通となっています。「電車の通っていない線路はもの悲しいね。」と誰からともなく声が聞かれました。
200mくらい離れたところに川地後水源(環境省選定「平成の名水百選」)へ。生活用水として農産物の洗浄などにも利用できるようになっており、水の中にはサワガニが数匹歩いていました。
川地後水源 サワガニ
参加者の希望で、震災により枯渇した「塩井社水源」へ。水の神様の岡象女神が奉られている神社の境内にあり、エメラルド色をした神秘的な雰囲気のある水源でした。村内で唯一西から東に流れる川で、下流にはオルゴールのメロディが流れる水車があり人々を魅了していました。
塩井社水源 止まったままの水車
川底まで見える水源の現状に驚きも大きく、早く水が戻るようにとみんなで祈りました。
次の観察会は、10月に「高森町」で開催予定です。
2017年07月07日くじゅう地域ヒゴタイ保護活動
阿蘇くじゅう国立公園 くじゅう 大島 将貴
7月2日に、くじゅう地域のパークボランティアの方々と、ヒゴタイの周りの草刈りを行いました。
くじゅう地域では平成18年度から続けているヒゴタイ保護活動。
今回は、くじゅう地域のヒゴタイ保護活動について紹介したいと思います。
そもそもヒゴタイとはどんな植物なのでしょうか?
キク科ヒゴタイ属の多年生の植物。
花期は8月から9月。花茎が1~1.5m程度直立し、その先に直径5cm程の青い球形の瑠璃色の花が一株に複数咲く。花言葉は「実らぬ恋」。
葉はアザミに似ています。棘もあるので要注意です。
現在、ヒゴタイの数も減少し、環境省絶滅危惧種Ⅱ類に指定されています。
夏のくじゅう地域の高原を代表する花の一つで、毎年多くの方が、ヒゴタイの花を楽しみに訪れています。
さて、今回の活動目的ですが、事業者が道路整備を行う際に、誤って刈り取ってしまうのを防ぐことです。
そのためにヒゴタイの周りの草を刈り、ヒゴタイを目立たせます。
道路脇にあるヒゴタイを探しながら一本一本草を刈ります。
草刈り後のヒゴタイ
見落としてしまいそうな小さなヒゴタイも、これで切られることなく大きく育ってくれるはず。
道路整備の事業者に、ヒゴタイを認知いただくことも保護活動の一つです。
また盗掘による被害を防ぐため、注意喚起のチラシも配っています。
例年、開花時期の8-9月、観光客が車を止めて、ヒゴタイを観察している様子がよく見られます。しかし、中には花を切り取って持って帰る人がいます。
国立公園内での草花の採取は原則禁止されていますが、マナーを守らない人や採集禁止を知らずに持って帰る人も多いようです。
花を切り取られたヒゴタイ
高原で見る瑠璃色の花は、とてもきれいで持ち帰りたくなりますが、持って帰ってしまうと、種を残すことが出来ず、数が減少していき、結果的にくじゅう地域でヒゴタイが見られなくなる可能性があります。
くじゅう地域にヒゴタイを残していくためにも、多くの人たちに保護の重要性を知ってもらい、ヒゴタイが咲き続けられる環境作りを行っていかなければなりません。
本日見られたヒゴタイが、夏にきれいな花を咲かせ、また来年もきれいな花が見られるようにボランティアの方々と協力して保護活動を続けていきます。
2017年06月14日自然観察会 春と梅雨の野草園だより【阿蘇地域】
阿蘇くじゅう国立公園 阿蘇 大津 花
はじめまして!
4月より阿蘇くじゅう国立公園管理事務所の
アクティブレンジャーとなりました、大津です。
よろしくお願いします!
春に引っ越してきたときの山肌は、
むき出しの土の黒や、野焼き後の枯れ草の色をしていました。
5月には下の方からじわーっと緑につつまれ、
今はふさふさとした草原が広がっております。
毎日変わる山の表情の変化を楽しみにしながら働いております!
