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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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阿蘇くじゅう国立公園

161件の記事があります。

2015年09月28日阿蘇中岳噴火のその後【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 アクティブレンジャー 田上

阿蘇の草原ではススキの穂が出はじめ、風にゆっさゆっさと揺れています。

 米塚もすっかり秋の装い

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秋の大型連休前の9月14日(月)、阿蘇が全国放送されました!ご存じの方も多いと思われますが、阿蘇の中岳が噴火しましたね。

午前9時43分の噴火時は、火口から5kmほどの場所で作業中でしたが・・・ゴウゴウと上がる黒煙、噴火の音、山肌を下りてきそうな噴煙、とても目に焼きついています。もの凄い光景だったので、山上にいる防災関係者や観光業で働く方々、観光客などに『逃げてっ!!』と祈る思いでした。

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今回の噴火により噴火警戒レベルが「2(火口周辺規制)」→「3(入山規制)」に引き上げられ、その後、道路規制や対策本部の立上げ、登山道規制などを関係各所で対応しました。幸いにも人的被害はありませんでした。

  

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ちなみに、地元のおっちゃんは・・「こんくらいの噴火は昔はいつでんありよったばい!」と冷静でした。

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※道路・登山道規制情報や観光地の状況についてはこちらをご参考下さい。

  熊本県ホームページ http://www.pref.kumamoto.jp/Default.aspx

  阿蘇市ホームページ http://www.city.aso.kumamoto.jp/

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連休中は好天が続き、まさに行楽日和!噴火の影響がどうかなぁと思い、草千里ヶ浜、大観峰、阿蘇神社周辺など・・・を少し回ってみましたが、どこも観光客が多くて一安心(^.^)

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キラキラのススキ、雲海、秋の草花、外輪山のトレッキング、紅葉、黄金色の田んぼ、フルーツ、温泉・・・そして、噴煙を上げる阿蘇山の風景!秋が深まるにつれ、魅力たっぷりの阿蘇です。皆さんも遊びに来て下さいね~♪

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2015年09月04日阿蘇の草原の「健康診断」! 地元の子どもたちが調査しました。【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 アクティブレンジャー 藤田

この夏、16年ぶりに大型台風15号が熊本に上陸し、各地で大きな災害が出ています。阿蘇でもハウスが歪んだり、看板が壊れたりしていました。果実や米が実る時期でもあり収穫などに影響が少ない事を祈るばかりです。被害に遭われた皆さまには心よりお見舞い申し上げます。

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さて、夏休み中に、草原の生物多様性を評価する「調査マニュアル」を使って、牧野組合の方々や地域の子どもたちを対象に、学習会を開催しました。この「調査マニュアル」では、草原の生物多様性を点数化し、健康状態のチェックをすることができます。

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調査区1:採草地として利用している

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調査区2:野焼きだけを行っている

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阿蘇市内の牧野にて地域の小学生10名と草原アドバイザーなど約20名で、「北外輪山地域(採草型草地)」マニュアルを使って、条件の違う2つの調査区(「採草地」と「数年前に採草をやめて、今は野焼きだけ」)を設定し、それぞれ2ヶ所の調査枠を設け、草丈や植生の違いを見ながら観察を行いました。

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専門の講師と草花を探しました

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マニュアルを見ながら草花の同定

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子どもたちは、最初は戸惑っていましたが、草花を見慣れてくると、隠れているものも見つけられるようになって、葉っぱの形やつき方なども興味を持って聞いていました。

また、調査の他にも筑後川の源流で水遊びをしたり、虫や動物の痕跡を見つけたり、草花の名前当てクイズでは、10数種類もあった草花の名前をみんな答えられるようになりました。

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肝心な草原の健康状態は、採草地はいずれも"最高の状態"となり、野焼きだけの所は"最高の状態"と"まあまあ"といった結果がでて、よく手入れされているということが分かりました。

