アクティブ・レンジャー日記
九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、西海、雲仙天草、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、屋久島、慶良間諸島、西表石垣国立公園、やんばる国立公園、奄美群島国立公園があります。
咲いた、さいた。(春の花シリーズ)【雲仙天草国立公園・天草地区】
2022年05月31日
雲仙天草国立公園
春は、たくさんの花が咲き乱れる季節です。今回は、天草から春の花の便りをお届けします。
上天草市白嶽(しらたけ)キャンプ場一帯の山中にのみ自生するアマクサミツバツツジは、その名のとおり天草を代表する花と言っても過言ではなく、付近には約1万2千本のミツバツツジがありますが、純粋なアマクサミツバツツジは、この中の50本程度だと言われています。
ミツバツツジは、4月中旬から5月上旬頃まで見ごろを迎えます。
この日は天候にも恵まれ、アゲハチョウも満開のミツバツツジの花見に訪れていました。
日本原産のハマナデシコは、砂地に自生し可憐な花を咲かせますが、岩の隙間に根を張って花を咲かせるなど、強くたくましい一面も兼ね備えています。
ナデシコは、平安時代から、理想的な女性のたとえとされ、可憐な外見だけでなく、内面の強さと美しさをも併せ持っている日本女性を表す大和撫子(やまとなでしこ)という言い回しは、誰もが知っています。
花言葉は、「純愛」「無邪気」「大胆」。
「大胆」というのは意外な感じもしますが、左の画像を眺めていると、わかるような気がしませんか。
サトイモ科テンナンショウ属ウラシマソウ(浦島草)の花ですが、見てのとおりの独特の形が特徴的で、昔話の浦島太郎が釣り竿を伸ばしている姿に見えることがその名の由来という説があるそうです。
(真偽のほどは定かではありませんが、・・・。)
筒状の大きな仏炎苞(ぶつえんほう)は花びらのように見えますが、花は、肉穂花序(にくすいかじょ)と呼ばれる真ん中にある棒状の部分だけなのだそうです。
同じように仏炎苞と肉穂花序をもつ花にはミズバショウやカラーなどがあります。
(番外編)
今回は、春の花のご紹介ですが、一足早い夏の便りも見つけました。
ハマボウの通常の花期は7、8月ですが、上天草市松島町合津の樋合島(ひあいじま)とトンボロ現象(普段は海で隔てられている陸地が、潮位の低下により海の道が現れて、歩いて渡れるようになる現象)により陸続きとなる高杢島(たかもくじま)で、5月26日に1輪の花が咲いているのを確認しました。
この他にも、国立公園内には、美しい花、見慣れない花などがたくさんありますので、是非とも、散策に足をお運びください。
その際には、美しい花を来訪者のみなさんにご覧いただけるよう、見つけた花には決して手を触れず、撮影した写真のみをお持ち帰りいただきますようお願いいたします。