さて、阿蘇くじゅう国立公園内には、南阿蘇ビジターセンターという施設があります。
そこに隣接する「野草園」。
ここでは散策路を歩きながら、阿蘇の希少な植物や昆虫を観察できます。
神秘的で穏やかな気持ちになる、とても素敵なところです。
この野草園で、今年度に入って2回、自然観察会が開催されました。
◎4月29日「阿蘇の野の花を観察しよう」
◎6月11日「ハナシノブの観察とらくだ山散策」
春と梅雨入りの時期では、野草園の様子が全く違っていました!
季節ごとの植物をお知らせしようと思います。
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◎4月29日「阿蘇の野の花を観察しよう」
【ヤマブキソウ】
明るい林の足下に咲いていた、きれいな山吹色をした花です。
日の照っているときに開く花で、夕方にはしぼんでしまいます。
ちなみに、ヤマブキという木に咲く花は、花びらが5枚、
でもこのヤマブキソウは、花びらが4枚ですよ。
【ツクシシャクナゲ】
「ツクシ」は漢字で書くと、九州の地名である「筑紫」です。
白やピンクのフリフリしたお花を咲かせてくれます。
葉っぱの裏はオレンジなんですよ!
触るとなんだか革製品のようでした。
◎6月11日「ハナシノブの観察とらくだ山散策」
【ハナシノブ】
梅雨の時期に薄紫色の花を咲かせます。
自生のハナシノブは阿蘇にしか生育していないとも言われています。
4月に初めて見たとき、凜とした葉の姿に一目惚れしました。
そんな魅力のある花です!
【らくだ山】
山頂の岩の様子が、らくだの"こぶ"に見えることからこの名前がつきました。
カルデラならではの地形で、ジオサイトにも登録されています。
"こぶ"のような板状の岩は、近くで見るとまた迫力がありました。
ぜひ登って近くで山肌を見てみてください!
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この野草園では、いつでもスタッフやパークボランティアの方に
説明してもらいながらまわることもできます。
できれば事前のお問い合わせをおすすめします。
ぜひ南阿蘇ビジターセンターに足を運んで、
阿蘇の生物とふれあい、学んでみてはいかがでしょうか。
南阿蘇ビジターセンター 野草園
http://www.minamiaso-vc.go.jp/
熊本県阿蘇郡高森町高森3219
電話番号:0967-62-0911
開館時間:9:00-17:00
休館日:水曜日(祝日の際は振替休館)
※野草園では、希少な植物や昆虫とその生育環境を保全しています。
生きものは野草園の中だけで心ゆくまで眺めてあげてくださいね。
2017年05月25日阿蘇くじゅう国立公園からの近況報告【阿蘇地域】
阿蘇くじゅう国立公園 アクティブレンジャー 藤田
こんにちは。阿蘇事務所の藤田です。
阿蘇山一帯にはみどりが芽吹いて、草原には牛の放牧も始まりました。車で走ると風が心地よいですよ。晴天の日は、外に出かけたくなりますね(*^O^*)
★☆ お知らせその① 事務所名が変わりました。☆★
本年4月から、(旧)阿蘇自然環境事務所→(新)阿蘇くじゅう国立公園管理事務所
に変わりスタッフも増員されました。満喫プロジェクトで、これから阿蘇の復興と創造を具体化していくための取り組みが始まっていくことに、私たちもワクワクしています。
くじゅうのメンバーも駆けつけて、開所式を行いました。
★☆ お知らせその② 東京にて阿蘇の魅力を紹介 ☆★
4月29日(土)に東京での環境省が主催する「2017新宿御苑みどりフェスタ」にてクラフト体験を通して、阿蘇の魅力について紹介してきました。