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阿蘇草原の生物多様性評価用調査マニュアルとは

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平成22年から九州地方環境事務所が取り組んでおり、阿蘇郡市内の牧野を「北外輪山」「南外輪山」「中央火口丘」「波野村・高森町」などの6つの地域に分け作っています。「採草」、「野焼き」、「放棄」などの草原の管理形態によって見られる植物が異なるため、それぞれの管理により増えてくる植物を指標種とし各6種類を選定したものです。現在、5つの地域のマニュアルが完成しています。

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植物図鑑の例

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<調査の流れ>

■調査目的:牧野内に生えている18種類の植物を探して、草原の健康状態をチェック。

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■調査時期:8月上旬~9月上旬の盆花の咲く頃

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■調査場所:牧野の中で草原の健康状態を知りたい場所を2ヶ所選ぶ

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■調査方法:・草原アドバイザー(専門の講師)と同行し、周辺の草原の様子を観察し、記録シートに記入する。

・3m四方の調査枠を2ヶ所設置し、見つけた植物をチェックする。

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■調査する種

A採草していると増えてくる6種

 (アソノコギリソウ、オミナエシ、他)

B野焼きだけしていると増えてくる6種

 (ハバヤマボクチ、オオアブラススキ、他)

C放棄してしまうと増えてくる6種

 (クマイチゴ、スイカズラ、他)

の計18種類を指標種として選定

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■採点:上記の項目に該当する植物の種数を書き(上限あり)、それぞれに点数をかけ、たしたり引いたりして合計点を出すと調査した場所の健康状態がわかる。

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上記の他にも、西原村にて牧野組合の方々が自主的にマニュアルを使った調査に取り組まれました。

牧野組合のみなさんにも活用してもらうことで、植物も覚えられ、数値化することで牧野の状態を実感することができるので、ぜひ取り組まれてみてはいかがでしょう!

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2015年08月18日阿蘇の草原とゾウ!!【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 アクティブレンジャー 田上

『阿蘇の草原』と言えば? 草千里ヶ浜・あか牛・キスミレ・ユウスゲ・野焼き・草原再生・・・などを連想されると思いますが、【ゾウ(象)】を思い浮かべた方はいらっしゃったでしょうか?

実は、草原とゾウに深い(?)繋がりがあるのです。

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そのことを知るきっかけは、地元・行政・関係機関・有識者等により構成される「阿蘇草原再生協議会」の構成員である、東海大学の先生からのお話しでした。熊本市動植物園のゾウは阿蘇の草原の野草を毎日食べているとのこと・・・私は、草原とゾウ!?えっ!と驚きでした。そこで実際に動植物園に真相を確かめに行ってきました。

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熊本市動植物園は熊本市内にあり、動物園・植物園・遊園地が1つの場所で楽しめる施設で、私も足を運んだことがあります。そこで生活するアフリカゾウのエサが、なんと!阿蘇の草原から採草した野草だったのです。少なくとも25年以上はエサとして使っているそうです!

 動植物園のアフリカゾウ マリーさん♪

そもそも、なぜ阿蘇の草原の野草をエサにしているのか!?ゾウ担当の方にお話しを聞いてみると、ゾウは、本来野生では硬い大型の草をたくさん食べているので、一般的に動物園で与えている品種改良された軟らかい牧草ではゾウの消化機能に合わず、あまり消化されないそうです。そのため、ゾウにとっては粗豪性のある阿蘇の野草がピッタリだったのです!

また、どのくらいの量食べているかというと、毎日1頭あたり乾草(採草した野草を干したもの)を60kg(緑のままの草の量換算では約200kg)も食べているとのことでした。定期的にブロック状の乾草が阿蘇から運ばれてくるそうです。

 

(写真左)ブロック状になったゾウのエサ

(写真右)エサに阿蘇の石(こぶし大の溶岩)が混ざっていることも・・ゾウが鼻で選り分けるらしい

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1年間で考えると1頭あたり約22tもの乾草を食べ、この量の草を確保するには約3ha分の草原が必要になるそうです。ちなみにゾウは2頭いました!!