フェスタは、「みどりの月間」(4月15日~5月14日)期間中に新宿御苑において、国民公園としての機能を活用し、自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむことを目的とされており、自然観察会やクラフトなどの体験プログラムや全国の国立公園の紹介、物産の販売など『自然とふれあう』をテーマに様々なイベントが開催され、全国各地から集まりました。
多くの来場者が訪れ、クラフト体験は大人気で行列ができていました。
九州地方環境事務所ブースでは、「ススキのホウキ作り」と「ススキのフクロウ作り」体験を行いました。
材料を多めに用意していましたが、15時頃にはススキなどがなくなり、合計80名の方にクラフト体験を楽しんでいただけました。「九州出身なんです~~。なつかしい~!」とか、「この前、熊本行ってきました~!」、「屋久島にまたいきた~~い!!」など、ご当地話しに花が咲きました。
また、身近なススキでホウキやフクロウが作れることに、みなさんたいへん喜んでいただけました。
みなさんが、九州に足を運んでいただけるきっかけのひとつになれたらう れしいです♪
★☆ お知らせその③ 阿蘇の草原カレンダー発行 ☆★
2006年から続けて発行している阿蘇の草原カレンダーも今年で11年目。草原環境学習を推進するためのツールなので、各学校の教室に張ってもらえるように4月始まりです。ここ数年、写真や絵画コンクールの作品等が多かったのですが、今年は初心に戻ってイラストにしました。草原にいるようななんとも言えないほのぼの感が伝えられるといいなと思います。
早速、教室に掲示していただきました。
画像は、九州地方環境事務所の阿蘇草原再生のホームページからダウンロードできます。
http://www.aso-sougen.com/teaching/index.html
次は、新しいアクティブ・レンジャーの大津さんより、活動報告よろしくお願いします♪
2017年05月18日今年もミヤマキリシマシーズンへ
阿蘇くじゅう国立公園 大島 将貴
くじゅうでは、今年もミヤマキリシマのシーズンがせまってきました。
今回はシーズンの先頭を切って咲いていたミヤマキリシマの情報をお届けしたいと思います。
今回ミヤマキリシマが見られたのが、
「立中山」
こちら「たっちゅうさん」と読みます。
標高は1464.6mと平治岳や大船山など、くじゅう連山の主峰と比べると低いこともあり、所々で花を見ることができました。
開花を待つ、つぼみ達
そんなミヤマキリシマの足下にはイワカガミが咲いています。
ピークのシーズンはもう少し先ですが、開花を待つつぼみ達や足下に咲くイワカガミを楽しめるのも今だけですね。
さて、そんなミヤマキリシマ、今年はどんな顔を見せてくれるでしょうか。
ミヤマキリシマシーズン目前のくじゅうをお届けしました。
2017年05月02日H29年度パークボランティア活動初め
阿蘇くじゅう国立公園 くじゅう 大島 将貴
くじゅう管理官事務所ARの大島です。
4月からくじゅう管理官事務所にて勤務することとなりました。
このAR日記を通して阿蘇くじゅう国立公園の様々な魅力を伝えていきたいと思います。
初めての記事となります今回は、4/23に行ったくじゅうのパークボランティアの活動について御紹介します。
そもそもパークボランティアってなに??
と思われた方も多いと思います。
パークボランティアとは国立公園の様々なことをお手伝いしてくれるボランティアさんのことです。パークボランティアとして環境省に登録し、様々なことをお手伝いしてもらっています。
今回の活動は、男池の登山口から黒岳、平治岳に向かう途中にある「かくし水」という水場の竹桶を新しいものに取り替てきました。
本日の作業メンバーはパークボランティア(以下PV )5名、くじゅう管理官事務所2名の計7名。
天気は日本晴れといってもいいほどの快晴です。きれいな青空をバックに生命力みなぎる木々達。
いざ出発。
今回の活動は竹桶の修繕ですが、くじゅうPVの方たちは、ただ山に行き修理して帰るだけでは終わりません。
くじゅうPVの方々は山の楽しみ方を知る達人といっても過言ではありません。
みなさん大変植物に詳しい方揃い。詳しいだけではなく、本当に気持ちよく自然とふれ合います。
そんなメンバーでの道中は、誰ともなく植物の観察会が始まります。
私はというと、野菜や、花屋さんで売られている花、道に咲いているのは「雑草」という程度の植物の知識。
でも本当は「雑草」なんて一つも無いんですね。
野に咲く一つ一つの花を紹介し、匂いや色を楽しみ、山での遊び方を教えてくれます。
私には色や形、香りでしか見えていない風景が、みなさんにはたくさんの個性や、友達の様に見えているのでしょう。
ちなみにこちらはキツネノカミソリといってお盆頃に花を咲かせるそうです。
いつか私にも今とは違った景色に見える日を楽しみにしながら少しだけ今回出会った草花をご紹介します。
No.1ヒトリシズカ
花言葉は「静謐(静かで安らかなこと)」「隠された美」。
見ているだけで安らかな気持ちになります。この葉に包まれながら花が見える様子などまさに隠された美ですね。名前がヒトリシズカなので一人静かに咲いているのかなと思っていたのですが、花穂が一本立っている様からきたようです。しかし、ひとりで咲かずとも静かな美しさを見せてくれます。
No.2 タチツボスミレ
スミレはたくさんの種類があり見分けるの大変ですが、葉がハート型なのが特徴の一つです。
淡紫色が綺麗。
No3シロバナエンレイソウ
綺麗な花も魅力ですが、根茎は中国では胃腸薬としても使われています。
No4アミガサタケの仲間
こちらは花ではないですが、変わった形のキノコを発見しました。この仲間は日本ではほとんど食用の歴史はないのですが、ミネソタ州(アメリカ)では州のきのこになるほどポピュラーなきのこで、ヨーロッパでは食用として人気があるようです。
植物観察会をしながら歩いているとあっという間にかくし水に到着。
現状ではコケが生えこれも風情はありますが、桶から水が流れてきません。
早速、水の取り口を決め準備した竹と交換。
中々勾配がつかずうまく流れてくれません。そこで苔を使い上手く水を誘導し、水の流れを作ります。昔はログハウスを建てる際に木と木の間を埋める際にも使われていた苔ですが、今回も大活躍です。
まだ水量が足りないので奥からもう一本渡します。交差部分を加工し完成。
BEFORE
AFTER
しっかりと水が流れています。登山者の方も早速利用されていて笑顔がこぼれます。
お昼ご飯には、新緑の春の景色の中で、お手製のイタドリやタケノコの煮物など春の食をいただきました。季節の山野草を食べる楽しみは一手間かかることが多いですが、旬のものは本当に心も体も元気にしてくれます。
下山後、登山口ではヤマブキが迎えてくれました。
私の好きなヤマブキ色のヤマブキを人生で初めて見ることができ思わず夢中でシャッターを切ります。
色の美しさもさることながら、春の山は生命力に満ちていて素晴らしい活動となりました。
最後はヤマザクラに見送られ本日の活動終了。
今日はPVの方と共に山を歩き、自然と遊ぶということは、小さき声に耳や目を傾けることから始まるのかなと思いました。何か人生にも通ずるようですね。
また来年も山のあちこちで綺麗な花を咲かせてくれるように、今回は野焼きと重なり参加できなかったPVの方も含め、みなさんと活動内容協議しながら今年度も様々な活動を実施していきたいと思います。
2017年03月31日九州特産物リレー3月 ~あか牛料理~【阿蘇地域】
阿蘇くじゅう国立公園 アクティブレンジャー 藤田
=== 地元高校生が提案する阿蘇ブランドの料理! ===
こんにちは、阿蘇事務所の藤田です。1年間リレー形式で取り組んできた『九州特産物リレー』も最終回となりました。各地の特産物は、「ご当地に行って味わってみたい~!」と思うものばかりでした。食も文化も風景も、五感を豊かにしてくれる九州ってサイコーですね!