左がエリ(メス)、右がマリー(メス)♪ どちらも鼻で器用に阿蘇の野草を食べている

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阿蘇の草原は主に「放牧」「採草(草刈り)」「野焼き」を代々続けてきたことにより維持され、中でも「採草」は草原性植物の多様性に大きな役割を果たしていることが知られています。放棄された草原や野焼きのみの草原よりも、採草利用している草原はよりたくさんの種類の植物が生育できるそうです。2頭で約6haもの草原をエサとして採草利用しているゾウの貢献度はとても大きいものです!

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ゾウ担当の方のお話しでは、他の動物園からはゾウのエサに国産の野草を使っているので羨ましがられるのですが、輸送の手法・コストがネックのようです。熊本市動植物園は阿蘇から近いという立地の良さが幸運でした。

また、お話しの中で、草原再生のPRに繋がるような案も出てきたので、これを機にいろいろと連携できたらおもしろいなと感じました♪

ちなみに、熊本市内の水道水は阿蘇山の伏流水100%なので、エサも飲み水も阿蘇産となると動植物園のアフリカゾウの体のほとんどは阿蘇の恵みで支えられているのです。ゾウをきっかけに阿蘇草原再生の輪が新たな広がりをみせるかも!?

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2015年08月17日登山者の遭難防止に!インターネット版登山ルートマップの運用が始まりました。 【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 アクティブレンジャー 藤田

長梅雨がやっと明けたら、すぐ立秋になり雲海が見られるなど、清涼感を感じる風景に変化しています。朝晩は涼みやすく時折肌寒くも感じます。お盆期間中も多くの観光客の方がお見えになり、観光地も賑わっていたようです。

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さて、阿蘇山遭難防止対策協議会が取り組んでいる毎年恒例の登山ルート『烏帽子岳・杵島岳ルート』の点検に参加しました。併せて、7月31日からスマートフォンの衛星利用測位システム(GPS)機能を利用した登山遭難防止対策の運用が始まり、その試験も行いました。

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阿蘇山で遭難した場合を想定し、熊本県のホームページ(QRコードからもアクセス可)【阿蘇山登山情報】【現在地通報システム】に入って、空メールを送ると現在の位置情報などが県警に届くようになります。

また、【登山ルートマップ】に入ると地図上で現在地が確認でき、ルートから外れていないか確認することもできます。

しかし、濃霧や雨が降るなどの悪天候時や電波の状態によっては誤差が発生することもあります。

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試験中も、場所によっては繫がらなかったり、正確な位置が確定できなかったりしました。操作も慣れていない私にはちょっと難しく、送信までできませんでした。全国初のシステムなので、正確に運用できるように、これから不具合や課題を改善していくとのことです。

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それから、スマートフォンを利用して「登山届け」も提出できるようになりました。事前に届けを出すことができ、気軽に利用できる手軽さがいいと思います。

また、『登山届け記帳所』が、烏帽子岳・杵島岳の登山口に設置され、登山届けを提出してもらえるよう、新しいシステムの紹介と裏面には登山届けがついたチラシも作成し、記帳所に置いてあるので、登山の際には必要事項ご記入の上投函ください。

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登りやすいと言われている阿蘇山でも遭難事故は発生していますので、これくらい大丈夫と思わずにぜひ活用して、事故を未然に防ぐことにご協力お願いします。その他、気象情報や火山ガス、火山灰などの火山情報なども事前に確認して、気持ちよい登山をお楽しみください。

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2015年08月17日草原の『歴史書』、後世に引き継いでいくために・・【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 阿蘇 アクティブレンジャー 田上

まだまだ暑いっ!と感じつつ立秋を迎えたその2日後、雲海が現れました。阿蘇では晩夏から秋にかけて雲海が見られることが多く、残暑が厳しい時期ですが季節は確実に移り変わっていることを感じます。