さて、阿蘇からは『肥後のあか牛』についてご紹介したいと思います。
幾度となく繰り返されてきた巨大噴火により、九州の真ん中にできた大きなカルデラ地帯には、阿蘇五岳と称される中央火口丘群が連なり、その周辺には約22,000haもの広大な草原が広がっています。
現在の日本の国土で草原の占める割合は約1%、そのほとんどが阿蘇にあると言われています。
全国の草原を見てみると、人工的に作られた草地である改良草地が3/4を占めているのに対し、阿蘇では、野草地が全体の3/4を占めているのが特徴です。
火山の恵みのひとつ、豊富な水資源を利用して農耕文化が栄えてきました。約千年前に作成された平安時代の法律書『延喜式』の中に阿蘇の草原の記述が見られます。これには、「肥後の国の二重牧の馬は、他の群より優れた馬があれば都に献上し、他は太宰府の兵馬及び肥後国その他の国の駅馬として常備するように(意訳)」と記されています。このことから、当時阿蘇では優れた馬を生産する牧があり、その名が中央政権まで知られていたことが読み取れます。
(ちなみに、この牧と思われる草原を管理している地域で刈り干し切りや野焼きなどの手伝いに出ることもありました)
阿蘇の草原は、人が生活や農畜産業のために「放牧・採草・野焼き」など手を入れることにより、日本最大の規模を誇る野草を主体とした草原景観と、多様な動植物が生息・生育する豊かな草原環境が維持されてきました。そこには、牛馬を利用した農業生産と草資源の循環という、地域の文化が育まれてきました。
また、阿蘇での農業は火山灰土壌、高冷地という厳しい条件の下で、耕作の労働力であった牛馬の放牧や飼料用の草を得るための場、緑肥や堆肥・きゅう肥の生産の場として利用され、水田耕作や畑作とも密接に結びついてきました。現在でも、阿蘇は九州でも有数の肉用牛の生産地であり、草原は農畜産業を支える基盤となっています。
芸術的な!?牛が草を食べながら歩いてできた牛道
広大な草原に牛がのんびりと草を食む姿は、観光に訪れる人々を魅了する阿蘇ならではの風景です。みどりの草原に栄えるあか牛は、明治44年から阿蘇市にある熊本県立阿蘇中央高校(旧県立阿蘇農業高等学校)にて「スイス原産のシンメンタール種」と在来種を交配し、改良を重ねた固有種で、現在の「赤毛和種」として流通するようになりました。性格が穏やかで粗食に耐え、寒さに強く放牧に適するという育てやすい特徴があるものの、牛肉は筋肉質で固く、食用には向かないとされ、当時は役牛として用いられていました。
近年、食生活の変化により肉用牛としてブランド化が進められています。
(環境省阿蘇の草原ハンドブック、阿蘇草原再生全体構想第2期より一部抜粋)
【あか牛肉の特徴】
・広々とした草原で自由に動き回り、ストレスが少ない。
・主食は、繊維質たっぷりの野草
・脂肪分が少なく、旨みが多い、赤身主体の肉質。
・赤身肉には、タンパク質と鉄分(ヘム鉄)が多く含まれている。
・ヘルシーで、ダイエットにも有効。お腹にもたれにくい。
草原にいるのは、主に母牛と子牛
そこで、阿蘇の草原の利活用とあか牛の消費を増やすことを目的に、県立阿蘇中央高校農業食品科2年生がアイディアを出し合い、あか牛や地元食材を使った創作料理を提案し、地元の観光関係者や生産者を対象に試食会を実施されています。
この取り組みは、県の阿蘇世界文化遺産登録推進教育モデル校事業として今年で5年目となり、これまでに7品が商品化され「道の駅阿蘇」などで販売されています。
写真提供:阿蘇中央高校
今年も、地元食材とあか牛をつかった料理7品が紹介されました。
◆パプリカとブロッコリーで溶岩と草原を表現した「阿蘇火乃山あか牛丼」
◆あか牛ひき肉のシュウマイ
◆あか牛ひき肉と高菜を混ぜたご飯を油揚げに詰めた「阿蘇のあか牛田舎揚げ」
◆阿蘇産トマトソースのスコッチエッグ
◆阿蘇の米を使ったライスバーガー
◆きびご飯のビビンバ
◆あか牛ひき肉と波野産のそば粉を利用した「阿蘇ガレット」
昨年のあか牛料理
どれも食べてみたいメニューですね!
(注)お昼前に見るとお腹がグ~グ~鳴ります(^_^;)
そば粉ガレットを考案したお二人から、「肉が苦手な人にも食べられるような料理を作りました。」
「おいしく食べてもらえたらうれしいです。」
担当の後藤先生は、阿蘇の食材を阿蘇で消費できる環境づくりを目指すことで、新しい景観づくりや畜産や米・野菜など就農する生徒を増やしていくことで、阿蘇の担い手育成に繋げていけたら・・・と熱く夢を語ってくださいました。
参加者のアンケートからも「がっつりあか牛を食べている感じがした」「食材のバランス、味、見栄えが大変よかった」「店頭で並べられていたら気になるメニュー」など、高い評価が得られています。
また、多くの方が「地元の高校生が地域の名産品を使った料理を考え、地元のすばらしさを伝えることがなにより効果的!!」「若いアイディアが新鮮!」との声があげられていました。
この中から、店舗、ホテル、旅館等でメニュー化されるかもしれませんよ!
私たちが取り組んでいる草原環境学習を、小中学校で学んだ子どもたちが地元の活性化や草原再生に取り組んでくれるかも!?と夢を膨らませつつ、阿蘇の未来を語っていきたいと思いました。
阿蘇では、あか牛丼やあか牛ハンバーグ、焼き肉などのメニューを取り扱う店舗が増えています。阿蘇に来られたときは、ぜひ立ち寄られてくださいね♪
2017年03月31日阿蘇くじゅう国立公園での楽しみ方~ASO編~【阿蘇地域】
阿蘇くじゅう国立公園 山口佳子
みなさん、こんにちは~!
現在の阿蘇は野焼き後の山が黒々としています。
まだまだ寒い日が続いており、阿蘇の春の訪れはもう少し先になりそうです。
黒い山肌に目を引く可憐なキスミレ。咲いた姿をみるのが待ち遠しい~~~。
さて、阿蘇くじゅう国立公園阿蘇地域は、1934年にカルデラ全体が国立公園に指定されました。
雄大なカルデラ、噴煙を上げる阿蘇山、カルデラ一帯に広がる草原など様々な魅力があり
世界ジオパークにも認定されています。
大きなカルデラの中には7つの市町村があり、
田園風景やあか牛の放牧など、草原とくらす人々の営みは世界農業遺産に認定されています。
海外から来られる方も多く、まさに世界の☆ASO☆なのです。
野焼き後の山の姿 カルデラ(阿蘇ジオパーク)
阿蘇くじゅう国立公園の楽しみ方をいくつかご紹介いたします。
やはり登山やハイキングがおすすめです。
地震や豪雨、噴火などの影響で立入り規制されていた烏帽子岳と杵島岳の登山道が
2017年2月17日より一部通れるようになりました。
杵島岳山頂からは、地球の息吹を感じる阿蘇山中岳中央火口がみえます。
季節ごとの風景、植物や昆虫たちとの出逢いも楽しみのひとつです。
昨年秋、杵島岳を巡視中に、ハンミョウという色鮮やかな昆虫に出逢いました。
「ミチオシエ」という別名の通り、登山道の出口までわたしたちが進む早さに合わせて、
飛んでは止まりを繰り返し道案内をしてくれているようでした。
ハンミョウの習性なのだと思いますが、心が通い合ったようでうれしかったです。
出口に到着するとそれ以上前を飛ぶことはなく、『ありがとう~』とお別れしたのも思い出です。
杵島岳山頂からみる中岳火口 草千里からみる烏帽子岳
次の阿蘇の楽しみ方は?
早朝に体験してきたのは、青空に浮かぶカラフルな熱気球です!
大気の穏やかな朝5:30くらいから7:30くらいまでが、阿蘇では気球に適した時間だそうです。
約30mの高さまであがると、気球でしか見ることのできない景色が広がっていきます。
阿蘇五岳から輝く太陽が昇る清々しい朝の体験でした。
阿蘇ネイチャーランド http://www.aso.ne.jp/~natureland/
次に、お天気が悪くても楽しめる草原や自然を楽しく学べるセンターをご紹介致します。
草原学習館と南阿蘇ビジターセンターです。
南阿蘇ビジターセンターには屋外展示場である野草園が併設されていて
季節折々の阿蘇の自然を体感できます。
草原学習館(阿蘇草原保全活動センター) http://aso-sougencenter.jp/
草原の成り立ちや恵みを知り、学ぶことができます。
南阿蘇ビジターセンター&野草園 http://www.minamiaso-vc.go.jp/
阿蘇の自然とふれあいながら楽しめます。
いろいろなおすすめをご紹介しましたが、
最後に、国立公園をみなさまに楽しんでいただく上でのお願いです。
食べたもの、飲んだものなど使ったゴミは持ち帰っていただくようお願い致します。
自然の中に捨てないでくださいね。
もし美しいと感じる植物や昆虫を見つけても、また次の年もその場所で出逢えるよう
植物や昆虫は採集しないでください。
さて、ここでいきなりクイズです。
持って帰らないものは? 植物や昆虫!