8/10大観峰にて。ツーリング客も小休止

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さて、今回は阿蘇草原再生に関係した業務を紹介します。

阿蘇地域の草原は面的に広ーく連なっていますが、実は160ほどの「牧野組合」がそれぞれに維持管理作業や放牧を行っています。牧野組合はおおよそ集落単位で分かれ、畜産業に関わる農家で構成されています。例えば、「町古閑牧野」「黒川牧野」「上田尻牧野」・・・のようにそれぞれに名称も異なります。

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環境省では、各牧野の野草地の現状、動植物・昆虫の生息状況、過去から現在に至る牧野の利用・管理状況の変化、牧野内の地名やその由来等を調査し、牧野維持管理の課題を整理した上で、草原環境保全の方針や保全計画を策定する「野草地環境保全計画策定検討業務」(通称、【牧野カルテ】)を平成17年度から毎年3牧野程度ずつ実施しています。

牧野毎に約6回の検討会やヒアリング、2回の現地調査を実施しますが、各回毎に牧野組合の方にも集まっていただき、地元と調査の専門家などと一緒に作り上げていきます。

ヒアリングや検討会では、昔の牧野の様子に詳しい長老などから地名、放牧状況、管理作業等について聞き取りをしますが、その内容に付随した"昔話"がとても勉強になるなぁと思って聞いています。地名も谷や崖、斜面など一つ一つに細かく名称があり、多いところでは数十もの地名があることも。

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現地調査では、実際の地形を見ながら地名や利用状況の確認とともに、動植物の専門家による調査も入ります。この場にも組合の方に同行していただき確認していきます。

現地ではさらにいろいろなお話しが聞けて、「昔はあぎゃんところ(あんな遠く)まで歩いて水汲みに行きよった」「毎年ここで山の神さん(牛馬の安全祈願)ばするもんなぁ」「わっか頃(若い頃)この土塁ばおおごつ(苦労して)して作った」「稲手(いなで)の作り方ば教えよか」「こん(この)草はうまかもんなぁ」など苦労話や草のワザ等について教えてくれます。

*いなで・・ヒモではなく稲やカヤの茎を利用して草を束ねる技術。

 

山菜やカヤの扱いについて教えてくれた牧野の方

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また、放牧や野焼きをするにあたり、作業道の確保や野焼きの障害となる小規模樹林の伐採など、作業負担を軽減できるような要望も聞き保全計画としてまとめます。

※牧野カルテ作成の次年度以降、保全計画の中から優先度の高い事業について整備を行っていきます。

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牧野組合員が高齢化する中、細かい地名や過去の牧野の状況、動植物について、若手組合員に引き継がれることが困難になっている現状があり、牧野カルテは牧野組合の『歴史書』としての意味合いもあります。牧野毎に歴史があり文化も少しずつ異なります、牧野のおじさん達の昔話とともに牧野カルテも代々引き継がれていくといいなと感じます。

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2015年08月14日『山の日』制定記念祭in大分・くじゅう

阿蘇くじゅう国立公園 くじゅう アクティブレンジャー 田中

来年からカレンダーの祝日が増えることをご存じですか?

登山をされる方からすれば、「海の日」があるのだから「山の日」があってもいいのではないかという意見をお持ちの方もいるかと思います。

実は来年2016年から、8月11日が「山の日」として、国民の祝日になります。

先立って今年の8月11日は山の日の制定を祝う「山の日制定記念祭in大分・くじゅう」が長者原一帯で行われました。この日は天気にとても恵まれ、長者原園地は多くの人で賑わいました。まず9時30分から、長者原ヘルスセンター横に健立された坊ガツル讃歌歌碑の除幕式が行われました。そこでは歌手の芹洋子さんが「坊がつる讃歌」「四季の歌」を歌い、会場を賑わせました。