持って帰るものは? ゴミと阿蘇の思い出!
はい、みなさん正解です○
未来のこどもたちも豊かな自然で遊べるようみんなでつなげていきたいですね!
火山や火振り神事、火文字焼きなどにみられる火の文化と、豊かな名水が湧く水の文化。
そして風になびく四季折々の草原の風景。
美しい阿蘇くじゅう国立公園でみなさまのお越しをお待ちしています☆
◆国立公園の情報は環境省公式インスタグラムでもご覧いただけます◆
アクティブレンジャー日記とあわせてお楽しみください。
日本の国立公園公式アカウント
https://www.instagram.com/nationalpark_japan/
◆登山情報◆
阿蘇山登山ルート情報
http://www.pref.kumamoto.jp/kenhoku/kiji_10328.html
◆登山道情報
阿蘇登山道路情報(県道阿蘇吉田線)
http://www.city.aso.kumamoto.jp/kumamoto_eq/traffic/asotozandoro
◆道路情報◆
アクセスルートマップ
http://www.qsr.mlit.go.jp/bousai_joho/tecforce/pdf/asoaccess
阿蘇山遭難防止対策協議会が取り組んでいる登山ルート点検の『根子岳ルート』に参加しました。今回は、合同パトロールの第2回目、前原牧場登山口から東峰までは全員で登頂し、登山道ルートの判別や、登山道沿いの草が繁茂して被さっていることから草刈りと、ルート上を被圧している枝打ち、ロープ等の補修を行いました。平成24年の水害や昨年の熊本地震などにより崩落した箇所が見えるよう注意しながら行いました。
前原牧場登山口は森林の中を進む 草が伸びていると崩落箇所が見えにくい
山頂から登山入り口近くまで大きく崩落している
東峰山頂から見る天狗のコル(熊本地震により一部崩落している)
東峰山頂で休憩後、3ルートに分かれた
【箱石釣井尾根ルート】
看板や過去のピンクテープを辿って進みましたが道が分かりにくく、野焼き放棄地の雑木や、水害後の倒木に行く手を阻まれると、迷いやすいことが想定されます。森林や草原の手入れの必要性を感じました。
また、遭難したことを想定し、携帯のGPS機能と登山ルートマップを見て現在地を確認し、現在地の位置情報を担当者に送ろうと試みましたが、電波が弱く送信できませんでした。
箱石方面から登るルートは数年前から草刈をされていないため、あまり使われていないようで背丈以上のススキが生い茂っており、入り口も分かりにくくなっていました。
【大戸尾根ルート】
このルートは、佐保国立公園管理官以下4名が同行されました。急傾斜場所が多く、降雨後であったことから足下が滑りやすく、林内の歩道は洗掘が目立ったようですが、通行には問題ないとのこと。
【東峰→天狗のコルルート】
天狗コル周辺は、熊本地震の影響で大規模崩落がありますが、途中までは通行可能であるとの判断でした。
☆大戸尾根ルート、天狗のコルルートは、地震、降雨による崩落場所もないことから使用可能と判断されました。箱石釣井尾根ルートは、同協議会で検討し通行不可としていますが、今後対応予定です。
通行可能なルートも、崩落や亀裂により足場が悪くなっている場所もあるため、十分注意が必要です。また、天候が急変することが多く、雷や降雨対策もご準備ください。
詳しくは、熊本県 県北広域本部 阿蘇山登山情報
(http://www.pref.kumamoto.jp/kenhoku/kiji_10328.html)をご確認ください。