10時30分からは山の日制定記念式典が行われました。来賓として全国「山の日」協議会の谷垣禎一会長も来られ、祝辞を述べられました。また、ミス日本みどりの女神による全国からの山へのメッセージ紹介、歌手の芹洋子さんとコールやまなみ&飯田こども隊による記念合唱に続く形で、式典の最後は地元小学生による「山の日」宣言があり、これからも山を守り育て、次世代に伝えて行きますと宣言してくれました。

 式典の終了後は園地で9つの団体による体験・展示ブースが並び、大きな賑わいを見せました。環境省ブースでは全国の山のある国立公園を紹介する大型タペストリーによる展示とクイズラリー、登山マナーと携帯トイレ普及啓発ブースなどを行いました。

 また、ボルダリングの体験としてクライミングウォールを設置し大人子ども問わず大人気でした。

「山の日」が皆さんにとって、山に親しみ、山の恩恵に感謝する素敵な日になれば良いなと思います。

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2015年08月06日子どもパークレンジャーinくじゅう

阿蘇くじゅう国立公園 アクティブレンジャー 田中

例年より10日おそい梅雨明けのくじゅうから皆様こんにちは。くじゅうのただいまの気温は25℃前後ととても涼しいです。

先月末に環境省主催の「子どもパークレンジャー」として1泊2日のキャンプを久住(くじゅう)高原の沢水(そうみ)キャンプ場にて行いました。子どもパークレンジャーとは、小学生を対象に、国立公園の保護や管理、調査などをしている環境省の「レンジャー」の仕事を体験してもらい、自然保護や環境保全の大切さを伝える環境教育活動です。

今年は、21名の子どもパークレンジャーと一緒に、センサーカメラを使った国立公園内の生き物調査や、増水時にしか現れない幻の本山滝までハイキングをしたり、キャンプ場内にある大野川の源流部で生きもの探索をしたりと、2日にわたって様々な活動を通して自然と親しみました。

 1日目のアクティビティーとして、朝、センサーカメラを使った生き物調査をしてもらいました。設置場所を子供達で話し合ってもらい、カメラを設置し、翌日データを回収しましたが、残念ながら生き物は写っていませんでした。あらかじめ我々で仕掛けたセンサーカメラの映像を子供達に見せたところ、興味津々に、こんな動物がいたのかと驚いてくれました。生き物は6種類確認でき、身近な所でどんな動物がいるかを学べたと思います。

▲センサーカメラに写ったキツネとヤマドリ

 その後本山滝までハイキングをしました。突然の夕立に打たれましたが、子供達は元気に最後まで歩きとげ、幻の滝の下で涼んだ後、キャンプ場に戻り、夕飯作りをしてもらいました。夕飯の火起こしは火打ち石で行いました。火花を散らすのにコツがいりますが、みんな徐々にコツをつかんでようで何とか火を起こし、夕飯のカレーにありつけました。やっぱりみんなで協力しながらつくる野外料理は格別においしく感じますね!

   

  2日目は大野川の源流探検として水辺の生きもの調べを行いました。

くじゅう連山は、大分県の大河川である「大野川」の源流部に当たり、沢水(そうみ)もその一つです。森の中の小川は源流部の湧水が集まってできていて、水温が低くとてもひんやり。水の中に足を浸けると、鳥肌が立つほどの冷たさです。

水辺の生きものは、水がきれいか汚れているかの環境によって種類が変わることや、巣を持つトビケラの生態、切ったところから分裂するプラナリアなど、水生生物と水辺環境ならではの特徴について学んだ子どもたち。自分の地域の水辺にどんなものがいて、水質がどうなのか考えるよい機会になったのではないかと思います。

今回の子どもパークレンジャーでは、キャンプ場や草原の生きものと源流部の水辺の生きものに焦点を当てました。少しでも僕たちの仕事に興味を持ってくれて、この中から未来のレンジャーが生まれてくれると良いですね!

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2015年07月29日地元中学生の職場体験(草原学習館との連携) 【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 阿蘇 アクティブレンジャー 藤田

 早朝に子どもたちがラジオ体操のために集まっています。それを見ると「あ~夏休みだ~!」と実感します。日中は、夏らしい日差しが照りつけるようになりましたが、阿蘇は朝晩涼しいです。そんな「阿蘇」に涼みに来られませんか?

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 草原保全活動センター内の草原学習館と連携して、職場体験で阿蘇市内の中学2年生4名を、受け入れました。「自然がスキだから」「環境に興味があるから」と、ここを選んでくれた彼らにスタッフ一同気合いが入りました。

 初日、午前中は、草嶋レンジャーから国立公園やレンジャーの仕事、私から阿蘇の草原の基礎知識などについてレクチャーしました。子どもたちからも、「なぜこの仕事を選んだのですか?」「やりがいはありますか?」「きついと思うことはありますか?」など、するどい質問が出ていました。

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 期間中はお天気に恵まれたので、草原に出向いて作業を手伝ってもらいました。まずは、翌週に予定している地元小学生の草原学習の下見に行ったり、阿蘇グリーンストックが管理しているトラスト地で昔ながらの大ガマを使った草刈りをしました。

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 4日目は環境省の委託事業で出している牧野調査に加わり、「植物の植生調査」、「フィールドサインを見つけよう!」、「地名を確認」など3つの班に分かれて行動。フィールドサイン班は、キツネやテンなどの小動物の糞やシカの足跡、イノシシの食害などが見られました。動物の通り道と思われるところ2ヶ所に定点カメラを設置し、一定期間の撮影を行います。ずーっとカメラが回っているものではなく、センサーのエリア内に入った動物を感知して自動撮影されるもので、カメラや装置に興味津々。取り付け作業は、率先して手伝っていました。

 草原は夏の花の「ユウスゲ、アカショウマ、オカトラノオなど」が花盛り。それらに飛んでくるチョウチョや昆虫も多く見られました。チョウチョの名前には「○○シジミ」が多くついていることに驚いたり、すばしっこい「ハンミョウ」を捕まえては、鮮やかな色合いに驚いたりと発見の連続だったようです。

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 最終日の5日目は、ジェットシューター(野焼きの時に延焼を防ぐために使う背負い式放水器具)を使って、ウッドデッキの掃除のはずがいつのまにか・・・、服がビチョビチョに・・。

 「いっっちばん楽しかった」と満面の笑みで話す子どもたち。そうでしょうね~~( ̄∇ ̄)。デッキはきれいになったからいいかな・・・。

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 さて、最終日には「館内案内のテストをする!」という課題を出していたのですが、少しの時間でも館内スタッフに指導を受けながら練習していたようです。役割分担をして丁寧に楽しく案内してくれました!返事も元気がよくて、よく動いてくれる子どもたちでした。

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 後日、お礼の手紙が届きました。「何気なくそこにあるものだと思っていた草原が、実は危ないと知りました。」「草原を守りたいという気持ちで一生懸命作業されてる姿が印象的でした。」「草やあか牛を使うことで草原を守ることができることを知り、ぼくにもできることを探してできるだけ多くの草原を守っていきたいと思います。」などの感想をくれました。 中には「ここに就職したい!」という子も・・・、いつでも待ってるよ!!

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 彼らの中には、小学生の時にススキを使った卒業証書つくりなどの草原環境学習で学んだ子もいて、出前講座に出向いて伝えてきた成果!?草原や環境に興味を持ってくれたきっかけ作りに貢献できてるかも?と思うと、やりがいもひとしお!こうして続いていくといいな~~!

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2015年07月23日外来種駆除活動

阿蘇くじゅう国立公園 くじゅう アクティブレンジャー 田中

皆様こんにちは。

梅雨明けぬくじゅうでは先日、タデ原湿原周辺の外来種の駆除作業が行われました。

タデ原に隣接する硫黄山道路沿いの一角に特定外来生物オオハンゴンソウが進入している場所があります。毎年九重の自然を守る会が主催するボランティアで、そこのオオハンゴンソウの駆除を行っています。

▲開花時期のオオハンゴンソウの様子

 オオハンゴンソウは繁殖力が非常に強く、たった2gの根から再生し花をつけるという報告もあり、根っこから引き抜くことが駆除方法として一番望ましいとされています。しかし広範囲に広がったオオハンゴンソウの根を1つ1つ掘り出して引き抜くには膨大な人手と労力が必要ですので、一度に全てのオオハンゴンソウを根っこから引き抜く作業をするのは現実的になかなか難しいところがあります。

今回の作業では主に種子散布を抑制することをメインに考え、咲く直前の蕾を採ってしまうことで花をつけさせない駆除方法を、根堀りと合わせて取りました。作業方法としては、タデ原湿原側から横一列に並び、道路側までオオハンゴンソウの花芽を摘んでいき、ゴミ袋に詰めていきました。

     

 

1日の作業を終えて駆除したオオハンゴンソウは48袋にもなりました。

外来種は放っておけばおくほど広がります。捨てられたゴミと同じで、見つけたら速やかに処理しないと、放置すればするほど増えてしまいます。様々なところで様々な団体がボランティアリーにこのような駆除活動を行っていることで、国立公園は保たれているんですね。

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2015年07月23日AR写真展『私たちが伝えたい よかとこ九州 地域の魅力』一足お先に開催中~♪【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 アクティブレンジャー 田上

子ども達の夏休みが始まりました!しかし、阿蘇地域が位置する九州北部はまだ梅雨空・・梅雨明けが待ち遠しい、今日この頃です。まだかなぁ・・

梅雨明けはしてなくとも、真夏の花はじゃんじゃん咲き出してます!ユウスゲ、カキラン、アソノコギリソウ、カワラマツバ、カワラナデシコ・・・色とりどり♪

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さて、夏休み期間に合わせて、九州地区のアクティブレンジャー(AR)で「AR写真展」を開催しますよ!夏休みに、阿蘇・くじゅう・雲仙・えびの・屋久島・対馬あたりに足を運ばれる方は、ぜひお立ち寄り下さい♪

写真展の全体テーマは、方言混じりに『私たちが伝えたい よかとこ九州 地域の魅力』。風景、動物、植物、人、文化など被写体は様々ですが、各地区5枚ずつの写真(6地区 計30枚)でそれぞれに魅力を表現しています。

6地区の展示期間・施設は以下のとおりです。7/29~8/30の間は合同で開催していますよ!

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そして、阿蘇では一足先に展示を開催し始めました~。(in 阿蘇草原保全活動センター)

  

今回のAR写真展では、全体テーマとは別に地区ごとにテーマを設定しているので、それぞれに表現したいものが明確になっています。ちなみに阿蘇のテーマは21年ぶりの阿蘇中岳噴火や、世界ジオパークに認定され今後、国立公園との連携を図っていくこともあるため【阿蘇はジオの宝石箱】(語尾に「や~」を付けたいのも山々でしたが・・)にしました!

ジオ視点で阿蘇に触れてみてはいかがでしょうか。

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そして今回、アンケート&人気投票も実施しています。

人気投票は下の写真のように、気に入った(行ってみたい!きれい!すごい!・・など)写真にシールを貼ってもらうだけの簡単なものです、来館された方はぜひ投票にご協力を~♪

   

シールが多かった地区はさらなる魅力向上に、少ないところも魅力の再発見や情報発信など、各地区のARも頑張っていきたいと思います!

阿蘇・くじゅう・雲仙・えびの・屋久島・対馬にお越しの際には、ぜひお立ち寄り下さい♪

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